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闇の広告史

カテゴリー:社会

(霧山昴)

著者 亀田真澄 、 出版 朝日新書

私はテレビを見ませんのでコマーシャルも、もちろん見ません。それで困ることがあります。依頼者との雑談のとき、「ほら、今テレビで紹介しているあれですよ」と言われたら、どうしようもありません。笑ってごまかして逃げるばかりです。

ところが、ネットは毎日みていますので、そのときコマーシャルが出てきます。もちろん、すぐに消すのですが、それでも消えるまでの一瞬は広告を見せつけられます。

広告は人間の弱さをまた標的にしている、社会的分断をあおりたてている。

広告は、私たちの生き甲斐と生き辛さの両方、そして現代社会のさまざまな問題を生み出している。

この本の前半では、アメリカのエドワード・ルイス・バーネイズというユダヤ人実業家を取り上げています。かの有名な精神分析学のジークムント・フロイトの甥であり、親密に交際していました。

バーネイズは、日常に入り込んで、近さや親しみという温かい感情を与える宣伝を始めた。

バーネイズは、精神分析が広告において「使える」ものだと気がついた。ある商品と無意識的な欲求を結びつけたら、その商品は無意識の欲求の「翻訳」になり得るので、人々は欲求を充足させるために商品を購入すると考えた。

無意識に働きかけて、集団心理をあおることによって世論を操作し、人々の日常生活を変える。

新聞に取り上げさせる。それが批判的であろうと好意的であろうと、大差はない。

「三時のおやつは文明堂」「精工舎の時計が7時をお知らせします」「止められない、止まらない、カッパエビセン」「キンチョーの夏・・・」。いろいろのコマーシャルソングは今もしっかり頭に叩き込まれていて、忘れることなんて出来ません。

プロパガンダは、そもそもは思想宣伝という意味。思想宣伝は洗脳とは違う。

人は信じたいことを信じてしまう。これを「確証バイアス」という。

コカ・コーラは戦争との結びつきの強い飲み物。というのも、コカ・コーラは、南北戦争で傷ついた兵士の鎮痛剤としてつくられた薬をもとにしている。モルヒネの代替品として、コカの葉、コランキの種とワインを混ぜてつくられた薬が出発点。そして戦地の兵士たちに飲ませた。私はコカ・コーラは健康に良くないと考え絶対に飲みません。

フェイスブック(FB)は、私も毎日みています。そこでは、どれくらいのページビュー(PV)があるかというより、「いいね」の数が問題とされているとのこと。オンラインの「口コミ」を利用した広告効果が期待されているということです。

自動再生機能は、人の持っている弱い部分を悪用することで、より長い時間プラットフォームに滞在させるとする仕組み。たしかに、FBをみていて、ユーチューブの映像をみていると、次から次に面白そうな画像が登場してきて、時間があっという間に去ってしまいます。

先日の沖縄県知事選挙では自民党が推した候補が革新の現職知事を圧倒しましたが、X(旧ツイッター)の投稿の9割が沖縄県外からの投稿でした。兵庫県知事選挙の「斉藤現象」が再現したようなものです。

20代の男性が「SNSで発信していたら、アンチコメントが来て、政治は怖いと思っていたが、実際に古謝さんに会ってみると、SNSとは全然違った」と話したとのこと。兵庫県の「斉藤現象」そのものです。

「私のヤナちゃん」と高市首相が持ち上げる農水大臣は、自分の選挙区内の反対派の町長のいる町の予算を大幅カットしましたが、沖縄でも自民党推薦候補が勝ったとたん、沖縄県の特別予算が大幅増となりました。露骨です。要はお金で買うもの、買えるもの、という醜い現実があります。

先ほどの20代の男性に、もう一度よく考えてほしいと思います。本当に、そんな政治でいいのですか・・・・・・。アメリカ軍基地をずっと今のままにしておいてよいのですか・・・・・・。そんな政治は変えましょうよ。

(2026年9月刊。1320円)

キミもワタシも外国人

カテゴリー:社会

(霧山昴)

