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スウェーデン・モデル

カテゴリー:ヨーロッパ

(霧山昴)
著者  岡澤 憲芙・斉藤弥生 、 出版  彩流社
 今の日本人がスウェーデンを見習うべき最大のものは、なんといってもスウェーデンの投票率の高さです。なんと、86%近くもあります。そして、国会議員の選挙は完全比例代表制です。なので、死票が出ません。それで、一党独裁はなく、多党連立政権があたりまえなのです。日本のように国民のなかでの支持率は3分の1しかないのに、3分の2をはるかに超える国会議員がいて、政権与党の暴走を誰も止められない、なんていうことはありません。
 風通しのよい社会だと、投票所に行こうという気にさせますよね。選挙はお祭りのように楽しく、にぎやかなもののようです。戸別訪問を禁止して、萎縮させるということはありません。
 日本は、こんなところから変えなくてはいけません。
そして、国会議員も大臣も若い。20代の国会議員は珍しくないし、女性の大臣の比率も高いのです。住みやすい国だと思います。
 スウェーデンは、かつてヨーロッパでもっとも貧しい農業国家だった。それが短期間に世界でもっとも豊かな福祉・工業国家へ変身した。
 スウェーデンが生みだした「世界で最初」は、テトラパック、シートベルト、レーザーメス、ペースメーカー、コンピューターのマウス、イケア、H&M・・・。
 スウェーデンは、1814年以来、この200年間戦争していない、平和の伝統がある。
スウェーデンの政治は、この100年間、ほとんどが相対多数の単独政権か、2~4党の連合政権だった。
国会議員の45%は女性であり、大臣も2人に1人は女性。男も女も働いて、自分の財布をもった消費者になり、納税者になる。そして、男も女も出産・育児・家事に参加する。
スウェーデンは、2013年に5万人、2014年に8万人の難民を受け入れた。
スウェーデン語教育は無料で受けられる。
 パルメ首相は家族で映画をみた帰りに地下鉄の駅付近で暗殺された。首相も大臣も国王も気楽に街を歩き、地下鉄に乗っている。
 スウェーデンという国に学ぶべきとこおrは大きいと思ったことでした。
(2016年1月刊。2200円+税)

ひとと動物の絆の心理学

カテゴリー:生物

(霧山昴)
著者 中島 由佳 、 出版  ナカニシヤ出版
 私は犬派です。というのも、物心ついたときから、ずっと犬と一緒に生活してきたからです。それは高校生まで続きました。大学に入って、愛犬(ルミといいます。スピッツのオスです。座敷犬でした)が車にはねられて死んだことを聞いて、本当に残念でした。それでも、大学に入って忙しかったので、ペットロスにはなりませんでした。そして、子どもたちが小学生になったとき、柴犬を飼いました。メスなのに、マックスと呼んでいました。私の責任なんですが、室外に飼っていてフィラリアにやられて死なせてしまいました。申し訳ないことです。
 私の小学生のころには小鳥の飼育も流行していましたし、鶏も飼っていました。ニワトリのエサになる雑草をとってきたり、貝殻を叩きつぶすのも小学生のころの私の仕事でした。生来、生真面目な私は、一生懸命、ニワトリの世話をしていました。そして、父が飼っていたニワトリを「つぶす」のも、しっかり見ました。そのおかげで、ニワトリの卵の生成過程も、この目で確認することができました。娘が小学生のころ、ウナギを催物の会場で釣りあげ、家で飼いたいと言ったとき、私はダメと言いました。そして、慣れないまま、ウナギをさばいてウナギの蒲焼きをつくってみました。泣いていた娘も食べてくれました。
 日本人で動物を飼っている世帯は全世帯の3分の1。そして、犬と猫が人気だ。犬は6割、猫は3割を占める。犬も猫も、今では8割が室内飼い。
 一昔前までは、犬は番犬として屋外の犬小屋で暮らし、猫はねずみ獲りと近所のパトロールが日課という生活スタイルだったが、今やほとんど見られない。今では、犬も猫も、8割が家の中で家族と一緒にヌクヌク暮らしている。
人は動物と「会話」をする。人は社会的な生きものだ。たしかに自分のことを話したい。自分のことを話して理解してもらえることで、心の健康を保つことができる。
 動物が友人と家族とは違うのは二つある。一つは、傾聴してくれること、もう一つは評価しないこと。つまり、ありのままの自分を動物はしっかり受けとめてくれる。
 動物とのふれあいが、病気の人の生存率を伸ばすことも実証されている。人生にストレスはつきもの。しかし、動物の存在が、ストレス度の高いできごとによる心身のダメージをある程度は防いでくれている。
犬とのふれあいは、やはり愛犬とのふれあいが一番。飼い主とその犬とのふれいあいこそが強い愛着で結ばれている。
 非行少年や情緒障害の子どもにとって、動物は、ワン・アンド・オンリーの存在なのだ。つまり、彼らにとっては、動物こそ唯一の「家族」だった。逆に言うと、児童虐待や配偶者に対する家庭内暴力(DV)には、しばしば脅しや見せしめとしての動物虐待や殺害をともなっている。
 子どもたちが、幼いころから小鳥や犬・猫の世話をするというのは、とてもいい原体験になると思います。手抜きしたり、へますると、小鳥や犬・猫が死んでしまうという重大な、取り返しのつかない結果を生じさせるからです。
 子どもたちが大きくなってからは、旅行優先のために、犬を飼うのはあきらめています。
(2015年12月刊。1800円+税)

