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カテゴリー: 社会

なぜ日本人は、それを選ぶのか?

カテゴリー:社会

(霧山昴) 

著者 株式会社インテージ 、 出版 朝日新書

タカイチ首相の支持率が5割も6割もあるなんて、ウソでしょ。世論調査のほうが間違っていると思いたくなります。でも、2月の総選挙では、小選挙区制という不公正な制度のため、いびつな支持率を保て圧倒的な議席となってしまいました。そのため、先の国会では当面の緊急課題の物価上昇対策そっちのけで、皇室典範とか副首都法など、まさに不要不急のほうばかりが優先され、強引にも可決されてしまいました。

それはともかくとして、今の日本では何が流行なのかを知りたいと思って読んでみました。日本人の朝食はパンが700円で、ご飯は300円。夕食はご飯が800円。そして、朝はバナナとキウイ。ところが、りんごやみかんは苦戦している。

コロナ禍のあと、冷凍食品は1.5倍となっている。キャットフードが伸びているのに、ドッグフードは3割減。ガソリン車は7割から4割へ。3割も減っていて、ハイブリッド車が5割以上を占めている。私の車もそうです。そして電気自動車はわずか3%ほど。

中古車は値上がりしていて、軽自動車を新車で買うと前に170万円だったのが、今は220万円と、50万円も値上がりしている。

テレビの利用率がもっとも減少しているのは30代。

若年層の投資は着実に伸びている。

ゆうちょ銀行を6割が利用していて、次は地方銀行。都市銀行ではない。ネット専業銀行も4人に1人が利用している。

金融資産を5億円以上もっている超富裕層は50代が3割を占めており 60代は4割未満。40代と70代がそれぞれ13%というのですから、やはり、IT関係なのでしょう。

超富裕層は京阪エリアに6割近く居住している。タワーマンションに住んでいるのでしょうね。でも、タワーマンションって、意外に大災害には弱いと私は考えています。超富裕層は、海外旅行やお客様限定イベントに参加しているとのこと。要するに、お金の使いみちに困っているということなんでしょう。

このパワー層は、1ヶ月の生活費は45万円で、一般層の26万円ほどに比べて19万円もの差がある。この格差は、実はもっと開きがあると私は思います。

この本で初めて知ったコトバがリキッド消費というものです。リキッド消費とは、柔軟で脱所有的な消費傾向をさしている。これは、かなり気まぐれのものようですが、若い世代ほど、その傾向が強いようです。

本書は、今後は国内外でのシニア市場の需要が高まると予測していますが、私もこれは間違いないと思います。高齢になると、食べる量は減りますが、金額的にはより高くなるのです。つまり、年寄りを無視してはいけないということです。

これから10年、社会がどうなるのか、少しばかり先をのぞいてみた気分です。それにしても、若いうちにNISAとかなんとかにふりまわされるって、悲しいですよね。もっと、社会と政治を変革することに知恵と力を発揮してほしいものです。

(2026年5月刊。950円+税)

地面師連絡役カトウ

カテゴリー:社会

(霧山昴) 

著者 河合桃子 、 出版 小学館

積水ハウス 55億円詐欺 事件の舞台の裏側をのぞいてみた気分になった本です。

「地面師詐欺」に関わった連絡役カトウは、メンバーのなかで最年少の40代後半。 2018年10月に逮捕され、2019年8月、懲役4年6月の実刑判決を受けて、既に出所しています。

2021年1月には積水ハウスから訴えられて10億円の賠償を命じられた10人のうちの1人でもある。 地面師として関わった人間の全員が起訴されたわけではなく、不起訴になった人もいるなかで、「分け前という」といって1億5千万円もらっても懲役4年半ですんでいるのも、信じられない思いです。 

だって私は 今も国選弁護人として登録していますが、スーパーやコンビニの万引きで被害金額5千円でも懲役1年とか2年の実刑判決だったりするのですよ…。もちろん、たいがい常習(繰り返し)なんですが…。被害額5千円と55億円とで、ほとんど 実刑の差がないという事実を愕然とします。

