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先生、洞窟でコウモリとマナグマが同居しています

カテゴリー:生物

                                (霧山昴)
著者  小林 朋道 、 出版  築地書館
 なんと、この先生シリーズも9冊目です。第1刷は2007年3月に出た『先生、巨大コウモリが廊下を飛んでいます』でした。それからの8冊は、このコーナーで全部を紹介させていただきました。
 鳥取環境大学の教授がキャンパスの内外での自然観察を軽妙なタッチで面白く紹介しています。この大学にはヤギ部があります。今や7頭ものヤギが飼われていますので、世話をする学生は大変だろうと推察します。
 ちなみに、ヤギは1歳で成熟し、メスなら子どもを産めるそうです。
 ヤギが出産した状況は、なるほど、人間とはまるで違います。ヤギの赤ちゃんはうまれて1日か2日は母乳を吸わないで生きているようなのです。ええっ、そ、そうなの・・・。おどろきました。そして、赤ちゃんヤギには乳母が登場します。なんと、出産していないのに、乳母のヤギに乳が出るようになるというのです。本当に不思議な現象です。
 先生は、洞窟探検に出かけます。勇気がありますね。私なんか、とてもダメです。お化けが出てきたら、どうしますか・・・。そして、ヘビがいたら、どうするのでしょう。実際、洞窟内には、とぐろをまいたアオダイショウがいました。うひゃあ、こ、怖い・・・。
 そして、洞窟内にいるコウモリを種別に観察するのです。コウモリの顔って、はっきり言ってグロテスクですよね。よくよく見たら、案外、可愛いのかもしれませんが、あまり好きになれそうもありません。
 私が小学校の低学年のころは、なぜかコウモリが夕方になると、家のまわりを何匹も低空飛行していました。長い物干し竿をもって、コウモリをはたき落として遊んでいました。今思えば無用の殺生の典型ですが、子どもの私にとっては単なる面白い遊びの一つでしかありませんでした。
コウモリは、犬のような格好で水を飲む。
 コウモリは、紙にしがみつき、引きちぎり、紙を食べる。
 「先生」は、ヘビは何ともないのです。平気です。ところが、なんとヘビに比べようもない無害そのものの大ミミズが怖いというのです。なんという逆転現象でしょうか。信じられません。
 サルには、ヘビだけに特別強く反応する神経が見つかっている。人の脳も同じような神経を指定する遺伝子があるのではないか・・・。私も、きっとあると確信しています。だって、本能的反応なのですから・・・。
 いつものように写真がたっぷりありますので、生きものたちの自然な姿がよく見え、素直な文章によって理解が深まります。
 「先生」のますますのご健筆を祈念します。
(2015年6月刊。1600円+税)

平城京の住宅事情

カテゴリー:日本史

                              (霧山昴)
著者  近江 俊秀 、 出版  吉川弘文館
 奈良の平城宮跡に立ったことがあります。もう20年ほど前のことになりますが、広大な平地が広がっていました。
 ここが長屋王邸跡という表示も、町なかに見かけたような気がします。そこから大量の木簡が出てきたのでした。
 平城京に住んでいた役人たちは、律令の規定に従って、正一位から少初位まで30に分けられた位階に与えられ、それぞれの役所に勤務していた。
 平城京に住む人の数は5万人から20万人まで、推定の幅は広い。
 木簡に見える役所は、大蔵省とか宮内省とか、現代日本でもついこのあいだまであったものもあります。
 平城京の宅地の3分の1強(37%)が役人に与えられていた。
奈良時代、妻も相続できる場合があった。夫が既に死亡していて、男の子がおらず、死別後も婚家にとどまっているときには妻の相続が認められていた。
 結婚したとき、当然に夫婦の財産の共有にはならなかった。結婚しても、夫の財産は夫個人のもの、妻も妻個人の財産が認められた。その子が相続することによって初めて一つの財産として扱われた。
 財産には、個人の財産とウジの財産の二者があった。個人財産は処分できるが、ウジの財産は管理者であっても勝手に処分はできなかった。
平城京の宅地は、一般的に自由に売買できた。つまり、当時の土地取引は、純然たる売買ではなく、今の借地に近いものだった。
 そして、建物は不動産ではなく、動産として考えられていた。
 平城京での当時の人々の生活の一端を知ることができました。
(2015年3月刊。1700円+税)

銀幕の村

カテゴリー:ヨーロッパ

                               (霧山昴)
著者  西田 真一郎 、 出版  作品社
 フランス映画は、フランス語を長らく勉強している身として、つとめてみるようにしています。もちろん、みたいと思っても見逃してしまう映画も多くて、残念に思うのが、しばしばなのです。
 この本は、フランス映画の舞台となった田舎町(村)を探し歩いた体験記です。私が行ったことのある映画の舞台も登場しています。2000年公開のアメリカ映画「ショコラ」です。この映画の舞台は、ブルゴーニュの山間にあるフラヴィーニ・シュル・オズランです。私はディジョンから観光タクシーに乗って行き、映画に出てくる古ぼけた教会にたどり着きました。そのすぐ近くにあるレストランで美味しい昼食をとり、少し離れたカフェで赤ワインを一杯のんだのでした。至福のひとときでした。
そして、「プロヴァンス物語・マルセイユの夏」に登場してくるプロヴァンスです。
 私は、エクサン・プロヴァンスに4週間いて、外国人向けのフランス語集中夏期講座を受講したことがあります。「独身」を謳歌したのです。40代前半だったと思います。本当にいい思い出となりました。そして、このエクサン・プロヴァンスには還暦前旅行と称して、それから20年たった59歳のとき妻と2人で再訪し、妻への罪滅ぼしをしました。
 私より一まわり以上年長の著者は、永年、国語科の高校教師をつとめたあと、フランス各地に徒歩の旅を続けているとのこと。なかなか真似できないことです。
フランス映画に関心のある人にはおすすめのオタク本です。
(2015年2月刊。1800円+税)

