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カテゴリー: 社会

すごい裁判官、検察官、ベスト30

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かなざわいっけい著 2008年発行
著者は競馬ブックの記者であるが、本業が暇な平日の時間帯を利用して、あしげく東京地裁の法廷傍聴に通っているのだそうな。傍聴回数は3000回に及び、自ら「傍聴官かなざわいっけい」と名乗っているのだそうな。
本書は、そんな傍聴官が印象に残る「すごい裁判官」、「すごい検察官」、「すごい弁護士」を綴った人物風土記である。例えば、被告人のトドメを刺す鬼裁判官、「フェ」から先が言えない純情検察官、厚かましいが美形の巨乳弁護士・・・エトセトラ
こんな軽めの本もいいかなと思って読んでみたが、最後の法廷傍聴記は少し感じ入った。法曹が、それぞれの背負っている立場を超えて、真実を追究する姿の描写はなかなかのもの。詳細はここでは明らかにしませんので、各自がご一読を。

「ふたつの嘘」

カテゴリー:社会

著者  諸永 祐司 、  出版  講談社 
 
 毎日新聞記者(西山太吉氏)が外務省の機密電信文を入手し、それをもとに国会で社会党の議員が政府を追及した。沖縄返還をめぐって、日本政府がアメリカと重大な密約を結んでいたことを暴露する内容だった。ところが、やがて問題すりかえられた。西山記者が入手した情報が外務省の女性事務官との男女関係によるそそのかしにもとづくものだったことにマスコミが焦点をあて、本当の問題点だった政府間の密約問題が話題にのぼらなくなった。このときのマスコミって、無責任報道の典型ですよね。
作家の村上春樹の受賞スピーチが紹介されています。モノカキのはしくれとして、私はなるほどそのとおりだと思いました。
小説家は上手な嘘をつくことを職としている。ただし、小説家のつく嘘は、嘘をつくことが道義的に非難されない。むしろ、巧妙な大きな嘘をつけばつくほど、小説家は人々から賛辞を送られ、高い評価を受ける。小説家は、うまい嘘、つまり本当のように見える虚構を創り出すことによって真実を別の場所に引っ張り出し、その姿に別の光を当てることができる。
なるほど、なるほど。まさにスピーチのとおりです。
西山記者は毎日新聞を辞め、北九州で隠遁生活を過ごす。妻との離婚の危機、そして、息子たちとの葛藤。さらには競艇への乗めりこみ。うつうつとした生活がずっと続きます。
ところが、ついにアメリカ公文書館で密約を掘り起こした日本の学者がいて、それが日本マスコミで大々的に報道されました。それを受けるかのように、日本の裁判所が密約の開示を政府に命じる判決を下したのです。ついに、西山記者の主張が裁判所でも認められた一瞬でした。すごいですね。苦節40年近くを経て、いったん不当におとしめられた職業人が不死鳥のごとくよみがえったのです・・・・。
 それにしても、こんな大切なことで日本国民を裏切る政府なんて許せないことですよね。いつだってアメリカ政府言いなりの菅政権に対しては、いいかげんにしてよ、あんたも若いころはアンチ・アメリカを叫んでいたんじゃないのと言って、お尻ペンペンしてやりたくなりました。
(2010年12月刊。1800円+税)
 震災後に続いている福島原発の深刻な事態について、政府は本当のことを国民に知らせていないのではないかと言われています。真実を知らせると国民がパニックを起こして収拾つかなくなるという考えにもとづくものです。でも、真相が隠されていると国民が疑う状況では、かえって無用のパニックが発生しかねません。政府は「直ちに健康被害は出ない」「落ち着いて行動してください」と言うだけではなく出来る限り正確な情報を国民に知らせるべきではないでしょうか。そうなることによって、かえって政府発表への依頼性が増し、国民は冷静に対応できると思います。
 それにしても大震災発生後2週間たっても原発災害の異常事態が続くのはあまりのことです。政府は日本の科学者・技術力のすべてをそそぎ込んで安全を確保してください。お願いします。
 我が家のチューリップが咲きはじめました。きのう数えたら15本のチューリップが咲かせています。なぜか赤い花ばかりです。チューリップ畑を眺めて、原発による不安の心を少しだけ落ち着かせています。

