(霧山昴)
著者 カシミール・ヒル 、 出版 実務教育出版
世界を揺るがす顔認証ビジネスの内幕。このオビのフレーズのとおりです。顔認証AIは恐るべき存在だということを痛感させられました。
犯罪多発地帯で通行人を顔認証システムにかけ2週間調べたところ、1万2千人以上の顔が読みこまれ、システムは11回もの警報を鳴らした。うち1件は誤認で、残る10件はヒットしていて、4人が逮捕された。そのうち1人は交通違反の男。
ロンドン警察の方は顔認証システムは性犯罪者や殺人犯を見つけるためのものと説明していたが、実際には交通違反者も捕まっている。
カジノも顔認証システムを使っている。過去に問題を起こした人や自らギャンブル依存症だと申告した人を排除するために使われている。
政治的な抗議集会に参加した数千人の顔写真を撮って、そのうち5人の名前と写真をインターネット上に公開することも起きている。
セックスワーカーやポルノ女優の素顔を顔認証システムで調べて、その本名・氏名や職場をインターネット上にアップする男たちがいる。
中国では、歩行者が信号無視をすると、その個人の顔写真がネット上にもアップされて恥をかかせられる。中国には、逆に見えてはいけない存在であるVIPを載せる「レッドリスト」なるものがあるという。結局は、こうやって守られるのは権力を有する人なのです。
当初の顔認証システムでは、人間がカメラを正面から見ている場合に限られた。顔が傾いていたり、横を向いていたら上手くいかなかった。でも、今では、マスクをしていてもバッチリ識別される。
当初のNECの顔認証システムでは誤認逮捕が何回も起きている。とくに黒人女性については、誤認されることが多かった。
今の顔認証アプリでは、どこの誰なのか、どんな人か、どのネットアカウントを使っているか、瞬時に判明する。
運転免許証で顔写真を撮られると、それが顔認証システムの基本データに組み込まれる。
いやあ、これって怖いですよね。知らないうちに、情報が統合されて、大企業と国が私たちを監視し、利用しているというわけです。プライバシーの保護なんて、どこにもありません。怖い、怖い、顔認証ビジネスの内幕を知ることができました。
(2026年1月刊。2750円)