著者 上方平和教育研究所 、 出版 日本機関紙出版センター

排外主義はあかん!まったくそのとおりです。

ところが、参政党の神谷とか日本保守党の百田とか、国会内外でヘイトスピーチをまき散らして恥じるところがありません。

最近の新聞に国会議員を減らすことに7割の国民が賛成しているという解説記事がありました。維新の会の定数削減はそれを背景にしています。しかし、神谷、百田そして吉村など国会議員をすぐに辞めてほしい人はたくさんいます。高市早苗も、その一人です。

でも、少数意見を代表する議員が国会にいなかったら、それこそ軍事産業を代表する議員ばっかりになってしまいかねません。

世の中は、いろんな人がいて、共存しているからこそ発展するのです。

外国人は帰れと叫んでいる人は、きっと毎日、不平不満たらたらの報われない状況に置かれているのでしょう。その八つ当たりのはけ口をヘイトスピーチにすがっているのだと思います。

この本には、戦前の日本人移民の苦難も紹介されています。アメリカでは第二次大戦中は理由なしに強制収容所にいれられ、ジャップとして「猿」扱いされました。

アントニオ猪木はブラジル移民の子です。力道山が見出し、日本に連れてきたそうです。もちろん力道山は在日朝鮮(韓国)人です。美空ひばりだってそうです。この二人は日本人の永遠のアイドルですよね。今のK-POPどころではありません。

参政党、保守党そして維新の「圧力」もあってか、高市政権は目下、ひどい外国人排除策を推進しています。外国人の起業など、在留資格となる資本金を500万円から3000万円に引き上げました。そして在留資格の更新 手数料を1万円から10万円に値上げし、永住権の費用は、1万円だったのを30万円に大幅値上げしてしまいました。高市政権は「外国人はいなくなってほしい」というのです。

でも、現実はどうでしょうか……。 コンビニで働く外国人は、今11万人いて、その多くは学生です。介護施設も外国人労働者がいなければ回らなくなっています。

ブラジルには現在も250万人の日系人がいます。ハワイの住民は5人に1人が日系人。

在日コリアンは今40万人。そのほか、ベトナム人、中国人、フィリピン人、ネパール人が7割を占めている。

日本の入管庁が自ら クルド人を難民として認定したのは、なんとゼロ。裁判で負けて入管庁が難民認定した人が1人いるだけです。ひどい、ひどすぎます。ここにも高市政権への忖度(そんたく)があらわれています。

 川口市とその近郊に住むクルド人は2千人。SNSで攻撃され、「クルド人は怖い」と思わされている日本人が増えている。残念です。

外国人が自分たちより優遇されているという「嫉妬 (しっと)」があり、外国人に自分たちの社会が乗っ取られるのではないかという不安がある。参政党や保守・維新などの政治家が利用し、あおっているのが「日本人ファースト」。自分が「嫉妬」していることを 知られたくないので、過剰に反応する。「嫉妬」は、人間という大切な人間関係を壊してしまう。

「人は苦しいときには、スケープゴートを探す。自分より弱い人々のせいにして踏みにじる。 自分は政府から踏まれっぱなしのドアマットのくせに……」

排除されていい人なんてどこにもいない。連帯を大切にしましょう。

わずか120頁のブックレットです。大切なことが分かりやすく解説されています。

(2026年8月刊。1540円)

「六人部屋の13年」

カテゴリー:人間

(霧山昴)

著者 頭木弘樹 、 出版 晶文社

筑波大学の学生のとき、20歳で 難病(潰瘍性大腸炎)となり、著者は13年間も入院していました。そのときの見聞記録がよく描かれていて、まさしく身につまされます。

私は年に2回、人間ドックに行っていますので、病院内の雰囲気はそれなりに分かります。そして、交通事故(信号待ちしているところを追突されました)で10日間だけ入院したこともあります。個室に入って白い壁の病室にいて、誰とも話さない生活が続くと、気が変になりそうでした。

