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カテゴリー: 社会

「市場と権力」

カテゴリー:社会

著者  佐々木 実 、 出版  講談社
竹中平蔵という人物の本性を、よくよく暴いた本です。経済学者というのが、アメリカも日本も、これほどまでに世の中の経済を分析すると称して、実は自分の金もうけに熱中しているのか、その実態を知って愕然としました。
アメリカの名だたる経済学者が、結局、投資顧問とか証券会社に取り入って超高給とりになっているのは、アメリカのことだから、そんなものかと思いました。でも、竹中平蔵をはじめとする日本の高名な経済学者も結局、同じだったのですね。これには、いささか幻滅させられました。もちろん、例外もあるのでしょうが、東大教授の肩書きでTPP推進の弁を述べる人は、ほとんどこれにあてはまるのでしょうね。
竹中平蔵は、超高級マンションを東京都内にいくつも所有しているとのこと。本人は、本がたくさん売れて、その印税で購入したと弁明していますが、それでは説明がつきません。あちこちの大会社の取締報酬が超高額なのです。言わば、マッチポンプのようなものです。政府の中枢に食い込んで、それをすべて自分自身の金もうけに結びつけるのです。そのくせ、日本に本当に貧乏人なんかいるのですか・・・、と平然と問い返すのです。その厚顔無恥には、呆れるというより、怒りすら覚えます。許せません。
 日本で非正規社員が増えたのは、正社員が保護されすぎているためだからだと竹中平蔵は言う。とんでもありません。正社員を既得権益者として竹中平蔵は指弾している。「働き方の自由」を実現するため、解雇規制の緩和が必要なのだと竹中平蔵は言う。
 フツーの人々の生活の安定なんて、竹中平蔵の眼中にはないのですね・・・。
竹中平蔵は高校生のころ、民青の一員だった。もちろん、民青というのは、日本民主青年同盟、つまり日本共産党のシンパの組織です。ところが、一橋大学に入る前のころから、竹中平蔵は民青と訣別し、一路、金もうけの道にまっしぐらです。
そして、共同研究の成果を竹中平蔵一人の著者にしても平気です。共著にすると業績としての価値が低くなるからです。嫌ですね。こんな品性下劣の人とは一緒にいたくありませんよね。
竹中平蔵の所得は、2000年ころ、申告納税額が2000万円ほどなので、9000万円ほどと思われる。これは、政策コンサルタントとして稼いだものだろう。うひゃあ、すごいですね。
 しかも、竹中平蔵は、日本人として支払うべき住民税を免れるため、アメリカに居住しているとして、日本での住民登録の抹消と再登録を繰り返した。
 いやはや、あまりにも「せこい」手法に、呆れかえってしまいます。これが高名な経済学者のすすめる「節税」だなんて・・・。
 そして、竹中平蔵は、内閣・官房機密費(2000万円)を使って、アメリカに留学しようとしたのです。月1億円は内閣が自由に使えるという例の「ヤミ支出」です。竹中平蔵の腹黒さも、ここまでくると、「サイテーの男」としか言いようがありません。
 竹中平蔵は、企業人との出会いを、たちまち、自らのビジネスチャンスに変えてしまう。
 竹中平蔵は、言論の基本ルールを逸脱しているため、言論戦に敗れることがない。これって、「嘘八百」ばかりというころですよね。
竹中平蔵は、自民党政権の中枢に食い込む一方で、反対党の民主党(鳩山)にも手をのばしていた。そして、自民党のなかでも、次の政権を狙いそうな政治家にも・・・。
 これって、あまりにも見えすいていますよね。だから、小泉純一郎には気に入られても、次の麻生からは嫌われたようです。こんな低レベルの男によって日本の経済政策が動かされていたのかと思うと、寒々とした気分になります。
 竹中平蔵と同じレベルの企業家が宮内義彦(オリックス)です。自分のことしか念頭にない人たちによって、日本という国がダメにされるなんて我慢がなりません。
 企業が金もうけすること自体は、私だって悪いことだとは思いません。それでも、それは、従業員をふくめて、みんなの幸せにつながるからいいのではありませんか・・・。自分と自分のファミリーだけよければ、あとはどうなっても「自己責任」だなんて、とんでもないことですよね。読んでいて、思わず腹の立つことの多い本でした。
(2013年4月刊。1900円+税)

