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ショアーの歴史

カテゴリー:ヨーロッパ

著者  ジョルジュ・ベンスサン 、 出版  白水社
 1939年から1945年までに、ヒトラー・ナチスは多くの共犯者の協力を得て600万人ものヨーロッパのユダヤ人を殺戮した。これをあらわす言葉としては、ショアーがふさわしい。
ショアーとは、災厄、破壊、悲嘆を意味するユダヤ教の祭儀用語である。ゲットーという呼び名は、1516年のイタリアはヴェネチアが最初である。
 第一次世界大戦が終わったとき、ヨーロッパには900万人から1000万人のユダヤ人が暮らしていた。その中にはポーランドの300万人、ルーマニアの100万人がいた。ソ連にも300万人がいた。
 1920年代から30年代にかけて、ヨーロッパ全域で、ユダヤ人排斥の勢いが高まっていた。
 ドイツにおける反ユダヤ教主義の伝統は古く、厳しいものがあった。
 1933年、ドイツの国会議事堂の火災を口実としてドイツ共産党は禁止となり、4000人の幹部が逮捕され、ダッハウの強制収容所に入れられた。
ドイツのユダヤ系公務員が解雇されるのは1933年4月から。ユダヤ人弁護士は所属する弁護士会から除名された。1934年末、弁護士の7割、公職人の6割が職務遂行不能に陥った。
 1939年にはユダヤ人の運転免許証が取りあげられた。
 1933年に50万人いたユダヤ系ドイツ人のうち、15万人が1938年までにドイツを出た。
 1939年9月、ナチス・ドイツはポーランドを占領した。数ヶ月のあいだは、ユダヤ系住民はまだ一過性の嵐にすぎないと考えていた。
 ワルシャワのゲットーには、1941年に47万人のユダヤ人が住んでいた。学校などの教育組織があり、舞台劇が演じられ、地下新聞が47紙も発行された。
 ユダヤ人評議会は罠にはまった。自分たちの殺戮までも引き受けることになった。そして、評議会制度は、利権と腐敗の温床ともなった。
 「T4作戦」は、1939年1月に占領下のポーランドで始まった。
 ポーランドでも、ドイツ本国でも、精神痛者が大量に殺害された。
 ヒトラーは、反対勢力の結集を危険とみて、処分目標を達していたこともあり、1941年8月、「T4作戦」の続行を断念した。
 アメリカのユダヤ人指導者には、ユダヤ人殺戮の情報は伝えられていた。
 1942年に犠牲者は100万人だとされていたとき、実際には300万人が殺されていた。アメリカ政府は、1944年春にはアウシュヴィッツの詳細な航空写真をもっていたのに、収容所への空爆を拒んだ。同じく、イギリスのほうも空爆することはなかった。
 それぞれ、国内に反ユダヤ主義があったことと、何十万人という難民が入国するのを危惧したことによる。
 ドイツの銀行はユダヤ系市民の口座を閉め、一般市民はユダヤ人の商店や会社、アパート、家財を買いたたいた。
 ドイツのデグザ社は、被害者から奪った、死体の歯から搾取した金冠を溶かして純金のインゴットをつくり、ナチスはそれを国家資産とした。
 ナチスの犯罪は、ごく少数の酷薄な変質者によるものではない。「勤め人の犯罪」、つまり普通の人間、民間あるいは軍人、ナチス党員などによる犯罪である。
 元ナチの大多数は、身元を隠そうともしなかった。戦後のドイツやオーストリアにおいて、隠健な勤め人や企業主として豊かな暮らしを取り戻していた。
 法律家で元ナチスの高級官僚であるハンスは、戦後は、アーヘン市財政部長、1953年にはアデナウアー首相の官僚長となった。
 ナチス・ドイツを今日なお賛美する人がいるのに驚きます。しかも、ヒトラーが軽蔑していた日本人のなかにヒトラーを賛美する人がいるなんて、まさにマンガ的な状況です。
(2014年1月刊。1600円+税)

