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カテゴリー: 生物

ホソカタムシの誘惑

カテゴリー:生物

著者 青木 淳一、 出版 東海大学出版会
 70歳で無職となって昆虫少年に戻った著者の、心躍る採集日記です。読んでる方まで楽しくなります。虫とりカゴを持って野山を駆ける昆虫少年を思い浮かべました。
 ホソカタムシは、大きさが5ミリほどしかない小さな昆虫です。しかも、地味な色合いをしていて、動きも緩慢なので、野外で見つけるのは難しい昆虫です。しかし、昆虫少年たちはそれを難なく見つけます。そこはもう、意気込みが違うのですよ……。
 ホソカタムシは生きている樹木にはおらず、枯れ木に住みついている。枯れ木の菌類か甲虫の幼虫を食べる。生きた樹木は食べないので、害虫にはならない。
 身体はガッチリと固く、光沢はなくても複雑な彫刻が施されていて、触角の先が玉になって膨らんでいて、身体は細く、両側が平行な虫である。
 ホソカタムシは、人間に見つかっても、あわてず騒がず、ゆっくりのっそりと落ち着いて、マイペースで歩いていく。その動きは、まことに優雅で気品に満ちている。
 この本には、ホソカタムシの写真と著者自身のペンで描いた精密画の2つで紹介されていますから、その生態がよく分かります。とりわけ、生態画のほうは、いかにも昆虫少年らしく丹念にペンで描かれていて、ほとほと感心・感嘆します。
 著者はホソカタムシを求めて、熊本、徳之島、石垣島、北大東島、種子島、そして小笠原諸島まではるばると出かけます。沖縄ではハブの出現を心配しながら森の中へ分け入っていくのです。いやはや、さすがに昆虫少年の心を持っていないとできませんね、こんなことは……。
ただ、その地で夜は美味しい料理を食べて、お酒を飲むわけですから、本当に豊かな老後を過ごしておられると、羨ましく思ったものでした。
 細密画の中では、ノコギリホソカタムシが印象に残りました。ギザギザ、コブコブの突起物に覆われた姿は、アニメ漫画に出てくる怪獣のようだと紹介されていますが、まったくそのとおりです。
 東北以南の日本全国どこにでもいるホソカタムシです。でも、これも3~5ミリと小さいので、目立たないんですよね。
 大変な貴重な労作だと思いました。
(2009年2月刊。1600円+税)
 いま、我が家の庭はアイリス、ジャーマンアイリス、ショウブ、アヤメの花盛りです。みんな背が高く、姿も形もとりどり艶やかなので、まさに花園です。アイリスは黄色、ショウブはキショウブ、アヤメは薄紫色です。そしてジャーマンアイリスは青紫色が多いのですが、濃茶色の花のほか純白の花もあります。華麗で会って清楚なたたずまいの真っ白さに、えもいわれぬ気高さを感じます。
 私の個人ブログに花園を公開中です。一度ぜひご覧ください。

外来生物クライシス

カテゴリー:生物

著者:松井正文、出版社:小学館新書
 世界中の生き物たちが、本来の生息地を離れて世界各地に拡散しています。外来生物と呼ばれるこれらの生き物たちは、当然ながら日本にも押し寄せ、私たちを取り囲む環境に入り込んでいるのです。
 日本には、2239種の外来生物が定着している。そのうち動物については633の外来種の定着が認められている。
 京都の鴨川にはオオサンショウウオがいるが、チュウゴクオオサンショウウオが入り込んでいる。オオサンショウウオの寿命は長く100歳に達する個体もいる。2008年9月の時点の分析によると、111匹のうち中国型が13%、雑種が44%となっていた。幼生の71%が雑種だった。
 中国ではチュウゴクオオサンショウウオは珍味として異常な高値で取引されている。そこで日本にも食用に輸入された。その子孫が鴨川に存在するらしい。
 外来種のタイワンザルは、姿がニホンザルと見分けにくい。ただ、尻尾が40センチと、ニホンザルの尾が10センチ程度と短いのに比べて、ずっと長い。この2種の交雑が急速に広がっている。
 日本のメダカが減少している。それに似ているのがカダヤシ(蚊絶やし)。いずれも3センチほどで、見分けるのは容易ではない。
 メダカが減っているのをカダヤシのせいにすることはできない。メダカの棲めない環境が急速に増えていること、それによってメダカの繁殖能力が落ちていることが根本的な原因である。日本各地にメダカを戻したいのなら、カダヤシを駆除するだけでなく、田園環境や、小川のあった自然を復元し、メダカの棲みやすい環境を取り戻す必要がある。
 ミツバチを受粉に利用している園芸農家は日本全国で1万ヘクタール。女王蜂の輸入がストップすると、すぐに国内の果物や野菜生産に多大な影響が生じる。国内自給率40%を切っている日本の農業のもう一つの危うい姿である。
 2008年、働き蜂の突然の大量死によって、1割ないし2割もミツバチが減った。
 アメリカでは、2005年ころから、ミツバチの4分の1が死滅した。
 アルゼンチンのミツバチには凶暴なアフリカ系ミツバチの遺伝子が拡散している。欧州系ミツバチに比べて攻撃性が強く、長時間にわたって攻撃するため人や家畜を死に至らしめることがある。
 セイヨウオオマルハナバチは、あまりにも強い繁殖力をもっている。そして、花の外側に穴を開けて吸うため、日本固有の植物の繁殖を妨げる心配がある。
 なるほど、外来種が入りこんできたって、種が多様化するだけじゃないの、なんて気楽なことは言っておれないようです。人間と違って、混血(ハーフ)というのはいいことだけではないのですね・・・。
(2009年12月刊。740円+税)

