法律相談センター検索 弁護士検索

続・台湾新時代

カテゴリー:未分類

著者:近藤伸二、出版社:凱風社
 2008年に北京五輪そして2010年に上海万国博覧会が予定されている。2008年には台湾の総統選挙もある。2004年3月の総統選挙のときには、投票日前日に陳水扁候補が銃撃されるという事件も起き、コンマ以下の投票率の差しかなかったのには驚かされた。
 台湾経済は躍進著しい。外貨準備高は2519億アメリカドルで、日本、中国に次いで世界第3位。
 台湾はIT大国で有名だ。アメリカ(686億ドル)、中国(605億米ドル)、日本(205億ドル)に次ぐ世界4番目(108億米ドル)。
 世界のノートブックパソコンの7割以上は台湾製。ただし、ノーブランドだ。
 台北市には世界一のノッポビル、「台北101」がある。地上101階 、高さ508メートル。台湾には外国人労働者も多い。6ヶ国30万人をこえる。タイ・フィリピン・ベトナムがそれぞれ9万人。インドネシアが2万人、台湾社会の出生率が低いことにもよる。
 台湾は中国へ積極的に投資しており、その累計総額は11兆円をこえるものとみられている。たしかに、私も中国へ行ったとき、台湾資本の豪華なホテルに泊まったことがあります。
 台湾の70%は福?(ホーロー)系 漢民族。次に客家(ハッカ)系漢民族の15%。第二次大戦後、国民党政権とともに中国大陸から渡ってきた外省人は13%。その大部分は漢民族だが、モンゴル族や満州族も含まれている。先住民は2%という少数派。
 実は、私はまだ台湾に行ったことがありません。なかなか複雑な社会・政治の国だという印象をもっています。行ってみたい国ではあります。

十面埋伏

カテゴリー:未分類

著者:張 平、出版社:新風舎
 すさまじい逆巻く怒濤のような本です。本を手にとって読みはじめると、怒りにみちた静電気で腕がビリビリしびれ、前身の膚が毛穴から汗のにじむように鳥毛だってきます。
 次から次に息つくひまもなく囚人の隠された悪業の数々が暴き出されていく。ところが、刑務所当局はいっこうに動こうとしません。なぜか、刑務所は収容されている人間だけでなく、所長以下の職員までも買収され、悪の巣窟と化しています。では、どこにも光明はないのか・・・。いえ、権力機構の中にも、まだ良心を辛うじて保っている人間はいるのです。その人たちが少しずつ、恐る恐る連携を広げ、悪のネットワークに抗して立ち上がろうとします。
 しかし、悪のネットワークも黙視しているわけではありません。彼らは彼らの力をフルに活用して、それを封じようとします。そうなると、先手必勝。どっちが先に手をうつか、時間とのたたかいにもなります。
 刑務所、警察(公安)組織、政界、実業界さまざまな人脈がうごめいています。農民の土地をタダ同然で取りあげ、金持ち階級が抑圧していきます。その過程で、金と権力が惜しげもなくつぎ込まれます。お金も権力もない庶民は口に指をくわえて見ているしかありません。
 上下2巻。それぞれ370頁ほどもあるこの本を電車に乗って4時間で読み切りました。読みはじめると、あまりのすさまじさに息を呑み、いつ終点の駅に着いたのかと思うほど一心に読みふけってしまいました。
 この著者は、前に「凶犯」という本(新風舎文庫)を出しています。前の本にも圧倒されましたが、この本はさらにそれを上まわるド迫力があります。
 中国三大文学賞を受賞した。映画化が決定した。オビに書かれています。それも当然だと、ついうなずいてしまいました。みなさんに、一読をおすすめします。