「アラブ500年史」(下)

カテゴリー:アラブ

著者  ユージン・ローガン 、 出版  白水社
 1952年7月、エジプトのファルーク国王は国外へ去った。国王に代わった自由将校団は平均年齢が34歳だった。
 1954年10月、ムスリム同胞団がナセルを暗殺しようとした。しかし、ナセルは銃声にたじろがず、演説をそのまま再開した。ナセルは1954年末から70年に死ぬまで、エジプトの大統領とアラブ世界の総司令官をつとめた。
 モロッコでは、フランスは独自のテロ組織をつくり、ナショナリストを暗殺し、支持者たちを威嚇した。
 1955年8月、アルジェリアではFLN(民族解放戦線)が入植者の村を襲い、男女子ども123人を殺害した。フランス軍は直ちに残酷な報復措置に出て、少なくとも数千人のアルジェリア人を殺害した。
 1956年のスエズ危機は、エジプトにとって、軍事的敗北を政治的勝利に変えた典型的な例だった。ナセルの大胆な言葉と勇気ある抵抗は、どんな軍事的成功にも勝るものだった。
 1950年代にエジプトは地域のもっとも影響力のある国家として頭角をあらわし、ナセルはアラブ世界の文句なしのリーダーになった。ところが、ナセルの目覚ましい成功の進展は、1960年代にしぼんでしまった。
 1962年以降、ナセルはエジプト革命をアラブ社会主義路線に乗せた。ソ連と運命をともにして、その国家主導型経済モデルに従うことにした。
 アルジェリアの独立戦争は、1962年9月のアルジェリア民主人民共和国の樹立まで、8年間、全土で猛威をふるった。100人以上の人々が生命を失った。
 1956年9月、首都アルジェで3発の爆弾が炸裂した。「アルジェの戦い」として知られる激しい作戦の始まりだった。
 1958年には、フランス自体がアルジェリア問題で分裂しつつあった。1954年のフランス軍は6万人だったのが、1965年には50万人と9倍にもふくれあがっていた。フランスの納税者は、巨額の戦費を負担に感じるようになっていた。徴兵されたフランスの若い兵士は言語を絶する恐怖の戦争に巻き込まれたことに気がついた。
 フランスの世論は、フランス兵が第二次大戦中に、野蛮なナチスがフランスのレジスタンス運動を抑圧するのと同じ方法をつかったことを知り、衝撃を受けた。
 アルジェリアの危機は、フランス人共和国そのものを崩壊させる危険があった。そのことに気がついたドゴールは立場を変え、アルジェリアのフランスからの離脱をフランス国民に覚悟させはじめた。そして、ドゴール暗殺計画が企図された。それでも、1962年、アルジェリアの国民投票はほとんど全員一致で独立に賛成した。1962年6月だけで、アルジェリアのフランス人30万人が出国した。
 1967年のナセルにとって、イスラエルとの戦争は、いちばんやりたくないものだった。しかし、自分の成功のせいで、やらざるを得ない羽目に陥っていた。
 1967年の敗北のあと、ナセルは辞職を申し出た。しかし、民衆が、それを阻止した。幻覚から覚めた人々は、アラブ世界において、政府に対するクーデターや革命を引きおこした。
 1967年の戦争で、アメリカがイスラエル側に立って参戦したというナセルの主張は事実無根だった。実際は、まったく逆で、イスラエル軍はアメリカの情報収集艦「リバティー号」を攻撃し、アメリカは多数の死傷者を出した。
 1964年、「ファタハ」のイスラエルに対する作戦は軍事的には失敗だったが、宣伝行動としては成功した。アラブ世界は、波乱に富んだ1970年代に、石油の力によって変貌した。しかし、石油を武器としてつかうのは、言うのはやさしく、行うのは難しい。
 1973年10月、エジプト軍がシナイ半島に進攻し、基地を築いた。「10年戦争」は、外向的勝利でもあった。
 1970年代、テロリスト暴力が吹き荒れるなか、パレスチナ強硬派とイスラエル諜報機関「モサド」の双方とも、積極的に敵を暗殺していった。
 ヨーロッパの軍需企業は、欧米寄りの「穏健な」アラブ諸国に対して、アメリカと競って重火器を売り込んだ。
 1981年10月6日、サダド・エジプト大統領が公衆の面前で兵士たちから暗殺された。
 1983年10月23日、レバノンのベイルートで強力な爆弾が自爆攻撃によって爆発し、300人が死亡した。アメリカ海兵隊の将兵241人、フランス軍の将兵58人がふくまれていた。
PLOの指導者アラファトをイスラエル軍は暗殺しようとした。
 イスラエルの侵攻ほど、レバノンにイスラム原理主義運動を助長した出来事はない。「ヒズボラ」が生まれたのは、イスラエルに負うところが大きい。パレスチナ人は、イスラエル軍との対決で決して武器をとろうとしなかった。非暴力であることが、パレスチナ人のさまざまな運動家を「インティファーダ」に引きつけた。
 アラブ世界の揺れ動く内情を少しでも理解しようと思い、上下2巻の大作に挑戦してみたのです。少しだけ感触を得ることができました。
(2014年1月刊。3300円+税)

