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町工場こそ日本の宝

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著者:橋本久義、出版社:PHP研究所
 東京の下町の小さな町工場にいながら、いわば世界を動かしている岡野雅行氏に大学教授がインタビューしてできあがった本です。なるほどなるほど、と思わせ、町工場を見直すと同時に、チョッピリ日本の将来に自信も持たせてくれます。
 岡野氏はあくなき探求心にみちみちています。オレは、値段が高いのか安いのかしか言わないような企業には愛想が尽きた、と小気味のよいタンカを切っています。こんな言葉を聞くと、つい拍手をおくりたくなります。
 町工場が強いのは、大企業はみな自分の身内で足を引っぱりあっているからだという言葉も出てきます。うーん、なるほど、そうなんだー・・・。
 やはり社長は現場を知っていなければダメだ。現場を知っていると、お金のことを言わない。人間、お金のことを言うようになると、もうダメ。そうなんですねー・・・。
 機械は調子を見ながら、具合の悪いところをすぐに直していかないと、元に戻らなくなる。ちょっとしたガタや引っかかりの原因をその都度とり除いていく。ネジを締め直す。油を塗る。ときに、ちょっとヤスリをかける。そうやっていつも注意して見てないと、どうしようもない壊れ方をしてしまう。中国の企業が新しい機械を入れても、新しいうちはいいけど、いったん壊れたら、もう使いものにならない。だから、3年たってもカタログどおりの性能が出る日本製品が売れる番になるんだ。なるほどー・・・。
 ものづくりの現場では、ハイテク製品は雑貨から生まれている。ローテクの雑貨をやっている人は、そのノウハウをすぐハイテク製品に転用できる。
 岡野氏は痛くない注射針をつくりあげ、大量に生産・販売していることで有名です。この注射針は、全長20ミリあり、80ミクロンの穴が通っているのに、溶接せず、穴を開けているのでもないのです。金属の板が溶接なしで丸まってぴったりあわさり、ハリの中を通る液は漏れません。すごーい・・・。感心してしまいます。
 今では、岡野氏の町工場は修学旅行のコースにもなっているというのです。本当にいいことだと思います。子どもたちにモノづくりの楽しさを見せて、実感させるって、素晴らしいことじゃありませんか。
 日本って、もうダメな国なんじゃないか、日本をあきらめよう。そう思ったときに、ちょっと待って、この本を手にとってみて下さい。案外、日本も捨てたもんじゃないぞ。そんな気にさせてくれる本です。

西都原古墳群

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著者:北郷泰道、出版社:同成社
 九州にある古代遺跡として、吉野ヶ里と並んで名高い西都原(さいとばる)古墳群について解説した本です。宮崎県の高台にある本当に広々とした雄大な規模の古墳群です。まだ見たことのない人には、ぜひ一見するよう強くおすすめします。私は3度行きましたが、やはり九州は日本の文明発祥の地だと行くたびに確信しています。
 なにしろ、前方後円墳だけでも宮崎県には177基もあります。ちなみに、福岡県は筑後の44基を含めて186基です。
 前方後円墳の規模からすると、九州での上位10位のうち5基が日向にあり(大隅を旧日向とすると計7基)、残るは筑後(岩戸山と石人山)と豊後(小熊山)になります。このように日向の地は突出しているのです。
 西都原の前方後円墳は、4世紀の前半には誕生したとみられています。金製耳飾りや歩揺のついた金銅片、馬具類が出土しています。
 大阪府堺市にある仁徳天皇陵と伝えられる大仙古墳について、ゼネコンの大林組が築造期間を積算したそうです。それによると、1人2000人、1日8時間、1月25日として、15年8ヶ月、のべ680万7000人を要したとのことです。それからすると、西都原古墳にある女狭穂塚の築造には、のべ50万人で2年半を要したと推測されています。当時、それだけの人間を集中できるだけの権力をもつ人物が宮崎にいたわけです。
 この本は、八女市にある岩戸山古墳(6世紀)よりもはるかに大きい前方後円墳である女狭穂塚古墳の被葬者は誰なのか推測しています。結論からいうと、それは仁徳天皇の妻(髪長媛・かみながひめ)だとしています。つまり、古墳時代である5世紀前半に、畿内の大王家(当時は、まだ天皇とは言っていませんでした)と婚姻関係をもった南九州の豪族が宮崎(日向)に存在していたのです。
 西都原古墳は発掘・整備がすすんでいます。鬼の窟古墳など、見ごたえある古墳がたくさんあります。ぜひぜひ見てきてください。

