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カテゴリー: 人間

果てしなき山稜

カテゴリー:人間

(霧山昴)
著者 志水 哲也 、 出版  山と渓谷社
いやあ、若いってすばらしいですね。若いときにしか出来ない、無謀な北海道の冬山を山スキーで単独踏破した山行記です。寒がりの私なんか思わず、身震いしてしまいました。
山頂へ向かう鞍部にいいテントサイトを見つける。地図ではテントなんて張れそうにないと思わせるヤセ尾根上でも、現地に行くと雪庇の陰に風の当らない絶好のテントサイトを見出すことがある。しかし、風を防ごうとすると雪が積もり、除雪を嫌うと、そこは風が吹く場所だというのが常だ。
夕方から、また雪。雪は、すべてのものを美しく真っ白に覆ってしまうから怖い。
苦しかったこと、怖かったこと、寂しかったこと、楽しかったこと、いろいろあったが、そんな体験のすべてが、やがてただ自分の書いた文字や写真を通してしか思い出せなくなってしまう。文字も写真も、所詮はつくりもの。どんなに努力しても、それをとどめようとしても、どうしたって実際のときめきや感動は、記憶の上に積もる膨大な時間の中で次第に見えなくなってしまう。
なだれにあって、ぼくは奇跡的に窒息死する前に止まった。生きていることすら認識できない茫然自失の状態だった。ぼくは、むせかえりつつ、雪をコホゴホ、ゲェーゲェーと吐き出し、登りはじめた。傾斜60度の、胸まで没する雪壁を、35キロの荷を背負って。その途中にも、斜面は何回となく雪崩れ、一度はザックと別になって再び流されたりもしたが、ぼくは死にもの狂いで登った。
雪崩で遭難し、3日間は生きながらえていた人の書きつづった遺書が後になって発見されたこともある。「死んだらおしまい」とは、誰だって言える。物理的には、たしかにそうだろう。だが、情熱をもって生きていない人間にそれを言う資格があるのか。情熱をもたないで生き続ける人間よりも、たとえひとときでも情熱をもち、死んでいった人間のほうが、きっと、ずっといい。
登山は年数ではない。中身だ。どれだけ情熱をもって山に対しかだと思う。人生だって、きっと同じことだ。
この本は、1994年、著者が28歳のときの北海道縦断の山スキー記行が文庫になったものです。今では50代になった著者は、富山県に住むプロの写真家です。文庫として復刊していただいたことに感謝します。
(2016年10月刊。950円+税)

保健と健康の心理学

カテゴリー:人間

(霧山昴)
著者 大竹 恵子 、 出版  ナカニシヤ出版
日本は長寿国ですが、幸福度はそれにともなっていません。
平均寿命は女性87歳(世界2位)、男性81歳(世界4位)。ところが、幸福度は世界53位。
健康心理学は、人間の健康に関するさまざまな問題を心理学の観点から検討し、そこから得られた知見を社会に役立てることを目指した心理学の応用領域の一つ。
感情は、病気にかかる率だけでなく、寿命にも影響を及ぼしている。
ポジティブ感情には、ネガティブ刺激による交感神経系の活性化を速やかに活性化させる「元通り効果」をもっている。
日常的にポジティブな感情を多く経験しているほど、中枢神経系、自律神経系、内分泌系、免疫系に良い影響を及ぼし、これらのシステムの相互作用により、結果として健康状態や寿命に良い影響を及ぼす。
日本のうつ病の患者は、平成8年に20万人、その他の気分障害をふくめて43万人だった。ところが平成20年度には、うつ病患者が70万人、その他をふくめると100万人。3倍にも増えた。
同じ心的外傷体験をしても全員がPTSDになるわけではない。レジリエンスという、一時的に心理的不健康の状態に陥っても、それを乗りこえ、精神的病理を示さず、よく適応する人がいる。
交代制勤務は、睡眠覚醒リズムを乱れさせる。乳ガンのリスクが高まり、前立腺ガンのリスクが2倍から3倍も高まる。
望ましくない出来事はコントロールできるという信念は、健康的な生活習慣やストレスへの上手な対処をもたらし、健康への悪影響を少なくする。
首尾一貫感覚(SOC)は人生経験によって形成され、とくに一貫性、負荷のバランス、結果の形成への参加という3つの経験が重要である。
ルールや責任の所在が明確な一貫性のある経験は把握可能感の基礎となり、また、処理可能感を育む。
自分だって、やれば出来るんだという感覚は大切ですよね。
やや難しいところもありましたが、私の生き方から共感できるところが多々ありました。
(2016年12月刊。3400円+税)

