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キミもワタシも外国人

カテゴリー:社会

(霧山昴)

著者 上方平和教育研究所 、 出版 日本機関紙出版センター

排外主義はあかん!まったくそのとおりです。

ところが、参政党の神谷とか日本保守党の百田とか、国会内外でヘイトスピーチをまき散らして恥じるところがありません。

最近の新聞に国会議員を減らすことに7割の国民が賛成しているという解説記事がありました。維新の会の定数削減はそれを背景にしています。しかし、神谷、百田そして吉村など国会議員をすぐに辞めてほしい人はたくさんいます。高市早苗も、その一人です。

でも、少数意見を代表する議員が国会にいなかったら、それこそ軍事産業を代表する議員ばっかりになってしまいかねません。

世の中は、いろんな人がいて、共存しているからこそ発展するのです。

外国人は帰れと叫んでいる人は、きっと毎日、不平不満たらたらの報われない状況に置かれているのでしょう。その八つ当たりのはけ口をヘイトスピーチにすがっているのだと思います。

この本には、戦前の日本人移民の苦難も紹介されています。アメリカでは第二次大戦中は理由なしに強制収容所にいれられ、ジャップとして「猿」扱いされました。

アントニオ猪木はブラジル移民の子です。力道山が見出し、日本に連れてきたそうです。もちろん力道山は在日朝鮮(韓国)人です。美空ひばりだってそうです。この二人は日本人の永遠のアイドルですよね。今のK-POPどころではありません。

参政党、保守党そして維新の「圧力」もあってか、高市政権は目下、ひどい外国人排除策を推進しています。外国人の起業など、在留資格となる資本金を500万円から3000万円に引き上げました。そして在留資格の更新 手数料を1万円から10万円に値上げし、永住権の費用は、1万円だったのを30万円に大幅値上げしてしまいました。高市政権は「外国人はいなくなってほしい」というのです。

でも、現実はどうでしょうか……。 コンビニで働く外国人は、今11万人いて、その多くは学生です。介護施設も外国人労働者がいなければ回らなくなっています。

ブラジルには現在も250万人の日系人がいます。ハワイの住民は5人に1人が日系人。

在日コリアンは今40万人。そのほか、ベトナム人、中国人、フィリピン人、ネパール人が7割を占めている。

日本の入管庁が自ら クルド人を難民として認定したのは、なんとゼロ。裁判で負けて入管庁が難民認定した人が1人いるだけです。ひどい、ひどすぎます。ここにも高市政権への忖度(そんたく)があらわれています。

 川口市とその近郊に住むクルド人は2千人。SNSで攻撃され、「クルド人は怖い」と思わされている日本人が増えている。残念です。

外国人が自分たちより優遇されているという「嫉妬 (しっと)」があり、外国人に自分たちの社会が乗っ取られるのではないかという不安がある。参政党や保守・維新などの政治家が利用し、あおっているのが「日本人ファースト」。自分が「嫉妬」していることを 知られたくないので、過剰に反応する。「嫉妬」は、人間という大切な人間関係を壊してしまう。

「人は苦しいときには、スケープゴートを探す。自分より弱い人々のせいにして踏みにじる。 自分は政府から踏まれっぱなしのドアマットのくせに……」

排除されていい人なんてどこにもいない。連帯を大切にしましょう。

わずか120頁のブックレットです。大切なことが分かりやすく解説されています。

(2026年8月刊。1540円)

「六人部屋の13年」

カテゴリー:人間

(霧山昴)

著者 頭木弘樹 、 出版 晶文社

筑波大学の学生のとき、20歳で 難病(潰瘍性大腸炎)となり、著者は13年間も入院していました。そのときの見聞記録がよく描かれていて、まさしく身につまされます。

私は年に2回、人間ドックに行っていますので、病院内の雰囲気はそれなりに分かります。そして、交通事故(信号待ちしているところを追突されました)で10日間だけ入院したこともあります。個室に入って白い壁の病室にいて、誰とも話さない生活が続くと、気が変になりそうでした。

