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超一極集中社会アメリカの暴走

カテゴリー:アメリカ

(霧山昴)
著者 小林 由美 、 出版  新潮社
アメリカの暴走は恐ろしい限りです。シリアへトマホーク・ミサイルを撃ち込みましたが、明らかに国際法に違反する犯罪行為です。ところが、日本のマスコミは問題にせず、シリア政府軍がサリンを使って子どもたちが死んでいる事態を看過できないと考えたというトランプの言い分だけを大きく報道しています。
仮にシリア政府軍が残虐行為をしていたとして、なぜアメリカ軍がミサイルを撃ち込んでいいのでしょうか。それだったら、北朝鮮が収容所内で自国民を虐待しているとして、平壌市内にアメリカ軍がミサイルを撃ち込んでもいいことになります。いくらなんでも、それはないでしょう。
なぜ、そんな暴走をアメリカはするのか。それは、アメリカの支配層が超大金持ちだけからなっていて、それをプア・ホワイト(貧乏な白人層)をふくめて多くのアメリカ人が他人事(ひとごと)のように相手し、支持しているからです。
アメリカの上位0.01%、1万6500世帯の平均年収は29億円。上位0.1%、16万世帯、60万人でみると6億円。上位1%、149万世帯は1億2600万円。残る99%の国民の所得は減り続ける一方である。むしろ、借金のシェアを増やしている。
アメリカのエリート大学に入る間は一段と狭くなっている。エリート大学に入るためには、家族ぐるみで、長年にわたって特別な努力が必要となる。ユダヤ人と中国人がそれをこなしている。エリート大学に入学するには、勉強が出来るだけではダメ。スポーツやボランティア活動そしてパーティ、さらには大学への寄付など、簡単ではない。
エリート大学の授業料は高い。スタンフォード大学は年に470万円で、このほか学生寮に入ると、700万円はかかる。卒業までに3000万円を要する。
アメリカでは、授業料の高さは、大学の質の高さと考えている人が多い。いやな国ですね。ヨーロッパを見習ってほしいです。
アメリカでは、大学に進学する人の60%以上が学生ローンを利用している。この負債は学生が自己破産しても免責されず、債務が消えることはない。
アメリカの製造業が回復しているのは、シェールオイルやシェールガスの発掘が急増し、石油製品の製造も増えているため。
ヘッジファンドは運用資金の2%を手数料としてもらうほか、別に運用益の20%を成功報酬としてもらう。したがって、ヘッジファンドに投資すると、1年目には元金が減っている可能性が高い。
金融機関の多くは、預金者や事業者、経済、社会に対するサービスには関心がない、また、それを犠牲にしてまでも自らの利益追求に走っている。
今では資本市場は、資金をもつ人たちのカジノと言うのが実態に近い。したがって、「投資ファンド」ではなく、正直に「浪費ファンド」とか「ウォール街雇用ファンド」、「分の悪いギャンブルファンド」という実態を反映した名称で呼ぶべきだ。
グーグルはメールを全部保存していて、コンピューターで、読みとって、さまざまな情報を抜き出し、分析して、ターゲット広告に利用したり、データとして販売している。
グーグルの売上7兆5000億円(2015年)の大半は、データを活用した広告宣伝収入と、データを販売した売上収入である。
フェイスブックは情報資産が1兆8000億円の売上収入をもたらした。
データ量がこれだけ膨大になり、そのデータの販売がビックビジネスになったのは過去10年内のこと。
世界のインターネット広告は15兆1600億円で、グーグルは44%、フェイスブックは8.5%、バイドウは5.8%。この3社をあわせると、6割近い58.3%のシェアを占める。
この本は、ネット情報を売り物にしている企業が巨大な利益をあげていますが、ネットで情報をじっとみていても考える力はつかないと警告しています。たしかに、というか、なるほど、そうだろうなと私は思いました。
事実に即した、大変に迫力のある本でした。ぜひ、ご一読ください。
(2017年3月刊。1500円+税)

