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秘録・核スクープの裏側

カテゴリー:社会

著者  太田 明克 、 出版  講談社
外務省トップの事務次官・駐米大使を歴任した村田良平は回顧録のなかで、アメリカ軍の核搭載艦船の通過・寄港を日米事前地議の対象外とする日米間の「秘密の了解」つまり密約があることを明言した。さらに、「事前地議」のない限り核の持ち込みはない」としてきた歴代・自民党政府の国会答弁は「虚偽」だったと告白した。
 1963年3月。ケネディ大統領に対して、海軍ナンバー2は次のように報告した。
 「1950年初期から日本に寄港した航空母艦にはいつも核兵器が搭載されている。太平洋に展開する空母機動部隊を構成する駆遂艦や巡洋艦も同様に核装備している」
 核が日本の港や領海に持ち込まれていたのは明らか。なのに、自民党の歴代政権は「事前地議の申し出がアメリカ側からない限り、いかなる核の持ち込みもない」とのウソをつき続けた。
 安保条約が改正される前の旧日米安保条約の下では、アメリカが日本に核兵器を持ち込むことに何の制約もなかった。アメリカ軍の核搭載空母オリスカニが1953年秋に初めて横須賀に寄港したのを初めとして、1950~1960年代にかけて核搭載艦船の日本寄港は常態化していた。
 この核密約は、まぎれもなく官僚主導で管理・継承されてきた。外務省が信頼して真相を報告していた首相・外務相は限られていた。橋本龍太郎・小渕恵三は報告を受けていた。
核巡航トマホークは、あまり信頼性のおける兵器ではなかった。トマホークの複雑な誘導システムには問題があったが、GPSを使ったトマホークもいくつか軌道をはずれた。
 アメリカは敵国のジャミング(通信妨害)を恐れて、核攻撃時にはGPS機能を使わないことにしている。だから、太平洋や日本海に展開するアメリカの攻撃型潜水艦から核巡航トマホークが発射されたとき、いくつかが日本や韓国に間違って打ち込まれる事態もありうる。これは笑い話ではない。
 2013年3月時点で、アメリカが保有する作戦に作用可能な核弾頭5000発のうち、長距離型の戦略核は1737発。短距離型の戦術核200発と配備されていない予備用がある。ロシアの方は1492発の戦略核と、2000発の戦術核を保有している。中国の核戦力は240発。
沖縄に初めて核兵器が搬入されたのは1954年末から1955年初頭にかけて。沖縄に貯蔵された核兵器は多種多様だった。18種類もの核兵器が1972年の本土復帰まで配備されていた。
 1967年段階で、アジア太平洋地域にアメリカは3200発もの核兵器を陸上で貯蔵していた。沖縄には、その3分の11300発があった。韓国に900発、グアムに500発だった。
日本の歴代政治指導者とそれを支える官僚組織は、みずからの核保有オプションをあきらめ、その代わりに同盟の盟主であるアメリカの核戦力に国防の根幹を委ねる国策をとり、「核の傘」を、しぶしぶと言うよりは、能動的かつ主体的に受け入れてきた。
 核密約問題の底流には、核兵器の所有者はあくまでアメリカだが、世界唯一の戦争被爆体験をもつ日本が、盟主の「核パワー」と核抑止力論を前提とした国防政策にどっぷり漬かり続けてきた。日米は軍事的な意味あいにおいて、まずまぎれもない「核の同盟」なのである。
 共同通信記者として長年にわたって取材してきた執念を感じることができました。
(2013年4月刊。1700円+税)