著者によると、2人部屋は息が詰まる思いをさせられそうです。むしろ、6人部屋のほうが逃げ場があってよいとのこと。そして6人部屋にいると、自然にそれぞれの家庭背景が分かっ てくるそうです。

誰も見舞いに来ないという人も少なくないようです。日頃の環境によりますね、きっと…。そして、見舞客が見舞いの言葉に悩むのもよく分かります。なるほど…。好きで病気になったわけでもなければ、好きで闘病しているわけでもない。

ところが、見舞客が「あなたがこうなることを、ずっと願っていました」と、悪意のある言葉を吐く人が少なくないというのには驚きました。わざわざことを言いに病室までやって来るとは、よほどの恨みがあったのでしょう。

宗教の勧誘もよくあるとのこと。統一協会もそうでした。他人の不幸につけ込んで、大金を巻き上げるのが「宗教」です。

著者は、病人に対して見舞いのときに言ってはならない言葉のリストを作るのには賛成しません。著者は、病人を傷つけるかもしれないなんて心配せずに近づいてきて、話しかけてほしいと言います。なるほど、ですね。体験にもとづく言葉だと思いました。

医師や看護師について書いてあるところも、心が惹かれました。本当は、一番すごいのは、目立たなかった人たちだ。目立たなかった人たちというのは、きちんと治療し、きちんと看護した人たちだ。きちんと治療し、きちんと看護する人たちによって、患者は生かされている。なるほど、そうなんですよね。

20歳で難病によって入院生活を余儀なくされた著者は、不公平な世の中だと思っていた。ところが、小児病棟があり、子どもの悲痛な泣き声を聞いて、気がついた。人はもともと不平等なのが当たり前なのだ。それを不平等でなければと思っていた自分が間違っていた。それが転機となって、病室の他の人と話をするようになった。

大変考えさせられる話が盛り沢山でした。

                       (2026年8月刊。1980円)

語るパンダ

カテゴリー:生物

(霧山昴)

著者 日本パンダ保護協会 、 出版 朝日新聞出版

 残念なことに日本にパンダはいません。ところが アメリカには先日、パンダ2頭が到着したというニュースを見ました。トランプと習近平は、今や似た者同士の良い仲を演出して、世界中に見せつけています。その流れでアメリカにパンダ2頭が中国から貸し出されたのです。パンダは中国にとって最高の外交上の「武器」なのです。

高市首相の中国敵視政策は強まるばかりです。中国に向けた長射程ミサイルを日本本土各地に配置し、沖縄・南西諸島への自衛隊増強は驚くべきスピードで進められています。ところが肝心の「敵」中国は、アメリカのトランプ大統領とにこやかに握手し、年内にさらに会談するようです。

いつもいつもアメリカべったりの高市政権ですが、アメリカが中国と仲良くするのだけは「べったり」ついていくことは出来ないようです。アメリカに頼らず、中国と戦争して「勝てる」つもりなのでしょうか…。もちろん、そんなことはありえません。

私は上野動物園にパンダを見物しに行ったこともあります。 残念ながら、当のパンダはぐっすりお休み中で、ぴくりとも動きませんでした。でも、和歌山のアドベンチャーワールドには何回も行きましたが、パンダが何頭もいて、野外の運動場でパンダが竹をむしゃむしゃ食べている姿を間近に見ることができました。

パンダの繁殖はとても難しいことのようですが、アドベンチャーワールドは何回も成功しています。 たいしたものですね。そして、パンダの食べる特別な竹も育成・栽培していたのです。 本当にご苦労さまでした。