ルポ・思想としての朝鮮籍

カテゴリー:朝鮮・韓国

(霧山昴)
著者 中村 一成 、 出版  岩波書店
ネットをみていると、いまの安倍政権を批判している人に対して、「反日思想を抱いている連中は、日本から出ていけ」と簡単に言う人がいて、本当に悲しくなります。
日本という島には多種多様な人がいるのを許容できない心の狭い、哀れな人です。きっと、幼いころから、周囲の人に愛されて育ったという実感のないまま成人してしまったのでしょうね。気の毒ではありますが、そんな自分の狭い体験にもとづく間違った考えを他人に押しつけてはいけません。
日本に朝鮮人がなぜ存在するのか、それはアメリカ人が日本にいるのとは違った歴史的経過があるということを、きちんと認識すべきだと日本人の一人として、そう思います。私の父も、戦前、三井の労務係員として強引に朝鮮人を日本へ連れてきたということを私自身は忘れてはいけないと考えています。
高史明、朴鐘鳴、鄭仁、朴正恵、李実根、金石範、という6人の「朝鮮籍」にこだわっている人たちに、その理由をインタビューしたものをまとめた本です。なるほど、歴史は個人のなかに生きていると思いました。
2015年末現在の朝鮮籍者は3万4千人ほど。在日外国人全体の1.5%。韓国籍者は、その13.5倍。特別永住者に占める朝鮮籍者の割合は1割弱でしかない。
日本共産党が戦後の短い期間に無謀な軍事路線をとっていたとき、山村工作隊の隊長だった人物もいます。そこへ、元党員のナベツネ(渡辺恒雄)が取材に来るのです。その結果が、ナベツネの特ダネ(スクープ)となったのでした。
「潜水艦や金属活版だって朝鮮人が初めてつくった。天文観測を初めてやったのも朝鮮人だ」
本当なのでしょうか、私は知りませんでした・・・。
祖国とは、第一に民族。南か北か、総連か民団か、とかではなくて、民族としてどうあるべきかを考えてほしい。若い人に対して、こう言ってきた。
なーるほど、そうですよね。私も同感です。
1955年ころ、在日朝鮮人の生活保護受給率は2割をこえていた。これは全体の10倍になる。このころ、多くの「在日」は「今日のメシ」が課題だった。今では、世界有数の超大金持ちになった孫氏も鳥栖の朝鮮人集落で生活していたようです。
済州島4.3事件を描いた『火山島』の著者である金石範は、こう語った。
「私は、あくまで統一祖国を求める。実現すれば、そこの国籍をとり、国民となる。ただし、そのとき私は、もはや民族主義者ではない。それ以降は、必要に応じて国籍を放棄するつもりでいる」
この本を読むと、戦前と戦後は連続していること、そして、それが今につながっていることを実感させられます。私にしても、50年前の日本がどうだったのか、そう問われたら、思い出せないはずはありません。それは大学1年生の私がいたわけです(現在、68歳)。そして、大学1年生の経験があって、今の私があるわけなのです。連続性があってあたりまえなのです。
大変重たい内容の本でした。ずっしり感があります。
(2017年1月刊。2000円+税)
日曜日、春の陽気に誘われて庭に出て畑仕事をしようとして長靴に足を入れると、ふにゃりとした感触。あれ、どうしたんだろうと、逆さまにすると、なんと死んだ若モグラが出てきました。先日、風が吹いて長靴が倒れていましたので、起こしたのですが、倒れていたあいだに地上に出てきたモグラがトンネルと間違えて入っていたようです。可哀想なことをしました。
チューリップはそろそろ終わりかけていて、アイリスが咲きだしました。これからジャーマンアイリスそしてクレマチスが咲きそうです。
紫色のシラーもあちこちに咲いてくれています。ウグイスの美声の下、アスパラガスを収穫しました。太さも十分で、少し甘味があって美味しいアスパラガスでした。春らんまんの午後を楽しみ英気を養いました。

脳を最適化すれば能力は2倍になる

カテゴリー:人間

(霧山昴)
著者 樺沢 紫苑 、 出版  文響社
脳内物質を見きわめて、毎日、生き生きとしようと呼びかける本です。
絶対に24時間も戦い続けてはいけない。
これは本当にそうだと思います。会社のために過労死するなんて、ぜひやめましょう。
アドレナリンは、ピンチや危機を乗りこえるために重要な物資である反面、アドレナリンが分泌されすぎると、心臓がバクバクして極度な緊張に陥ったり、冷静さを失ったりと、よくないことも起きる。アドレナリンは、強力な味方でもあり、生命を脅かす敵でもある。
セロトニンが分泌されると、「今日も一日がんばるぞ」という気持ちになる。身体にも力がみなぎり、ハツラツとした気分になる。頭もスッキリしているので、すぐに仕事をスタートできる状態になる。セロトニンは、睡眠と覚醒をコントロールする脳内物質である。
カーテンを開けて寝ると、朝、スッキリと目が覚める。この、とても役立つ習慣は、セロトニンによってもたらされている。
私は、ホテルに泊まるときにも、窓はレースのカーテンのみにしておきます。外界の明るさを身体で感じられるようにするためです。
睡眠は「時間の長さ」ではなく、「熟睡感」があるかないかのほうが重要。朝、起きたときに、「ああ、ぐっすりと眠れた」と感じられたときには、それは睡眠の質と量が適切な証拠だ。
私も、この熟睡感を大切にしています。花粉症の季節だけは、思うようにいきませんが・・・。
熱い風呂に入るのもストレス発散によい。脳からエンドルフィンが分泌されるから。ただし、熱い風呂は心臓に負担をかけるから、ほどほどにする。
私も、どちらかというと熱めの風呂が好みです。
今の自分に満足し、現状維持で大丈夫と思ってしまうと、ドーパミンが出なくなり現状維持どころか、記録は悪くなり、人間としての成長がストップしてしまう。
脳はチャレンジを好む。チャレンジして、達成して、幸福になる。だから、常にチャレンジを続けなければいけない。
私は、このところ小説に挑戦していますし、毎朝、フランス語の上達を目ざしています。
ドーパミンは学習脳、フルアドレナリンは仕事脳、セロトニンは共感脳。
脳とうまく折り合いをつけて、楽しく充実した毎日を過ごしたいものです。
(2017年2月刊。1480円+税)