著者によると、2人部屋は息が詰まる思いをさせられそうです。むしろ、6人部屋のほうが逃げ場があってよいとのこと。そして6人部屋にいると、自然にそれぞれの家庭背景が分かっ てくるそうです。

誰も見舞いに来ないという人も少なくないようです。日頃の環境によりますね、きっと…。そして、見舞客が見舞いの言葉に悩むのもよく分かります。なるほど…。好きで病気になったわけでもなければ、好きで闘病しているわけでもない。

ところが、見舞客が「あなたがこうなることを、ずっと願っていました」と、悪意のある言葉を吐く人が少なくないというのには驚きました。わざわざことを言いに病室までやって来るとは、よほどの恨みがあったのでしょう。

宗教の勧誘もよくあるとのこと。統一協会もそうでした。他人の不幸につけ込んで、大金を巻き上げるのが「宗教」です。

著者は、病人に対して見舞いのときに言ってはならない言葉のリストを作るのには賛成しません。著者は、病人を傷つけるかもしれないなんて心配せずに近づいてきて、話しかけてほしいと言います。なるほど、ですね。体験にもとづく言葉だと思いました。

医師や看護師について書いてあるところも、心が惹かれました。本当は、一番すごいのは、目立たなかった人たちだ。目立たなかった人たちというのは、きちんと治療し、きちんと看護した人たちだ。きちんと治療し、きちんと看護する人たちによって、患者は生かされている。なるほど、そうなんですよね。

20歳で難病によって入院生活を余儀なくされた著者は、不公平な世の中だと思っていた。ところが、小児病棟があり、子どもの悲痛な泣き声を聞いて、気がついた。人はもともと不平等なのが当たり前なのだ。それを不平等でなければと思っていた自分が間違っていた。それが転機となって、病室の他の人と話をするようになった。

大変考えさせられる話が盛り沢山でした。

                       (2026年8月刊。1980円)

語るパンダ

カテゴリー:生物

(霧山昴)

著者 日本パンダ保護協会 、 出版 朝日新聞出版

 残念なことに日本にパンダはいません。ところが アメリカには先日、パンダ2頭が到着したというニュースを見ました。トランプと習近平は、今や似た者同士の良い仲を演出して、世界中に見せつけています。その流れでアメリカにパンダ2頭が中国から貸し出されたのです。パンダは中国にとって最高の外交上の「武器」なのです。

高市首相の中国敵視政策は強まるばかりです。中国に向けた長射程ミサイルを日本本土各地に配置し、沖縄・南西諸島への自衛隊増強は驚くべきスピードで進められています。ところが肝心の「敵」中国は、アメリカのトランプ大統領とにこやかに握手し、年内にさらに会談するようです。

いつもいつもアメリカべったりの高市政権ですが、アメリカが中国と仲良くするのだけは「べったり」ついていくことは出来ないようです。アメリカに頼らず、中国と戦争して「勝てる」つもりなのでしょうか…。もちろん、そんなことはありえません。

私は上野動物園にパンダを見物しに行ったこともあります。 残念ながら、当のパンダはぐっすりお休み中で、ぴくりとも動きませんでした。でも、和歌山のアドベンチャーワールドには何回も行きましたが、パンダが何頭もいて、野外の運動場でパンダが竹をむしゃむしゃ食べている姿を間近に見ることができました。

パンダの繁殖はとても難しいことのようですが、アドベンチャーワールドは何回も成功しています。 たいしたものですね。そして、パンダの食べる特別な竹も育成・栽培していたのです。 本当にご苦労さまでした。

高市早苗が日本の首相である限り、日本にパンダがやってくることはないでしょう。早いところ高市を首相の座から引きずりおろさなければなりません。

本田由紀教授(東大)ではありませんか、「高市、そこをのけ」と叫び、行動するか手はありません。

パンダの妊娠期間は「80日から200日超」とされている。えっ、なんでこんなに幅があるの…。パンダは着床遅延という方法によって自分と子どもを守っているとのこと。すごいですね。

