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カテゴリー: 社会

老人に冷たい国・日本

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者  河合 克義 、 出版  光文社新書
 いつのまにか私も年金をもらうようになりましたので、立派な老人の一人です。
 日本という国は、アメリカ製の軍艦や飛行機などは超大金を出して惜しみなく買うくせに、福祉となると一変してケチケチです。本当に老人に冷たい国だと思います。
 孤立は、貧困と切っても切り離すことができず、貧困が孤立を生み出している。家計が苦しくなると、交際費が縮小する。親族、近隣そして友人関係が切れると、孤立化を生み出している。家計が苦しくなると、交際費が縮小する。親族、近隣そして友人関係が希薄化し、また切れてしまう。関係が切れると、孤立化をもたらし、その人の問題は親族にも地域にも友人にも分らないという状態を生む。こうして問題が潜在化する。
 ひとり暮らしの高齢者が日本全国に600万人いる。そのうち300万人は生活保護基準以下の生活をしている。生活保護を受けている一人暮らしの高齢者は70万人いるので、残り200万人あまりが生活保護を受けずに生活している。
 2000年以降、孤立死・餓死がそれ以前よりも増加している。
 2000年4月に介護保険制度がスタートしてから、それまでの高齢者福祉の行政サービスは大部分が民間事業者に委ねられた。こうした変化のなかで重大な問題は、行政による高齢者問題の把握力を低下をもたらしたことである。
 このシステムは、比較的生活が安定している高齢者にとっては身近な制度となったが、自分から声を上げない人々にとっては、制度との距離が大きくなった。
 高齢者の生活基盤が脆弱なために、親族・地域から孤立し、ひっそり亡くなっていく人が後を絶たない。それは高齢者だけの問題ではない。日本の社会、社会保障・社会福祉制度は大切なものを欠落させているのではないか。
 緊急に対応すべきは、国民生活に一定のミニマム基準が設定され、各制度がその基準を下まわらないように全体的に調整することである。
 先進国のなかで、日本ほど「老人に冷たい国」はない、とつくづく思う。
 アメリカは果たしてどうなのかと疑問に思いますが、ヨーロッパ各国と比べて福祉が遅れていることは間違いありません。自民・公明の政権は、軍事予算を5兆円以上にどんどん増やす一方で、福祉予算を大きく減らしています。守るべきは「国」ではなく国民生活です。優先順位が間違っているのだと私は思います。
(2015年7月刊。760円+税)

日本の社会保障、やはりこの道でしょ!

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者  都留民子、唐鎌直義 、 出版  日本機関紙出版センター
 日本もアメリカも福祉国家と呼ぶべきではない。
 アメリカは公的年金だってまともじゃないし、公的な健康保険制度もない。日本は、生存権が十分に保障されていない。生活保護は受給すべき人の1.5%のみ。それなのに自民党は保護基準をさらに10%も下げるという。
 イギリスのブースは、調査によって、貧困の原因は飲酒や家計の浪費ではなく、雇用の問題だと明らかにした。ヨーロッパの福祉国家は、医療は無料、教育費も幼稚園から大学まで無料、住宅は公共住宅が住宅手当が社会保障として支給される。
 日本の総世帯4900万世帯のうちの1204万世帯(5%)は実質的生活保護基準以下の収入で生活している。ところが現実に生活保護を受けている世帯は127万世帯(176万人)でしかない。今の日本には、表面化していないだけで、膨大な量の貧困層が存在している。
 この点は、地方都市で30年以上も弁護士として生活している私の実感にぴったり合致します。それも年々ひどくなってきているように思います。
 この本では大学で教えている体験から、現代の大学生の貧困、アルバイトに追われる日々にも言及されています。
 私の大学生のころ、国立大学の授業料は月1000円でした(奨学金は月3000円)。それが今では年間40万円とか50万円というのです。とんでもないことです。
 フランスやイギリスでは、失業しても、働いているときとほとんど変わらない生活を送ることができる。失業保険は1年半も支給される。なんでもいいから働けというのはやめている。
 大阪では、生活保護を申請すると、市役所が北新地での夜の仕事を斡旋している。うひゃあ、と、とんでもないですよね。
 アベノミクスなんて、とんでもないまやかしですが、いまなお幻想もっている日本人が少なくありません。だまされたと気がついたときには手遅れのことが多いのですが、勘違いしているのは男性に多いですね。
 その不満が排外的なヘイトスピーチに流れているようです。悲しいですね。もっと、自分の周囲と足元をよく見てほしいです・・・。
 ズバリ本音トークの本でした。一読の価値があります。
(2015年9月刊。1400円+税)

