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最高裁判所と憲法

カテゴリー:司法

(霧山昴)
著者 泉 徳治 、 出版 岩波書店
 とても常識的で、まともな指摘が満載の本です。最高裁判決の間違いをズバリズバリいくつも指摘しています。ホント、そうなんだよな、つくづくそう思いました。
 たとえば、弁護士にとって、身近な話である、警察署の面会室で、弁護士がアクリル板ごしに被疑者を撮影したからといって、庁舎内の規律・秩序・安全が脅かされ、逃亡、または罪証隠滅の恐れが生じるというようなことはありえない。著者はこのように断言しています。まったくその通りです。
 弁護人が撮影した写真を利用して逃亡や罪証隠滅にあたる行為をする恐れがあると言っているに等しい判決は、憲法で認めている弁護人依頼権、接見交通権それ自体を否定するに等しい議論だ。そのとおりだと私も思います。
 面接室内での弁護人による写真撮影禁止の根拠は法務省矯正局長通達があるだけ。法律ならともかく、行政内部の通達で憲法34条前段で保障された写真撮影権を制限することは、法律の留保原則にも反している。そのとおりです。精一杯、拍手します。
 また、著者は、憲法34条前段の解釈として、逮捕段階から被疑者の国選弁護人選任請求権が認められるとしたうえで、さらに、捜査機関の被疑者取調べに対する弁護人の立会権も認められると解すべきだとしています。
 著者は、このような見解の根拠として国連の自由権規約14条3項には、弁護人立会権も明記されていることをあげています。そして、結論として、社会経済活動におけるグローバル化が進んでいる今日、刑事手続も国際水準に近づけるべきだと強調しています。
 そこで、こんなことを言っている著者はいったい何者なのかというと、すごい経歴なのです。最高裁の調査官、民事・行政局長、人事局長、事務総長を歴任したうえで、最高裁の裁判官を6年2ヶ月つとめています。まさしくミスター最高裁とも言える当局サイドの人なのです。
 しかし、著者の論理展開はあくまで常識的であり、穏当そのものです。
 最高裁判決の誤りとして真っ先にあげられているのは、1978(昭和53)年10月4日のマクリーン判決(大法廷判決)です。この判決では、法務大臣は憲法の拘束を受けずに外国人に対する退去強制関係の処分を行うことが出来るとされているけれども、国の行政は憲法の枠内で執行すべきものなのだから、法務大臣が退去強制関係の処分を行うについても、憲法による拘束を受けるものである。したがってマクリーン判決は明らかに間違っている。まことに論旨明解です。
さらに、入国者収容所長等が入管法に基づき行う身体に対する強制力の行使について、東京地裁は、自由権規約は所長の裁量権を制約しないと判示したが、これはマクリーン判決の誤った判示を、マクリーン判決も触れていない身体に対する強制力の行使にまで及ぼすもので、二重の誤りを犯すものだと厳しく指摘しています。
マクリーン判決の誤りの影響下にある裁判実務を指摘し、それを払拭するには、弁護士も裁判官も、もっと条約のことを勉強する必要があると著者は繰り返し強調するのです。
 ところで、日本でもヨーロッパ人権裁判所の判例を積極的に引用した判決がいくつかあるそうです。都議会議員選挙の定数が人口比例原則に応じていないことについての最高裁令和4年10月31日判決についても著者は誤っていると断じています。定数是正は議会にはまかせられない、それを是正するのは裁判所の果たすべき役割だとしています。これまた、まことにもっともだと思います。
 著者は神田の古本屋街をよく歩いているようですが、そのなかで司法関係者の随筆を埋もれたなかから掘り出して、本書でコラムとして紹介しているのも興味深いものがあります。
一番驚いたのは三ヶ月章の親友で特攻隊員として戦死した人に捧げた追悼本です。数冊しか製本したうちの1冊を入手したのでした。すごいことです。また、最高裁ウィスキー党物語と題するコラムは、かつての古き良き時代を感じました。私の50年前の司法修習生のころにも、裁判官室の机にウィスキー瓶が入っているという話はよく聞いていました。検察修習のときは、夕方の閉庁時間になる前から修習室で検察教官を含めて酒盛りが始まっていました。今では、もちろん考えられません。
 著者からありがたくも贈呈を受けましたので、早速、机の上に置いて読みはじめて、書面作成のあいまに数日かけて読了しました。大変勉強になった刺激的な本です。ありがとうございます。
(2025年4月刊。5800円+税)

