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カテゴリー: アフリカ

バッタを倒しにアフリカへ

カテゴリー:アフリカ

(霧山昴)
著者 前野 ウルド浩太郎 、 出版  光文社新書
いやあ、面白いです。文句なしに面白い本です。なにしろ、アフリカの地でときに大量発生して猛威をふるい大災害をひき起こすサバクトビバタの生態を解明し、その対策に貢献している日本の若手学者がいるというのです。その苦労話ですから面白くないはずがありません。私は1時間の車中、身じろぎもせず集中して、全身全霊を傾けて没入してしまいました。幸い、私の降りる駅は終点でしたから、乗り過ごすこともなく、無事に降りることが出来ました。車内放送も何もかも耳に入らず、ひたすらアフリカの大地を著者とともにサバクトビバッタを求めてさすらっている心境でした。
実は、著者の本を読んだのは2冊目です。前に、このコーナーで紹介しました『孤独なバッタが群れるとき』(東海大学出版部)も面白かったのですが、この本は、さらに面白い。というのも、科学者の論文づくりの裏話というか、苦労話が満載なのです。
ブログで人気を集めていいたらしいのですが、著者の本が面白いのは、プロによる文章指導があることも知り、なるほど、なるほどと納得しました。
私も、モノカキを自称していますから、文章を書くのは一向に苦になりませんし、そこそこの文章は書けます。ところが、人を泣かせる文章にまでは、はるか道遠しです。そして、後進の、とりわけ弁護士の文章は、見るも無惨なのです。少しは読み手のことも考えて読みやすい文章を書いてくださいな・・・。そんな気持ちから、せっせと赤ペンを入れています。
アフリカのモータリニアには、驚くほど親日家が多い。モータリニアでとれるタコは、日本のマダコと食感、そして味が似ていて、日本人好みだ。だから、「築地銀だこ」は誇りをもってモーリタニア産のタコを使っている。
砂漠にあるオアシスは、現実にはドス黒く濁った水を茶色の泥が囲み、そのほとりには、水を飲みに来た動物たちの足跡だらけの糞だらけで、とにかくクサい。オアシスの正体は、不愉快な水たまりでしかないというのが悲しい現実だ。
バッタは、漢字で飛蝗と書き、虫の皇帝。バッタとイナゴの違いは、相変異を示すか示さないか。相変異を示すものがバッタで、示さないものがイナゴ。
バッタの英語名は、ラテン語の焼野原から来ている。バッタが過ぎ去ったあとは、緑という緑がすべて消え去ることからきている。
サバクトビバッタは、混みあうと変身するという特殊な能力をもっている。まばらに生息している低密度下で発育した個体は孤独相と呼ばれ、一般的な緑色をしたおとなしいバッタ。お互いを避けあう。ところが、まわりにたくさんの仲間がいる高密度下で発育したものは、群れをなして活発に動きまわり、幼虫は黄色や黒の目立つバッタになる。これらは群生相と呼ばれ、黒い悪魔として恐れられる。
ふだんは孤独相のバッタが混みあうと群生相に変身するが、この現象を「相変異」と名づける。ひとたび大発生すると、数百億匹が群れて、天地を覆いつくし、東京都くらいの広さの土地がすっぽりバッタに覆い尽くされる。
そして、成虫は風に乗って、一日100キロ以上も移動するので、被害は一気に拡大する。地球上の陸地面積の20%がバッタの被害にあい、年間被害総額は西アフリカだけで400億円にもなり、アフリカの貧困に拍車をかけている。
著者は生粋の秋田っ子なのに、虫好き人間として、ついにはアフリカにバッタの大量発生を喰いとめる研究者の一員にももぐり込んだのでした・・・。いやあ、その涙ぐましい努力には身につまされるところがあります。
そのうえ、アフリカの地で日本人がサバクトビバッタの研究に日夜、全身で没入して少しずつ成果をあげていく様子に、読んでいて拍手を送りたくなりますし、こちらが励まされます。
また、表紙の写真がいいのです。緑色のアフリカ衣装を着て、バッタを今にも捕まえようと著者が身構えています。
バッタが大量発生するとしても、それがいつなのか、どこが始まりなのか、まだまだ十分に解明されていないということばかりだそうです。
380頁もある新書版ですが、少しでもアドベンチャー精神がある人には一読を強くおすすめします。ちなみに、私にはもはや冒険心は残念ながら乏しいです。身体の若さはなくしてしまいました。だから、こういう冒険小説のような本には心が惹かれるのです。
(2017年7月刊。920円+税)