ザ・ブラック・カンパニー

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者  江上 剛 、 出版  光文社
  マックじゃありませんが、ハンバーガー店がブラック企業であり、そこで働く人々が過労死したり、その寸前の状況にあることを告発している本です。
 日本のマックも身売り話が出ているようですが、私はマックを食べないことを自慢にしている者の一人です。いえ、マックだけではありません。化学調味料と促成ホルモン材漬けの牛肉なんか食べたくないということです。
ハンバーガー店の店長が店内で過労死してしまった。なにしろ、店内に寝泊まりせざるをえないという過酷な労働条件。そして、売上高を確保するためには、店長自身が商品を買い取るしかない。パート従業員の賃金だって、人件費割合を削減するためには、店長が自腹を切っている。
 あまりにも長い拘束時間、ノルマに追われて精神的余裕をなくし、過酷なストレスにさらされたら、過労死しなくても、いずれ病気になるのは必至だ。しかし、本社だけではぬくぬくとしている。
 そんな商社こそ、ブラック企業そのものです。そして、理不尽な客がいて、トラブルになったり、フェイスブックやツイッターで店の悪評が書きたてられたり・・・。いやはや、大変な職場ですね。
 そして、マックに対抗する独立系のハンバーガーのチェーン店があると思うと、実はアメリカのファンド会社の支配下にある会社であり、社長以下、いつでも首のすげ替えは出来るというのです。強欲なアメリカ資本の言いなりになってはたまりません。
 過労死するまで働かされるなんて、ゴメンですよね。
 ハンバーガー店という典型的なブラック企業の実情が、面白い読み物として生き生きと書かれています。マックなどのハンバーガー店の内情を知りたいという人には必読です。
 
       (2015年11月刊。1500円+税)

会計士は見た

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者  前川 修満 、 出版  文芸春秋
ソニー、東芝、スカイマークなど、世にも名高い超大企業が次々に大きく揺らいでいます。なぜ、そうなったのか、公認会計士が公表された企業決算書を読んで鋭く指摘しています。大塚家具では創業者の父親は従業員を大切にしてきたことがよく分りました。パートは正社員数の1割未満しかいない。ほとんど正社員で運営されている。たとえ実績が悪化しても、従業員を解雇せずに切り抜けようとしてきた。
 「お客様への対応は、ちゃんと教育を受けた正社員にのみ行わせる」
 「縁あって入社した従業員は、簡単にクビにはしない」
 大塚家具は無借金経営できた。誠実かつ堅実な経営をしてきた。企業者である父親は、従業員と家具をこよなく愛する社長だった。娘との争いが続いていましたが、これからどうなるのでしょうか、、、。
 ヤマダ電機に対抗していたコジマは、大塚家具と同じく、ほとんどの従業員が正社員だった。ヤマダ電機は、成長期にパートを増やしたが、同時に正社員も増やした。それに対して、コジマは、正社員を減らしてパートを増やしたため、従業員の士気が低下してしまった。
ケーズデンキは、「がんばらない経営」をモットーにしている。ポイント制をとらず、社員に売上ノルマを課さない。社員に無理はさせない。あえて一等地にも出店しない。
ケーズデンキの社員は平均年齢32歳、平均勤務年数6.5年、平均給与は426万円。そして、ヤマダ電機は、29歳、4.8年、370万円。これに対してコジマは、28歳5.6年、383万円。
結局、従業員を切り捨てる企業よりも、大切にする社会のほうが、長い目で見て、大きく伸びるということなんですね・・・。
目先の株主への高配当を最優先するような企業だったら、つぶれても仕方のないことだと改めて思いました。
(2015年12月刊。1200円+税)

あの人はなぜ、東大卒に勝てるのか

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者  津田 久資 、 出版  ダイヤモンド社
 灘高そして東大法学部を卒業した著者は東大卒よりお笑い芸人のほうがすごいと強調しています。なぜ、どこが、すごいのか・・・。
テレビに出ているお笑い芸人の大半は、かなり優れた思考力を持っている。彼らは、深く考える習慣をわがものとしているので、強い。
 アイデアの質の高さは、アイデアの量が大きい。つまり、一流と言われる人ほど、発想量が多い。トップクラスのコピーライターは、100本のコピーを仕上げてもってくる。三流とか四流のコピーライターは、100本持ってくることはなく、あれこれ弁解する。
優れたアイデアを出せる人は、自分の直観力に信頼を置いていない。一流のクリエーターほど、愚直に考えて発想の数をギリギリ増やしている。
 発想することの本質は、思い出すこと。発想すると思い出すの両者は、頭の中から何かを引き出す点で共通している。
 「思い出す」のは、頭の中の情報(知識)を顕在化させること。「発想する」とは、頭の中に潜在的に眠っているアイデアを顕在化させること。
 ひとが考えているかどうかを決めるのは、その人が書いているかどうかである。アイデアを引き出すとは、アイデアを書き出すこと。
私も絶えず、頭の中に浮かんだことをメモに文字化するようにしています。車を運転中に、ふとひらめくことがあります。そんなときには、安全に心がけながらもメモを素早くとります。文字にしないと、すぐに忘れてしまうからです。
 頭の中に、いくらいいアイデアがあっても、それが文字にならない限り、どうしようもない。
 頭の中の情報は「絶対量」を増やすよりも、多様性(幅)を重視すべき。
 頭の中の情報を「知識」で終わらせず、「知恵」へと深めるべき。
 知恵とは、成り立ちや、理由までふくめて理解された知識のこと。知恵に転化された知識は、ほかの知識とより結びつきやすい。メモをとったら、なるべく早く文章にしておくこと。これが大切。
 このあたりは、まったく同感です。こまめにメモをとり、文章化していくのです。私が日頃実践している手法が高く評価されていて、とてもうれしく思いました。
(2015年11月刊。1400円+税)

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