(霧山昴)
著者 都丸 亜希子 、 出版 祥伝社
ニホンザルのサル吉くんが、おしゃべりして、自分たちの生活を紹介するというユニークな本です。 最後まで面白く一気に読み通しました。 こんな工夫もいいですね…。
サルの寿命は25年ほど。20歳すぎたら急速に老化現象がすすむそうです。
メスはずっと群れに残りますが、オスは4歳くらいで群れを出なければいけません。 ところが主人公のサル吉は7歳にもなるのに、まだ群れにのほほんと残っています。もちろん、群れのメスたちはサル吉を相手にしてくれません。ところが、群れのアルファメスである姉ちゃんがサル吉に対して群れから出ていくように求めるのです。さあ、どうしたらいいでしょうか…。
サルたちは群れで放浪生活をする。 一ヶ所に定住することはない。 寝るときは、仲良し同士が肩を寄せあって眠る。 「寝るぞー」と呼びかわしながら寝る。 でも、しばらくすると誰かが起きだし、ゴソゴソしだすから、騒がしい。
サルは、人間のように汗をかけないので、暑い夏は、涼しいところにいて、なるべく動かない。
セミは、高カロリー食品なので食べ物として最高。
サルの社会では、親子であっても、食べ物を分け与えることはない。
サルの群れでは、誰と誰の仲が良いのか、誰がどの家系にいるのか、というのが重要。 それで、ムダな争いごとを避けられる。新しいことを始めるのは、いつだって子どもサル。 大人のオスザルは保守的。
ニホンザルは、2~3歳のころから、オスはオス、メスはメスのグループをつくる。 寝るときも、オス同士、メス同士で固まって寝る。
ニホンザルの群れは母系なので、群れを維持するのはメスの役目。
オスが必ず群れから出ていくとも限らない。オスであっても、心も行動もメスという存在もいる。
ニホンザルのルールは、アルファメスの家系の一番若いメスが後を継ぐ。オスの順位決定にはメスの承認が必要。
メスザルは3歳の交尾期(秋から冬)に、性皮がピンクにふくらむ。 オスザルよりメスザルのほうが少しだけ早く成熟する。
もてるメスザルは、何頭か子どもを産んだ、いわゆるベテランメス。 赤ちゃんを育てた 経験がモノを言う。
相手のメスが承知しないと交尾はできない。 強姦はありえないようです。
メスザルは、発情期になると、群れで数年一緒に過ごしていた仲のよいオスザルの前から、スーッと消える。
今はボスザルとは呼ばない。リーダーでもない。集団をリードしているわけではないから。 それでアルファ(α)オス・メスと呼ぶ。
ニホンザルは日本に一種のみ。ヤクシマザルはニホンザルの亜種。オナガザル科マカク属で、旧世界ザル。
ニホンザルが最少となったのは、戦後1950年ころ。山に木がなく、杉林ばかりだったから、食べるものがなかったから。針葉樹林は食べ物の役目を果たさない。
サルの身体は薬にも、食用にもなっていた。 「孫ザルは婆に食わすな」という言い伝えがあったそうです。それくらいぜいたく品でした。
ニホンザルの生態が写真もイラストもたくさんあって楽しく学べる本です。
(2026年4月刊。2970円)


