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カテゴリー: 社会

コンビニオーナーになってはいけない

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 コンビニ加盟ユニオン・北 健一 、 出版  旬報社
私は原則としてコンビニは利用しないことにしています。もちろん、この原則には例外があります。旅行先ではコンビニを利用するしかありませんので、ためらわずに利用します。でも、ふだんは事務所の隣にコンビニがありますが、どうしても仕方がないときにしか店にははいりません。ですから、コンビニを利用するのは月に1回くらいです。
コンビニのオーナー(店主)は本当に現代の奴隷そのものだと思います。一家だんらんの場と時間が奪われてしまって、何のための人生でしょうか・・・。
そもそも、24時間営業というのが、私には、あまりに非人間的だとしか思えません。
暗くなったら寝て、身体を休めたほうが絶対にいいと思います。そんなぜいたくなこと言うなと反発を感じる人も少なくないと思うのですが、本当に夜寝たらいけないのでしょうか・・・。
病院とか介護施設なら、そうだと思います。でも、三交代勤務というのは本当に必要なのですか。これだけ技術が発達しているのに、人間まで寝ずに働く必要があるのですか。ましてや、単に商品を売るだけなのに、24時間、店を開けておくなんて、私には、その必要性が理解できません。身体をこわしてまで便利さを追求するなんて、本末転倒ではありませんか・・・。
セブン・イレブンに加盟するには、最低250万円が必要。開店すると、一気に300万円の借金を背負う。通常は700万円になる。これは、発注した商品の仕入代金が借金となるため。
本部から、1日に2万円以上の廃棄を出してくれと求められる。これは、「機会ロス」を防ぐためだし、本部にとって有利になる会計上の理由もある。
人気商品ファストフード(おでん、コロッケ、から揚げなど)は、原価50%で一般商品よりも安いのでオーナーはもうかるはずだけど、実は、もうかるのは本部ばかりで、オーナーには利益が出ない。
24時間営業をやめると、店の売上高は3割減ると本部はみている。つまり、本部は、オーナーの健康より、売上が減ることだけを心配している。
オーナーの死亡率・傷病率は異常なほど高い。
そりゃあ、そうだろうと私も思います。強いストレスに毎日さらされていれば、健康をそこなうのは必要ですよね。
店のスタッフ(アルバイト)の人件費は、本部が支払うという仕組みのようですが、おかしなことです。直接の雇い主であるオーナーが支払うのが自然です。
「オーナーや従業員(スタッフ)が死のうとケガしようと、本部には関係ないこと。オーナーが働けなくなったら、ほかから連れてくるから問題ない」
いやはや、なんという言い草でしょうか。オーナーって、独立した自営業者なのではなくて、単なる奴隷のような存在にすぎないと本部はみているのですね、ひどいものです。
コンビニは、売上金の全額を毎日、本部に送金する仕組みです。でも、これっておかしいですよね。売上から経費を差引いて粗利(荒利)のなかからロイヤリティーを送金するのが当然だと思いますが、そうはなっていません。そうすると、本部には、毎日、莫大な現金が集中することになります。セブンの場合、1日に125億円といいますから、絶えず数千億円もの巨額のお金を手にしているわけです。これは本部だけが肥え太る仕組みとしか言いようがありません。
今や、日本中、どこもかしこもコンビニだらけ・・・。
本当にそんな社会であっていいのでしょうか・・・。
コンビニ愛好者の人には、ぜひ読んでほしい本です。
(2018年9月刊。1200円+税)

窒息死に向かう日本経済

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 浜 矩子 、 出版  角川新書
いつ読んでも歯切れがよく、心地よいテンポでたたみかけられる気がします。
日本国債等の発行残高は1092兆円(2017年12月末時点)。このうち半分近い449兆円を日銀が保有している。これは、政府の借金の4割を日銀が面倒みてやっているということ。2017年の日本のGDP(名目)は546.5兆円だった。一国政府への中央銀行の債権が、その国の経済規模と同じだというのは、まともな状況とは言えない。なるほど、心配ですよね。
今の黒田・日銀は国債の大量購入をそもそも本来の目的としているのではないか。政府の借金を政府の言いなりにまかなってあげる。政府のためにおカネを握り出す「打ち出の小槌」の役割を果たす。これを狙っているとしか考えられない。それがいいはずはありません。
安倍首相は、「政府と日銀は親会社と子会社みたいなもの」と言い切った。
コーポレート・ガバナンス(企業統治)元年に大企業のモノづくりの不祥事が次々に発覚した。データ改ざんをしたのは、三菱と日産自動車、スバル、神戸製鋼、東レ、三菱マテリアルなど、次々に日本を代表する大企業の不祥事が表沙汰になった。
モノづくり大企業の不正行為が長く続いていたことの本当の意味を考える必要がある。
安倍首相は、かつて神戸製鋼の社員として働いたことがあった。大々的に日本が武器輸出に乗り出したなか、神戸製鋼は、その重要な役割を担っている。つまり、神戸製鋼のアルミ製品は自衛隊の航空機や誘導兵器、魚雷などにも使用されている。まさに、死の商人ですね。ここに安倍首相のルーツがあるというわけです。恐ろしいことです。
(2018年7月刊。820円+税)

