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カテゴリー: 社会

オスプレイとは何か?

カテゴリー:社会

著者   石川厳、大久保康裕 ほか 、 出版   かもがわ出版 
 オスプレイとは、ミサゴという島の名前。ミサゴは魚をとって食べる島。獲物を見つけると、空中に静止し(ホバリング飛行)、その後、急降下して両足で獲物をとらえる。
オスプレイはアメリカ軍(主に海兵隊)が導入した新しい軍用機。
 海兵隊の作戦では、垂直に離着陸する軍事的な必要性が高い。戦争の初期の段階で、強襲揚陸艦に乗って適地に近づき、兵員と物質を上陸させて、アメリカ軍の作戦を遂行する拠点を築きあげる。
オスプレイは、GH-46というヘリコプターの代替機だが、行動半径は4倍、積載量は3倍、速度も2倍である。オスプレイは、イラクとアフガニスタンに派遣されている。オスプレイは、開発段階で事故が多発し乗員30人が命を失っている。「未亡人製造機」というあだ名までつけられている。
オスプレイは、輸送機なので対人兵器は着陸時の自衛用のライフル1丁、機関銃2丁しかもたない。重量がある割に、揚力があまりないので、兵器で機体の重さを増やせない。だから、作戦時は戦闘機の護衛が必要になる。
 海兵隊のオスプレイが海外に配備されるのは、日本のみ。海兵隊がまとまった戦闘部隊を配置しているのは、海外では日本だけだから。
 オスプレイの回転翼(ローター)は一般ヘリより小さい。これは強襲揚陸艦に積む場合の限度があるから。
 オスプレイは臨機応変の戦闘機動性に欠ける。これはコンピューター操縦のため。
CH-46ヘリの機体には、その平衡感覚を保つバランサーに劣化ウランが使用されている。
オスプレイが日本で事故を起こしたら、公務中だと考えられるので日本で裁判はできない。
オスプレイの低空飛行訓練は、地上の武装勢力の仕掛け爆弾設置とか、特攻自爆車が突っ込んでくるのを監視する。だから、低い上空を30分も40分もぐるぐる旋回する訓練をする。
日本地位協定にも、アメリカ軍は日本の法律を尊重する義務がありことを定めている。ドイツでは、ドイツ側の同意があって、低空飛行訓練のルートが設置されている。日本でも同じように交渉できないはずがない。
アメリカの言いなりで、何もものの言えない日本政府、民主党政権のだらしなさには呆れてしまいます。民主党政権とまったくかわりません。こんなことで日本人の生命・財産を守る政府と言えるはずもありません。腹立たしい限りです。
(2012年9月刊。1000円+税)

災害派遣と「軍隊」の狭間で

カテゴリー:社会

著者   布施 祐仁 、 出版    かもがわ出版 
 戦う自衛隊の人づくり、というサブタイトルのついた本です。
3.11災害で出動した自衛隊に対する国民の肯定的評価が圧倒的に高まりました。もちろん、それは自然な流れだと私も思います。でも、自衛隊って本当に災害救助隊なのでしょうか・・・。いえ、もちろん違います。この本は、その違いを多方面から迫っています。
 自衛隊の最大の任務は「国防」であり、災害派遣は「従たる任務」の一つにすぎない。そして、「同盟国アメリカの要求」を加えた三つの狭間(はざま)で揺れているのが現在の自衛隊である。
 陸上自衛隊がアメリカの要請でイラクのサマワに行ったとき、その宿営地に対して迫撃砲やロケット弾攻撃は13回22発もあり、移動中の陸上自衛隊の車列がIED(仕掛け爆弾)攻撃を2回も受けた。いずれも幸いなことに死傷者は出なかったが、その可能性は高かった。小泉首相(当時)は、イラクへ「戦争に行くのではない」と断言したが、実際には自衛隊が「武力行使」に踏み込む危険性がおおいにあった。
 イラクへ自衛隊を派遣した費用721億円の大半は600人の部隊を駐留させるために使われた。そして、費用対効果の面からいったら「自衛隊でなければならなかった」理由はない。
 結局、陸上自衛隊のイラク、サマワ派遣は、日米同盟の下での「派遣のための派遣」だった。つまり、災害派遣は日々の訓練のおまけでしかない。
アメリカ軍は、このところ新兵募集に成功している。2009年度は17万人近い新兵の獲得に成功した。景気が悪くなって志願者が増えたのだ。同じことは日本でも言える。2007、8年度は8万人台だったが、2009年度には10万4000人にまでなった。
なにしろ、高卒で衣食住がついて月16万円というのですから、たとえば母子家庭の子が早く親孝行したいと思って応募する気持ちは分かりますよね。
 そして、自衛隊の募集ポスターには銃などの武器がどこにも見あたらない。自衛隊は「軍隊色」を隠している。そこはアメリカ軍の募集ポスターとまったく異なる。
 自衛隊員のストレスは増大し、自殺者が増えている。年間50人だった自殺者が今では、80人から90人台へと増加している。イラクに派遣された自衛隊員については3倍の割合で自殺している。全体で5600人のうち16人が在職中に自殺している。
これについて、「自殺者は自然淘汰として対処する発想も必要」という内部文書があるのを知って、驚きました。「軍」になると、自殺も損耗率の一つにすぎないということなのでしょうね。
 自衛隊に若者を送り込むために学校、とりわけ中学・高校がターゲットにされているようです。そして、そのとき、若者に安定した仕事がないことが格好の材料にされているという悲しい現実があります。
20万人をこえる自衛隊を一挙に解消することができない以上、大災害救助隊に再編成するにしても、いろいろ考えることがあるというわけです。
(2012年7月刊。1500円+税)