人類の祖先に会いに行く

カテゴリー:人間

(霧山昴)
著者 グイド・バルブイアーニ 、 出版 河出書房新社
 この本の初めにネアンデルタール人などの顔が復元されています。いるよね、今も、こんな顔の人が…、ついそう思ってしまいました。
 しっぽなしに直立して歩くのは人類の専売特許だ。
 でも、チンパンジーが二本足で歩行している映像を見たように思いますが…。
四本足の動物は、脊椎は地面と水平なアーチ状になっていて、そこに内臓や胸部がぶら下がっている。なので、直立姿勢の獲得にともなって、胸部の重みが体の前面にかかるようになる。
お尻の筋肉がしかるべく収まるように、骨盤が変形・収縮したが、そのせいで、人類の出産はゴリラやチンパンジーとくらべて難事業となった。つまり、直立歩行に移行するため、ヒトは高い代償を支払った。
 トゥルカナ湖は、東部アフリカの大地溝帯に位置している。そこで発見されたトゥルカナ・ボーイは頭蓋の容積が880㏄もある(現代人は1400㏄)。脳の容積が拡大し、手を使うようになっている。年齢は11歳前後、骨盤が縮小しているから、半・樹上生活から、完全に地上生活に移行していたとみられる。
女性が毛の少ない男性を好むようになる過程と、より優れた汗腺を発達させるために毛を失う傾向は、同時併行して進んだ。
 ネアンデルタール人の化石には、相当な数の骨折の痕跡が認められる。傷を負うのは日常茶飯事だったということ。ええっ、これは知りませんでした。
中央ヨーロッパと西アジアに生息していたネアンデルタール人は、最多でも7万人は超えなかった。
 ネアンデルタール人が食べていたのは、主として肉、ほとんど肉だけだった。
ネアンデルタール人は、貝殻や鳥の羽で体を飾っていた。
私たちヒトは、アフリカに起源をもつ。化石も、考古学的な発掘物も、みな、そのように伝えている。人類、みな兄弟、というのは、実は本当のことなんですよね。それを知ったら、肌や髪の毛の色で差別するなんて、とんでもないことだということです。
(2024年10月刊。2250円)
 休日、午後から梅の実をもぎとりました。高いところは脚立を立て、それでも手の届かないところは叩いて落とします。今年は豊作でバケツに2杯分とれました。
 昨年は全然でした。波があります。
 今、庭には黄ショウブが一面に咲いて見事です。フェンスには紅白のクレマチスも咲いてくれています。
 今年はアスパラガスはダメでした。ジャガイモが花を咲かしていますので、やがて収穫できるでしょう。ブルーベリーの花も咲いています。五月の青葉を吹く風は心地良いです。

西南戦争

カテゴリー:日本史(明治)