ぼくが発達障害だからできたこと

カテゴリー:人間

(霧山昴)
著者 市川 拓司 、 出版  朝日新書
世の中には本当に多種多様な人がいるものだと、毎日、痛感しています。私も奇人変人の一人だと自覚していますが、それでも私なんかまだまだ可愛い存在にすぎません。
この本の著者は作家です。私は一冊も読んだことがありませんが、『いま、会いにゆきます』『そのときは彼によろしく』など、私もタイトルだけは聞いて知っています。
アスペルガーであり、ADHD(注意欠陥・多動性障害)をもっています。そんな人がベストセラーになる本を書いているのですから、世の中は不思議です。面白いです。
通常、発達障害者は自分自身について客観的に観察し洞察すること、つまり自己認知ができていないことが多いが、著者はそれを深くしている。きわめて珍しい。
マンツーマンでは会話ができても、三人以上になると会話が混乱して聞きとれなくなってしまうのがAD特有の会話の不得手さ。電話で人と話すこともできない。
ADの人は自分なりの特定の習慣や手順・順番に強いこだわりがあり、臨機応変な対応ができず、変更や変化を極度に嫌う。
また、自分の興味・関心のあること、とくに視覚的な情報を記憶することは得意だが、頭の中で想像することや予測することは苦手とする。
レオナルド・ダヴィンチ、ミケランジェロ、アルバード、アインシュタインもADHDだった。
アーネスト・ヘミングウェイは典型的なADHD.宮沢賢治もADHD・アスペルガー障害を有していた。織田信長も坂本龍馬もADHDだった。
AD、自閉症、ともに遺伝的負因がきわめて強い。AD者は、通常の人より感性が豊かで、美味しいものや心地よい匂いや触感に非常に敏感だ。
この本を読んでいると、この人、とても変わっているよね、そう思われる人ほど、いえ、そんな人こそ、世の中の役に立つ、すごいことをやっているようです。
やっぱり、金子みすずの、みんな違って、みんないい、というのは真理ですね。
(2016年11月刊。780円+税)

シャクシャインの戦い

カテゴリー:日本史(江戸)

(霧山昴)
著者 平山 裕人 、 出版  寿郎社
日本は単一民族ではない。アイヌ人が民族として存在しているというのは歴史的な事実だと私も思います。同じように琉球民族がいたという説もありますが、そちらには私は賛同できません。
そのアイヌ人が江戸幕府側からの迫害に抗して起ちあがったのが1669年のシャクシャインの戦いです。これを「乱」と呼ぶのは、「和人」の側に立つ論法だと私も思います。
アイヌ史上、三つの大きな戦いがある。コシャマインの戦い、シャクシャインの戦い、クナシリ・メナシの戦いである。
1600年が関ヶ原合戦の年ですよね。その1669年6月にシャクシャインの戦いが始まりました。首領のシャクシャインは1669年10月に松前藩によって騙し討ちされて殺害されましたが、戦い自体は3年のあいだ続いています。
このころ、松前は砂金を産出していて、日本中から砂金を求めて人がやってきていた。その数は3万人とも5万人とも言われた。アメリカの西部開拓時代のようなゴールドラッシュが17世紀の北海道にもあっていたのですね・・・。
シャクシャインの戦いのあと、松前藩士が商人に請け負わせ、請け負った商人がアイヌと交易する。藩士は商人から運上金をとるという形態がとられていた。交易の場所を「商場」(あきないば)とか請負場所と呼んでいた。
当時、北海道各地に居住していたアイヌの人々の生活は追い込まれていた。アイヌシモリに金掘りが入り、鷹師が入り、漁師が勝手に魚を獲り、交易は不当なものだった。それで、シャクシャインの呼びかけにアイヌ民族が広範に呼応し、松前藩を攻めた。
松前藩を滅ぼし、自由交易を復活させることが目的だった。しかし、現実には、アイヌ民族も松前藩も、互いを必要とする経済基盤をもっていたから、交易の仕組みが変わることはあっても、どちらかが滅びるしかないということにはならなかった。
シャクシャインの戦いを本格的に論じた貴重な本だと思いました。
(2016年12月刊。2500円+税)

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