教育のなかのマイノリティを語る

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 前川 喜平 ほか 、 出版  明石書店
異色の文科省トップ(事務次官)だった人の語る教育論は、さすがです。さまざまな分野の教育現場で活躍している人たちとの対話で議論が深まり、読み手をぐいぐい引きずり込んでいきます。読んで損は決してしない教育論です。まあ、私が教育論で「損」をするとかしないとか言うのも、おかしいことだと思いますが・・・。
高校生自立支援事業(高サポプロジェクト)では、ソーシャルスキル・トレーニングをする。一番初歩的なのは、お金を貸してくれと言われたときの断り方。それから、万引きしてこいと言われたときの断り方。友だちと話しているときの同意の仕方、いいよねと相手をほめる方法・・・。
なるほど、こういうこともきちんと教えておく必要があるのですね。
ロールモデルは大切。しかし、身近な家族のなかにロールモデルの存在しない子は少なくない。ひどい親の元にいるより、児童養護施設にいるほうがいい。
貧困層の多い、公営住宅の集中しているところでは、子どもたちが、小中学校のころから親に放置され、夜もなかなか家に帰らないで、フラフラしている。家に帰っても、ご飯が待っていないから。
「親が悪い」とか「親がしっかりしないからだ」と言っても、しっかりしない親の元に生まれ育ってしまった子どもは、じゃあ一体どうすればいいのか。それは、社会で受けとめて、なんとかしてあげなければいけない。居場所がない、ご飯が食べられない、勉強する場所がない、勉強を教えてくれる大人がいないとか、いろんな不利な条件が重なっている。
決定的なのは、高校中退。子どもに原因があるというより、システムに問題がある。高校進学が98%だといっても、実際には90%ほどしか卒業はしていない。
文科省は、いわゆるいい学校には、とてつもないお金をかける。一つの高校に何千万円もポーンと渡したりする。
大学進学についてみると、生活保護世帯の子に比べて、児童養護学校出身者は18歳から先の進学機会がものすごく低い。
授業料の負担を減らすだけでは足りない。生活支援も必要。そのためには、給付型の奨学金で支える必要がある。
不登校になった子どもにフリースクールに行くように学校がすすめてしまうのは、学校からの切り捨て、責任放棄につながってしまう。
前川さんは、福島と厚木の自主夜間中学で教えています。「善意というよりも、気まぐれというか、好きでやっています」と語っています。大したものです。大拍手です。
言葉は言葉だけで存在しているわけではなく、言葉の裏側に自分の体験があるわけだから、自分の経験や体験が言葉の意味をつくっていく。だから、経験のない人にとってみると、単に言葉は記号でしかない。居場所と学び場の両方をつくるのは非常に大事なこと。
この本を読んで、前川さんより私が一つだけ勝っていることがありました。私は、週1回、30分間で自己流のクロールで1キロメートル泳ぎます。ところが、前川さんは泳げないのです。といっても、25メートルプールでターンして50メートルは泳げるようになったそうなんですが・・・。
前川さんと対話した人たちの実践を踏まえた指摘と提言もズシンと来ました。ぜひ、あなたにご一読をおすすめします。
(2018年9月刊。1500円+税)

すごい廃炉

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 篠山 紀信 、 出版  日経BP社
福島第1原発の修復工事の推移を著名な写真家が撮っています。ここには安倍首相の無責任な「アンダーコントロール」宣言とはかけ離れた現実があります。
毎日、現場には6000人もの労働者が働いています。放射線量を気にしながらの命をかけた作業です。いったい、どこに「アンダーコントロール」があるのでしょうか。頁を繰って写真を眺めるたびにウソつき首相のノホホンとした白々しい顔を思い出して腹が立ちます。
あってはならないメルトダウン、炉心溶融が起きました。全電源停止、非常用電源まで津波に襲われて作動せず・・・。
先の北海道地震では、泊(とまり)原発は稼働中でなかったこと、非常用電源がなんとか作動したことによって幸いにも大惨事に至りませんでした。
そして、福島ではデブリ(固まり)となった放射能物質を冷やすために注水を続けているため、高濃度汚染水があふれ出しています。少しばかり薄めて、政府と東電は海洋へたれ流そうともくろんでいます。海産物の放射能汚染が心配です。「風評被害」はさらに深刻になるでしょう。放射能汚染水を海へたれ流すなんて、やめてください。
「フクイチ」のあちこちに宇宙服を着ている作業員が黙々と働いています。福岡からも、仕事とお金を求めて、たくさんの人が「フクイチ」の復旧作業現場で働いています。
無人飛行機(ドローン)、無人ロボート投影機そして無人ダンプが活躍しています。建屋から出た高線量がれきを夜のあいだに無人ダンプで移送するのです。でも、いったい、どこへ・・・。
いま、日本全国に少し薄めた放射能汚染土をはらまく計画が進行中です。とんでもない暴挙です。もっていくのなら、「アンダーコントロール」宣言をした首相官邸の庭に積み上げてください。そして、もう一つ。歴代の東電の社長、会長の自宅の地下室に置いて下さい。「絶対安全」のはずなのですから・・・。
台風災害と北海道地震は、日本中、いたるところが危険にみちみちていることを明らかにしました。40階建てのタワーマンションの31階に住む人が停電のためにエレベータ―が動かないので、歩いて31階までのぼりおりして、ついに部屋に閉じ籠ってしまったという話を聞きました。一見豪華なタワーマンションだって大自然の災害にはかないません。廃墟になる前に入ってる住民は早々に逃げ出すべきなんじゃないかと心配します。
この写真を眺めてもなお、アベ首相の「アンダーコントロール」宣言を信じる人がいたら、よほどおめでたい人だということでしょう。ぜひ、図書館ででも手にとって眺めてみてください。
(2018年2月刊。2700円+税)