集団的自衛権のトリックと安倍改憲

カテゴリー:社会

著者  半田 滋 、 出版  高文研
戦後の日本は、太平洋戦争の反省からスタートした。
 そうなんです。でも安倍晋三首相は、過去の日本政府の歴史認識を見直すと言います。侵略戦争なんて日本はしていない、東南アジアを解放してやったとでも言うのでしょうか。怖いことです。
2012年、イギリスのBBC放送が「世界により影響を与えている国」で、日本は2008年以来2度目の1位に選んだ。国際的な平和貢献が高く評価されている。
それを、今度はアメリカと同じ「武力貢献」に変えようというのです。そんなのを今どき、誰も評価するはずがありません。
安倍晋三首相の「日本を取り戻す」というのは、「戦前への回帰」のこと。戦前の日本国憲法の下では女性に参政権もなかった。自民党の改憲草案は「国民に義務を課し、権力者に従わせる」との理念が貫かれている。
安倍首相がオバマ大統領に面会したときの冷遇ぶりは、韓国の朴大統領と比較すれば明らか。安倍首相については、共同記者会見なし、アメリカ議会での演説もなし。
 オバマ大統領にとって最大の貿易相手国は日本ではなく、中国である。
 『防衛白書』は、日本周辺に差し迫った危機が存在しないことを明記している。
策源地攻撃能力を自衛隊が身につけるという。策源地とは、敵の出撃・発進拠点を指し、これを攻撃すること。しかし、これにはいくつもの問題点がある。自衛隊は「専守防衛」のもと、攻撃的な武器体系になっていない。地対空ミサイルをかく乱する電子戦機がない。F1支援戦闘機は航続距離が短く、攻撃したあと、操縦士は日本海で緊急脱出するしかない。つまり、戦闘機も操縦士も失ってしまう可能性が高い。日本は情報収集衛星を4基保有しているが、進行ミサイルを誘導できるほどの精度はもっていない。
 北朝鮮の大半の軍事施設は地下化しており、ミサイル基地も同じ。車載された移動式のミサイル基地を性格に命中させる保障はまったくない。
 北朝鮮が保有するノドン(日本まで届く)は200発、スカッドC(西日本まで届く)は600発、800発もの弾道ミサイルを保有する基地を攻撃する能力は日本にない。
そして、北朝鮮の軍隊はテロ攻撃に特化している。
日本に50ヶ所もある原発を占拠して自爆攻撃されたら、日本列島は破滅するしかありません。まるで考えの足りない安倍晋三首相に日本列島をまかせたくはありません。
 自衛隊と防衛省を長く取材してきた専門ジャーナリストだけあって、とても説得力のある本です。
(2013年7月刊。1200円+税)
 身体のあちこちに赤い斑点が出来て痒いでの、皮膚科に駆け込みました。ダニみたいな虫にかまれたのだろうという診たてでした。敷布団にゴザを敷いて寝ていると言うと、医師は即座に、ゴザには虫がつきやすいと断言。さっそく、その晩からゴザはやめました。保冷マットにかえようとしています。
 炎暑の毎日です。夜にぐっすり眠っておかないと体がもちませんよね。

