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かこさとし 科学の絵本とともに

 

(霧山昴) 

著者 かこさとし 、 出版 河出書房新社 

子どもたち、そして孫たちに、かこさとしの絵本はたくさん読んでやりました。いえ、私も読みながら楽しみました。「わっしょいわっしょい ぶんぶんぶん」とか「どろぼうがっこう」「からすのパンやさん」……。いやー、いいもんですよ。絵は手塚治虫のように洗練されていませんが、なんだか泥臭くて、親しみやすい絵なのです。そして、かこさとしは本物の科学者なので、科学の本もあります。海や川が印象に残っています。とても細かいのです。すごいです。

残念ながら、かこさとしは、直接お会いしたことはありませんが、私は大学生のころ川崎市古市場でセツルメント活動をしていましたので、その大先輩になります。かこさとしは、なんと大手会社(昭和電工)に勤めながら古市場(ふるいちば)で子供会をしていたのです。私は、青年サークル(山彦サークル)で活動していました。

セツルメント子供会で、かこさとしは300人ほどの子どもたちを相手に紙芝居などをしていました。そこで、子どもたちの豊かな感性に触れ、ある意味で圧倒され、また大きな刺激を受けたといいます。

かこさとしは、セツルメント活動に、貴重な休みの時間と月給の3分の1を使い、打ち込んだ。

かこさとしが、お姫様の登場する紙芝居を書いたときの子どもたちの反応は……。「お姫様が出てくるなんて、関係ないや」と言って、ザリガニとりに消えてしまった。野性的で、自分たちがわくわくするようなものでないと見てやらないぞという反応だった。

かこさとしは、48歳のときに昭和電工を退社し、50年あまりのうちに描いた絵本は600冊以上。すごいです……。

かこさとしが、川崎で子どもたちと接して感じたのは、300人の子どもがいればそこには300通りの個性がある。子どもたち一人それぞれが、さまざまな個性を持っていることがすばらしいと思う。先に生まれた者として、その個性を伸ばす場をつくってあげたらいいのだ。教え込む必要はなく、自分でやろうという意欲を持てたら、それが一番。「やろう!」という意気込みを持たせること。

古市場には、工場の労働者の家庭が多い。なので、手に負えない、連中ばかりのハナ垂れだと思っていたら、感性といい、物事の考え方といい、「参ったな」と思わされることが多くて、考えを改めた。

三交代で働く父親が昼は帰ってきて寝ているから、家を追い出される子どもがいる。だから、もっとがさつかなと思っていたら、そうではなかった。

私が青年サークルをしていた当時の古市場も大手重機会社と中小企業に勤める労働者の家庭が住む町でした。決してドヤ街、スラム街ではありません。もちろん、豪邸もありませんでしたが……。

東北から進学や就職で来て働いていた若者たちと語らい、レクリエーション活動をするなかで、私は徐々に社会の現実に目を開かされ、自分の生き方を考えてきました。

福井県越前市には「かこさとし ふるさと絵本館」があるそうです。ぜひ行ってみたいと思います。この本は、科学の絵本を中心にかこさとしが語っていて、大変興味深い内容でした。

(2026年3月刊。2200円)

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