(霧山昴)
著者 小川原 正道 、 出版 中公新書
 かの乃木希典(まれすけ)は西南戦争に参加(従軍)し、西郷率いる薩軍に連隊旗を奪われたことを終生恥ずかしく思っていたと聞きました。田原坂の激戦の最中に奪われた…。でも、事実は違うようです。
 乃木希典は当時27歳で、歩兵第十四連隊長心得。乃木の第十四連隊が連隊旗を奪われたのは田原坂の戦いの前、それより北側の木葉(このは)の戦いのときでした。乃木は乗馬を撃たれて落馬し、負傷しました。
 田原坂の戦いのとき、政府軍のなかに津田三蔵が金沢の第十七連隊にいました。来日したロシアの皇帝に切りかかって大問題となった巡査の津田三蔵です。
 田原坂を政府軍が陥落させたあとも激戦が続いており、植木での戦闘で、乃木は再び負傷しています。久留米に政府軍の病院があったので、乃木は久留米の病院で療養しています。
西南戦争は、明治10(1877)年2月から9月にかけての7ヶ月間たたかわれた、近代日本最大かつ日本史上最後の内戦。
 薩摩軍は鹿児島を出発するとき、1万3000人。九州各地から参加があり、また鹿児島県で徴募した兵士が加わって、総兵力は3万人をこえた。対する政府軍は6万人余り。
薩軍が上京を目ざすには大義名分が必要です。それは西郷隆盛の暗殺計画が発覚したので、それを政府に問い正すということ。しかし、それだけではちょっと足りないのではないか…。西郷も悩んだようです。しかし、結局、西郷は私学校党の面々を抑えることができなかったのです。
 すると、西郷隆盛が生きていることは絶対不可欠の条件だった。なので、西郷隆盛には常時、護衛が数十人単位でついていた。西郷隆盛は兵士や市民の前に顔を出すことはなく、ずっと奥のほうにいて、犬と一緒にウサギ狩りなどをしていたという。英雄を温存する、まさしく秘密主義に貫かれていたのでした。
 西郷隆盛と一緒に薩軍のトップにいた人のなかには、アメリカ帰りもいたのですね。そして、彼らは、政府を倒し刷新する必要があるとして薩軍に参加し、あたら生命を喪ったのでした。実にもったいない話です。
西南戦争が西郷隆盛の自刃で終了したあと、長崎に設けられた九州臨時裁判所で裁判が行われた。首謀者クラスは斬罪で22人、大隊長が懲役10年で31人などで、449人は無罪、そして4万349人は免罪となった。鹿児島県令だった大山綱良も斬罪となった。
 まだ西南戦争が終結する前の8月21日から11月末まで、東京の上野公園では第1回の内国勧業博覧会が開催されて、にぎわっていたのです。それほど、政府側には余裕があったとも考えられます。
そして、大久保利通は明治11年5月14日、紀尾井町で暗殺されてしまった。
西郷従道は隆盛の実弟でしたが、政府内に残り、元老(けんろう)の一人となった。大山厳も隆盛の従弟(イトコ)。
 明治22年に、西郷隆盛は名誉回復し、正三位を贈られた。民衆から希望を託される英雄を野に放ち続けておくのは明治政府にとって「体裁」が悪かったから…。
 上野公園に銅像が建立された。軍服姿ではなく、単衣(ひとえ)に脇差、犬を連れた姿の西郷像。
西南戦争をさっと通読できる手頃な新書です。
(2019年3月刊。820円+税)

松の露

カテゴリー:日本史(江戸)