なぜ資本主義は暴走するのか

カテゴリー:未分類

著者:ロジャー・ローウェンスタイン、出版社:日本経済新聞社
 アメリカでステークホルダーという考え方が流行した。これは企業は株主だけでなく、従業員、地域社会、下請け業者といった利害関係者の一団に奉仕する存在だということ。ステークホルダー運動は、本質的にアメリカの土壌に日本のモデルを移植しようとする試みだった。しかし、この運動はなかなか実を結ばなかった。ステークホルダーという概念はあいまいだし、法的根拠にも欠けていた。それだけでなく、深い意味で、これはアメリカ的発想ではなかったからだ。
 コーポレート・ファイナンスが盛んになるのと並行して、CFOの存在感が増した。かつては単なる管理者、つまり数字屋にすぎなかったCFOが、最前線の経営者、利益をうみ出す最高責任者となった。CFOの地位向上にともない、ウォール街と企業中枢との距離は、さらに縮まった。
 ストックオプションの75%は社会でトップから5番目までの役員に渡っている。残り25%のうち半分以上が、その下に続く15人の役員の懐に入った。ストックオプションを受けとった現場の従業員は300万人で、それは10%を分け合うものだった。オプションがミドルクラスの権利となっているというのは、まったくの嘘だ。
 取締役の報酬を決定する取締役会は市場とはほど遠い。取締役たちはなれあいの関係にあり、また権力争いに明け暮れている。
 CEOは、成功すればいつでも莫大な報酬を手にしたが、失敗しても罰を受けることはなかった。CEOは失うものがなかったので、ますます危険な賭けに出るようになった。CEOは、かつて政治のものだった尊大さを身にまとった。宮殿のような豪邸から、広報担当、副社長、側近の一行を引き連れてジェット機で飛び立ち、契約がある場合ならどこへでも向かった。そして、痛みを分かちあうのは、CEOの役目ではない。従業員が解雇されても、利益が激減しても、株価が下がっても、CEOが減給されることはない。
 これは、まるで今のニッポンのホリエモンたちのことを言っているように聞こえます。
 GEのCEOであるジャック・ウェルチは、10年間で給料、ボーナス・オプションをあわせると4億ドルを稼いだ。ジャック・ウェルチに生涯保障されるのは次のようなもの。マンハッタンにある1500万ドルのマンションの使用権、ワイン、食品、ランドリーサービス、新聞、化粧品などの経費、会社所有のジェット機の使用権、NBAのニューヨーク・ニックスの試合の一階フロア席チケット、テニスの全米オープンのコートサイド席、メトロポリタン劇場のボックス席、運転手つきの車がある。そのうえ、ウェルチは月額35万ドルの年金をもらう。
 1990年代末、資金はどこへでも流れていったし、道徳規範はすっかり忘れ去られていた。ジャーナリストも銀行家も、経営者も監査役も、ブローカーも弁護士も、みんなすっかり同じ土俵に乗ってしまっていた。短期的な利益を計上するために株主資本をリスクにさらしていた。この短期的な利益こそ、まさに株主価値の定義として定着していたものである。
 企業に雇われた監査法人や弁護士たち専門家は長い時間を経営者たちと過ごし、十二分に報酬を受けとった。ここから利害関係の一致と、それにもとづく共謀関係が生まれた。
 なるほど、そうなんですね。お金の力は、かくも偉大なのです。
 経営者が帳尻とつじつまをあわせることに辛うじて成功した企業では、必ず裏に弁護士がいて、経営者の良心の呵責を軽減し、取引の正当性に太鼓判を押していた。合法性という、見栄えのよい覆いを弁護士が提供していた。
 いやあー、すごいですね、こんなアメリカの資本主義って。まさにハイエナかオオカミといった弱肉強食の世界です。弱者に温かい目というものがまったく欠落し、強い者同士の権力闘争によって周囲にいる圧倒的多数の弱者は押しつぶされています。むき出しの資本主義って、ホント、最悪ですよね。

ぼくは13歳。職業、兵士

カテゴリー:未分類

著者:鬼丸昌也、出版社:合同出版
 恐るべき本です。世の中に、こんなに重く辛い現実があるなんて・・・。ホラー映画なんて、そんなもの目じゃありません。背筋に氷をずっとずっと注ぎこまれて止まらない。そんな冷え冷えとした状況が世界いたるところにあるというのです。そして、日本という国もそれに一役買っているのです。いえ、もっと大胆に乗り出そうというのが小泉・自民党です。
 この本を読んで、私がもっともショックを受けたのは、ウガンダのナイトコミューターの話です。ナイトコミューターというのは夜の通勤者のこと。大人のことか?いえ。夜の女性のことか?それも違います。なんと、夜になると都会周辺の村々から子どもたちが4000人とか
6000人も、市の中心部へ向かい、眠りに来るのです。なぜ?「神の抵抗軍」が村を襲い、子どもたちを連れ去って子ども兵士に仕立てあげるのから逃れるためです。村では子どもたちは安心して夜に眠れないのです。
 早朝、数千人の子どもたちは、一斉に自分の村へ帰っていきます。10キロも離れた村へ、です。10歳以上の子どもたちが素足で毎日毎晩、往復するのです。これが、もう 20年近くも続いているというのですから、大変なことです。とても信じられません。
 「神の抵抗軍」と呼ばれるウガンダの反政府軍に拉致された子どもの数は2万人以上にものぼる。それは「神の抵抗軍」を構成する3分の1にもなる。そして、「神の抵抗軍」の3分の2は17歳以下の子ども兵士だといいます。子ども兵士は自分の出身の部落で残虐な殺人などを命じられ、自分の出身地には戻れなくされてしまいます。
 子ども兵士が救出されても、その子には顔から表情が消え、目の焦点が定まっていない、じっと遠くを見つめるのみ、鋭い目つきでにらみつける・・・、というロウ人形のような表情です。
 アフガニスタンでは、10歳をふくめて総数12万近くの子ども兵士がいて、全兵力の45%を占めている。
 現在、小型武器の輸出額は、アメリカが1位、2位はイタリアで、3位ベルギー、4位ドイツとなっている。日本は猟銃などを輸出していて、輸出額は世界第9位。
 アメリカ、イギリス、フランスの3ヶ国が武器貿易によって得ている利益はODAの額よりも大きい。人助けより、人殺しの方でもうけているのですね、この文明国は・・・。
 このくだりを読んで、先日みたニコラス・ケイジ主演の映画「戦争商人」を思い出しました。アメリカの青年がアフリカなど、武力紛争の起きている国へ武器を売りこみに行き、もうけている実際をよくイメージすることができました。戦争はそれでもうかる人間がいるから起きるのだということがよく分かる映画でした。
 子ども兵士だった子どもたちに笑顔を取り戻させる地道な取り組みがすすんでいることも知り、少し救われる思いがしました。日本政府は、この方面にもっと力を入れるべきです。いい本をつくっていただき、ありがとうございました。

