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スタンフォード式・最高の睡眠

カテゴリー:人間

(霧山昴)
著者 西野 精治 、 出版 サンマーク出版
スタンフォード大学の医学部教授であり、睡眠生体リズム研究所所長である著者による初めての日本語著書です。
睡眠は本当に大切ですよね。私は、朝おきたときに空腹感があるのが健康のしるしだと考えてきましたが、本書に同じことが書かれていて、うれしくなりました。
朝、起きたら、おなかがすいている。これは、質の良い睡眠がとれているかどうかのバロメーターだ。
一流のアスリートは、真剣に睡眠と向きあう。眠りの力を認識し、力を入れて取り組んだ選手だけが一流になれる。
睡眠の質は、眠り初めの90分で決まる。最初の90分さえ質が良ければ、残りの睡眠も比例して良質になる。最初の90分間のノンレム睡眠は、睡眠全体のもっとも深い眠りである。ここで深く眠れたら、その後の睡眠リズムも整うし、自律神経やホルモンの働きも良くなり、翌日のパフォーマンスが上がる。
週末の寝だめでは、睡眠負債は解決しない。そもそも眠りは、ためられない。普通の人は、最低でも6時間以上眠ること、これがベスト。
レム睡眠は、ストーリーがあって実体験に近い夢をみる。ノンレム睡眠は抽象的で辻つまのあわない夢になることが多い。
最初の眠気のタイミングは絶対に逃してはいけない。眠くなったら、とにかく寝てしまう。そうしないと、そのあと深い眠りはやって来ず、いくら長く寝ても、いい睡眠とはならない。
質の良い眠りには、ノンレム睡眠だけではなく、レム睡眠も欠かせない。
質の良い眠りなら、体温が下がる。体温の低下が睡眠には欠かせない。脳が興奮していると、体温も下がりにくい。
睡眠中は、温度を下げて臓器や筋肉、脳を休ませ、覚醒時には温度を上げて体の活動を維持する。健康な人だと、入眠前には手足が温かくなる。皮膚温度が上がって熱を放散し、深部温度を下げている。
いつものベッドで、いつもどおりの時間に、いつもどおりのパジャマを着て、いつもどおりの照明と室温で寝る。音楽を聴くなら、いつも同じ単調な曲。考えないままスイッチオフで眠る。眠れなかったら、ベッドから離れる。
良質の睡眠の意義と、その確保の仕方がとても具体的かつ実践的で、大変参考になります。
(2017年5月刊。1500円+税)

うんちの正体

カテゴリー:人間

(霧山昴)
著者 坂元 志歩・鱈 耳郎 、 出版 ポプラ社
毎日お世話になっている「うんち」の本です。へそのゴマから話が始まる面白い絵本です。子ども向けのようでいて、実は大人向けの健康教本です(私は、そう思いました)。
まず、病気を治すのに、健康人の「うんち」を薄めて、病人の鼻からチューブで腸へ注入するという治療法があるというのに驚きます。つまり、腸内の菌を殺すのではなく、腸のなかの菌の多様性を増進することによって、病気を治すのです。その病気は大腸炎ですが、なんと、この方法で9割以上が治るというのです。
大腸には、100兆個もの菌がいて、全身になると1000兆個もの菌がいる。これに対して、ヒトの身体は37兆個の細胞から出来ている。
へそのゴマには、2368種もの菌がいて、そのうち1458種が新発見の菌の可能性があった。ヒトのへそに共通の菌はいなかった。
宇宙飛行士は、宇宙船のなかで、おならをし、便を排せつする。その処理は大変だ。無重力の世界では、おならもゲップも、吐い息さえも、まとまって動く。しかも、おならには、燃える成分だって含まれている。
宇宙船のなかで、「うんち」が爆発したり、漂ってしまった事故が2度も起きた。「うんちバッグ」のなかで、殺菌剤とよく混ぜあわせておかないと、破裂してしまうのだ。
快食・快眠そして快便が私たちの健康を支えてくれます。この本は、そのなかの快便について、分かりやすいマンガつきで解説してくれています。子どもと一緒に読める楽しい絵本です。
(2015年2月刊。1300円+税)

植物はそこまで知っている

カテゴリー:生物

(霧山昴)
著者 ダニエル・チャモヴィッツ 、 出版  河出文庫
じっとしていて動かないように見える植物が、実は動いていて、意外に賢い存在だと認識を改めさせられる本です。
遺伝子という観点で比べると、植物は動物よりも複雑であることが多い。
植物は中枢神経系、つまり体全体の情報を調節している「脳」は存在しない。それでも、植物は環境に最適化するよう、各部位を緊密に連携させて、光や大気中の化学物質、気温などの情報を根や葉、花、茎で伝えあっている。
植物は、さまざまな方法で光を見ている。それは、人間の見えない色まで見ている。
植物に屈光性が生じるのは、植物の苗の最先部が光を見て、その情報を中央部に伝えて曲げさせるため。
植物は光を浴びている時間を測っている。植物の視覚は、ヒトの視覚よりも、ずっと複雑だ。植物にとって、光とは単なる合図以上のもの、食料そのものだ。植物は光を使って、水と二酸化炭素を糖に変える。受けとる器官が異なるだけで、植物もヒトと同じく、光を感知している。
植物は、匂いを嗅いでいる。古代エジプト人は、イチジクの実を収穫したあと、まず2個か3個に深い切れ目を入れておくと、残りの実すべてが熟すことを知っていた。それはエチレンガスがもれ出して、ほかのイチジクの完熟を促したのだ。
ネナシカズラは、明らかに匂いを嗅いで食べ物を探している。
葉を食べる昆虫が襲来すると、木々は、互いに警戒しあっている。
植物は、病原菌やウィルスの攻撃を受けたときにサリチル酸をつくる。植物にとって、サリチル酸は、免疫機構を増強する「防御ホルモン」だ。
植物は触覚を感知できる。オジギソウの葉の基部には葉枕(ようちん)という膨らんだ構造があり、その中に葉枕細胞という、運動細胞がある。ここに電気信号が作用すると、オジギソウの葉は垂れる。筋肉がなくても葉枕は葉を動かしている。
シロイヌナズナは、1日に数回、人の手でさわられると、何もしないシロイヌナズナに比べて、草丈がずっと低く、開花もうんと遅れる。
植物は聞いている。
植物は、地面に対して垂直に育っているのか、斜めに育っているのかを知っている。
この本を読むと、植物について、まったく誤解していたとしか言いようがありません。知的刺激にあふれた本です。
(2017年3月刊。800円+税)

