著者 美輪 明宏 、 出版 集英社
ヨイトマケの唄で多くの人を久しぶりに感動させた著者の本です。
テレビを見ない私は、その唄を聞いたこともほとんどありませんが、社会に真剣に向き合って生きている著者を尊敬しています。
このごろ疲れがたまっているな。そんな思いをかかえている人には、きっと一服の清涼剤になる本だと思います。
「ヨイトマケの唄」をつくったのは、著者が24歳のとき。
著者には、20歳のころから、養わなければいけない多くの家族がいた。病気の父、兄や弟たち8人への仕送りをしていた。そうして信じていた人に全財産をだまし取られた。
25歳から29歳までの5年間は、本当に地獄だった。
別れた相手を憎しみ続ける人は、自分に誇りをもっていない。愛される女とは、余裕のある思いやりのある女のことを言う。
セックスだけの恋は、長続きしない恋。セックスを切り捨てたところから始まる恋愛感情こそ、本物。それが質のいい恋なのだ。恋愛は、しょせん他人との関わりあい。
女のランクは、洋服や化粧で飾るだけで上がるものではない。中身がスタイリッシュでないと、相手の心をとりこにはでいない。自分を否定しまいそうなとき、好きになれないときには、体内にはほかにもっと素敵な自分がたくさんいると考えたらいい。そして、その可能性を引き出す。
結婚はレジャーでもなく、自分を変えてくれる人生の大イベントでも、お祭りでもない。
著者は霊視できるといいます。そして、困ったときには、純粋な気持ちで、観音様のエネルギーを自分の中に注入するつもりで、「念彼観音力(ねんぴかんのんりき)、念彼観音力・・・」と唱えるというのです。
宿命と運命は違うもの。占いで分かるのは宿命だけ。運命とは、自分の意思と力で、設計図を変更することができる。
17歳でプロになり、銀座でシャンソンを歌いはじめた著者の味わい深い本でした。
赤木圭一郎とのロマンスがあるというのを知って、驚きました。
「ヨイトマケの唄」がヒットしたのは私が高校生のときでした。そのとき著者は31歳です。
(2013年3月刊。1500円+税)
愛の話、幸福の話
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