地面師側も身内というか、厳格な統制のとれた身内かと思うと、組織なし実はかなりテキトーな寄せ集めだということを知りました。そして、そうなんだろうなと弁護士として直感 で思います。だって、騙しとったいわばお金はアブク銭ですから、今日の友は明日の敵という感覚で、信頼関係があるはずもありません。

なりすまし役の女性は63歳、生命保険 の外交員。報酬100万円で、適当な嘘を言ったのですね。ところが、エトを間違ったりしています。それでもバレなかったのです。

地面師詐欺では、清水ハウスを騙される側として ひっぱってきた人間が「一番偉くて、取り分も最も多い」。これは地面師独特の格付け。

地面師詐欺に関わるのなかの人間では、お金は、みんなが奪いあう戦争みたいなもの。まるで一見、チームプレイがあるようで、実は仲間意識は皆無。 地面師グループの主犯であって、12億ももらっても、億単位のお金を1年間のうちに費消してしまった。まあ、そんなものでしょうね。自分の身を粉にして得たお金でないものは、すぐに消えていくものなんでしょうね…。 

刑務所で4年間働いて得る報奨金は、なんと18万円。これもまた、そのとおりです。いくらなんでも安すぎると私は思います。これでまた、金銭感覚が狂ってしまいます。

詐欺師は、まず自分を騙すことから始める。 きっとそうだと思います。この本の主人公カトウは、超高級自動車を買ったり、ずっと超高級ホテルに宿泊したりしていたようですが、そんなことで心の満足感は得られるはずもありません。まさしく「アブク銭、身につかず」という コトバのとおりです。

地面師グループの哀れな人たちの実態を世の中に知らしめるのも意味のあることだと思いながら読み終えました。

(2026年6月刊。1870円)

新 安全保障論

カテゴリー:社会

(霧山昴) 

著者 半田 滋 、 出版 あけび書房

先日、久しぶりに著者の話を拝聴しました。たくさんの写真と図、グラフを使って、いつものようにとても分かりやすい話です。でも、内容は怖い話のオンパレードです。

その典型の一つが、「台湾有事」が起きたとき、沖縄本島以外の島々にいる人は、観光客を含めて12万人を数日間のうちに九州へ避難させるというものです。えっ、では沖縄本島126万人はどうなるの・・・。とても避難させられないので、各自 自己責任で地下室にでも入りなさいというのです。沖縄本島にはモノレールはあっても地下鉄なんか走っていません。ところが、自衛隊の司令部だけは地下シェルターに入ってミサイル攻撃に耐えるというのです。ええっ、自衛隊って、国民を守るのを役目としているのではないの・・・??

 そして、自衛隊の保有するミサイルの飛行距離を1000キロ以上にして、中国本土奥深くまで届くようにして、国内の弾丸製造工場をつくって、継戦能力を向上させるというのです。

でも、食べものとエネルギーはどうなりますか。食料自給率38%というのも、実はごまかしていて、もっと低いとみられていますし、中国から大量に食料を輸入しています。減反ばかりで米作りも十分に保持されていません。腹が減って戦えるのでしょうか・・・。

アメリカのイラン攻撃によって原油不足は深刻です。ガソリンだけは、政府の補助金によって値上がりしていませんが、ナフサ不足による影響は深刻です。原油備蓄もそれほどはありません。

ところが、高市首相は、こんな緊急課題を放ったらかして、皇室典範の改正、国旗掲揚の新設、そして大阪維新を救うための副首都法の制定といった、まさしく不要不急の法律制定に血眼になっていて、ひんしゅくを買っていました。