巨鯨の海

カテゴリー:生物

著者  伊東 潤 、 出版  光文社
圧倒的な迫力のある捕鯨の話です。思わず、手に汗を握り、鯨とのたたかいに目を見張ります。和歌山県は太地(たいじ)の鯨組の話です。
本方(ほんかた)と呼ばれる鯨組棟梁(とうりょう)。刃刺(はざし)とは、鯨に銛(もり)を打ち込む勢子船(せこふね)の頭(かしら)のこと。沖合とは、船団の指揮をとる軍配役。親父とは、一から三番船の刃刺のこと。
 能野太地の鯨組では、刃刺に昇進すると、それまでの名を捨て、鯨組棟梁からそれぞれにちなんだ大夫名が下賜される。若太夫(わかだゆう)は、すでに齢(よわい)60を超えた老練の沖合である。筆頭刃刺を勘太夫(かんだゆう)という。
太地は、紀伊半島南端の潮岬から東北4里(20キロ)、那智の滝で有名な那智勝浦のすぐ南に位置している。気温は温暖で、冬でも過ごしやすい。
 夏のあいだ、鯨は蝦夷地や千鳥半島でオキアミをたらふく食べ、一尺をこす皮下脂肪をさらに厚くし、北の海が氷で閉ざされる前に、繁殖のために南に向かう。これを、上り(のぼり)鯨と呼ぶ。上り鯨が太地沖を通過するのは9月から12月で、北に向かう下り鯨は、3月から4月に太地沖を通過する。それぞれ冬漕ぎと夏漕ぎと呼ばれ、それ以外の期間は大漁となる。
 古代より日本列島の沿岸は鯨の宝庫だった。しかし、大型の鯨は人の手に負えなかった。ところが、17世紀に入って、太地の人々が網取り漁法を考案したことから、太地は鯨取り熱狂の季節を迎えた。1683年には、太地だけで大型鯨96頭の水揚げがあった。貧しい寒村が一転して長者村となった。太地の人々は鯨を「夷様(えびすさま)」と呼んで敬った。
新宮(しんぐう)藩の領内にありながら、太地は治外法権も同じ扱いを受けていた。というのも、太地鯨組の頭領である太地角右衛門家は、名にし負う大分限(だいぶげん)で、財政難の新宮藩にお金を貸したり、新宮藩がいずこからお金を借りるときの保証人になったりしているからである。
 江戸時代の鯨取りの様子をまざまざと再現しつつ、そこにうごめく人間模様をこまやかに描く語り口はあざやかと言うほかありません。
 感嘆しながら、読書の幸せをかみしめつつ、残念ながら読了してしまいました。
(2013年4月刊。1600円+税)
 土曜日の午後からフランス映画をみました。別れた夫と新しい彼とのあいだで揺れ動く女性の話なのですが、いかにもフランス映画で少々退屈しました。フランス語の勉強のつもりで最後までみました。映画のあと、ジャック・ドワイヨン監督本人のトークがありました。もちろん通訳つきですが、それでも、けっこう話は分かりました。この監督は1シーンをとるのに、最低でも15回はやり直させるようです。そうやって役者は自分のものにするとのこと。主役の女性は監督の娘です。美人というより個性的なアクトレス(女優さん)です。8歳くらいの女の子が実におませで、可愛かったのが印象的でした。

