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生きものは遊んで進化する

(霧山昴)

著者 デイヴィッド・トゥーミー 、 出版 河出書房新社

誰だって遊ぶのは好きですよね。それで、人間だけが遊ぶのかと思っていると、生物全般が遊んでいるというのです。もちろん、食べ物が確保されてこそだとは思いますが…。

この本には、意外な動物、それこそ虫や魚たちまで遊んでいることが次々に紹介されています。なーんだ、遊びって、人間だけの特権かと思っていたら、そうじゃないんだね。改めて、そう思いました。

ワタリガラスは飛びながらぐるぐる回転しては仲間どうしで追いかけっこをする。水族館でテールウォーク(尾の力で水面上に体を垂直に打ち上げて立ち泳ぎをする)を覚えたハンドウイルカは、野生に戻ったあと、野生の群れの仲間も一緒になってテールウォークをはじめた。ゾウは、ぬかるんだ斜面を腹ばいになって滑ったり、背中で滑ったりする。

タコは意外に賢い。巣の近くに石を並べると、巣のなかにするりと潜り込み、そのあとで集めた石を引き寄せて入口をふさいだ。侵入者が入れないようにして眠りについた。タコは、いたずらと創意工夫を発揮する。

大人のキツネは、子ギツネと、しかも我が子ではない子ギツネとも遊ぶ。

野生馬では、遊びに費やす時間の長い子馬ほど、その後訪れる最初の1年を生きのびる可能性が高い。

ヒグマの遊びは識別しやすい。遊びの追いかけっこや取っ組みあいは声を出さずにおこなわれる。子グマ時代によく遊んだクマは翌年まで生きのびる可能性が高い。

健康なブタほどよく遊ぶ。遊びはブタの健康を示す妥当な指標である。子ブタが走るのを止め、いきなりでんぐり返しをする。子ブタが期待しているのは、でんぐり返しの直後、体勢を立て直して制御を取り戻す瞬間の体験。その部分が子ブタに満足感を与え、遊びを続けさせる。子ブタのでんぐり返しなんて、私は見たことがありません…。

荒っぽい遊びはケガにつながる恐れもあるが、情動を制御する手段を脳に授けてくれるかもしれない。とりわけ闘争遊びは、不測の事態に備えたトレーニングや、社会的スキルの獲得に必要な練習になる可能性がある。

人間の心を「読む」能力と狩りの力を兼ねそなえたイヌは、ヒトにとって貴重きわまりない存在となった。そしてイヌにとっても、十分に栄養をとれるうえ、世話もしてもらえるのだ。

闘争遊びをするイヌは、特定の合戦ルールにしたがう。力まかせにかんだりせず、しばしば役割を入れ替える。

魚も遊ぶ。魚のする「ひとり遊び」は、のんびりくつろいだもの。ある魚は、水から跳び出し、また水に潜る。これは娯楽である可能性がきわめて高い。

マルハナバチは、オスのほうがメスより、若い個体のほうが年老いた個体よりもよく遊ぶ。

多くの動物は弛緩した口を用いた表情を示して、自分が遊んでいることを示す。そのとき、口を開くのはわずかだけで、犬歯のある動物は、それが見えるほどには開かない。

動物学者は、遊びとは自然選択のようなものだと言う。生命はごく本質的な意味において遊びに満ちたものなのだ。

朝、鳩たちが大勢で飛びまわっているのをよく見かけます。あの鳩の集団にはリーダーがいないそうです。誰かが適当に先頭に立ち、適当に空を飛びまわっているようなのです。

多くのいまの子どもたちがゲームに夢中です。あれって本当に遊んでいると言えるのでしょうか…。機械に遊ばされているだけなのではありませんか…。自分の頭を使っているように見えて、そんなことはない。機械の手のひらの上で踊らされているだけ。頭はまったく機能していないように思えてしかたありません。ゲーム漬けの頭が柔軟な思考力を身につけることは、果たして出来るのでしょうか。

人間とは何かをも考えさせてくれる本でもあります。

(2026年2月刊。2475円)

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