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鳥は飛びながら眠る

(霧山昴)

著者 渡辺佑基 、 出版 中公新書

本屋に立ち寄って、たまたま手にした新書ですが、すこぶるつきの面白さでした。いやあ、生物はこんなふうに生きているのか……と、驚嘆し、感嘆し、また学者の地道な努力に対して、心から尊敬の念にあふれてしまいました。

画期的な新発見を次々に得たのは、バイオロギングです。超小型の計測器を動物の体に取り付けられるようになったからです。今や、人の目の代わりに、小さな電子機器と、上空に浮かぶ人工衛星が動物を観察する時代になったのです。そして、得られたデータを解析していくわけですが、そこには幾多の仮説を考え、想像して、データを当てはめたり分析していくという地道な作業が求められます。解明まで自動的に得られるというものではありません。

海中を泳ぎまわれるニシオンデンザメは、遊泳速度はのろいけれど、大人になるのに150年かかるという超スローの成長速度なので、寿命は400年という。ええっ、そんな大型生物がいるのですね、信じられません。

ニシオンデンザメは、北極の冷たい海中に生息するものとして、低体温。体が常時冷えきっているので、エネルギー消費量は非常に少ない。体重200キロのサメが1日に160グラムの魚を口にしたら、必要なエネルギーをまかなうことができる。いやはや、これは超超省エネの動物です。

ハチドリは、暗くて寒い夜になると、動きを停止して、昏睡(こんすい)状態になる。すると、昼間は40度の体温が、10度以下にまで下がり、3度になることもある。ハチドリは体温低下に伴って休眠する。

野生のゾウは1日に2時間しか眠らない。ゾウは無用のエネルギーを要する傾斜地を避けて平地のみで生活を完結させてエネルギーを節約している。

バショウカジキは、長い吻と大きな背びれを持っている。バショウカジキにも「利き手」がある。右利き、左利き、自分の得意な攻撃法を集団内に隠すことで狩りの成功率を上げている。

ヒトの女性は妊娠すると味覚が変化し、苦みについてさらに敏感になる。吐き気を催すのは、毒性への耐性の弱い胎児を守るための防御的な対応。

うまみは、消化しやすいタンパク質のしるし。

鳥は洋上を低く飛びながら、半球睡眠している。左目を閉じるときは脳の右側が眠り、左側は起きている。

オオツリハシギという鳥は、子育てが終わると、地球の裏側、1万キロも離れたニュージーランドまで、1週間ぶっ続けの羽ばたき飛行で移動する。

冬の寒いときに、小鳥がくちばしを自分の羽毛に埋めているのは、熱の発散を防ぐためです。

アザラシは、脳の片方の動きを止めて体が沈下しはじめるとノンレム睡眠が見られ、数分後にレム睡眠に切り替わって5分間ほど続き、最後に少しだけノンレム睡眠に戻ってから覚醒し、海面に向かって泳ぎ始める。このパターンだ。

クラゲには脳がない。神経細胞は体内に分散している。集中していない。それでも、観察すると、夜間に眠っている。

ヒトの睡眠パターンは、月の周期と連動している。女性の生理の周期は平均して29.5日。これは満月から満月までの日数とぴったり一致する。だから月経とも呼ばれる。

ヒトの睡眠にも月のリズムがある。満月の夜には寝付きが悪くなり睡眠が浅く短くなる。新月の夜は、逆にぐっすりと長く眠れる。

アザラシは、わずか4日間で子を独り立ちさせる。ズキンアザラシの母乳の脂肪分は、なんと60%にもなる。ヒトは3〜4%なだけなのに……。

生涯の途中でメスが閉経するのは、ヒトを除くと、シャチなど数種のハクジラ類に限られる。群れの行き先を決めるのはリーダーではなく、民主的な多数決で決まる。そのほうが失敗が少なく生存率向上に資する。

渡りをするツルに年長者がいるかどうかで、渡りの巧拙が決まる。やはり年長者の経験は生きるものなのですね……。

わずか250頁の新書ですが、次から次に新発見がテンコ盛りされていました。ご一読ください。

(2026年4月刊。1232円)

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