パンダはもともと単独で行動する哺乳類。でも繁殖期にはオスとメスが出会うことになる。オスもメスも11種類の鳴き声を発することができる。そして、発情期には、特定の鳴き声において周波数と構成が変化する。オスとメスも、発情期には、羊鳴きと鳥鳴きの声を発する。メスは羊鳴きを通じてオスを選びし、しかも好みの選択を表現する。オスは、鳥鳴きを通じてメスの発情状態に関する情報を入手し、受胎の最高な状態を把握できる。

パンダを飼育中に繁殖させるうえで、発情、妊娠そして幼獣育成という三段階での障壁をこえなければならない。これを「三難問題」と呼ぶ。

しかし、不思議なことですね。もともと熊で肉食性だったのが、今や竹を主食とするなんて…。世の中不思議な一つだと思います。

早く日本にパンダが戻ってくることをひたすら願いながら読みすすめました。

  (2025年6月刊。2750円)

見えるか保己一

カテゴリー:日本史(江戸)

(霧山昴) 

著者 蝉谷めぐ実 、 出版 角川書店

盲人でありながら「群書類従」を刊行した塙(はなわ)保己一(ほきいち)の生涯を小説にした本です。直木賞を受賞できませんでしたが、候補作ではありました。

江戸時代、江戸には当道座の惣禄屋敷があった。盲人は皆これに属し、琵琶に平曲、鍼(はり)、灸、按摩と、お金を稼ぐ生業とした。

その鍼には、小槌を用いて 鍼を肌に打ち込む打鍼、鍼を捻(ひね)り入れるように肌に差し込む捻鍼(ねんしん)の二つがあったが、もう一つ、管鍼が考案された。これは、純銀、八角の鍼管に鍼を入れ、その鍼頭を叩いて刺し入れる。狙いさえ定まれば、うんと一息。打鍼や捻鍼のように肌下で経穴を探して鍼先を這わせずにすむので痛みが少ない。

実は、私はこのところずっと鍼を打ってもらっています。きっかけは腰痛でした。ぎっくり 腰になったようで、まともに歩けないほどの痛みがありました。そこで紹介されて鍼を打ってもらったのです。鍼灸師は晴眼の男性です。物静かで、むしろ無口な先生なので、私はベッドの上でうつ伏せになると、目をつむり、ほとんど寝入ってしまいます。いつも 40分間ですが、あっという間です。終わったときは、いつも身体がすっと軽くなっています。いやあ、これはいい、それ以来、病みつきになり、安眠目的を兼ねて、2週間に一度は行くようにしています。 

さて、塙保己一です。盲人でありながら群書を引っ張ってきて、整理するなんて、晴眼者でも容易にできることではありません。

保己一は、本屋で本を手に入れると、それをいったんさらりと流し読んでもらう。そのときの読みの声の質はとても大切。声によって頭の中でこしらえるタンスの材と飾りがずいぶんと変わる。保己一は、そのため、本の類別ごとに読んでもらう者を振り分けた。

目明きの本好きは、本を目で読むだけでなく、口でも 読みたがる。本屋の客は本の種類ごとに担当をつくり、保己一が店に来るとそれを読み、店に駆けつけてくる。

保己一は、一世に出された書物を集め、編纂(へんさん)し、一つの書物にまとめ上げる。 数ある手本のなかから正しいものだけを集め、それを分類して位置づける。そうすると、あれもこれもと手を出す必要はなくなる。

「群書類従」におさめられている千種を優にこえる書籍は、「竹取物語」や「源氏物語」のような有名どころだけでなく、歌合の勝敗や寺社の社務日記、童の遊びの決めごとのような、取るに足らない雑録にまで及んでいる。

おまけに、貴重な書物の真正性を重視し、全国から集めたばかりでなく、ときには地方の蔵へ出向いて引き比べ、底本を見つける。これを36年もした。大功績だ。今日までに620冊、1万6053枚の版木を彫っている。

いやはや大変な超人としか言いようがありませんね。その丹念さに頭が下がります。圧倒されてしまいました。

(2026年6月刊。1850円+税)

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