(霧山昴)
著者 ミリーほか 、 出版 三才ブックス
伝統色とは、日本の歴史の中で、生まれ使われてきた色名を指す言葉。その色を羽に宿した鳥たちの姿とともに本書で紹介されています。
江戸時代の町人文化では「灰」は火事を連想させるので好まれず、「ネズミ色」と呼ばれた。また「黄丹」(おうに)は古くから朝廷の儀式で使われる、特別な意味をもつ色。
色相環は、赤、橙(だいだい)、黄、緑、青、紫の色が円の形で並べられたもの。隣りあう色は互いに近い性質をもち、円の反対側にある色は対照的な関係になる。
光の三原色は レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の3色。
印刷や絵の具、塗料の色は 色料によって表現されるシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の3色。実際の印刷では、3色だけでは深い黒をきれいに再現できないので、黒インク(K)を加えている。
自然の色は、色素による色と、光のふるまいによって生まれる色の両方で作られる。
人間の網膜には、赤、緑、青の光に敏感な3種類の視細胞があり、その組み合わせによって色を識別している。この仕組みを三色型色覚と呼ぶ。
私たちが見ている色は、自然の色(色素と構造によって生まれる色)、人の視覚(三色型色覚)、色の再現技術(RGBやCMY)という三つの仕組みの上に成り立っている。
色を生み出す物質には染料と顔料の2種類がある。染料は、水や溶媒に溶けて素材の内部に入り込み、繊維などと結びついて色をつける物質。顔料は水に溶けない細かな粒子で、素材の表面にとどまって色を表す。顔料は粒子が光を反射することで色が見える。日本画で使われる岩絵具(鉱物からつくられる)は、顔料の一種。染料と顔料では、光の関わり方が異なる。
ベニバナ(紅花)は、エチオピア原産の植物で、飛鳥時代に日本に伝わった。花弁に含まれる、ごく少量の色素カルタミンを抽出し純度を上げていって、鮮やかな赤を発色させる。江戸時代には、「片紅一両は金一両」と詠まれるほど高価なものだった。
ハギはマメ科ハギ属の植物の総称。万葉集の時代は、ハギは女性の象徴だった。
「エンジ」という言葉は、漢の時代に西域から伝わったもの。臙脂は、発音を音写したもの。
丹色(にいろ)は、赤土などの赤色顔料全般を指す言葉だった。
おもな赤色顔料は、酸化第二鉄を主成分とする赤土の「弁柄」(べんがら)、硫化水銀を主成分とする「朱」、四三酸化鉛を主成分とする「鉛丹」の3種類。
日本語で「赤」を表す言葉は、赤、紅、茜(あかね)、丹、朱、緋などがある。
アカネという植物の根を使って染める色なので「茜」(あかね)と呼ぶ。
自然の中にある色は、実は固定された色ではない。鳥の羽色は、光の当たり方や背景、見る距離によって大きく変わる。
「万葉集」や「伊勢物語」に出てくる「都鳥」は、ユリカモメとする説が有力。
ジョウビタキは、秋になるとわが家の庭にもやってきます。ちょうどミカンが旬を迎え10月ごろに越冬に飛来。冬の間、私たちの目を楽しませてくれる。わが家の庭もジョウビタキはよく来てくれます。
「万葉集」には、スズメを詠んだ歌は一首もない。なぜスズメが和歌にほとんど登場しないのか。
江戸時代には、早くもバードウォッチングに関する本が出版された。
キセキレイは、植物に由来する食べ物をとることで体内に取りこんで活用している。
色の複雑な成り立ちを知ることができました。
(2026年8月刊。2420円)