世界の産声に耳を澄ます

カテゴリー:人間

(霧山昴)
著者 石井 光太 、 出版  朝日新聞出版
身体を張った突撃取材で定評のある著者が、今回は世界各地の出産事情を取材するのです。知らないことが多々ありました。
タイでは代理母出産です。日本人も多く利用しているようです。アメリカだと代理母出産は1500万円。インドでは3分の1の500万円ですんでいた。ところがインド政府が規制を強化したら、タイへ移っていった。タイでも500万円かかる。
代理母の女性への報酬は122万円。分割で支払われる。契約時に10万バーツ、妊娠期間の9ヶ月間に1ヶ月ごとに1万バーツ、残りは出産後に支払われる。ただし、女性は20代に限る。30歳をすぎたら代理母にはなれない。
ヨルダンの難民キャンプ。ここでは物価が町より安くて、2分の1とか3分の1。そこで、品物をここで買い、難民キャンプの外へ持ち出して転売すると、利益が出る。難民キャンプには、いろいろな利権がある。
そして、難民キャンプでは出産が増えている。その母親は十代も多い。親からすると、厄介払いの面もある。そして、出産には帝王切開が多い。これだと予定日がずれるということがない。
アフリカのスワジランドは、HIV大国と呼ばれるほど、エイズ患者が多い。出産のときに母子感染することがある。18歳から49歳までの3人に1人がHIVに感染している。平均寿命は49歳。13歳から24歳までの女性の3分の1がレイプを体験している。性的暴行は膣を傷つけるので、一般の性行為よりHIV感染率が4倍も高い。HIVは、子どもから両親を奪ってしまう。エイズ孤児は、5万人以上もいる。
フィリピンでは母乳をのむと病気になるというデマが横行している。そのため、母乳をやって子どもを病気にしないために民衆は粉ミルクを求める。そして、実は、粉ミルクを母親が与えるのは、母親である女性がタバコやお酒、そして、シンナーやドラッグをやっているからでもある。
子どもを安心して出産でき、安全・快適な環境のもとで育てていける環境づくりこそ、世界平和の基礎だと痛感させられました。
安全に気をつけて、これからも突撃取材に励んでください。
(2017年5月刊。1500円+税)

寅さんの世間学入門

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 佐高 信  早野 透 、 出版  ベストブック
山田洋次監督の映画『男はつらいよ』シリーズが始まったのは、私が大学3年生のとき、1969年でした。マドンナ役は光本幸子です。私はその前にテレビで放映されていたというのは残念ながら見ていませんし、知りません。DVDにも全部は残っていないようですね・・・。
1969年以来、1997年の特別篇まで49作という超長シリーズです。なにしろ、お盆と正月に新作が封切られていたのですから、すごいことです。
私の子どもたちが一緒に映画をみてくれるようになってからは、正月に家族みんなでみていました。高笑いしながら、しみじみ泣けてくるという映画ですが、やはり観客みんなで笑うところに大きな感動がありました。東京・銀座の高級封切り館でみたときには、観客の笑いが、さすがに上品でしたから、もう、こんな上品な映画館では「寅さん」映画はみないと固く心に誓ったことを覚えています。
対談する二人は、私たち団塊世代より少しだけ年長です。一人はサユリスト(早野)、対する一人はリリー派(佐高)です。
サユリストの私ですが、寅さんの恋人役にふさわしいのは、なんといってもリリー(浅丘ルリ子)です。寅さんが肩の力を抜いて話せる女性だということが画面からよく伝わってきます。
リリーが登場するのは5作もあります。「ハイビスカスの花」は、筑豊の映画館でみましたが、ちょうど「オンボロ旅館」(失礼します)に泊まって弁護団合宿をしていましたので、みんなで腹をかかえて笑ってしまいました。
それにしても、渥美清が亡くなって20年にもなるなんて、信じられません。
この20年間に生まれた人は、寅さん封切り映画をみれなかったわけで、お気の毒としか言いようがありません。
最新の『家族はつらいよ』が、寅さん映画の雰囲気を伝えていますが、やはり面白みでは寅さんにはかないません。そこは、なんといっても渥美清という役者の奥深さです。
この本を読んで久しぶりに寅さん映画の感動に少しばかり浸ることができました。
(2017年3月刊。1400円+税)

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