脳を最適化すれば能力は2倍になる

カテゴリー:人間

(霧山昴)
著者 樺沢 紫苑 、 出版  文響社
脳内物質を見きわめて、毎日、生き生きとしようと呼びかける本です。
絶対に24時間も戦い続けてはいけない。
これは本当にそうだと思います。会社のために過労死するなんて、ぜひやめましょう。
アドレナリンは、ピンチや危機を乗りこえるために重要な物資である反面、アドレナリンが分泌されすぎると、心臓がバクバクして極度な緊張に陥ったり、冷静さを失ったりと、よくないことも起きる。アドレナリンは、強力な味方でもあり、生命を脅かす敵でもある。
セロトニンが分泌されると、「今日も一日がんばるぞ」という気持ちになる。身体にも力がみなぎり、ハツラツとした気分になる。頭もスッキリしているので、すぐに仕事をスタートできる状態になる。セロトニンは、睡眠と覚醒をコントロールする脳内物質である。
カーテンを開けて寝ると、朝、スッキリと目が覚める。この、とても役立つ習慣は、セロトニンによってもたらされている。
私は、ホテルに泊まるときにも、窓はレースのカーテンのみにしておきます。外界の明るさを身体で感じられるようにするためです。
睡眠は「時間の長さ」ではなく、「熟睡感」があるかないかのほうが重要。朝、起きたときに、「ああ、ぐっすりと眠れた」と感じられたときには、それは睡眠の質と量が適切な証拠だ。
私も、この熟睡感を大切にしています。花粉症の季節だけは、思うようにいきませんが・・・。
熱い風呂に入るのもストレス発散によい。脳からエンドルフィンが分泌されるから。ただし、熱い風呂は心臓に負担をかけるから、ほどほどにする。
私も、どちらかというと熱めの風呂が好みです。
今の自分に満足し、現状維持で大丈夫と思ってしまうと、ドーパミンが出なくなり現状維持どころか、記録は悪くなり、人間としての成長がストップしてしまう。
脳はチャレンジを好む。チャレンジして、達成して、幸福になる。だから、常にチャレンジを続けなければいけない。
私は、このところ小説に挑戦していますし、毎朝、フランス語の上達を目ざしています。
ドーパミンは学習脳、フルアドレナリンは仕事脳、セロトニンは共感脳。
脳とうまく折り合いをつけて、楽しく充実した毎日を過ごしたいものです。
(2017年2月刊。1480円+税)