高市首相も小泉防衛大臣も非核三原則をなし崩しにしようと必死です。核兵器で攻撃された日本の首相・大臣とはとても思えません。

トマホークやオスプレイとかイージス・アショア(船)とか、アメリカから高額な兵器を爆買いしています。それは何兆円にもなります。たとえば、大学の学費をヨーロッパのようにタダにするのには1兆円ほどで足りるのです。アメリカからの兵器の爆買いを止めたら、日本でもすぐ実現できます。

ところで、著者は、国民が軍事費増大を「望んでいる」と厳しく批判しています。そうなんです。日本のマスコミは、中国の脅威をことさら大きく報道します。すると、なんとなく日本を守るためには軍事費が増大するのも仕方ないかーと思わされているのです。でも、本当は、軍事費を増大させるのは、三菱重工等などの軍事産業を肥太らせるためだし、政治家が甘い汁をすうためなのです。

この本を読んで、もっと地に着いた議論をしたいものです。「戦争に備えて軍備を増やすなんて、そんなバカげたことはやめろ」と、みんなで叫びましょう。

(2025年11月刊。2420円)

太陽光発電マジわからん

カテゴリー:社会

(霧山昴)

著者 峰六 高志 、 出版 オーム社

今や、あちこちに太陽光発電のパネルを見かけます。 山に登るとメガソーラーというんですか、広大なパネルが広がっていますし、街中でも、ちょっとした空地に もパネルが敷きつめられています。 民家の屋根にソーラーパネルが張られているのはフツーの光景です。

この本のタイトルは、「太陽光発電マジわからんと思ったときに読む本」というものです。

政府は原発推進ばかりに熱を入れていますが、再生エネルギーにこそ力を入れるべきです。 太陽光、風力、地熱発電いろいろあります。 原発なんて、後始末問題の処理費用を考えたら、とんでもない金食い虫です し、ミサイル一発で日本列島 はおしまいに至るという危険きわまりないものです。 日本国民を守るというんだったら、まずは原発完全閉鎖のはずなのです。

太陽光パネルの発電単価は14円/kWhなので、電力会社の電気料金 よりも明らかに低く、安上がりです。

太陽光発電システムの寿命は30年。 原発と違って、災害にも強いという利点があります。

太陽光の総エネルギーは 年間340万EJ(エクサジュール)。 世界全体の年間エネルギー消費量は450EJ。 つまり、太陽がもたらすエネルギーは、地球の総需要量の7500倍の規模。 そりゃあ、もったいないですよね。 使わしてもらうのが一番です。

太陽電池モジュールの生産は中国が8〜9割を占めている。日本も、2000年代初めは太陽光発電分野では世界をリードしていたが、今や中国が圧倒している。これは政府の再生エネルギー軽視政策の 帰結です。

太陽電池が光を受けると、その光エネルギーがシリコンの中で、マイナスの電荷をもつ電子とプラスの電荷をもつ正孔を発生させ、この電子をマイナス電極に、正孔をプラス電極へと選択的に 移動させることによって電流が生まれ、電気として取り出すことができるというもの。 つまり、半導体の性質を利用して、電子と正孔を発生、分離させるのが太陽電池の核心メカニズム。

太陽光発電は熱エネルギーではなく、あくまで光子のエネルギーを直接に電気エネルギーに変換するしくみ。

暑い日差しでパネルの温度が上がると、性能は少し低下する。 太陽光発電は、大きさを増やしても効率は変わらない。

この本によると、営農型太陽光発電というのもすすめられているそうです。 農地と共存するのです。

また、海上や湖の上にパネルを置いたり、ビルの壁に貼りつけたり、透明な窓ガラス太陽光であったもののままパネルとするというのもあるようです。 さすがに自動車を太陽光発電で走らせるのは、まだまだ実用化は先のようです。

太陽光発電について深く知ることのできる本でした。

(2026年5月刊。1980円)

70歳の法学者が、なぜロマンス詐欺に騙されたのか

カテゴリー:社会

(霧山昴)