語りかける中学数学

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 高橋 一雄 、 出版  ベレ出版
ある日、夕刊を読んでいて、ふと目が留まりました。新潟の少年院でボランティアの人が数学を教えているというのです。そして、教えられている少年たちの多くが、たちまち数学を理解できるようになっていくという嘘のような話でした。しかも、ボランティアで教えている男性は、なんと18万部も売れている数学の本を書いているというのです。
ええっ、どんな本だろうか・・・。
実は私は、高校3年まで理科系のクラスにいて、数学Ⅲまで一応は勉強したのです(大学は文科系で受験しましたので、数学Ⅲは必要なかったのですが・・・)。
私が文科系に転向したのは高校2年の3月のことでした。どうにも数学的ヒラメキに欠けるという事実を自覚せざるをえませんでした。とりわけ図形問題で、数学的な発想が出来ませんでした。いま思うと、このときの決心は正解でした。
数学というのは、抽象的思考、論理的思考を鍛えるには絶好のものだと思います。そんな数学が分からないまま人生を終わりたくない。そんな思いから、高校数学にいつかはチャレンジしようと考えていました。そんなときに出会った新聞記事だったのです。
早速、注文して手に入れたこの本は、なんと本分が829頁もある大部なものです。井上ひさしの『吉里吉里国』のように、昼寝するときの枕にちょうどよいほどの厚みがあります。値段だって2900円(プラス消費税)もします。こんな部厚くて、値の張る中学数学のテキストが18万部も売れているなんて、とてもとても信じられません。それも、東大受験の必勝テキストというのではなく、落ちこぼれの人が中学数学をしっかり身につけようというのに役に立つ本だというのです。
さあ、能書きが長くなりました。頁を開いてみましょう。目次をみると、中学1年に始まり、中学2年そして中学3年へ進んでいきます。中学1年だけで300頁あります。さすがに私にとって初めの出だしは、ふむふむと難なく進み、好調でした。方程式も1次方程式なら、そんなに難しくはありません。関数が出てきて、平面と空間の図形が出てくると、少し頭もつかい、スピードが落ちました。それでも中学1年の302頁は2晩でやっつけました。
次は中学2年です。連立方程式が登場し、1次関数が出てきます。まあまあ、ここらあたりはなんとか理解できそうです。この本は、さすがに落ちこぼれの人でも抵抗が少なく読んで前へ進めるように、「アレェー・・・」とか、「おーい、寝ていて大丈夫?」とか。小文字で声かけがはさまっていて、心をなごませてくれます。解説は、すべて話し言葉で、間違った(間違いやすい)誤答例もあり、身をひきしめて正解との違いを認識させられます。中学2年は528頁で終了ですから、正味224頁。つまり中学1年よりボリュームはいくらか小さいのです。三角形と多角形、そして平行四辺形などがあります。
そして最後に、いよいよ中学3年です。私は、昔、因数分解は得意でした。2次方程式だって、なんとかなりました。むずかしいのは図表とともに登場する2次関数からです。円周角やら三平方の定理など、なかなかのものです。円に内接する四角形の面積を求める。次は円に外接する四角形の面積です。ここまでくると、なかなか曲者(くせもの)で、中学3年だけで4晩かかりました。それも完璧に理解したなどとは、とてもとても自己評価できるレベルではありません。それでもなんとかかんとか、秋の夜長に読了しました。必死でした。というか、つい難し過ぎると、眠気が襲ってくるので、大変でした。
著者は、最低でも3回は復習するように求めています。なるほど、3回よめば、本当に中学数学をマスターできるんじゃないでしょうか。数学をきちんと理解したい人には、大人も子どもも、ぴったりの本だと私も思いました。次は、いよいよ高校数学にチャレンジします。
(2018年6月刊。2900円+税)

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