(霧山昴)
著者 中村孝博 、 出版 中公新書ラクレ
人間は時計を見なくても、太陽を見なくても、自分の中で一日のリズムをつくりだしてしまう。
リズムとは、「生命があるから生まれる」のではなく、「条件がそろえば自然に立ち上がる現象」。エネルギーの流れがあり、非平衡状態が保たれると、化学反応であっても、物質の運動であっても、時間構造が生まれる。
女性の体と生活は、男性とは明らかに異なるリズムの中で成り立っている。体内時計にも性差がある。
女性の体内リズムは、男性に比べてはるかにダイナミックで、変化に富んでいる。女性の脳は複雑な処理を行うため、男性よりも20分間だけ長い睡眠が必要。
時差ボケの本質は、「体内時計の混乱」。
体内時計は、気合いや努力では動かない。
サマータイムの切り替え直後には、交通事故の増加、急な心筋梗塞の増加、うつ病の受診率の上昇が報告されている。夜
勤回数の多い女性には乳がんリスクが高く、男性のシフトワーカーは前立腺ガンのリスクが上昇する可能性がある。
体内時計の本質は、次に何が起きるのかを予測し、それに先立って体の状態を整えるための仕組み。
体内時計というのは、便利だから後で付け足された機能ではない。それは、地球という、常に周期的に変動する環境で生き残るために、生命が必然的に獲得してきた、根源的な仕組み。
大変に分かりやすい体内時計の話でした。
(2026年7月刊。1050円+税)