ぼくが発達障害だからできたこと

カテゴリー:人間

(霧山昴)
著者 市川 拓司 、 出版  朝日新書
世の中には本当に多種多様な人がいるものだと、毎日、痛感しています。私も奇人変人の一人だと自覚していますが、それでも私なんかまだまだ可愛い存在にすぎません。
この本の著者は作家です。私は一冊も読んだことがありませんが、『いま、会いにゆきます』『そのときは彼によろしく』など、私もタイトルだけは聞いて知っています。
アスペルガーであり、ADHD(注意欠陥・多動性障害)をもっています。そんな人がベストセラーになる本を書いているのですから、世の中は不思議です。面白いです。
通常、発達障害者は自分自身について客観的に観察し洞察すること、つまり自己認知ができていないことが多いが、著者はそれを深くしている。きわめて珍しい。
マンツーマンでは会話ができても、三人以上になると会話が混乱して聞きとれなくなってしまうのがAD特有の会話の不得手さ。電話で人と話すこともできない。
ADの人は自分なりの特定の習慣や手順・順番に強いこだわりがあり、臨機応変な対応ができず、変更や変化を極度に嫌う。
また、自分の興味・関心のあること、とくに視覚的な情報を記憶することは得意だが、頭の中で想像することや予測することは苦手とする。
レオナルド・ダヴィンチ、ミケランジェロ、アルバード、アインシュタインもADHDだった。
アーネスト・ヘミングウェイは典型的なADHD.宮沢賢治もADHD・アスペルガー障害を有していた。織田信長も坂本龍馬もADHDだった。
AD、自閉症、ともに遺伝的負因がきわめて強い。AD者は、通常の人より感性が豊かで、美味しいものや心地よい匂いや触感に非常に敏感だ。
この本を読んでいると、この人、とても変わっているよね、そう思われる人ほど、いえ、そんな人こそ、世の中の役に立つ、すごいことをやっているようです。
やっぱり、金子みすずの、みんな違って、みんないい、というのは真理ですね。
(2016年11月刊。780円+税)

歯みがき100年物語

カテゴリー:人間

(霧山昴)
著者 ライオン歯科衛生研究所 、 出版  ダイヤモンド社
いま、毎日、合計10分間の歯みがきに挑戦中です。歯ぐきに違和感があったので歯科医院に行ったところ、心配していた虫歯はありませんでした。そのとき歯周病の恐ろしさから、毎日20分間の歯みがきをすすめられたのです。実際やってみると大変です。キッチンタイマーを目の前にして歯ブラシを動かしますが、夕食後の6分間は、すごく長く感じられます。
歯の表面をこするより、歯ぐきのマッサージのつもりです。まだまだ力の入れすぎだと反省しています。やり始めた直後は、口を開けている時間が急に長くなったせいで、アゴが痛くて、かむ力が弱くなった気がしたほどです。
そんな苦労をしているときに、この本を紹介されたので、さっそく読んでみました。
庶民が今のような歯みがきを日常的にするようになったのは、明治になって歯みがき剤や歯ブラシが普及してからのこと。
明治になってから、人々が甘い物をたくさんとるようになって、明治末期になると、子どものむし歯罹患率は96%に達した。このままでは、むし歯で国が滅んでしまうという危機感から、口腔衛生思想の普及活動が強まった。
今では、小学生(12歳)のむし歯保有数は1本を切っている。そして8020運動(80歳になったとき、自分の歯を20本もっている人が50%以上)の目標達成に近づいている。
私は、むし歯にやられたのは一本だけです(差し歯をしています)。歯は大切ですよね。
平安時代から江戸時代まで続いていたお歯黒(はぐろ)には、むし歯予防の効果もあった。でも、なんだか気持ち悪いですよね。黒い歯って・・・。やっぱり、歯は白いのが一番です。
日本人の歯並びの悪さは世界でも突出している。
江戸吉原の遊廓では、客が朝帰りするときに、楊枝と歯みがき袋、うがい茶碗を出していた。
子どもたちのむし歯洪水が急速に改善した要因として、フッ素配合の歯みがき剤があげられる。
歯垢(しこう)は、歯の表面に付着した飲食物の残りかすと思うのは間違い。本当は細菌のかたまり。これをそのままにしておくと石灰化が始まり、歯石(しせき)になる。
歯周病は、糖尿病を悪化させる要因のひとつ。日本人の成人で歯周病をかかえている人は8割。歯周病は、糖尿病の6番目の合併症。
よくかんで食べる。食後にはきちんと歯みがきをする。寝る前にも歯みがきをする。
すこやかな生活を送る工夫のひとつだと思います。いい本でした。
(2017年1月刊。1800円+税)

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