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兵庫県知事問題、失敗の本質

(霧山昴)

著者 小林和樹 、 出版 ちくま新書

先日の沖縄県知事選挙におけるSNS上のフェイクニュースの氾濫、AIを使った捏造動画、そして金かせぎのユーチューバーの暗躍などを、沖縄のジャーナリストの生々しい報告で知ることができました。

そのSNS上のデマ宣伝の9割は沖縄の県民によるものではなく、東京などが発信元でした。

ユーチューバーは評判を立てたら、即お金もうけになることから、「突撃取材」を繰り返します。そのえげつなさは たまりません。斎藤知事が今なお県知事の座にしがみついていること、それを県民が黙って見過ごしていることも不思議でなりません。

斎藤知事が部下の公益通報を無視したうえ、攻撃したのが本件すべての発端だと思います。

斎藤知事は、総務省出身で以前は大阪府の財政課長をしていました。日本維新の会の代表だった松井一郎大阪市長の強力な支援を受けて兵庫県知事になったのです。斎藤知事は、2024年3月に京都市で開かれた日本維新の会の党大会にも出席しています。

自死した元県民局長は、『死をもって抗議する』というメッセージを残していました。

テレビの制作現場では、常にキャッチフレーズを求めている。

2024年9月19日、兵庫県議会は、全会一致で斎藤知事不信任決議を可決した。

兵庫県知事選挙では、斎藤知事を当選させる目的で立候補した立花孝志もいます。自らの当選を目指すことなく、他候補を応援するために立候補する候補者がいるなんて、考えたこともありません。結局、この立花氏は名誉毀損容疑で逮捕されています。当然のことです。立花のSNS発信には20万、そして37万もの返信があったとのことです。

人々は、新聞、テレビに代わってSNSに情報を求めて行った。

SNSでの斎藤知事への熱狂的な応援はすごいものでした。現場では、どこもかしこもすごい人だかりがしていました。「斎藤知事は悪くない」「がんばれ」という声が巷(ちまた)にあふれたのです。

「テレビは斎藤さんの悪口ばかり。NHKは、ちゃんと斎藤さんは悪くないということを報道して」と普通の市民が取材する者にぶつけた。報道よりも、人はSNSを信じた。

いやあ、これは怖い、恐ろしい現象ですね。これが一般化したら、ウソが堂々とまかり通る世の中になってしまいます。

斎藤知事をマスコミがちょっとでも批判しようものなら、斎藤候補を支持する人たちから、大量の暴言と抗議が集中する状況が生まれました。「斎藤知事は可哀想」という思い込みの支持者が生まれ、斎藤候補の当選となりました。まさに、SNSの威力の恐ろしさを実感させられました。その状況を改めて、詳しく知ることができる本です。

(2026年6月刊、960円+税)

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