(霧山昴)
著者 諏訪 宗篤 、 出版 早川書房
 宝暦郡上一揆異聞。これが、この歴史時代小説のサブタイトルです。
 ときは、徳川九代将軍家重の治世下。宝暦となってからも冷夏、長雨、害虫に襲われ、農村は疲弊していた。その前の享保の飢饉のときは、250万人が飢饉に苦しみ、餓死者が1万2千人をこえた。
 中山道は美濃の関あたりで総州浪人の慶四郎が災いに巻き込まれた。浪人が郡上(ぐじょう)一揆にどうやって巻き込まれていったのか、そのきっかけの展開から読ませます。
郡上の領主である金森家は年貢(ねんぐ)をさらにしぼり上げようと考え、年貢の算定方法を変更することにした。すなわち、それまで一定額であったものを、毎年の稲の出来高を検見(けみ)したうえで変動させることにした。これに対して、村方(むらかた)の百姓たちが一斉に反発した。今でも重い年貢が暮らしを圧迫していて、今後さらなる増税となれば、田畑の枚数が少ない村方は、次の収穫まで家族が生きて暮らすことが困難となる。そこで郡上のすべての村は、検見法採用の申し渡しを拒絶した。村方衆による強硬な反対を受けて、検見法の採用はいったん差し戻しとなった。しかし、金森家があきらめたわけではない。
 検見法が実施されると、村方の人々は強訴(ごうそ)を決行した。刀や槍、鉄砲こそもたないが、武士の百倍以上の村方人員を動員して政庁を取り囲んだ。このときは、ついに、国家老の連判する免許状を出させた。
 この免許状をめぐって、金森家による反撃が始まった。免許状を取り戻そうとするのです。
村方の農夫たちは、実のところ、敗残の将兵を襲って鎧や刀を奪いとり、守護や豪族を叩き出して自治を敷いてきた者の末裔(まつえい)である。理不尽な暴政や増税にははっきり声を上げて抗(あらが)い、強訴したり、江戸まで出向くことも辞さない。対面や掟(おきて)に縛られる武士の弱点を突く、したたかさも持ちあわせていた。
 ここで公事師(くじし)が登場。江戸時代の裁判において、現代の弁護士と似た役割を果たしていた人々がいたのです。
 幕府も、当初こそ公事師を禁圧していましたが、呼出しその他で便利な存在だとして、やがて公事師を公認しています。
金森家は村方の百姓たちの一揆に対抗すべく破落戸(ごろつき)を雇った。
 郡上一揆では、百姓たちは代官所へ向かって集団で要求をつきつける行動をするだけでなく、代表が江戸に出向き、老中の登場駕籠(かご)に駆け込み訴えもした。これが意外に大きな効果があった。
この本は剣豪小説でもあります。登場する浪人は目茶苦茶に剣が立ちます。バッタバッタと悪漢の手先たちを切り倒していくのです。
 刀の優劣は技量の優劣の前では意味をなさない。技量が同等なら勝負を決めるものは、心の練度だ。
遺書で名指しして自ら先に腹を切るのを指腹と呼ぶ。いやあ、聞いたことがありませんでした。ときには書状とともに、切腹につかった刃を相手方に送って死を迫った。そ、そういうこともあったんですか…。でも、ほとんど無視されるでしょうね。
郡上大一揆は江戸時代のなかで、まれにみる大きな成果をあげたことで有名です。
 それは、まず五手掛となったことに示される。通常なら町奉行、勘定奉行、寺社奉行の三者で協議するところ、目付と大目付まで加わることになった。
 そして将軍の意を体してことにあたったのは、将軍御側御用取次役の田沼意次。いわば新参者が、家康の有力家臣だった本多正信の家系の有力老中たちを押え込んだ。
そして、問題の金森頼錦は、改易され、陸奥の盛岡に永預とされて5年後に死亡。金森家の家臣団は全員が召し放ち。勘定奉行、大目付、郡代官なども改易され、御役召放、閉門・逼塞(ひっそく)となった。
 村人のほうも処罰された。4人が獄門、10人が死罪、遠島1人、重追放6人、所払33人など…。
 巻末に参考資料が紹介されていますが、「郡上一揆の会」なる団体もあるそうです。すごいです。歴史を読みものにした、ワクワクする本です。
(2025年2月刊。2300円+税)

