(霧山昴)
著者 児島 青 、 出版 KADOKAWA
古本屋「十月堂」シリーズの2巻目です。
アイデアが枯渇したマンガ家がふらりと街中のホテルに立ち寄るというストーリー展開で登場するのは「丘の上のホテル」という名の、実は山の上ホテルです。このホテルは廃業するまで、私の定宿でした。私の住む町のシェフのお兄さんがフロントで働いていたので、紹介されたのが始まりです。文化人のホテルとして有名ですので、自称モノカキの私にぴったりということで愛用していました。有名な天ぷらの店にも一度だけ入りましたが、たいていは地階の居酒屋兼バー風のカウンターで食事をしていました。独特のキー、そして部屋の内装があまりにも写実的なのに驚いていると、作者は泊まったときにスマホで写真を撮ったのだそうです。落ち着いた雰囲気のホテルで、気に入っていたので廃業したのが私にとっても残念です。隣の明治大学が買収したと聞いています。
「読み終わるまで死ねないくらい面白い本」を探し求めている客が登場しています。じゃぁ、私は何だったのかなと思ったとき、一番に頭に浮かんだのが『トゥイーの日記』(経済界)でした。私より少しだけ年長のベトナム人医師(女性)がベトナム戦争に自ら志願して、解放戦線(ベトコン)の一員としてジャングルでアメリカ軍と闘う様子を日記に書きつづっていくのでした。1970年6月、アメリカ兵に撃たれて死亡(27歳)したあと、その日記がアメリカに渡り、そこで英訳され、それが評判となってベトナムで紹介されると、「50万人が号泣した」というほど評価されたという本です。ほとんど私と同世代ですし、大学生のころはベトナム反戦のデモと集会を体験していた者として、私も身につまされ、読みながらおいおいと泣いてしまいました。一読をおすすめします。
次に泣いたのは『ザリガニの鳴くところ』(早川書房)という、アメリカの小説です。こちらは映画も見ましたが、アメリカで500万部も売れたそうです。動物学者の女性が69歳で執筆した初めての小説とのことですが、たまらなく切ないストーリー展開で、心が震えるほど、泣けてしかたがありませんでした。
そして、つい最近読んだのが韓国の人権弁護士の本です。全頁、赤いアンダーラインを引きまくりましたが、身体の芯から燃えてくる本でした。やっぱり、こんな出会いがあるので、連読・多読はやめられません。今年も11月半ばで400冊近くを読破しています。電車に乗って出かけるのが前より減りましたので、年間500冊には達しそうもありません。そこで、この本です。面白いマンガ本で、売れているようなのが、何よりです。
(2025年6月刊。760円+税)