高市早苗が日本の首相である限り、日本にパンダがやってくることはないでしょう。早いところ高市を首相の座から引きずりおろさなければなりません。

本田由紀教授(東大)ではありませんか、「高市、そこをのけ」と叫び、行動するか手はありません。

パンダの妊娠期間は「80日から200日超」とされている。えっ、なんでこんなに幅があるの…。パンダは着床遅延という方法によって自分と子どもを守っているとのこと。すごいですね。

パンダはもともと単独で行動する哺乳類。でも繁殖期にはオスとメスが出会うことになる。オスもメスも11種類の鳴き声を発することができる。そして、発情期には、特定の鳴き声において周波数と構成が変化する。オスとメスも、発情期には、羊鳴きと鳥鳴きの声を発する。メスは羊鳴きを通じてオスを選びし、しかも好みの選択を表現する。オスは、鳥鳴きを通じてメスの発情状態に関する情報を入手し、受胎の最高な状態を把握できる。

パンダを飼育中に繁殖させるうえで、発情、妊娠そして幼獣育成という三段階での障壁をこえなければならない。これを「三難問題」と呼ぶ。

しかし、不思議なことですね。もともと熊で肉食性だったのが、今や竹を主食とするなんて…。世の中不思議な一つだと思います。

早く日本にパンダが戻ってくることをひたすら願いながら読みすすめました。

  (2025年6月刊。2750円)

見えるか保己一

カテゴリー:日本史(江戸)

(霧山昴) 

著者 蝉谷めぐ実 、 出版 角川書店

盲人でありながら「群書類従」を刊行した塙(はなわ)保己一(ほきいち)の生涯を小説にした本です。直木賞を受賞できませんでしたが、候補作ではありました。

江戸時代、江戸には当道座の惣禄屋敷があった。盲人は皆これに属し、琵琶に平曲、鍼(はり)、灸、按摩と、お金を稼ぐ生業とした。

その鍼には、小槌を用いて 鍼を肌に打ち込む打鍼、鍼を捻(ひね)り入れるように肌に差し込む捻鍼(ねんしん)の二つがあったが、もう一つ、管鍼が考案された。これは、純銀、八角の鍼管に鍼を入れ、その鍼頭を叩いて刺し入れる。狙いさえ定まれば、うんと一息。打鍼や捻鍼のように肌下で経穴を探して鍼先を這わせずにすむので痛みが少ない。

実は、私はこのところずっと鍼を打ってもらっています。きっかけは腰痛でした。ぎっくり 腰になったようで、まともに歩けないほどの痛みがありました。そこで紹介されて鍼を打ってもらったのです。鍼灸師は晴眼の男性です。物静かで、むしろ無口な先生なので、私はベッドの上でうつ伏せになると、目をつむり、ほとんど寝入ってしまいます。いつも 40分間ですが、あっという間です。終わったときは、いつも身体がすっと軽くなっています。いやあ、これはいい、それ以来、病みつきになり、安眠目的を兼ねて、2週間に一度は行くようにしています。 

さて、塙保己一です。盲人でありながら群書を引っ張ってきて、整理するなんて、晴眼者でも容易にできることではありません。

保己一は、本屋で本を手に入れると、それをいったんさらりと流し読んでもらう。そのときの読みの声の質はとても大切。声によって頭の中でこしらえるタンスの材と飾りがずいぶんと変わる。保己一は、そのため、本の類別ごとに読んでもらう者を振り分けた。

目明きの本好きは、本を目で読むだけでなく、口でも 読みたがる。本屋の客は本の種類ごとに担当をつくり、保己一が店に来るとそれを読み、店に駆けつけてくる。

保己一は、一世に出された書物を集め、編纂(へんさん)し、一つの書物にまとめ上げる。 数ある手本のなかから正しいものだけを集め、それを分類して位置づける。そうすると、あれもこれもと手を出す必要はなくなる。

「群書類従」におさめられている千種を優にこえる書籍は、「竹取物語」や「源氏物語」のような有名どころだけでなく、歌合の勝敗や寺社の社務日記、童の遊びの決めごとのような、取るに足らない雑録にまで及んでいる。

