(霧山昴)
著者 高世仁+NK91 、 出版 旬報社
日本人拉致を発案し指示した拉致したのは金正日。日本人を洗脳して、北朝鮮崇拝の工作員に仕立てあげて日本で活動させる目的だった。しかし、洗脳も簡単ではなかったけれど、工作員に仕立てたつもりでいても、すぐに逃亡したりして期待を裏切るので、断念した。かといって殺すわけにもいかない。金正日の指導が間違っていたなんてことはありえない。そこで、別の目的に使って、生かしておくことにした。いずれにしても、いきあたりばったりで進められた計画だった。なるほど、そういうことだったんですね…。
よど号ハイジャック犯として北朝鮮に渡った田宮ほかの日本赤軍のメンバーたちは、行く前は金日成を洗脳すると豪語していたが、北朝鮮では逆に洗脳されて、工作員となって、日本人拉致の加害者となったのでした。
狙われたのは若い女性。思想性がなく、素直な女性たちだったので、親切そうに近づいてきた元よど号メンバないし妻たちにころっと騙されてしまったのです。本当にひどい話です。
拉致されたなかで2人の日本人男性について、生きているというのに、日本政府は何も行動していません。許せません。
レバノン人女性4人が拉致されたとき、そのうち2人が逃走に成功して拉致を訴えたとき、レバノン政府は直ちに行動に出て、4人全員を帰国させています(うち1人は結婚して子供もいたので、北朝鮮に戻りました)。
安倍首相は小泉首相と違って、拉致被害者の帰国に取り組むことはありませんでした。
安倍にとって、どうでもいい課題だったのでしょう。次の菅首相も同じでした。
「救う会」も「全員一括帰国」にこだわり、可能性のある人から帰国させるという現実的な対応をしなかった。一人でも帰国したら運動がしぼんでしまうから…という、本末転倒な理由です。
日本人を含む外国人拉致は、1970年代後半から急激に増えている。これは対南工作を本格的に担当するようになった金正日の強い意向によるものだった。
北朝鮮から日本への密航は簡単だし、危険がない。韓国への潜入は銃撃戦になるので武装するけれど、日本への侵入のときは武装していない。日本に行かせると緊張感がなくなるので、日本行きは1人2回までと制限されていた。見つかっても絶対に撃たずにとにかく逃げきれ。いやあ、これには笑ってしまいましたよ。そんなもんなんですね…。平和な国、ニッポンなんですよ。いいじゃないですか。
近年の日本政府は、勇ましいスローガンのもとで、北朝鮮との交渉を動かすことはできないまま、「やってる感」の演出だけをしている。高市政権のやりそうなことですよね。「やってる感」の演出だけは巧妙ですから、選挙で「大勝」しましたし…。
大変勉強になりました。全国の図書館に必置の本だと思います。ぜひ多くの日本人に読まれてほしいものです。
(2026年3月刊。2860円)