建築家、走る

カテゴリー:社会

著者  隈 研吾 、 出版  新潮社
この忙しさは半端ではありません。世界をまたにかけて飛びまわる毎日です。よくぞ、これで身体がもつ、と本を読みながら不思議な思いに駆られました。
 設計のプロセスは悩みと迷いの連続である。しかし、プレゼンテーションの場では、悩みや迷いは一切見せない。いつでもストレートに言い切って、相手を安心させる。
 建築家は、設計競技(コンペティション。コンペ)への参加の依頼を受ける。その戦いに参加して選ばれないと仕事は始まらない。今では一年中、そういうレースに駆り出されている。いってみれば、毎週レースに出なければいけない競走馬みたいなもの。今、建築家は、そんな状況に耐えられる精神力、体力がないとやっていけない職業になっている。
 レースに引っぱり出されなかったら仕事がない。仕事がなかったら、事務所も自分もつぶれる。つぶれないために、休みもなしに走り続ける。そういう過酷な場に引き出されている。いやはや、大変な職業ですね。
中国政府が景観デザインに厳しくチェックするのは、政府によるバブルの延命策そのもの。中国で一番もうかるのは、それはデベロッパーが大規模な開発をして、不動産価格を上昇させること。ただし、不動産価格があまりにも急激に上昇してバブルになると、民衆の不満がたまって政情自体が不安定になる。中国政府はバブルを破滅させるわけにはいかないし、かといって野放しにするわけにもいかない。そこで、不動産業界に一定の規制をかけて、バブルをスローダウンさせながら維持するという微妙なコントロールが必要になる。
 いまの中国政府の最大課題は、バブルを柔らかくコントロールする方法である。さすがに官僚国家を何千年もやっているだけに、中国の役人は自分たちへの利益誘導が巧みだ。利益誘導といっても、露骨で分かりやすい方法はとらない。量から質へという転換のプロセスの中に官僚の利権も隠れていることを自覚している。世界がテーマとしていることが、結局は、利権獲得の最短の道筋だと理解している。うひゃあ。そんな見方ができるわけですね・・・。
 中国には、そもそも客観的基準というものがない。それぞれのプロジェクトごとに政府に申請し、担当の役人とネゴする。ネゴをベースにすると、そのネゴから役人の利権が無限に生じる。そのネゴのプロセスを通過してはじめて建築を実現できる。タフでハードボイルドな世界がある。めんどくささ、屈辱にめげず、ニコニコし続けていないと、」中国では通用しない。
 中国は、あらゆる民間企業がオーナーカンパニーである。これに対して、日本はサラリーマン機構であって、リスク回避システムとなっている。中国では、酔わなければいけないけれど、崩れてはダメ。その微妙なバランスが一番大事。中国は飲酒が打ち上げではなく、ゲート。この面接試験をうまくパスしない限り、前に進めない。中国は基本的に私情よりも論理を大切にする。
 アメリカの建築界はユダヤ人が掌握している。国際レースの仕掛け人は、ほとんどユダヤ人。ニューヨークでは、金融界と同時に、メディア界もユダヤ人が押さえている。これは実は法曹界についても言えることです。有力(有名)な弁護士の多くがユダヤ人です。
 これからもっとも注目すべきは韓国だ。このところ、韓国は世界のプロジェクトで連戦連勝している。日本人は、のどかな田舎の村で、こたつに入ってぬくぬくしているようなものだ。著者は、歌舞伎座改築に関わりました。まだ見ていませんが、ぜひ見てみたいものです。
 著者は大手の設計会社、そしてゼネコンにそれぞれ3年ずつサラリーマンとして働いています。そのあと、アメリカに渡って勉強しました。
ディベート教育で建築を教えている限り、アメリカに将来はないと直観した。
 著者が世界を飛びまわっているのは、現場を見てみたいから。ナマのもの、ナマの人、ナマの場所に出会いたい。旅行しないと絶対にナマの声には出会えない。
 2泊3日でフランスに行って、日本にいったん戻った翌日にまたフランス入り。翌日からイタリア、そしてクロアチアでそれぞれ2泊して帰国。その次の週はチリ、アメリカ、カナダのあと、アルバニアとマケドニアに1泊ずつで移動して、早朝に関空着で帰国。昼は奈良の現場を見て、大阪で打合せをして、夜は京都で講演会、最終の新幹線で東京に帰り、翌早朝に中国へ出発。なんという超過密スケジュールでしょうか。人間わざとは思えません。
 著者はパソコンをもたない。パソコンをもたないからこそ、自分を保てている。出先にもっていくのは、お財布とiPodとガラケー(スマホではない)。
 スタッフは、報告しない人はダメだが、報告が長すぎる人もダメ。
圧倒されてしまいます。私より6歳も年下ですが、その行動力に息を呑みました。
(2013年5月刊。1400円+税)