憲法学再入門

カテゴリー:司法

著者  木村 草太・西村 裕一 、 出版  有斐閣
 憲法についての、決してやさしくはない本です。正直なところ、私には難しすぎるところがたくさんありました。一見、日常会話のような体裁なのですが、その内容たるや、きわめて高度な論理展開なので、とても私はついていけませんでした。
 といっても、実は、司法試験にパスするためには、このような論理展開が求められているようなのです。ということは、今の私が司法試験を受験したら、少なくとも憲法科目については合格するのは覚束ないということのようです。トホホ・・・。
 著者の2人は、いずれも同世代。30代半ばでしょうか・・・。私が、この本を読んで、少しは理解できたと思えるところを、いくつか紹介します。
 「公共の福祉」条項の趣旨は「公共の福祉」を理由とすれば人権を制約できるという点にあるのではなく、人権を制約するためには、「公共の福祉」=「公権」を理由としなければならないという制限を立法府=国家権力に課した点にある。
 すなわち、「公共の福祉」の名宛人を国民から国家へと転換させたのである。「公共の福祉」は、人権の制約根拠ではあるが、正当化事由ではないという現在の支配的な見解は、このような意味において、理解できる。
 「公共の福祉」が、人権の限界ではなく、国家権力の限界であり、国家権力に対して人権制約の「理由」を要求する概念であるとすれば、ここでの焦点は、自由の側にではなく、自由を制限する国家行為の側にこそある。
人権とは、他者のいない世界において独善的に謳歌されるものではなく、他者によってそれが傷つけられたときに、「苦痛をこうむる人間の異議申立」としてのみ立ち現れるものだろうからである。
 プライバシーの権利は、かつては、一人で放っておいてもらう権利として理解されていた。それが、情報化社会の進展により、「個人が道徳的自律の存在として、自ら善であると判断する目的を追求して、他者とコミュニケートし、自己の存在にかかわる情報を開示する範囲を選択できる権利」としてとらえる自己情報コントロール権説が通説化している。さらに、最近では、「人間が多様な社会関係に応じて、多様な自己イメージを使い分ける自由をプライバシーと呼ぶ」自己イメージ・コントロール権説があり、また、「プライバシーの保護を社会的評価から自由な領域の確保としてとらえる」社会的評価からの自由説が有力に唱えられている。
プライバシーと思想の自由は、それらが侵害されることは「自分が自分であることを自分で決める」という原則が否定されることを意味するという点において共通している。
 ここらあたりは、私にも、なんとなく分かった気がしてきます。
現在の護憲派と改憲派との対立もまた、知性主義と反知性主義との対立という様相を示している。
 私からすると、安倍首相のような改憲論の主張は明治憲法の悪しき伝統への先祖帰りでしかなく、歴史の進歩をまったく無視しているという点で、反知性主義そのものです。いかがでしょうか・・・?
 宮台真司は、「昨今の判事って、本当に馬鹿だよね。間違いなく、私よりも法理論や法哲学を知らない」と語った、とのことです。弁護士として40年、また、裁判官評価システムに関与している体験からすると、裁判官が全員「馬鹿」だなどということは決してありません。ところが、上ばかり見ているとしか思えない裁判官が決して少なくないように思われます。また、家庭生活をふくめて、人生を豊かに謳歌しようという思考の裁判官も多いとは決して言えません。上(高裁や最高裁)のほうを気にしすぎて、自分の信念をもって、合議体であれば後進・若手の意見を取り入れることもなく、ばっさり切り捨てる判決のいかに多いことでしょうか・・・。
少しだけは理解したつもりになって紹介しました。それにしても、学者ってこんなことを一日中、議論しているのでしょうか。これでは私には一日たりとも学者なんてつとまりません・・・。
(2014年3月刊。1900円+税)
日曜日の午後、庭に植えていたジャガイモを掘り出しました、すぐ近くで、ウグイスが高らかに鳴いています。梅雨入りしたあと、なぜか雨が降りません。
 いくらか小ぶりのジャガイモが大きなザルで2杯分とれました。つやつやして、美味しそうです。
 夜、8時すぎ、暗くなってホタルを見に行きました。もう終わりかけのようで、チラホラ飛んでいました。