チェンジ

カテゴリー:アフリカ

(霧山昴)
著者 山田 優花 、 出版  海竜社
ウガンダで子どもたち支援活動を5年あまりも続けている日本人の若い女性がいます。すごいですね。ついつい応援したくなります。しかも、彼女は熊本の出身なのです。
著者は「あしながウガンダ」の代表をつとめています。
「あしながウガンダ」が支援する遺児家庭の多くは、母子家庭。
ウガンダでは、男性に比べて女性の立場が弱い。とはいうものの、実は、日本よりもウガンダのほうが女性が活躍している。日本の男女格差指数は世界で101位に対して、ウガンダは58位である。
赤道直下にあるウガンダ共和国は、「アフリカの真珠」と呼ばれるほど緑あふれる美しい国である。標高が高く、国土の大部分が丘陵地帯なので、年間の平均気温は21~23度と温暖で、1年中過ごしやすい。「アフリカの軽井沢」と日本人は呼んでいる。綿花、コーヒー、バナナが主要な輸出品目。
独立後20年間は政情不安定で、内乱が続いたが、ムセベニ大統領のもとで、この30年間は安定して発展してきた。
仏統的な家屋には、室内に風呂やトイレがない。家の外に小さな水浴び場兼トイレ用の小屋が設けられている。キッチンと呼べるものもなく、調理は室内の隅か外のかまどでする。
ウガンダ人は、50以上の民族と相当な数の言語から成っている。ウガンダ人は、ことあるごとに、「何とかなる」と言う。
「時間を守らなければいけない」という意識が乏しい。ただし、ウガンダ人は、ホスピタリティにあつい。そして、純粋な優しさがある。
著者は、女性の一人暮らしをしているので、防犯には気をつかう。鍵と南京錠を幾重にもかけ、枕元に金属バットを置いている。愛猫をなでて、気をやすめる。
あしなが育英会の奨学金を受けて外国語大学に学び、英語と中国語を身につけ、アフリカへ単身とびこんだ勇気ある女性の話は、読んでいて元気が出てきます。
(2017年4月刊。1300円+税)

アフリカに進出する日本の新宗教

カテゴリー:アフリカ

(霧山昴)
著者 上野 康平 、 出版  花伝社
 このところ、創価学会に並んで幸福の科学の政治面での派手な活動が目立ちます。あちこちで候補者を立てています。よほど資金が潤沢なのでしょうね。
その幸福の科学など、日本の新宗教がアフリカに次々に進出しているというのです。驚きます。いったい言葉の壁、生活習慣の違いをどうやって乗りこえるのでしょうか。そして、その活動資金はいったいどうするのでしょうか。アフリカから日本まで来ると30万円はかかりますよね。アフリカの庶民にとっては高値の花ではないでしょうか・・・。
この本では、創価学会と幸福の科学のほか、崇教真光(まひかり)や統一協会、真如苑などが取りあげられています。
日本国内の新宗教の信者は3000万人。これは人口の23%にあたる。そして、宗教家が70万人いる。これは、全国の小中学校の教員数が67万人なので、それよりも多い。
幸福の科学は、東アフリカの小国ウガンダで流行している。ウガンダ国営テレビが大川隆法の講演と映画を放映した。そして、2012年には、国立スタジアムで大川隆法が1万人規模の講演会を開いた。
天理教は、コンゴ共和国で活動している。
真如苑は、日本では創価学会、立正校正会に次いで多い100万人の信者を有する。真如苑は、ブルキナファソで活動している。
崇教真光は、ヨーロッパ・アフリカ方面指導部をルクセンブルグの古城に置いている。1987年に1億6千万円で古城を購入した。西アフリカから日本へ、年に数回、岐阜県の総本山での祭礼に参加しようと、ビザを申請するアフリカ人が大勢いる。
コートジボワールでは、1990年に創価学会の支部が設立されていて、当初200人の会員が、今では3万人になっている(らしい)。
アフリカの地に日本の新宗教が本当に根づくことが出来るでしょうか・・・。疑問が深まりました。
(2016年7月刊。1500円+税)