「橋下総理」でいいんですか?

カテゴリー:社会

著者   小西 進 、 出版   日本機関紙出版センター 
 日本に新しい政治が生まれる。アメリカのような二大政党が選挙の結果で政権交代していくシステムが出来た。
 こんな大きな期待を背負ってスタートして二大政党制ですが、今ではすっかり期待はずれの感があります。日本人の忘れやすさを代表するのが橋下徹・大阪市長が代表も兼ねる日本維新の会です。この本は、今や人気絶頂にある橋下徹の内実・真相に迫っています。
橋下徹の言葉は、いつも、いつもながらシンプルである。
 橋下徹は、TPP賛成で、ブレない。労働市場は基本的に自由化すべしと主張する。
 橋下徹は、昔から核武装論者を自認していた。日本は、アメリカの核の傘の中で守ってもらい、原子力空母や潜水艦によって守ってもらっていると主張する。
 橋下徹は次のように演説した。
 「自分でしっかり生きていくことができる力を持つ。分かちあい、助けあい、弱者切り捨てだけ、このような甘い言葉こそ、本当に危険。国民が自立することを忘れてしまい、他人を頼ることを根本原則にすれば、もはや国家として地域として成り立たない。社会保障は、もうもたない。もたれあい、たよりあい、依存しすぎ、悪しき流れをきちっと絶つ」
 驚くべき冷たさ、弱肉強食そのもの超保守政治家です。非正規社員、派遣社員ばかりで、とりわけ若者が自立できない労働環境になっていることを橋下徹は、すっかり忘れてしまっています。こんな政治家は無用です。
 高校生に向かって、「いまの日本は、自己責任がまず原則」と開き直る橋下徹。これほど政治家として無責任な放言はありません。「自己責任」ではどうしようもなくなっている現実をなんとかすることこそ、政治家の果たすべき使命ではありませんか・・・。
橋下府政は、その前の太田府政のときの借金2848億円(年平均)を上回る3587億円を借金した。
 大阪府の財政危機の大きな原因は、関西空港2期事業などの巨大開発。りんくうタウン、阪南スカイタウン、水と緑の健康都市の3事業だけで4440億円の赤字を生んだ。そして、同和対策事業に年50億円も投入して継続した。
その反面、橋下徹の弱い者いじめは徹底しています。
 敬老パスの有料化、コミュニティーバスへの補助費削減、国保料減免の縮減、障害者スポーツセンターの統廃合、などなど・・・。
 橋下徹は、能や文学が好きな人を「変質者」と呼んだ。
 2011年6月29日、橋下徹は有名な演説をした。
 「日本政治で一番重要なのは、独裁だ。独裁と言われるくらいの力、これが日本の政治に一番求められている」
 橋下徹の政治の中身は、民主党や自民党とまったく同じ、いや、もっとひどい政治を一気にすすめようとしています。右側から民主主義を攻撃する突撃隊の役割を果たしているのです。
 「決める政治」と言っても、悪い方向にどんどん強引に決められ、すすめられたら大変なことになりますよね。もう、いいかげんマスコミが橋下徹をもてはやすのは止めてほしいとつくづく思います。
(2012年8月刊。1143円+税)