アフリカッ!

カテゴリー:アフリカ

著者  松村 美香 、 出版  中央公論新社
 日本の総合商社の若手社員がアフリカ市場を開拓しようとするときに直面する苦難の日々が描かれています。
 たしかに、アフリカ大陸は広いし、膨大な人々が住んでいますから、潜在的なニーズは大きいのでしょう。それでも、ともかく貧困層が多くて、安価であることが何よりの条件という国が多いのも現実です。そこに、中国製品ががっちり食い込んでいて、高品質をモットーとする日本製の進出を許しません。
 そして、治安の問題があります。さらには、病気も心配です・・・。それでも、主人公の日本の青年は、意気高くアフリカに乗り込むのでした。毎日毎日、パソコンに向かいインターネットを眺めるのに飽き足らなくなったのです。
 この本では、アフリカといっても、東部のエチオピア、ケニア、そしてザンビアしか登場しません。エチオピアといえば、マラソンの走者アベベを思い出します。世界最貧国のようです。
 ケニアは豊かな大自然のサファリ国立公園ですよね。でも、先日、福岡から修学旅行に行って、ショッピング・モールでのテロ騒動に危うく巻き込まれそうになったという話を聞きました。
そして、ザンビア。ここは治安がいいそうですが、あまり耳慣れない国です。
エチオピアは世界200ヶ国あるなかで、常に貧困ワースト・テンに入っている。戦争も内戦もないのに最貧困。
フルフルは、エチオピアの典型的な朝食メニュー。インジェラと呼ばれるパンを味付けしたもの。インジェラは、粒子が1ミリしかない土着の雑穀「テフ」を発行させ、縛り固めて直径30センチほどに丸く広げ、鉄板で焼いたもの。表面に泡だったぶつぶつがあり、色は灰色。腐りかけのような、すえた臭いがして、味は酸っぱい。使い古したぼろ雑巾のように見えるのだが、エチオピア人はこの主食をこよなく愛し、頑として食生活を変えようとしない。
日本人にとっての味噌汁と納豆のようなものでしょうか・・・。
 海外へ出れば、誰だってカルチャーショックを受ける。それから逃れてはいけない。カルチャーショックを受けている自分を楽しめ。感受性が豊かな自分を肯定しろ。それが、人間の成長となり、いつかきっと新しいアイデアにつながっていく。
 私も、初めて海外旅行、アメリカだったかフランスだったか忘れてしまいましたが、びっくり仰天の体験でした。これは必要なものだと痛感して、以来、毎年1回は海外に出かけるようになりました。
 ケニアもエチオピアと同じで、テレビや冷蔵庫は韓国製か中国製に占有されている。元宗主国であるイギリスの電化製品を探すのさえ難しい。
 ケニアで人気の日本商品は「つけ毛」(ウィッグ)くらい。
 ケニア人は、合理性よりも楽しさ優先。新しいもの、珍しいものが好き。ケータイも、商売での活用よりも、家族との対話に使いたい。
中国が売っているのは、ケータイだけでなく、情報システム。
 東アフリカでは、主な工場のマネージャーはインド人。インド人は絶対的少数派で、現地に溶け込み、2世、3世の世代になっている。でも、混血はすすんでいない。