象虫

カテゴリー:生物

著者 小檜山 賢二、 出版 出版芸術社
 コクゾウムシ。幼いころはコクンゾムシと呼んでいました。米びつにわく小さな虫です。つまんで外に捨てていました。今は昔の話です。
 ゾウムシは、このコクゾウムシの一つです。すごい写真集です。圧倒されます。体長3~6ミリの小さなゾウムシなのですが、それをくっきり鮮明なまま、超拡大写真で見せてくれます。怪獣です。それも、想像を絶する怪獣たちのオンパレードです。ヘンテコリンな顔や形。鼻も目も不気味な形をしています。色は怪しげに光り輝いています。
ゾウムシは世界に6万種いる。恐らく20万種はいるだろう。日本では1300種が確認されている。日本の蝶が200種なのに比べて、いかにゾウムシの種類が多いか分かる。ゾウムシは生物界でもっとも種数の多いグループなのである。
 ゾウムシは1億年1上の年月にわたって命をつないで進化してきた、進化のトップランナーである。ゾウムシのキーワードは、多様性。色、形、大きさ、ともに多様性に富んでいる。ゾウムシは高度に進化した昆虫なのである。
 この写真集を見れば、まさしくそのことが実感としてよく分かります。
長い鼻を持っているように見えるが、実は鼻ではなく、口。口吻(こうふん)という。
 ゾウムシの仲間は飛ぶことが苦手だ。飛ぶことをあきらめて、身体を鎧で固めたのが、カタゾウムシである。
 大部分のゾウムシは、死んだふりをして敵をやり過ごそうとする。
 擬死は、あくまで死んだふりである。地上に落ち、やがて動き出して逃走する。
 まず、カブトムシとかクワガタムシを想像して下さい。そして、派手な色をその体にペインティングします。さらに鼻(口吻)を長く伸ばします。眼はトンボやハエのような複眼です。背中はカミキリムシのようなスッキリしたものもあれば、毛がふさふさ生えているものもあります。その部分を拡大した写真があります。色つき真珠を背中にちりばめたような情景です。
 いやあ、この世にはこんな生きものが無数にうごめいているのですよね。生命の神秘をひしひしと実感させてくれる、素晴らしい写真集です。
(2009年7月刊。2500円+税)
 玄関脇に赤いチューリップが10本咲いています。一番遅いグループです。夜帰ったときは静かに迎えてくれますし、朝出かける時には元気ハツラツで行ってらっしゃいと見送ってくれます。奥の方には黒いチューリップも咲いています。真っ黒ではありませんが、かなり黒っぽいのです。アレクサンドルの小説「黒いチューリップ」を思い出します。
 昔、オランダというかヨーロッパでチューリップの球根が投機の対象となったことがありました。
 アイリスがたくさん咲いています。甘い芳香を漂わせるフリージアのほか、イキシアやシラーも咲いています。春の花園に入ると、身も心も軽く、浮かれてしまいそうです。

