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人間とは何だろうか

(霧山昴)

著者 酒井 邦嘉 、 出版 河出新書

 人間の意識は時間の流れのように常に直列的。ところが、心の大部分の過程は脳の領域のあちこちで同時にマルチタスクで進行していて、並列的。むしろ、自覚すらできない状態のほうがはるかに多い。

 これは私の実感にもよく合います。自覚的な意識としては一本線なのですが、実は無意識のうちにいろんなことを並列的に感じ、考え、事を起こそうとしているのです。たとえば、急に人前で話す必要があったとき、口をついて出てくるコトバは、その場の雰囲気をわきまえ、目の前にいる人の表情を読んで、その人の関心にあわせて無意識のものが意識としてあらわれるというのがフツーに起きるのです。人間の心とコトバの摩訶不思議です。

 AIを使っても真の対話・会話はできない。AIは、文字や音声で返答するか、それはコトバを合成しているだけで、意味や意図を推論しているのではない。だから会話にならない。

 「対話型」というのは大間違い。将来も「対話風」にとどまるだろう。要するに、AIは情報を処理しているだけで、自律的に思考しているわけではないのです。

AIを活用したら弁護士は不要となる。これは現時点では、まったくの間違いだと私は断言します。たしかに、過去の判例を集め、分析して、そこから得られるものは大きい。しかし、目の前の人間の抱える問題の、どこが最大の悩みなのか、コトバとして表出していない、最奥でうごめいている感情をどうやって引っぱり出すかというのは、生身の人間同士の対話でしか達成できません。

 だから大きな法律事務所としてパラリーガルとして判例検索などをしている人は失業してしまうかもしれません。

 人間は3歳児のころ、脳の重さが1キログラムを超える。このころ、言語獲得の転回点となり、一人前に話せるようになる。言語こそが人間の本姓(ほんせい)。言語が我々を人間にしている。言語は思考の道具である。

 人間とコトバ、そして意識の関係を対話形式で学ぶことができました。

(2025年12月刊。1100円)

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