明日の法律家

カテゴリー:司法

(霧山昴)
著者 リチャード・サスキンド 、 出版 商事法務
 イギリスの学者が、これからの司法世界は劇的に変化すると力説しています。日本の片田舎でしがない弁護士をしている身に直接ふりかかってくる気はしていませんが、いずれは大きく変わるんだろうなという気がします。
この本で著者は、「私の呼びかけは、年齢ではなく、心が若い人に向けてのものだ」というジョン・F・ケネディの言葉を引用しています。そうならば、私に対する呼びかけの本でもあると受けとめました。
 今後の25年を見渡すならば、法律家や裁判所が、今までと同様に業務を行うと予想するのは現実的ではない。リーガル・マーケットは、現在、著しく流動的な状況にある。この変化には3つの主たる推進要因がある。「より多くのものをより安く」という課題。自由化。そしてテクノロジー。
弁護士のクライアントは多様化している。多くの企業で全体の法務予算を30~50%も削減するよう要求されている。
一般市民について言えば、我々の生活のあらゆる面で法律が中心であるにもかかわらず、公的法律扶助の劇的な削減により、今では非常に裕福な人が非常に貧しい人しか弁護士のサービスを利用できないという結果になっている。市民も「より多くのものをより安く」という課題に直面している。これはイギリスの話ではありますが、日本でも決して無縁な状況ではありません。
 イギリスでは、弁護士でない者が法律事務所の所有者(オーナー)になることが認められている。そこで、ビッグ4巨大会計事務所(KPMG、PWC、Pelo、He、EY)が、多くの法律事務所を支配している。ビッグ4会計事務所のすべてが、競争力と資本力を備えてイギリスのリーガル・マーケットに戻っている現実を忘れてはいけない。
 アメリカでもダムが決壊しはじめている。デジタル・テクノロジーは、一時的な流行ではない。
 世界のリーガル・マーケット自体は1兆ドル規模になっている。世界のリーガルテックへの支出の90%以上が法律事務所によるもの。
 タイム・チャージは効率化を妨げる制度である。それは、効率よく仕事をする同僚よりも時間をかけて仕事をする弁護士に報いるものである。
 多くのアソシエイトは年間2500時間もの請求時間を働くことが期待されている。これは法律事務所には大きな利益をもたらすが、クライアントはますます失望する仕組みである。
多くのパートナーが年間100万ポント超を稼いでいる事務所が世界に100以上ある。
 タイムチャージでなく固定報酬を請求する法律事務所も、利益率を下げるつもりではなく、提案していない。著者は、弁護士の費用それ自体が高くなりすぎていると主張しています。
 多くの弁護士は、法律業務を高度にオーダーメイドなものとみなしているが、それについて著者は反論します。それは生産性のないフィクションだ。オーダーメイドの対応を要求される法律業務は、多くの弁護士がクライアントに信じさせようとしているほど多くはない。このように主張します。弁護士は過去に同様の事案を扱っているのだから、そこでは一定の標準化が期待されるはずだというのです。
 AIによる自動文書作成は、質問に回答するユーザーが法律専門家や弁護士でなくてもいいという利点がある。これは、クライアントにとっては、今までよりも劇的に低廉なサービス価格となる。その一方、法律事務所にとっても、眠っている間に利益を上げるチャンスをもたらす。これは、タイム・チャージ・モデルからの根本的な離脱となる。
 こうして、リーガル・サービスのコストは低下し、価格は一定となり、業務が完了までにかかる時間が短縮され、そしてサービスの品質が向上する。これはAIなどを駆使して、判例・学説の検索によって一定の法律文書を作成するというイメージなのでしょうか…。
 これまでの法律事務所は、非常に高いレートの若手弁護士を使って、大量の(ときには何百もの)文書を精査させていた。しかし、それをアウトソーシングしたら、7分の1のコストで質の高い仕事をしてもらうことができる。そして、在宅で仕事をする弁護士をパートタイムで活用することが可能となる。
 法律プロジェクトの遂行課程のすべての段階で人間の法律家が必要だと考えなくてよい。
 稼働時間(稼働時間ではない)を請求することで利益を保っていた弁護士は必要ない。オンコール、常時接続性だ。
 これからの法律事務所は代替的リソース戦略をとらなければ、長期的にみると、半数以上が生き残れないだろう。多くの若手弁護士の労働コストは高すぎるものになっていく。
 ということは、今、日本の五大事務所が毎年40人も50人も弁護士を採用していますが、これもそのうち頭打ちになり、しかも削減されていく可能性があるということなのでしょうね…。
 果たして、本当にそうなるものでしょうか。
 アメリカでは、毎年ロースクールは4万5千人もの卒業生を送り出しているが、求人のほうは2万5千人(2018年)しかない。そして、ロースクール卒業生自体が10年前よりも1万人も減っている。
 インターネット活用のなかで弁護士と司法世界がどうなっていくのか、考えさせられる刺激的な問題提起にあふれている本だと思って読みました。
(2025年4月刊。3500円+税)

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