法律相談センター検索 弁護士検索

日本人はなぜ家で靴を脱ぐのか

(霧山昴) 

著者 井上章一 、 出版 新潮選書

畳の部屋に靴をはいたまま上がるなんて、考えられもしません。板張りの廊下だって同じです。ところから、高級マンションの床張りだったら靴のままで生活する人が、日本人でもいるようです。信じられません。

警察が被疑者宅に捜索・逮捕のために踏み込むときは、どうやら土足のままが多いようです。それは被疑者などが逃げ出したときに直ちに追いかけられるようにするためだと聞いたことがあります。すると、仕方のないことかもしれません。

税務署員のガサ入れも同じでしょうか……。令状のない任意調査のときは、きちんと靴を脱ぐのが当然のことです。

私は事務所に出勤したら、まず靴を脱いでスリッパにはきかえます。そのとき、ついでに靴下も脱いで素足になります。靴下をはいていると、何だか気持ち悪くて落ち着きません。でも、所員の多くは、靴をはいたまま一日を過ごしています。素足を好むのは明らかに少数派です。

この本は日本人はなぜ家で靴を脱ぐのかについて、古今東西と比較しながら考察しています。日本人が昔から清潔好きだからです。外の汚れた泥が家の中、畳の上に持ち込まれるなんて、許せません。欧米人は少しずつ日本人に譲歩していったようです。それでも長靴を短靴に変えるくらいでした。

1932年の五・一五事件のとき、青年将校たちは当チャップリンが来日するのを知って、チャップリンも襲撃の対象としていました。幸いにもチャップリンは大相撲を見に行って難を逃れました。そのチャップリンが歌舞伎役者と対談したときは、日本側が畳の部屋なのに靴のままでよいとしたそうです。

ホテルのベッドに、シーツのよに茶色の小さなシーツをかけているのを見かけます。ヘッドスローと呼ぶそうですが、ベッドの上でも靴を脱がない欧米人の習慣に対応するためのものだというのを、この本を読んで初めて知りました。

スリッパは日本起源のものとみなすべきではない。

日頃、当然のことと思っていることでも、こうやって考察の対象になるというわけです。

(2026年7月刊。1650円+税)

福岡県弁護士会 〒810-0044 福岡市中央区六本松4丁目2番5号 TEL:092-741-6416

Copyright©2011-2025 FukuokakenBengoshikai. All rights reserved.

タイトルとURLをコピーしました