立花隆の書棚

カテゴリー:社会

著者  立花 隆・薈田 純一 、 出版  中央公論新社
640頁という分厚い本です。立花隆という著名な評論家の書棚を隅から隅まで、写真で再現しています。
 私も自分の本棚を撮ってブログで公開していますが、書棚を写真で撮るというのは意外に難しいことなのです。ピントあわせが容易ではありません。私の場合は子ども部屋を書庫として、本棚の間隔を詰めてしまったので、なおさらです。
 そこをプロのカメラマンが克服しています。一棚一棚、カメラを移動させてギリギリのピントあわせをしてとった写真を、あとで一枚の写真に合成します。合成はコンピューターによる精密な面合わせでやっているから、接続部分は分かりません。
 1棚に10冊として、1万回はシャッターが切られた。だから、少なくとも10万冊。ひょっとして20万冊の本・・・。私の家には2万冊ほどでしょうか・・・。
 本は捨てません。雑誌類はかなり処分してしまいました。大学受験のときにお世話になった教科書と参考書まで保存しています。司法試験のときのダットサンなどの基本書ももちろん残しています。捨てるなんて、とんでもありません。それらは私そのもの、私の分身たち、なのですから・・・。
 それらの本の背中を見ただけで自分がその本を買って読んだ時期の思い出が、次々によみかえってくる。そのころ、何を考え、何に悩み、何を喜びとしていたのか、本の姿とともによみがえってくる。自分の怒りや苦悩が、本とともにあったことを思い出す。まったく同感です。本なしの人生なんて考えられもしません。
本の行方不明事件が起きるのは、しばしば。その本の所在を探しているうちに、思いがけない本の発見、再発見がある。それがまた、愛書家にとっては楽しみとなる。
 本当にそうなんです。背表紙をながめていて、ふと気になって手にとり、ぱらぱらとめくっていくうちに引きこまれてしまうこともよくあります。それがまた、至福のひとときなのです。
 大学生の学力、能力は、そのまま国の体力に直結する。大学生の学力が低下しているということは、日本の国力も低下していることを意味している。しかし、大学というのは、自分で学ぶところである。
 田中角栄、永田洋子(連合赤軍事件)、河合栄治郎。この3人は日本の3大バセドウ病患者だ。知りませんでした・・・。
 書棚に本を並べるのは、実のところ容易なことではない。なるべく同じテーマのものは集中して並べたいのだけれど、本の形、大きさは千差万別だ。新書と文庫、フツーの本、そして写真集のような大型本がある。だから、同じテーマのものが、あちこちに分散してしまう。本当に、そうなんですよね。本を並べるのも大変なのです。
 レーザー光線をあてている時間に「フェムト秒」というものがあることを知りました。千兆分の1秒という短さ。これほど短い時間なので、破壊現象は起きない。これは、人間の感覚能力をこえている。痛みも感じない。瞬間的に過ぎ過ぎたあとの結果を知るだけ。
 知への刺激を大いに受けました。
(2013年4月刊。3000円+税)

ことばの魔術師、井上ひさし

カテゴリー:社会

著者  菅野 昭正 、 出版  岩波書店
私の心から尊敬する井上ひさしについて、いろんな人がその偉大さを、すごさを語っています。私は、井上ひさしの本をかなり読んでいると自負していましたが、実のところ、まだまだだったと深く反省しました。
 私にとっての井上ひさしの始まりは、なんと言っても「ひょっこり、ひょうたん島」です。小学生のころでしょうか、テレビであのテーマソングが流れてくると思わず身を乗り出し、くいいるように見ていました。ガバチョなどのキャラクター、そして、黒柳徹子などの個性的声優を今でもよく覚えています。残念なことに、ほとんど映像が残っていないとのこと。もし、残っていれば、何回も何回も再放送されたことでしょう・・・。
井上ひさしは、人物を戯画化するとは、その人物に滑稽さ、迂闊さ、愚かしさ、鈍感さなどの衣装を誇張して着せかける術策を意味する。しかし、それは、侮辱、愚弄、嘲笑の対象とするわけではない。
小説家、井上ひさしの一大転機を画したのは、なんといっても『古里古里人』。
 私も、この本には驚き、かつ圧倒されました。東北地方の一寒村が日本国から離れて独立国になるという発想の突飛さ。独特の方言で語られる会話のおかしさ。どれをとっても真似できるものではありません。そして、電話帳ほどもある厚さの本です。実際、私も昼寝の枕に使ったこともありました。
 井上ひさしは、まったくお酒を飲まなかった。時間が余ったら、とにかく本が読みたくなる。原稿を書いては、「やっぱりダメだ」と言って、また別なことを書いたりする。
 井上ひさしの座右銘は、「難しいことをやさしく、やさしいことを深く、深いことを愉快に、愉快なことをまじめに書く」こと。これは私にとっても大いに参考にしています。
 井上ひさしの『ボローニャ紀行』の裏話も紹介されています。どうせドタキャンされるに決まっている。きっと、途中から帰ってしまうだろう。そんな周囲の声をものともせずに実現した女性プロデューサーの文章です。そして、井上ひさしはイタリアの空港に降りた途端、スリに置き引きされて、現金200万円とノートブックを失くしてしまうのです。そのときの奥様の一言。
 「向こうはプロなんだから、盗まれるのは当たり前よ。どうせ、ボーッとした顔をしてたんでしょ」
 さすが、ですね。
 原稿が遅く、「遅筆堂」として高名だった井上ひさしは劇の台本が開演に間にあわず、何回も弁償させられたことがあったことでも有名です。関係者にとっては大迷惑だったことでしょうが、とことん調べて、納得できるまで考えて書くということから来るものです。それだけに、完成度が高いものばかりです。
 そんな井上ひさしにノーベル賞を与えようという声が起きなかったのが不思議でなりません。楽しく読み通した本です。
(2013年4月刊。2200円+税)

