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写真があってよかった。森山大道伝

(霧山昴) 

著者 大竹昭子 、 出版 新潮社

申し訳ないことに、この国際的写真家という森山大道という人を知りませんでした。

2019年、写真界のノーベル賞と呼ばれているハッセルブラッド 国際写真賞を森山大道は受賞した。この授賞式で、森山は「自分の写真をアートとは思っていない」とスピーチした。

刻一刻と変化する現実と、その変化を切り取ってきた 身体が、カメラを介して一瞬接触した結果として写真は生まれる。その写真が他者に見られて別の身体に記憶され、新たなイメージを芽生えさせることが写真の誕生以来、ずっと繰り返されて きた。そのような、人から人へと引き継がれるイメージのリレーの一区画を自分は担っているに過ぎない。これが森山の実感だったのではないか……。

私も写真は大好きです。昔、結婚式のお祝い金の残りで、ペンタックスを買えた とき、とてもうれしく思いました。そして、海外に旅行するときは20本ほどのネガ(36枚撮り)をスーツケースに入れて持ち帰り、それを現像して、写真集をつくるのが旅の楽しみになっていました。福岡県弁護士会の月報の表紙にも私の写真を5、6回採用してもらいました。3人の子どもたちの各々にアルバムをつくってやりましたが、どうしても第一子がたくさんあり、第二子、第三子と少なくなっていきました。たまに何かの折にアルバムを再見すると、たちまちそのころの状況をあざやかに思い出します。

森山は高校にはいったものの卒業はしていない。母親はこう言った。「ろくに学校教育を受けていないから、そんな性格が生地のまま出て、それだけが取り柄じゃないかしらね」 

なるほど、包容力のある親の見方です。納得します。大したものです。そんな子どもに教育を無理強いしても意味はない。そのままの力で伸びていくのを温かく待つしかないのだ。まあ、なかなか出来ないことではありますが……。

森山たちは、土門拳の主導するリアリズム写真運動へ反発し、違和感を持っていた。私の身近な写真家は、まさしくリアリズム写真家集団で活動していました。いつも、違うなと感嘆していました。

暗室作業には撮影とは別の技術が必要で、腕の差がはっきり出る。もちろん私は暗室作業をしたことなんてありません。そうなんですか、腕の差が出るものなんですね……。でも、今はフィルムカメラではなく、デジカメですからね……。

アラーキー(荒木経惟)という有名な写真家(私も名前 くらい知っています。ヌードでも有名ですよね……)とも森山は親しく交流していたとのこと。写真だけでメシを食っていくのも大変じゃないかと想像します。ベトナム戦争のときは、戦場カメラマンが何人も亡くなっていますし……。

(2026年6月刊。3630円)

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