森の奥の動物たち

カテゴリー:生物

著者  鈴木 直樹 、 出版 角川学芸出版
 ロボットカメラを日本の森に仕掛けて撮った夜の動物たちの素顔です。よくぞ撮れたと思うほど、くっきり鮮明な写真のオンパレードです。お疲れ様でした。
 自分の匂いを消し、木々のあいだに姿を消すことに関してはジャングルで修練を積んだ。ジャングルに適応すると、人間を遠くからでも感知できるようになる。現代人が近づいてくると、足音がする前に、地面がわずかに振動をはじめる。続いて足音と話し声。そして極めつけは匂いである。姿を見せる前に、猛烈な文明人の匂いが雲のように押し寄せる。シャンプー、香水、ビール、肉の脂などの匂いが合わさって、波のように押し寄せてくる。これでは動物に見つからないわけはない。ましてや、人間より嗅覚も聴覚も鋭い動物たちは、これらが千倍もの強さの五感への雑音として伝わるであろう。
 うへーっ、す、すごいことですね。著者は森の奥へ、それも夜の森の中へ入ろうというのですから、とても私にはできません。そして、雪山用の迷彩服というのはドイツ軍製のものが一番実用的なようですね・・・・。
 ロボットカメラといっても、写真に紹介されているのは、とても小さくて、えええっ、こんなものでちゃんと取れるのかしらん、と思ったほどです。
一日中、森の中をはいまわってロボットカメラを設置した夜、遠くの山並みをみわたしながら、こちらの山脈で一つ、向こう側の森の奥で二つと、ストロボで梢がかすかに光るのを確認するのは、苦労が報われる幸せのひとつでもあった。
 いやはや、お疲れさま、としか言いようがありません。でも、その苦労のおかげで、こんなにくっきり、すっきりと鮮明な写真が拝めるのですから、ありがたいことです。
 登場するのは、テン、タヌキ、リス、ネズミそしてモグラとハクビジンまで姿をあらわします。みんな可愛いです。
 夜の森では何が起きているのか、自分で行く勇気まではないけれど、知りたいという人には、うってつけの写真集です。ぜひ、手にとって見てみてください。でも、同じように夜のゾウを撮影しようと思っても、なかなかうまくはいかなかったようです。それでも成功したと言えるのでしょうか。ゾウが侵入者(ロボットカメラ)に怒って、あの巨体で踏みつぶしてしまったというのですから。
ゾウの怒る気持は分かりますが、人間としては、ぜひ知りたいところではあるんですよね。殺すわけではありませんから・・・。ゾウさん、許してね。
(2009年7月刊。2800円+税)
 阿蘇の猿まわし劇場に久しぶりに立ち寄りました。春休みとはいえ、平日午後だからやってるのかしらん、やってても閑散としているだろうなと心配していましたが、駐車場にはなんと大型の観光バスが何台も停まっています。会場に入ると、そこそこの観客がいました。演じてくれるお猿さんは、2頭です。6歳と9歳のオス猿君たちでした。猿の年齢は3倍すると人間の年齢になるそうですから、青壮年の猿君です。
 2本足ですっくと立ち、ポーズをとる様は、誇りをもって演じていることがうかがえます。
 いろんな芸ができるので、感心、感嘆して見とれていると、40分があっという間にすぎてしまいました。私が何より感心したのは、天井まで届きそうな2本の竹竿を床から一人で立ち上げて。それを竹馬として舞台を上手に歩き回ったことです。すごくバランスを取るのが上手なのに感動してしまいました。
 大勢いた観客は、実は韓国人でした。そのなかの一人が、ビデオ撮影禁止という提示があるのを無視して舞台近くまで迫って撮影していたので、さすがに係員から制止されていました。でも、その後も動きまわることは少なくなりましたが、撮影自体は最後まで止めませんでした。こんなに面白いものなので、家に帰って家族に見せてやりたいと思ったのでしょう。その気持ちは分かりますが、それにしても、ちょっと目ざわりではありました。おばちゃんにはかないません。

道具を使うサル

カテゴリー:生物

著者 入來 篤史、 出版 医学書院
 ニホンザルも道具を使うことを初めて知りました。宮崎・幸島のサルたちが海辺でイモの泥を洗い落して食べると言うのは知っていましたが、道具も使えるのですね……。
 サルは訓練すると、熊手を使えるようになるし、モニターも使うことができる。しかし、何のしかけもない状態では、それをあえてしようとはしない。
 道具使用を訓練されたサルたちは、実験を心地よく楽しんでいる様子であった。朝、ケージの扉を開けると、自ら進んで飛び出してきて、モンキーチェアに座りこみ、実験を催促するかのように手でテーブルをたたいた。速く実験が終わると、もう戻らなければいけないのかという態度で、戻るのを嫌がることさえあった。
 サルは、比較的容易に、まず短い道具を使って長い道具を取り、次に長い道具に持ち替えて餌をとると言う二段階の道具使用行動を行うことができた。
 子どものサルは好奇心が強くて、珍しいことによく興味を示して試みてくれる。
 仔ザルには、もうひとつ、よく「鳴く」というきわだった特徴がある。仔ザルは、とにかくよく声を出している。鳴くと言うより、そばにいる人間がしゃべっているのといっしょになって、自分もしゃべっているつもりになっていると思えることがある。ところが、大人のサルになると、威嚇するときやおびえたとき以外は、ほとんど声を出すことがない。
 サルが餌を要求しているときと、道具を要求しているときのソナグラム(音声)が異なっている。
 サルも人間も、かなり共通するところが大きいことが良く分かります。サルまねなんて、バカにしてはいけませんね。
 
(2004年7月刊。3000円+税)

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