日本企業は何で食っていくのか

カテゴリー:社会

著者  伊丹 敬之 、 出版  日経プレミアシリーズ新書
2011年、日本の産業に激変が起きた。世界に冠たる日本の産業だと思われていたエレクトロニクス産業で、パナソニック、ソニー、シャープの3社が信じがたいほどの巨額の赤字を出し、総崩れした。その原因はアメリカのリーマンショックでも、3.11東日本大震災でもなく、日本企業の競争力の崩壊にあった。
 2012年春に、このエレクトロニクス2社の赤字の合計は1兆6050億円。前例のない巨額の赤字だった。この3社だけでなく、日立製作所や日本電気なども、サムスンなどの韓国企業との競争に次々に敗れてきた。
 リーマンショックのインパクトは、震源地であるアメリカよりも、かえって日本に大きかった。いや、世界の主要国のなかで、日本がもっとも大きな打撃を受けた。リーマンショックのあと、日本の生産水準は絶不調だった。それでも円高になったのは、アメリカのドルも欧州のユーロも、リーマンショックのせいで弱い通貨になってしまったから。金融面では、そのショックの小さかった日本円に「避難通貨」として国際的なマネーが回ってきた。それだけのこと。
 2011年の日本政府債務残高は、GDPの2.3倍という巨大さである。あのギリシャはそれでもGDPの1.7倍でしかないので、日本の政府赤字がいかに巨大化が分かる。
 日本円は、数年間の大きな通貨上昇のあと、しばらく通貨下落が続くという、上昇下降の繰り返しを経験している。日本の企業は実によくがんばってきた。
 2000年から2011年までに、日本の輸出は14兆円ふえた。そのうち、中国向けの輸出増加額10兆円。全体の輸出増加分に占める割合は実に73%に達する。
 日本の輸出先として、中国がアメリカを抜いたのは2007年。わずかな差だった。しかし、翌2008年には、はっきりと中国がアメリカを抜いた。
 シニア向け産業は、日本企業が世界に先駆けて技術や商品の蓄積がある。アジア諸国の高齢化が急速にすすむなかで、日本企業が進出する余地がある。
 水も、漏水率でも水の清浄度でも、日本の水道はきわめて高い水準にある。コストを除けば、日本の社会インフラは世界一のレベルである。
21世紀に入って、日本から韓国への輸出は、増加の一途をたどり、その結果として、対韓国の日本の貿易黒字も増加してきた。2000年に1兆円だった対韓国黒字は、10年には3兆円弱にまで膨らんだ。
日本の古紙輸出の76%が中国向けで、量にして336万トン、中国の古紙輸入量の2割を占めている。
 2001年の日経現地法人の従業員数は全世界で320万人。2010年には、500万人となった。国として、もっとも増えたのは在中国の現地法人で、この10年間に66万人から160万人になっている。中国での日系企業の雇用は、11年で1000万人をこす。
この10年に、日経の現地法人は3300以上も増え、一つの国の日系法人の数は世界最大。また、売りあげも23兆円も増えて、中国国内向けの売り上げの増加をはかっている。
もはや、中国は日本企業の生産基地というより、市場として本格的に攻めるための事業基地だ。
 中国経済は、貿易や投資の総量の数字以上に日本の産業に大きく依存している。
 日本から中国への輸出は部品や素材であって、中国から日本への輸入は衣類が圧倒的に多い。中国は、日本から部品や素材を輸入し、それを加工、組立てしてアメリカやヨーロッパ、日本などに輸出している。
 日本が中国と「戦争」するなんて、ありえないのに一部の「タカ派」が不用意にあおりたてています。困ったことです。
(2013年6月刊。890円+税)

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