日本の絶滅古生物図鑑

カテゴリー:生物

著者  宇都宮聡・川崎梧司 、 出版  築地書館
いやあ、古代日本にもこんなに奇妙な古生物がいたのですね・・・。そして、化石として日本各地に残っていたなんてちっとも知りませんでした。
いえ、日本に恐竜の化石があることくらいは私も知っています。まだ見ていませんが、熊本県の天草に恐竜化石があるようですし、福井県は恐竜化石の宝庫だというのは聞いています。
北海道にも恐竜がいたのでした。体長10メートルに達するモレノサウルスです。
 クビナガリュウの仲間です。10メートルの復元骨格は圧巻ですね。
 日本にはワニだっていたのですね。しかも、なんと大阪府豊中市にいたとは・・・。
大阪が世界に誇る化石、それがマチカネワニだ。体長7メートル、体重1.3トンという巨大なワニです。頭部だけで、1メートルという大きさです。大阪大学のキャンパス工事現場で保有状態のよいワニの頭部が発見されたのでした。
 岐阜県には、ゾウの化石が見つかっています。日本にも野生のゾウが生息していたわけです。ナウマンゾウになると、日本各地で化石が見つかっています。マンモスは、さすがに北海道だけのようです。マンモスの臼歯化石が発見されています。
オールカラーの見ているだけで楽しい図鑑です。日本だって、古代世界の一部なんだと実感できます。眺めていると気分転換になる図鑑として、一見をおすすめします。
(2013年2月刊。2200円+税)

大隕石・衝突の現実

カテゴリー:宇宙

著者  日本スペースガード協会 、 出版  ニュートンプレス
隕石が日本の原子力発電所に落ちたらどうなるのか・・・。
 これは、政府も原発関係者も、想定してはならないとする設問です。その正解は、日本列島の大半が汚染されて、人々は住み続けられずに列島外へ脱出するしかないということです。かつてのユダヤ民族のディアスポラ(民族離散・脱出)が始まるのです。
 原子力発電所にあった核燃料がむき出しになってしまえば、もう誰も近づけません。手のうちようがないのです。それを承知のうえで、いま、日本政府と原発企業は海外へ原発を輸出しようとしています。当面は輸出代金が入ってきて日本経済にいくらかプラスになるのかもしれません。でも、いったん不具合が発生し、事故になったとき、日本政府が不具合の責任を追及される可能性があります。その額が天文学的な巨額になったとき、私企業では負担しきれず、政府が負担することになります。もちろん、それは日本国民の納めた税金です。当面の「利益」に目がくらんで輸出した人は既にこの世を去り、責任をとりません。後世の人々が責任をとらされるのです。こんなひどい事態をつくり出す企業を「死の商人」と呼ばずに、何と呼びましょうか・・・。
 この本を読むと、隕石というのは、宇宙から地球へ頻繁に落下していることがよくわかります。ロシアや南極大陸だけに落下しているというのでは決してありません。怖い現実です。
地球にニアミスする小惑星は毎年、数個ある。
 1908年6月30日、ロシアでツングースカ爆発が起きた。地上から6キロメートル上空での爆発だった。このツングースカ爆発は、2000平方キロメートル以上もの地域に拡がる森林を荒廃させ、爆心地から20キロメートル以内は高熱によって炎に包まれた。爆発規模は、広島型原爆の1000倍の破壊力をもつ、20メガトンだった。
 地球は何もない空間を孤独に運動しているわけではない。むしろ、数多くの天体軌道の間をすり抜けるようにして運動していると言ったほうがよい。したがって、他の天体との衝突という問題は、避けては通れないものなのである。
 小惑星は確定番号がついたものだけでも30万個以上ある。その数は60万個以上におよぶ。今までに発見された彗星は3000個あまり。このうち長周期彗星は2800個、短周期彗星は280個である。
恐竜が絶滅したときの小惑星の衝突(メキシコのユカタン半島)は直系10キロメートル程度の小惑星だった。その衝突エネルギーは1.2億メガトンだった。津波は高さは数千メートルと推定されている。
 直系100メートルの小惑星が衝突しても、関東平野程度の範囲は壊滅する。
 このサイズの小惑星が地球へ衝突する確立は数百年に1回である。
 隕石が地球にぶつかるのは避けられないし、その被害たるや甚大なものがあります。その被害を加速させる原発なんて、地球上に置いてはいけないのです。
(2013年4月刊。1400円+税)

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