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希土類磁石

(霧山昴)

著者 佐川眞人、浜野正昭 、 出版 日刊工業新聞社

希土類磁石とは、希土類(レアアース)金属と鉄やコバルトに代表される3d遷移金属との金属間化合物を主成分とする永久磁石のこと。

今や、希土類原料の生産は中国一国にほぼ独占されている。

ネオジム磁石は、地球温暖化対策のため、省エネと再生可能エネルギーの増大に貢献している。ネオジム磁石が活躍しているのは、省エネを目的とした、次世代自動車用駆動用モータおよび発電機、電動パワステ、エアコン、冷蔵庫、洗濯機、そして新エネルギーを目的とした風力発電、小水力発電、コージェネがある。

ネオジム磁石は、2003年にアメリカの生産はなくなり、ヨーロッパでは1社のみ、かつて中国は日本と拮抗していたが、今や日本をはるかに上回る。

医療用のMRIにもネオジム磁石が使われている。新幹線にも地下鉄電車にも使用される。プリウス(電気自動車のハイブリッド車)にも使われている。

風力発電にもネオジム磁石が使われているが、日本は風力発電の開発が遅れている。これは電力会社も政府も原子力発電に今なお血道をあげているからです。風力発電はコストが低い、重大な危険性がまったくないので、世界的にはすすめられているのに、日本は育成されていない。スペインでは総発電量の16%にもなっている。

著者は、日本列島が海に囲まれているので、浮体式洋上風力発電をすすめています。原発よりも真剣に取り組むべきだと私も思います。

エレベータにもネオジム磁石が使われている。かつてのエレベータには、上部に機械室があったけれど、今はないそうです。初めて知りました。

産業用ロボットにもネオジム磁石が使われている。このロボットに内蔵されるサーボモータには高性能な希土類磁石が搭載されている。

中国には豊富な埋蔵資源があるうえ、安価な労働力が豊富で、設備も安いことから、生産コストが他に比して極端に低く、他国は競争力を失ってしまった。2005年時点で、中国は世界の生産量の90%を占めた。

オーストラリア、マレーシア、ベトナムなどでも開発しようとしている。

日本は工程内リサイクルを進めている。「都市鉱山」とも呼ばれる使用済み製品から希土類磁石を回収し、再利用する。年間400トンのネオジム磁石を回収する。磁石の中には希土類が120トンも資源として埋蔵されている。

ネオジウム磁石を開発するにあたって、日本人学者、研究者は多大の貢献をしたようです。その開発にあたった著者らはその体験を踏まえて、研究者は権威に盲従するなと強調しています。

恐れを知らずに進む。トップ研究者に洗脳されていないので、自由な発想で取り組めた。あとは、持続の体力とやる気で爆進する。若い研究者よ、権威に取り込まれないようにしよう。ブームの研究分野に入っても、一通り勉強のつもりでついていったら、今度はトップの研究者たちが見ている方向と反対側を見よう。反対側にはいいものがあるかも知れない。

現代社会の現実の一端を知ることができました。

(2012年7月刊。2860円)

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