地熱エネルギー

カテゴリー:社会

著者    江原 幸雄 、 出版    オーム社 
 この夏、電力不足で停電になると電力会社と政府・財界からさんざん脅されましたが、猛暑のなかでもなんとか停電もなく耐え抜きました。原子力発電所に頼らなくてもやっていけること、原子力発電所に頼ってはいけないことが次第に国民に浸透していることを実感します。
原発以外のエネルギーとして、地熱発電にもっと力を注ぎこむべきだと強調している本です。先日、同じことを伊藤千尋氏(朝日新聞)も言っていました。九州には、既に九重に大きな地熱発電所があります。それを大いに活用すればいいのです。
 地熱発電所の歴史は古く、いま世界各地で地熱発電も非常に熱心に進めている。世界最初の地熱発電は、1904年、イタリア北部のラルデレロに始まった。
現在、世界中30ヶ国で地熱発電がおこなわれ、2010年には世界の地熱発電所は1000万kwをこえた。2015年には1850万kwをこえる見込みである。
 日本では、1999年までに全国18ヶ所、54万kwの地熱発電国になったが、その後は原発推進のため、すすんでいない。日本の地熱資源ポテンシャルは2000万kwをこえると推定されている。
地球の中心は6000度Cと推定されており、偶然だが、太陽の表面温度と同じ。地球も堆積の99%は1000度C以上、100度C以下は0.1%にすぎない。したがって、地球は巨大な熱の塊と言うことができる。
 日本の地熱ポテンシャルが2000万kwというのは、アメリカ、インドネシアに次いで世界第3位。日本は世界に冠たる地熱資源大国なのである。ところが、現在、わずか2%、54万kwしか利用されていない。
安全で安いと言われてきた原発が、実のところ、人類がコントロールできないほど危険なものであり、その始末することが不可能なことを考えたら、コストは無限大のようなものだ。このことが明らかになってきた今、私たちは地熱エネルギーのコストが少しくらい割高でも、これを活用しない手はないと思います。
 とってもタイムリーな本でした。
(2012年3月刊。2800円+税)

舟を編む

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著者    光浦 しをん 、 出版    光文社 
 辞書は、モノ書きを自称する私にとっては必須不可欠なものです。いまも本の最終校正の真最中ですが、辞書を引く手間を惜しまないようにしています。思い込みによる間違いも多々ありますし、何より同じ言葉を繰り返さず、異なった表現にするためには辞書を引いておかないと、とんだ恥さらしをしかねません。
 この本は、辞書づくの過程を面白く、ドキドキワクワクの世界に仕立て上げたものです。思わず応援したくなります。なんといっても、言葉との名義性には目を大きく見開かされます。
 めれんという言葉をはじめて知りました。慌てて私の愛用する角川国語辞典で探しましたが、幸いのっていませんでした。酩酊を意味する言葉です。「仮名手本忠臣蔵」に出てくる言葉のことです。
それにしても、声という言葉に、季節や時期が近づくけはいという意味があったなんて。信じられません。でも、たしかに「四十の声を聞く」という文章はありますよね・・・。
 辞書は、言葉の海を渡る舟だ。だから、海を渡るにふさわしい、舟を編む。
ここに、この本のタイトルは由来しています。
 辞書を作るのに、何年、いや10年以上かかるのは珍しくない。そして出来上がった辞書は出版社の誇りであり、財産だ。人々に信頼され愛される辞書をきちんと作れば、その出版社の屋台骨は20年は揺るがない。
山にのぼるとは言うが、山にあがるのが、まず言わない。天にものぼる気持ちといっても、天にもあがる気持ちとも言わない。なぜか?
 「こだわり」の本来の意味は、拘泥すること、難癖をつけていること。だから、いい意味で使ってはいけないのだ。そうだったんですか・・・。これまた、知りませんでした。
 辞書用の紙は特殊なもの。厚さは50ミクロン。重さも、1平方メートルあたり45グラム。そして裏写りはしない。問題は、ぬめり感。指に吸いつくようにページがめくれる。しかも、紙同士がくっついて複数のページが同時にめくれてしまうことがない。
 辞書づくりの人は用例採集カードを常時もって歩いている。何か目新しいコトバに出会うと、その場ですぐにカードに書きとめる。
 うむむ、辞書の作成にかかわる人々は、相当重症のオタクとみました。でも、そんなオタクの人々が、日本の文化を下支えしているのですね。とても面白い本でした。
(2012年2月刊。1500円+税)

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