談合業務課

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著者:鬼島紘一、出版社:光文社
 大林組の課長だった人が、自分の体験にもとづいて談合の実際を実名をあげて告発した本です。汐留・丸の内・六本木ヒルズなどの都心の一等地を大林組が相次いで落としていった内幕が赤裸々に暴露されています。大手ゼネコンがからむ建築はすべてゼネコン同士の談合によるものだということがよく分かり、寒々とした思いにかられてしまいます。
 もちろん、談合は犯罪です。だからゼネコンとは会社ぐるみ違法集団だということにもなります。ゼネコンが昔からヤクザと親密な関係にあるのも当然なんですね。なんとかならないものでしょうか・・・。
 「業務」(談合のことです)担当者から入札金額が指示されますが、その際のメモも現物が紹介されています。入札1回目の金額と2回目のそれとが具体的に書かれたものです。動かしがたい迫真のメモです。
 もちろん、大林組だけが談合をやっているわけではありません。どのゼネコンも同じです。ただ、社員数1万3000人の大林組に途中入社して12年間在職していたというだけに、その体験にもとづく談合の告発はなるほどと思わせます。
 大林組の本社ビルには、100人ほどの天下りOBのいる部屋がある。建設省や運輸省、道路公団などから天下ってきたOBの巣窟になっている。OBたちは、それぞれの出身母体から仕入れた情報を切り売りする。それは、お隣の机にすわる人にも軽々しくは口外できないほどの価値がある。
 談合という不正な方法で落札した企業が利益を得たとき、それは国民に余計な税金負担を強いたことを意味する。談合がなければ、予定価額の1.5倍から2倍で売れた可能性があるのに、低い価額で売却されていった。
 談合がないときには、ゼネコン同士が叩きあいで採算割れとなってしまう。
 この本は談合に政治家は介入していないとしています。本当でしょうか・・・。その一方、政治家への上納金は、工事受注額の3%が定価だともされています。私は、やはり談合には政治家と暴力団の双方が介入していると確信しています。
 予定価額を直接に聞き出せないとき、入札保証金の額を銀行関係者などから聞き出し、それによって予定価格を推定するという方法もとられています。この入札保証金の額についても、絶対に外部にもらさないものになっているはずです。ところが、大林組は、この入札保証金の額を、なぜか事前につかむことができたのです。
 おおっぴらに談合ができなくなった今日、業務担当者は他社の業務担当者と会社名を暗記しなくてはいけない。しかし、すべては裏で決まっていく。ゼネコンは事件にならないようにするため、積算書に会社特有の項目をたてたり、当初の数値を少しばかり変化されたりするなどの対策をとっている。
 毎日毎日、この「業務」に従事している人はどんな気持ちなのかなあ、と不思議に思いました。良心のとがめはもうなくしてしまったのでしょうか・・・。だから、この本をいまも大林組に残って勤めている人が読んで、どう思うのか、関心があるところです。

プリズン・ガール

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著者:有村朋美、出版社:ポプラ社
 24歳の日本人女性が日本脱出。ニューヨークで知りあったのがロシアン・マフィア。恋人としてつきあっていたら、ドラッグ密売組織に関係したとして懲役2年の実刑。そして連邦刑務所で22ヶ月すごしたという恐ろしい体験記です。
 フワフワした日本人の若い女の子が、カッコいい白人男性にうまく騙されてしまったという、よくある定番の話なんですが、22ヶ月の連邦刑務所の体験記が明るくサラッと描かれていますので、最後までさっと苦もなく読み通すことができます。そして、連邦刑務所の「自由な」生活ぶりに、日本の刑務所とのあまりの違いに驚かされます。
 彼女が入れられた連邦刑務所の人種構成はラテン系50%、アフリカ系40%、残る10%が白人とアジアパーク系。白人は少ない。アメリカの女子刑務所は、レズビアン社会でもある。
 刑務所内には電子レンジが2台あり、朝から晩まで常にフル稼働している。みんな電子レンジで料理をつくっている。食材は売店で買えるもののほか、キッチンから裏ルートで持ち出され、隠れて肉や魚が売り買いされている。ステーキ、バーベキュー、魚のグリル、中華料理など、すべて電子レンジでつくることができる。
 連邦刑務所は組織犯罪がらみの囚人が多い。それは麻薬ビジネスがほとんどだから。組織的な麻薬ビジネスに対する量刑はきわめて重い。殺人や強盗などの暴力系犯罪は、ほとんど州刑務所に入る。だから、州刑務所より連邦刑務所の方が、はるかに所内の雰囲気がまともであり、穏やかだ。
 連邦刑務所の食事は、下手なニューヨークのレストランより、よほど美味しい。朝はパン3枚、ゆで卵2個、コーンフレーク取り放題。飲み物はドリンクバーで、飲み放題。
 昼は、スープバーとサラダバーがある。毎日、一品が日替わり。
 夕食も、ハンバーグやスパゲティなど毎日一品が日替わり。日曜日はローストビーフ。食堂以外でも、電子レンジをつかって美味しいものが食べられる。
 刑務所から外へ電話をかけることもできる。2つの刑務所から同時に外部に電話して、別々の刑務所にいる囚人同士が電話で話すという芸当もありうる。しかし、これは見つかったら処罰される。さらに国際電話もOKだ。1回の通話は15分まで話せる。ただし、有料だし、当局から傍受されている。
 著者は、刑務所のなかで日本語を教え、ピアノも教えていました。芸は身を助けます。
 フワフワした軽い女の子が、アメリカの刑務所のなかで、最後まで希望を失わずに生きのび、こうやって日本に戻って体験記を書いてくれました。これによってアメリカの一面を多くの人に知らせることができたのですから、彼女もしっかり日本人の役に立っています。私はそう思いました。