さらば、ヘイト本

カテゴリー:社会

                               (霧山昴)
著者  大泉 実成・加藤 直樹 ほか 、 出版  ここから
 嫌韓・反中本ブームの裏側を探った本です。
 福岡の本屋には、今でも嫌韓・反中の本が店頭に平積みしているところがあります。まさしく安倍首相の思うツボの状況があります。
なんとなく、韓国はいやだな、中国は怖いぞと思わせておいて、だから突然、自衛隊は海外へ武器をもって出かける必要があるのですと、論理を飛躍させるのです。
 そこにあるのは、思考の停止です。まともに自分の頭で、じっくり考えることなんて求められていませんし、許されません。まるで、オウム真理教の世界です。
 ヘイト本は、それをあおりたてた、タチの悪い本です。売れたらいい、あとがどうなろうと自分は知らない。お金ほしさになんでもやるという編集者たちの頭のなかは、いったいどうなっているのか・・・。
 ヘイト本のブームは2013年から2014年までの2年間。累計して200冊以上の嫌韓・反中の本が刊行された。
 月刊「宝島」は、ほぼ毎号「反日叩き」を特集してきた。しかし、2014年11月号を最後として、大特集はしなくなった。
 漫画誌の「ガロ」は、私も大学生のころ、まわし読みしていました。なにしろ、白土三平の「カムイ外伝」など、目を見開く思いでマンガを読んだものです。いわば、反権力の「ガロ」の出版社である青林堂が、いつのまにかヘイト本の出版社になっていただなんて・・・。信じられません。
 「在特会」だけでなく、他者を排撃していく運動というのは、その根底にあるのは、自分の存在に対する不安だ。個々が切れている。切れてしまっているから、不安になって、何かに結び付きたくなる。彼らが攻撃しているものは、実は、自分の内面にあるものなのだ。
歴史的事実を無視して、一方的に虚妄の主張をくり返すのは、かつてのルワンダの虐殺扇動を思い出させます。
言論人も責任があることを少しは自覚すべきですよね・・・。いい本でした。
(2015年5月刊。900円+税)

アメリカン・スナイパー

カテゴリー:アメリカ

                               (霧山昴)
著者  クリス・カイル 、 出版  ハヤカワ文庫
 映画をみましたので、その原作を読みたいと思いました。
 映画も原作も、アメリカのやっていることは、まったくの間違いだと言わざるをえません。
 「敵」の有力者を一人ずつスナイパーを殺していったとしても、その国を全体として支配できるわけがないのです。一人の狙撃手が敵軍の戦闘員160人の殺害に成功した。これは、局所(ミクロ)に見たら、すごい人数です。しかし、大局的にみると、なんという数字でもありません。何万、何十、いえ何百万人もの大衆を一人のスナイパーが支配できるはずもありませんから・・・。
 そして、そんなにたくさんの「敵」を殺した兵士の多くは、精神的におかしくなってしまうのです。160人を殺した伝説の英雄は、なんと「狂った」味方の兵士からアメリカで射殺されてしまうのです。
 シール(SEAL)の兵士の離婚率は、異常に高い。
 スナイパーとして、照準器を除いているときには、両方の目を開けておく。右目は照準器腰にみていて、左目は全体を見ている。これで、状況把握がしやすくなる。
 スナイパーは、市街地では、180メートルから360メートル内を狙う。郊外だと730メートルから1100メートルを狙う。そして、頭ではなく、体の中心を狙って討つ。はずしにくい。どこにあたっても、相手は必ず倒れる。
 民主主義をイラクにもたらすために命を危険にさらしたわけではない。命を危険にさらしたのは、友人のためであり、友人や同じ国の仲間を助けるため。戦争に行ったのは祖国アメリカのためであり、イラクのためではない。祖国が自分をイラクに送り込んだのは、あのくそったれどもがアメリカに来ないようにするためだ。つまり、イラク人のために戦ったことなど、一度もない。
 3日間、戦闘に出かけ基地に帰って一日休む。まず眠り、それからテレビゲームをやったり、家に電話をかけたり。基地から発信される通話は、すべて録音されている。
 イラク(ラマディ)で殺されたいのなら、警察官になるのが手っとり早い。また、警察組織には汚職がはびこっている。
 バグダッドのなかにあるサドル・シティでは、市民は普通に仕事に出かけ、市場で買い物をしていた。その一方で、銃を手にして脇道から忍び寄り、壁をつくっているアメリカ人兵士を狙う連中もいる。
 ファルージャは、ひどかった。ラマディは、さらに辛かった。サドル・シティは最悪だった。
 今の自分は、初めて戦争に行ったときの自分ではない。誰もが変わってしまう。戦場に行くまでは純真な心を持っているが、とつぜん世の中の裏側を目にする。
 戦争は、まちがいなく人を変える。死を受け入れるようになる。
 2013年2月、カイルは、テキサスの射撃場で射殺された。
 カイルは、このとき、除隊したあとで民間軍事訓練会社を経営する一方で、心身に障害を負った元兵士を支援する活動に従事していた。カイルを撃ったのは、PTSDを患う元海兵隊員だった。
 武力・戦争に頼るだけでは何も解決しないことに、一刻も早くアメリカ国民は気がついてほしいと思います。そして、日本にはアメリカの過ちを繰り返してほしくはありません。
 安倍首相の強引にすすめる戦争法案の成立を阻止するため、引き続きがんばります。
(2014年10月刊。860円+税)

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