(霧山昴)
著者 荒木飛呂彦 、 出版 集英社新書
漫画は、描く人の心から湧き上がる情熱が描かせるもの。
漫画の「王道」あるいは「黄金の道」は昔から存在している。あらゆる小説や映画や漫画の「名作」に通じる普遍的なセオリーだ。
悪役は、漫画をヒットさせるために欠かせない、最重要ポイントのひとつだ。悪役とは、主人公の行く手を阻(はば)む何かであり、主人公がなんとしても乗り越えていかなくてはいけないもの。
悪役とは、「思いどおりにいかない困難」であり、「主人公が乗り越えていくべき壁」だ。主人公の「正しさ」に対する「悪」とは何かを、とことん考えなければ、成立しない。悪役をつくるということは、作者の「悪とは何か」という一種の「哲学」が反映される、けっこう深い作業である。
主人公を名のる時の音感も、バ・ジ・ブなど、カタカナの濁音を使うと、シャープな印象を与え、やわらかいほんわかした漫画ではないことが、読み手に伝わっていく。
良い作品をつくるには、「リアルに描く」ことが非常に重要。主要なキャラクターについては詳しい身上調書をつくる。それは単なる設定ではなく、重要度が高い順につくる。
絶体絶命のピンチのところに、魔法の杖が急に降りてくるような、都合のよすぎる展開はダメ。
読者が浸りたいと思う世界をつくっていくには、たとえ架空の世界であっても、リアリティがあって緻密かつ客観的に表現され、説得力が感じられるものでなければならない。
キャラクターを動かしていくときに特に気をつけないといけないのは、理にかなっていない、間抜けな行動を絶対にさせないこと。
お金のことばかりを考えていると、漫画に集中できなくなってしまう。
できるだけ規則正しい生活をすること。健康管理に気をつけることは、漫画家として生きていくための重要事項のひとつ。
著者はデジタルではなく、アナログで漫画を描き続けていくことを宣言しています。私も、すべて手書きで本を書きましたし、これからも書いていきます。モノカキ志向の私にとっても大事な指摘がたくさんありました。ありがとうございます。
(2024年12月刊。940円+税)