自民党迂回献金システムの闇

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著者:東京新聞取材班、出版社:角川書店
 例の橋本元首相が料亭で1億円の小切手を受けとった事件を東京新聞が連載記事で追跡していったのを本にまとめたものです。歯科医にはぜひ読んでもらいたいと思いました。
まるでデタラメな世界ですね。歯科医師会というのは・・・。あまりの腐臭に鼻をつまみたくなりました。
 歯科医師会の会長選挙は、かつての日弁連会長選挙と同じで、代議員による間接選挙です。会長候補は全国141人の代議員を買収してまわるのです。高級スカーフなどの手みやげと10万円から30万円の現金を配って行脚します。このほか、学閥(有力なのが6つあるそうです)の同窓会長には多額のお金が動きます。このような会長選での代議員の買収は今にはじまったことではなく、長らくの慣例になっていました。逮捕された臼田前会長は、代議員の買収資金だけで8000万円つかったそうです。しかも、それは自腹を切ったのではありません。自分が会長をしていた日大歯学部同窓会の資金を横領していたというのです。ひどいものです。呆れてモノが言えません。歯科医師の意識って、そんなに低いのでしょうか。なんだか信じられません・・・。
 歯科医師会は政治連盟(日歯連)をつくって歯科医師に都合のよい政策を実現するため、自民党議員に多額の政治献金をそそぎこみました。たった1人のペーペーの議員にも、役に立つと思ったら1億円以上も貢いだというのですから、半端じゃありません。
 公明党の坂口厚生大臣(当時)にも2000万円を政治献金しようとして、400万円手渡しましたが、8ヶ月後に戻され、事件にはなりませんでした。同じように、橋本元首相の1億円についても立件されず、村岡元官房長官1人が在宅起訴されて終わりました。おかしなことです。トップはいつも安泰なのです。
 日歯連は年間18億円の予算を動かし、自民党の最大のスポンサーになっています。臼田元会長が3000万円を横領しても発覚しないシステムが確立していたのです。驚くべき伏魔殿としか言いようがありません。
 日歯連は自民党へ3年間に15億円も献金していました。いえ、もちろんストレートではありません。国政協という迂回献金システムがあるのです。国政協とは国民政治協会という自民党の政治資金団体です。総務省に登録されています。政策をカネで買うというのを日歯連は文字どおり実践していたのです。自分の会長選も横領したお金で代議員を買収して勝ちとったくらいですから、他人のお金をつかって政策を買収するのに、何のためらいもなかったのでしょう。
 お金を日歯連からもらっていた議員が実名で何人か登場しています。石原伸晃(慎太郎の息子のひとりです)、鴻池祥肇、そして福岡の古賀誠と山崎拓議員です。でも、みんな団体から政治献金をもらって何が悪いの、と開き直っています。
 やはり、政治献金は個人からに限るべきです。企業も団体も政治献金はできないと立法で定める必要があります。ところが、小泉首相は、自民党に迂回献金はないと絶叫しながら、迂回献金を禁止する法改正に反対して、つぶしてしまいました。
 日歯連が毎年、政界にばらまいてきたお金は7億円にもなるそうです。すごいものです。だから、元首相にポンと1億円を献金したりするわけです。全国の歯科医が会費として拠出したのがこうやって自民党に流れていって裏金になっているのです。それが、どれだけ日本の政治をダメにしているのか、歯科医師のみなさんには大いに反省してほしいものだと心の底から思いました。
 その意味で私は、歯科医師会とその政治連盟を相手に裁判し、自動的に日歯連の会費を徴収するのをやめさせた勇気ある歯科医師の方々には大いなる敬意を表明します。

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