無縁社会の正体

カテゴリー:社会

著者  橘木 俊詔、   出版  PHP研究所
 この著者の本は、いつものことながら、とても実証的で大変勉強になります。
日本の自殺者は毎年3万人を超えているが、自殺者の多い40歳代から60歳代では、男性の自殺者数は女性の3倍になっている。自殺の理由は健康問題と経済問題の2つで79%つまり8割を占めている。
 戦前の日本では単身者は5~6%と、非常に少なかった。ところが2010年に31.2%となり、これから2030年には37.4%になると見込まれている。3分の1以上、4割に近い単独世帯である。これは、結婚しない単身者の増加と老後に一人で住む人の増加による。
 貧困大国・日本はあながち誇張ではない。そして、貧困者をふくむ低所得高齢者の所得は年金しかないのが現実だ。
 年金給付額をアップせよというと反対論が起きる。自立の精神にもとづいて、老後の生活に備えて自己資金を十分に蓄えておくべきだという考え方である。しかし現実には、これらの高齢者の多くは、若・中年期の所得が低かったうえ、それほど贅沢な消費をしていなくとも、貯蓄にまわせる分が少なかったので貯蓄額が低かったのであって、本人だけの責任ではない。
 そうなんですよね。自己責任という前に、社会がきちんと機会を与えていなかった、否むしろ、その機会を奪っていたという現実を直視すべきではないでしょうか。自己責任論は政治の責任をあいまいにしてしまいます。
 日本の貧困は、母子家庭における深刻さが目立つ。高齢単身者は、全貧困者のうち5分の1を占めている。貧困に苦しむ高齢者(とくに単身者)は、生活保護制度に対してほとんど期待できないのが現実である。資産調査が厳しいし、申請書類が複雑だし、恥の感情から申請をためらう。
戦前までの日本は、国民皆婚時代と呼ばれるほど、ほとんどの人が結婚した。しかし、1970年代半ばから婚姻率が7~8%と低下しはじめ、現代では5%にまでなっている。生涯に一度も結婚しない人(生涯未婚率)は戦前までは2%以下だった。ところが、1990年代に入ると5%をこえ、ここ15年のうちに5.5%から16.0%へと3倍も増えた。
お見合い結婚は、50年前には結婚全体の半数以上を占めていた。今では、1割にもみたない。結婚にあたって仲人を立てる人が激減し、1994年に63.9%だったのが、2005年には1.3%でしかない。結婚は、当事者同士だけのものとなっている。
私の住む町にも一人暮らしは多く、同じ団地内には数多くの人が一人で生活しています。老後を安心して生活できる社会環境にない日本って、本当に残念です。そして、その解決には消費税を増税するしかないという議論があまりにも多すぎます。消費税を増税しても法人税減税の穴埋めにつかってきた事実があるわけですから、ごまかしはやめてほしいと思います。いろいろ考えさせてくれる本でした。
 
(2010年2月刊。1600円+税)