働きすぎの時代

カテゴリー:未分類

著者:森岡孝二、出版社:岩波新書
 踏切事故について、それが自殺かどうかを争う事件を担当しています。自殺は例外的な現象だと主張したところ、保険会社の方から、今の日本では自殺は決して例外的な現象なんていうものではない。そんな反論が出てきて、驚きました。
 たしかに、年間の自殺者はこのところ、ずっと3万人台です。働きすぎからノイローゼやうつ病になったり、倒産して保険金目あてに自殺するという事件を、私は弁護士としてコンスタントに扱っています。
 労働基準監督署が2003年度に受理した過労によるPTSDやうつ病などの精神障害の労災申請は438人(前年度比28%増)。精神障害の労災認定は過去最高の108人(同8%増)で、うち40人は過労自殺。
 平均的な会社員が一日に受信するメールは61.5通。メール処理その他の関連作業に4.2時間かかっている。パソコンに向かっている時間(6.8時間)の6割がメールがらみとなっている。携帯がつながらなかったら罰金だと上司に命じられていた社員がついに過労自殺した。
 現在、日本の労働者の4人に1人は年収150万円未満、2人に1人は年収300万円未満、4人に3人は500万円未満。
 日本の労働者のおよそ半分は、ひとりの賃金では生活できないパラサイト水準にある。
 アメリカで働きすぎを象徴する職業として知られているのは弁護士と研修医。
 働き過ぎと浪費が蔓延するアメリカ社会のなかでも、所得よりも自由時間を、出世よりも生活の質や自己実現を追求する生き方を選び、以前より少ない収入で幸せで暮らしている人々が増えている。このような人をダウンシフター(減速生活者)と呼んでいる。
 この本の最後に、労働者、労働組合は何をなすべきかが提唱されています。
 たとえば、次のようなことです。
 自分と家族の時間を大切にし、仕事以外にも生き甲斐をもつ。
 年休は目いっぱい取得し、年に一度は一、二週間の連続休暇をとる。
 なかなか難しいことですが、私は実践しているつもりです。
 日本の公務員は実は少なすぎる。東大の前経済学部長(神野直彦教授)がこのように書いている論文を読み、そうだ、そのとおり、我が意を得たりと叫んでしまいました。
 福祉サービスの立ち後れは公務員の少なさにあらわれる。これは私が、かつてデンマークとスウェーデンに行ったときに知ったことである。北欧は税金の高いことで有名だ、それは国民が貯蓄しているのと同じことなのだ。つまり、税金は老後の豊かな生活を保障してくれるもの。実際、福祉サービスに従事する公務員は、あっと思うほど多い。スウェーデンでは、市町村の公務員だけで、雇用に占める割合が日本の3倍をこえる20%強。その市町村の公務員の40%が高齢者のケアに、20%が子どものケアに従事している。つまり、税金は身近な公務員、つまり介護サービスに従事している人のために使われているのであり、その人は隣りに住む人、いえ私かもしれない。
 日本の消費税のように、導入するときには福祉のためと言っていたけれど、実際にはイラクへ自衛隊を派遣するために使われているというようなごまかしがそこにはありません。
 このように、先進諸国では福祉サービスの供給に従事する公務員を増やしている。OECD諸国の平均で17.5%、アメリカでさえ15.4%になっている。ところが、日本は6.9%にすぎない。
 2004年度、日本に国家公務員は62万人いるが、その40%、25万人は自衛隊。地方公務員308万人のうち教育が115万人、37.4%、警察が8.8%、消防が15万人、5.0%。つまり、教育・警察・消防で地方公務員の51.2%を占めている。公務員の数があまりにも少なすぎて、政府は国民の生活を支えていない。ところが、政府は少なすぎて国民の生活を支えることのできていない公務員を、さらに一律に1割削減を強行しようとしている。その目的は、日本の社会を破滅させること以外に見いだすことはできない。
 国民のとって国がそもそも何のためにあるべきなのか考えるべきだと思います。ホリエモンなどのようなヒルズ族は昔からいました。貴族がいて、財閥があり、特権階級がいました。お金と権力をもつ者が好き勝手にすることを許したら、お金のない弱者は生きていけません。だから、憲法で国は生存権を定めたのです。国は国民ひとりひとりに最低限の文化的生活を保障する責務があります。今こそ、弱者のための福祉の充実が図られるべきです。

福岡県弁護士会 〒810-0044 福岡市中央区六本松4丁目2番5号 TEL:092-741-6416

Copyright©2011-2025 FukuokakenBengoshikai. All rights reserved.