著者 高倉良一 、 出版 さくら舎

ロマンス詐欺などの特殊詐欺の被害にあった人の相談を受けるのは、しばしばです。残念なことに、手も足も出ません。だって、詐欺集団の素性がまったく分かりませんので、誰を相手に闘ったらいいのか、何の手がかりもないからです。

カンボジアに詐欺集団の拠点となる「町」があるという報道があります。でも、かけ子は国外にいても、受け子と出し子は間違いなく国内にいます。恐らく、その頂上には暴力団のトップが君臨していると思います。それこそ警察はもっと本腰を入れて取り組み、検挙すべきです。

今の警察上層部は、どうせ騙されるのは「欲に目のくらんだ馬鹿な連中」などとしかみていないのではないでしょうか。でも、それは明らかな間違いです。たちの悪い詐欺集団がいて、巨額の不法利得を得ているのですから、それを見逃したら、何のための警察か…ということになると思います。日本の警察は世界一だと自負しているはずなんですが…。

このタイトルで本を書いた著者は勇気があります。大したものです。70歳で一人暮らしのようです。離婚して寂しいところにつけ込まれたのです。

「自分だけは絶対に大丈夫」「騙されることなんて、ありえない」。そんな過信が崩されてしまったのです。

ちなみに、私はスマホは利用していませんし、見知らぬ電話に出ることもありませんので、「大丈夫だ」と確信しています。

詐欺師が狙うのは頭ではなく、心だ。

著者はわずかな期間で、1000万円近い大金を騙しとられてしまいました。

ささやかなプライドがズタズタにされ、人を信じるという当たり前の気持ちを奪った。

「この話は、私たちの未来に関わる大切な話なので、誰にも言わないでください」、そう言うんです。誰にも相談させないように仕向けます。そして、「愛情たっぷり」のささやきに身も心もうっとり、とろけさせられるのです。

フランス人もロマンス詐欺でやられています。騙すのはナイジェリア人の学生たち。格好のアルバイトになっているのだそうです。

大金を巻き上げるのには、投資という舞台がつきものです。どんどんもうけてはふくれ上がっていきます。なんと、著者は1億円ももうかったことになっていました。女性の伯父という人の指南で投資を始めたのです。すると、次々に投資のお金をすすめられます。1億円もあるのなら、それをまわせばいいはずなんですが…。

著者は法学部教授を定年退職し、静かすぎる日々を送っていたのです。女性とのメールの交換のみが生き甲斐になっていました。頼られていることの「心地良さ」に浸り切っていました。著者も、心のどこかで、おかしいんじゃないか、これって…と疑ってはいた。でも、真実から目をそむけ、気づかないふりをした。甘い夢の心地良さに浸り、現実を見ないようにした。

送金先は、見知らぬ男の口座。おかしい。胸騒ぎがする。でも送金した。

「今すぐ決断しないと、このチャンスは二度とありません」、今すぐとせかし、ゆっくり考えるヒマを与えない。これは、昔からの常套的な騙しのテクニックです。

「さすがですね」と、心をくすぐられます。

小さな要求から始め、次第に大きな要求へ導かれていく。最初に、ちょっとした成功体験を味わうことによって、次の大きな「投資」への心理的な抵抗を減らす。

ロマンス詐欺では、可愛らしい女性の写真が送られてくる。実は、男のことが多いのに…。

声を聞いたこともない。彼女の言葉(メールの文章)は暗闇の中の一筋の光。

「君がいないと、彼女は生きていけない」という。自尊心がゆさぶられる。

手持ちのお金がなくなると、友人・知人から借金するようすすめられる。そのときの方便の嘘も教えられます。

友人が騙されているんじゃないの…と言っても、著者はまだ目が覚めない。そして、結局、1000万円もの大金が詐欺集団に渡ってしまいました。

いやはや、本当にこんな詐欺集団を野放しにしてはいけません。「優秀」なはずの日本の警察はいったい何をしているのでしょうか…。

(2026年6月刊。1760円)

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