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シルミド

カテゴリー:未分類

著者:城内康伸、出版社:宝島社
 圧倒的な迫力の映画でした。絵空事(えそらごと)ではなく、史実にもとづいているというのが分かって見たせいもあるのかもしれません。ともかく、怖いくらいの画面で、2時間あまり息をひそめたままスクリーンから目が離せませんでした。
 この本を読むと、映画が史実といくらか異なることも知ることができます。刑務所の死刑囚たちを連れてきたかのように映画ではなっていますが、実際には、成功したら空軍大尉になれる、都心に家も持てるという条件で選抜された一般の人々だったのです。
 北朝鮮に潜入して金日成を暗殺するという任務を与えられていたことは事実です。それも、1968年1月の北朝鮮武装ゲリラによる青瓦台襲撃未遂事件に仕返しをするため、当時のKCIAの金炯旭部長が朴正煕大統領に進言して始まった計画だという点も史実です。朴大統領は暗殺されましたが、金炯旭KCIA部長もアメリカに亡命したあと、パリで暗殺されました(公式には行方不明)。
 世の中の風向きが変わると、金日成の暗殺部隊なんて必要ないし、そんな部隊があったこと自体まで隠されなくてはいけなくなります。それが第二の悲劇の始まりでした。
 国家意思とは何か、いかに非情なものであるかをじっくり考えさせる映画です。韓国で1200万人の人々が見たそうです。「卑怯者、去らば去れ」という歌は、私も学生時代に何度も歌ったことがあり、なつかしく思い出しました。そうなんです。実は、この事件は、私があこがれの東京にのぼって大学4年生の夏に、まさに同世代の韓国人がひき起こした事件なのです。戦後ずっとタブー視されていた事件を掘りおこし、韓国史上最大のヒット映画にしたという韓国人のたくましさにも私は圧倒されてしまいました。

ホントのSTD

カテゴリー:未分類

著者:澤村正之、出版社:講談社
 週刊誌によると、コンドームの売れゆきが激減しているそうです。
 STDとは性感染症のことです。これを防ぐのは簡単、セックスするときコンドームをつかえばよいのです。東南アジアの国々ではコンドーム使用を義務づけてHIVの流行が減っています。ところが、コンドームが使われていない日本では、エイズ患者が増加する一方なのです。主婦層、とくに30代の増加傾向が目立つというのですから、ことは深刻です。
 性教育に取りくんでいる東京の学校に対して石原都知事や与党側から「いきすぎだ。寝た子を起こす」という猛烈な批判(反撥?)が出ています。しかし、「寝た子」はそうでなくても起こされるものなのです。いかに正しい知識を早く伝えるかという真面目な努力に水をさしてはいけません。
 私の依頼者に、産科医院につとめる看護師さんがいますが、若い人の妊娠中絶手術が増えているそうです。医者はピルを飲むように言いますが、ピルでは性病の予防にはなりません。コンドームが売れなくなった日本って、やっぱり心配ですよね。

巨大化するアメリカの地下経済

カテゴリー:未分類

著者:エリック・シュローサー、出版社:草思社
 成人映画は、一般の作品よりも、利幅がはるかに大きいドル箱部門だ。以前はカウンターの下でこっそり売られていたハードコアビデオが、今や個人経営のビデオ店のみならず、大手企業によって市場に送り出されている。ペイ・パー・ビュー方式のポルノ映画が国じゅうのケーブルテレビや衛星テレビで1日24時間、週7日、ひっきりなしに放映されている。ポルノ収入は個人ビデオ店の3分の1、ケーブルテレビの事業主が売上げの70%を手にする。アメリカ国内で制作されるハードコアビデオの4分の3がロサンゼルス郡で撮影されている。
  現在アメリカで売られているハードコアビデオ、DVDの5分の1は素人作品つまりプロでない人間が出演している。見ることの好きな人と見られることの好きな人たちが数億ドル規模の市場でつながっている。南カリフォルニアには、ポルノ業界に入りたい女性があふれかえっている。おかげで報酬が下がり、1シーン150ドルで働く新人もいる。新鮮みを失うので、2年以上も仕事を続けられる女優はまれだ。エイズへの不安が性風俗業界にある。有名なポルノ・スターの多くがエイズにかかっている。
  近年、インターネットを介したポルノの流通が急増している。アメリカ人がオンラインのポルノに費やす額は、いまや年間10億ドルにのぼる。男性の32%、女性の11%がアダルトサイトにアクセスした。聖職者の27%が月2回以上、インターネットでポルノを見ていた。それで『ペイント・ハウス』や『プレイボーイ』『ハスラー』のようなヌード雑誌が衰退した。いまでは30万サイトで無料の性的な画像にアクセスできる。
  デンマークはポルノを合法化してしまった。その結果、ポルノ市場は縮小する一方だ。というのも、合法化してしまえば、大半の人間がポルノを不快で面白味がないと考えるからだ。なるほど、なるほどね・・・。感心しながら読みました。

黒いスイス

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著者:福原直樹、出版社:新潮新書
 ルツェルンに家族で1週間泊まったことがあります。白鳥の泳ぐ静かな湖に面したプチ・ホテルに泊まり、心穏やかに過ごせました。毎夏スイスへ出かけ、3週間も滞在している久留米の大脇弁護士の紹介でしたが、今も感謝しています。
  この本はスイスの影の部分を暴いています。ロマ(ジプシー)を根絶やしにするため、子どもを誘拐して親と切り離し、定着させるようにした。ユダヤ人がドイツでナチスの絶滅政策の犠牲になっていることを知りながら受けいれを拒否してドイツへ送り返していた。核武装も試みていた。外国人にスイス国籍を与えるかどうか住民投票で決めることにしていて、たとえばトルコやユーゴの人々は拒否した。スイスの銀行はマネーロンダリングで巨額の汚れたお金を受けいれている。
  みんな事実そのとおりだと思います。でも、いったい日本人にスイスを非難できる資格があるのでしょうか・・・。私には、それが疑問です。

1421

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著者:ギャヴィン・メンジーズ、出版社:ソニー・マガジンズ
 1421年3月3日。明の永楽帝は鄭和を司令官として、各国の使節を送り返す役目も担う大艦隊を送り出した。100隻、乗組員2万7000人。宝船は長さ140メートル、幅58メートル。宝船1隻で2000トンの積荷を運び、マラッカへ5週間、ペルシャ湾のホルムズへ12週間で着いた。
  中国人は壊血病の危険と予防法も知っていた。ライム、レモン、みかん、ザボン、ココヤシがたっぷり積みこまれ、桶のなかでは1年中もやしを栽培していた。
  この本で、著者は、この中国艦隊が南アフリカもオーストラリアも、カリブ海も、そして北アメリカ大陸にも上陸していたと主張しています。DNAを含めて、証拠はたくさん残っているというのです。なるほど、コロンブスの「発見」より中国人の方が早かったかもしれないな。私も、そう思いました。ポルトガルの前に、中国人が海外で大活躍していたことは争いのない事実なのですから・・・。

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