食い尽くされるアフリカ

カテゴリー:アフリカ

(霧山昴)
著者 トム・バージェス、 出版  集英社
 巻末の解説文を紹介します。
 中国はアフリカ経済を発展させるといって資源開発を次々にすすめている。しかし、今までのところ、アフリカの人々には、その恩恵はまったく及んでいないというのが現実だ。エネルギーを輸出するためにつくられた交通インフラは、人々のために役立っていないどころか、むしろ安価な中国製品が大量に流出するルートになり、アフリカ現地の工業化を大きく妨げている。そのうえ、そのインフラ建設費の3割は汚職によって消えている。
 天然資源関連の産業は、国内に雇用を生まない。そのため、アフリカの人々のあいだに大量の貧困が発生している。
 中国の汚職官僚たちは、中国内で略奪システムを構築し、そのシステムを通して蓄えた富を秘匿性の高いタックスヘイブンに隠すテクニックを身に付けた。今のアフリカの天然資源国における略奪システムは、中国の高級官僚によってつくられた汚職システムが修正されて、アフリカに輸出されたものと言ってよい。
 中国とアフリカとは、今このような関係になっているのですね・・・。
 植民地時代のヨーロッパの帝国や冷戦時代の超大国が姿を消し、資源の宝庫であるアフリカ大陸には新たな支配の形が生まれている。アフリカに生まれた新たな帝国を支配するのは、もはや国家ではない。何ら国民に責任を負わず、影の政府を通じて国土を支配するアフリカの政治家、彼らを世界の資源経済と結びつける仲介者、企業秘密を盾に汚職をおこなう東西の多国籍企業、この三者の連合勢力がアフリカを支配している。
 中国は、ニジェールでウランを採鉱し、未開発の油田を掘削する権利を受けとる代わりに、独裁者タンジャが独裁政治を遂行するために必要な手段を提供した。そして、5600万ドルのうちの4700万ドルは反乱を鎮圧するための武器の購入にあてられた。
 中国は、アフリカの変化にあわせてアフリカ諸国に支援の手を差し伸べている。中国は2004年にアンゴラで協定を結んだあと、コンゴやスーダンとも同じ取引をした。いずれも、インフラを提供する見返りに天然資源をもらうという数十億ドル規模の取引である。
中国の海外での契約の3分の1はアフリカとの契約である。アフリカにおけるインフラ支出の3分の2は中国に資金が占めている。
アフリカの主要水力発電ダム10基の建設資金の大部分を中国が提供する。これらのダムによって、アフリカ大陸全体の発電量の3分の1の電力を生産する。
 エピオチアでは中国が構築した携帯電話鋼が利用され、中国が建設した空港を通じて貨物が流通している。アフリカ連合の新しい本部ビルは2億ドルかけて、エチオピアの首都アディスアベバにつくられたが中国が資金を提供した。
アフリカへの融資の最大の資金源は、国有の中国輸出入銀行だ。
中国の国有企業は、シエラレオネから南アフリカに至るアフリカの天然資源をもつ欧米の企業から230億ドルを費やして持分を購入した。
中国は、欧米の諸国と競争だけでなく、協力もしている。
アフリカの資源国家の支配者は、国民の同意を得なくても国を統治できる。それが資源の呪いの核心にある。資源ビジネスがあるかぎり、支配する側と支配される者との社会契約は成立しない。
アフリカにおける中国の存在感は日に日に強大となっていますが、そこには大きな問題もあることを認識させられる本です。
(2016年7月刊。1900円+税)

スリ・コレクション

カテゴリー:アフリカ

(霧山昴)
著者  ナギ・ヨシダ 、 出版  いろは出版
 これはすごい。とてつもない美的センスです。想像もつきません。よくぞ、このような写真を撮った(撮れた)ものです。
 若い日本人女性ならではの突撃精神がなければ、並みの日本人男性には撮る勇気もないでしょう。なにしろ、舞台はアフリカのエチオピアの奥地。首都のアジスアベバから何と車で片道3日間、悪路を走った先に位置する。そのうえ、世界有数の虫大国だから、南京虫、ダニがうようよ。ダニで足がマシンガンで撃たれたような痕だらけになって若い日本人女性カメラマンがたどり着いたのです。
 撮影期間は、わずか5日間。待ったなしです。ここでは写真そのものは紹介できませんので、そのすごさの一端を想像してもらうために、この女性写真家の文章を引用します。
 まずは川で水浴び。そのあとは、思い思いの草花を手あたり次第に集めて、顔や身体にまきつけていく。石灰石や赤土を山から持ってきては水に溶かして自分の顔や身体に塗る。自分では見えないところや手の届かない場所は、友だち同士でメイクしあう。褐色の肌に葉柄のスタンプ。顔の周りに巻きつけた野生花のリース。見たこともない実をつけた樹木のクラウン。
日本の生け花の草月流もまるで顔負けの美的センスのオンパレードです。いやあ、まいりました・・・。すごいです。
スリ族のファッションは感情表現そのもの。太古の時代から、ほとんど変わらない姿のまま、自然の中で生きてきた。満月が出れば身のまわりにある草花で自分を着飾って踊る。うれしいことがあればメイクをして歌う。ファッションは自分の心を表現するための楽しいもの。
 この若き女性写真家は、まだ幼いころ、マサイ戦士を見て憧れたとのこと。中学2年生で学校をドロップアウトして英語もろくに話せなかったというのに、アフリカの奥地にまで出かけて少数民族の写真を撮り続けているのです。たいした根性です。
 一見の価値が十分にある写真集です。3400円(プラス税金)と、ちょっと値がはりますので、近くの図書館(に購入してもらって)でぜひ手にとって眺めてみてください。人生観がほんの少しだけ変わることを、私がお約束します。それにしても、どうやって、こんな奥地までたどり着けたのでしょうか・・・。そんな旅行記も読んでみたいものです。
(2016年4月刊。3400円+税)

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