 ケニアの不動産業者にはインド人が多い。最近では、インド本国からアフリカに渡ってくるビジネスマンも多い。そう言えば、マハトマ・ガンジーも、アフリカにいましたね・・・。
 ザンビアに限らず、アフリカの官庁街の建物は、いま、ほとんど中国の業者が建設している。ところが、建設して1年もたてば、もうボロボロ。ドアは壊れる。鍵はかからない。窓は閉まらない。エレベーターも怪しいし、配線も危ない。
 それでも、日本の商社はアフリカ進出を目ざすのです・・・。
(2013年12月刊。1700円+税)
 南アフリカのネルソン・マンデラ元大統領が亡くなったときのオバマ大統領の追悼の言葉は味わい深いものがあります。
 「マンデラのおしえを自分の人生にどう活かすか、各人が自問しなければならない。いまも世界には貧困や不正義が溢れている。だが人間の和解に共鳴すると言いながら、貧困撲滅や格差是正のわずかな改革にも反対する人々がいかに多いことか。マンデラの自由への闘争に連帯すると言いながら、批判を許さない指導者がいかに多いことか。それらを横目で見ながら声をあげず、無関心もしくはシニカルな態度に甘んじている人々がいかに多いことか。世界が直面する課題の克服はいずれも容易なものではない。だが、マンデラは『何ごとも達成するまでは不可能に思えるものだ』と語りかけている。私自身もマンデラの闘争に感銘を受け、元大統領への道を進むこととなった。私は、マンデラにはとても及ぶ人間ではない。しかし、それでもマンデラは、私に『よりよい人間になりたい』という気持ちを奮い起こさせてくれる。自分自身のなかにマンデラの大きさを見出そう。そして困難に直面したとき、マンデラが獄中生活を耐え抜いたことばを思いだそう。『いかに開かれた門が狭く、試練が辛くとも問題ではない、自分こそが運命の主人、自分こそが魂の行く手に舵をとる船長であるのだから』と」

伊藤彦造、降臨!神業絵師

カテゴリー:社会

著者  松本品子・三谷薫 、 出版  河出書房新社
 剣戟(けんげき)場面の挿絵は実にリアルで、迫真的です。これが新聞の挿絵だったら読まれること間違いないでしょう。私も、伊藤彦造の名前こそ覚えがありませんでしたが、この絵はなんとなく見覚えがありました。
 ともかく迫力があり、真に迫っています。それもそのはずです。一刀流の開祖である剣豪・伊藤一刀斉の末裔として生まれ、幼いころから父親より剣の手ほどきを受け、小学4年生からは真剣で修行していたのです。
 ですから、そこには壮絶な死を予感させるような緊迫した剣戟シーンがつくり出されています。そして、濃密なペン画ですから、緊迫感が画面いっぱいにあふれています。
 66歳で絶筆し、2004年に100歳で亡くなるまで、絵を描かなかったというのもすごいことです。絵の迫力が違います。すごい日本人がいたものです。ぜひ、絵をみてみてください。
(2013年12月刊。1800円+税)

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