おまけに、貴重な書物の真正性を重視し、全国から集めたばかりでなく、ときには地方の蔵へ出向いて引き比べ、底本を見つける。これを36年もした。大功績だ。今日までに620冊、1万6053枚の版木を彫っている。

いやはや大変な超人としか言いようがありませんね。その丹念さに頭が下がります。圧倒されてしまいました。

(2026年6月刊。1850円+税)

フロイス「日本史」再読

カテゴリー:日本史(戦国)

(霧山昴)

著者 服部英雄、貴田潔ほか編 、 出版 臨川書店

戦国時代の日本にやって来た宣教師のルイス・フロイスは、日本社会をじっくり観察して貴重な見聞録を残しました。イエズス会の教団本部に報告するためです。

ところが、実は、フロイスの作成した「日本史」はマカオに留まっていて、ポルトガルには送られていなかったというのです。それでも少しずつ送られ、フロイス「日本史」が発見されたのは1894年のことでした。

フロイスは、好奇心旺盛で、筆まめで、情報を夢中になって集めた。織田信長、豊臣秀吉、そして大友宗麟らと親しく会話した。

この本を読んで、なぜ当時の日本人が我も我もと短期間のうちに大量にキリスト教の信者になったのか、大きな謎が解けました。

宣教師は仏教の本場ないし発祥の地である天竺(てんじく)から来た宗教者だと思われていたのです。そして、宣教師も、日本人の観念を意図的に利用していました。

仏教の本場から来た呪術的神通力の持ち主。宣教師はこのようなイメージだった。

日本人は病気についての現世利益を求め、ザビエルも聖典の呪力を指示した。ザビエルは、福音書の文を紙に書いて与え、それを首に掛けたら病気が治るとした。

天竺から来た高僧は、こうした力を必ず有していると日本人は疑わなかったし、宣教師もまた日本人の期待どおりに振る舞った。宣教師たちは日本人の現世利益の希望に応えた。

宣教師たちは奇跡を起こす聖人だった。なので、宣教師国の上長のコスメ・デ・トレスが散髪すると、その髪の毛は信者によって拾い集められ、着ていた衣服から入手した古い布切れなどは、信者にとって宝物として珍重された。

宣教師の多くは日本語で自説教できなかった。例外的にガスパル・ヴィレラ司祭は日本語を流暢に話して説教した。そして日本人修道士ローレンソが日本語で説教した。このローレンソは、元琵琶法師だった。ザビエルから洗礼を受けている。

長崎の五島には、転びキリシタンがいた。彼らは土俗宗教化していったが、多くの人が「あべまるや」「さんたまるや」と唱え続けた

 フロイスは、日本の子供について、「恥ずかしがらず、のびのびしていて、愛嬌がある。能を演ずるところは実に堂々としている」とした。

同じくヴァリニャーノも、「国民は有能で、優れた理解力を有し、子供たちは我らの学問や教理をすべてよく学びとり、ヨーロッパの子供たちよりも、はるかに容易に、かつ短期間に我らの言葉で読み書きすることを覚える。下層の人々も、ヨーロッパ人におけるような粗暴や無能力ということがなく、一般にみな優れた理解力を有し、上品に育てられ、仕事に熟達している」とした。

すごい評価ですね。現代の日本人と子供の状況についても同じように断言できるものでしょうか…。 私はいささか自信がありません。

ルイス・フロイスは16歳のときにイエズス会に入会し、1563年に日本に来て、1597年に長崎で亡くなっています。関ヶ原の戦い(1600年)の3年前のことです。

ルイス・フロイスの「日本史」の新訳です。いくつかのポルトガル語の版を比較して、既往の誤訳を訂正しているとのことです。とても読みやすい訳です。ご一読をおすすめします。この本は全国の図書館に1冊備え、広く読まれてほしいものです。

(2026年7月刊。5280円)

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