単身急増社会の衝撃

カテゴリー:社会

著者  藤森 克彦、  出版  日本経済新聞出版社
 高齢かつ単身で生活する人が急増しています。日本は世界のなかでも、飛びぬけて多いようです。これって、なかなか深刻な問題です。国がきちんとした対策を立てるべきだと私は思います。だって、一人暮らしは病気になったりしたら、とても大変なことになるんですよね。
 50代・60代男性のおおむね4人に1人が一人暮らしになる。これが20年後の日本の姿だ。すでに、この20年間で単身世帯数が3倍以上に増えた。高齢者で単身世帯が増えたのは、長寿化による高齢者人口の増加と、結婚した子どもが老親と同居しなくなったことが大きな原因だ。50代と60代の男性で単身世帯が増加したのは、これらの年齢階層の人口増加に加えて、未婚者が増えたのが大きな要因。
50歳までに結婚したことがない人の割合を生涯未婚率と呼ぶが、男性は1985年までは3%以下だったのが、2005年には16%となった。しかも、20年後には29%となると予測されている。同じく女性は23%。
 2007年、全国の150万人の生活保護受給者がいて、その半数以上(54%、81万人)を単身者が占めている。男性41万人、女性40万人である。60代と70代の単身男性の17%が生活保護受給者。50代でも10%。これは50代における単身者の貧困が深刻な状況にあることを示している。
2008年の全国の自殺者3万2千人のうち、50代が20%を占めている。そして、その8割が男性であり、その4割が経済生活問題を動機としている。
 国際的にみて、日本社会は「社会的孤立」が進んでいる。共同住宅に住む人は地域から孤立する傾向がある。日本では介護における家族の役割が大きい。欧米諸国では、公的な介護サービスに加えて、家族以外の人によるインフォーマル・ケアが活発で、それらが高齢単身者の生活を支えている。
 非正規労働者は賃金が安く、雇用も不安定である。だから、結婚を望んでも踏み切れない。これは本人の自助努力だけでは克服できない問題である。社会として、非正規雇用の問題を是正すべきなのである。
 日本社会は社会保障を充実させないと大変なことになるというのがよく分かる、とても実証的な本です。
(2010年9月刊。2200円+税)
 日曜日の午後から庭の手入れをしました。ジャーマンアイリスを少し植え替えてやったのです。本当は6月に花が咲き終わったころのほうがいいようですが、例年、今ごろ植え替えています。貴婦人のように艶やかな花弁と花色で楽しませてくれます。
 ポカポカ陽気だったので、朝は一分咲きだった桜(サクランボです。ソメイヨシノではありません。)の花が午後には四分咲きになりました。ジョウビタキも何してるのと寄ってきてくれました。
 いつもなら散歩の人が何人も何組も通って声をかけてくれるのですが、一人も通りません。静かすぎて不気味です。庭に出ているあいだ大変なことが起きているのかもしれないとだんだん不安になってきました。初めての体験です。
 あまりにも悲惨な映像なので、気分が悪くなって早々に寝ました。悪い夢を見た人も多いようです。被災者の皆様には、本当に心からお見舞い申し上げます。私も及ばずながら、いくらかお役に立てればと考えています。
 うぐいすが見事に歌ってくれた春の一日でした。

「最強のサービス」の教科書

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著者 内藤  耕、  出版 講談社現代新書
 
 サービスとは何か、いったい何を、どうしたらよいのかを改めて考えさせてくれる本でした。サービスの提供現場を現場で働く従業員の気合や度胸、根性に任せるべきではない。気合や度胸、根性といったものに頼っている企業は、最終的には成功も成長もできない。
単に働く人の経験や勘、スキルに頼ってサービスを提供するのではなく、顧客が求める同じ品質と内容のサービスを繰り返し提供でき、また現場で働く従業員も人間でなければ出来ない作業に専念し、肉体的な負担も蓄積もしない仕組みをバックヤードに作り込んでいる。現場で収集された顧客に関する情報を共有し、それにもとづいて組織的にサービスを提供する。これは有名な旅館「加賀屋」についての記述です。
サービス産業の現場には顧客がいて、その顧客は気まぐれで、何を求めているのかを事前に知るのは、ほとんど不可能である。そうなんですね、わがままな客を相手としつつ、そこに満足を与えるのがサービス産業の醍醐味なんですからね。
それにしても、離婚ローンなるものを提供する銀行があると知って驚きました。大垣共立銀行は慰謝料や裁判費用、財産分与資金を融資するというのです。すごい発想です。 この銀行は、また、敷地内の建物もコンビニそっくりです。前に広々とした駐車場をとり、ATMは店舗の奥に、そしてトイレはロビー側に設置しているのです。ドライブスルーATMまでもうけているというのですから、銀行も変わりましたね。
旅館「加賀屋」に私は泊まったことはありませんが、そこに立ち入ったことはあります。石川県の和倉温泉です。「加賀屋」の近くにある系列の大衆向けホテルに泊まったので、「加賀屋」をのぞきに行ったのでした。お客の満足な日本一を長年続けている旅館とは一体どんなものなのか知りたいでしょ。ミーハー気分で1階のロビーと土産品店街をウロウロしてみました。
加賀屋は宿泊客を世話することを、自ら提供する最大の商品と位置づけている。私は加賀屋の偉いところは、まずもって従業員をとても大切にしているということです。女性に優しい労働環境から、加賀屋の従業員の離職率は低い。長く働くことで従業員一人ひとりのスキルレベルがさらに高くなる。さらに、離職率が低ければ、採用や人材育成にかかるコストも低くなる。見えないところでは大いに合理化、機械化して、見えるところでのサービスの向上をはかるというのです。すごいですね。
私の事務所でも定着率はいいほうだと思いますが、労働組合(分会)があって、一年中、団交が続いています。経費の節減と事務職員の士気の向上との兼ね合いもまた難しいところがあります。
実務的大変参考になる本でした。
(2010年9月刊。720円+税)

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