ペコロスの母の贈り物

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者  岡野 雄一 、 出版  朝日新聞出版
 『週刊朝日』に連載されたペコロスのマンガが本になっています。
 著者は長崎に戻ってタウン誌の編集長になってから、認知症になった母親のエピソードをマンガで紹介しはじめたのでした。
 父親は酒におぼれ、家庭内暴力がひどかったようです。それで、母親は若いころ裸足で家を飛び出して逃げたりしていたのです。
 そんな父親が、認知症になった母親の前にとてもいい感じのお爺ちゃんになって現われるのです。そして、それが息子である著者のトラウマを癒し、リハビリの時間になっていくのでした。
 母親の口癖がいいですね。「生きとかんば!」というのです。生きておきなさい、っていう言葉ですよね。
いろいろ大変なことがあっても、あきらめずに生きていこう。そしたら、いつかきっと、良いことがあるさ、という楽天的な言葉です。
 飲んだくれの暴力父は、実は、若いころにはアララギ派の短歌をよんでいたそうです。斉藤茂吉のあとの土屋文明にケンカを売っていたとのこと。
 著者のマンガは、そこはかとないペーソスを感じさせ、味わい深いものがあります。
(2016年1月刊。1200円+税)

ニュートリノで探る宇宙と素粒子

カテゴリー:宇宙

(霧山昴)
著者  梶田 隆幸 、 出版  平月社
 よくは理解できないながら、宇宙の成り立ちが少しでもつかめたらという思いで読みすすめてみました。
 ニュートリノは、電子と同じく素粒子の仲間。ニュートリノは、電子から電荷と重さをはぎとったようなもの。ニュートリノの大きさは分かっていない。
 私たちは、ニュートリノを触ったり、目で見たりして直接感じることはできない。
 しかし、ニュートリノがなければ私たち人類は存在できない。なぜか・・・。地球上の生物は、すべて太陽の光と熱によって生かされている。もしも太陽がなかったら、地球表面の温度は太陽系のいちばん外側にある冥王星よりも下がり、生物はまず生きていかれない。
 大要のエネルギーは、核融合反応によってつくられている。太陽中心の水素原子核が4個くっついてヘリウム原子核になるときに、膨大なエネルギーを放出する。もし、ニュートリノがなかったら、この反応はおこらない。最初の核融合反応が点火しないから・・・。
 ニュートリノがないと、太陽だって光り輝くことができないというのです。なんだか、ニュートリノを身近に感じることができました。
ニュートリノは観測するのが、とてもむずかしい。なにかにぶつかっても、曲がったりせず、地球すら貫通して飛んでいってしまう。
 太陽からやってくるニュートリノ1個を物質と反応させるには、地球を100億個ほどタテに並べてニュートリノを通す必要がある。そのくらい大量の物質があってはじめて、反応が起こる。逆に言うと、1個の地球を100億個のニュートリノが通り抜ければ、そのうちの1個がたまたま地球の内部のどこかで反応することになる。
 ニュートリノは、雨あられと地球に降りそそいでいて、太陽から地上にやってくるものだけでも、1平方センチメートルあたり毎秒660億個もある。
 こんなにすさまじい量のニュートリノって、一体どこへ行くのでしょうか・・・。
 スーパーカミオカンデは、直径40メートル、高さ40メートルの水槽を5万トンの水で満たしている。
 ニュートリノが一番たくさんつくられたのは、宇宙の始まり、つまり「ビッグバン」のとき。宇宙は始まって以来、ニュートリノに隅々まで満たされている。
 ニュートリノは、宇宙で一番たくさんある、もっともありふれた粒子である。
 ニュートリノは、電気的に中性で、物質とほとんど反応しない。ニュートリノは、物質と相互作用する力が弱い。弱い力とは、陽子の大きさの1000分の1くらいの距離にしか力が及ばない。
大気ニュートリノは、人間の身体にあらゆる方向から入射し、ほとんどそのまま空き抜けていく。
ニュートリノに質量があることは、現在では素粒子物理学の定理となっている。
 岐阜の山中にあるスーパーカミオカンデのほか、南極にも観測点があるそうです。すごいな、すごいな、と思いつつ、宇宙の起源と構成って今でも不思議なことだらけだということは、よく分かりました(分かったような気がしました)。
(2015年11月刊。800円+税)

古代ギリシャのリアル

カテゴリー:ヨーロッパ

(霧山昴)
著者  藤村 シシン 、 出版  実業之日本社
 古代ギリシャって、こんなにも自由奔放な、極彩色なところだったのですね・・・。真っ白な、どっしりと落ち着いた神殿のある国とばかり思い込んでいました。
 古代ギリシャに関する現代日本人の勝手な思い込みを軽く一掃してしまう画期的な本です。ギリシャに少しでも関心のある人には必読の本だと思いました。
 ギリシャには昔から白亜のパルテノン神殿があるなんて、とんでもない幻想だ。古代ギリシャの神殿は極彩色で彩色されていた。
 中国・西安に埋もれていた兵馬俑もそうなんですよね。極彩色なんです。これには大英博物館のスキャンダル(1939年)がからんでいたとのことです。うへーっ、知りませんでした・・・。
 古代ギリシャ人は、いちど完全に滅んでいるため、現代ギリシャ人とは血のつながりとか歴史のつながりはない。
 古代ギリシャ人は、古代ローマの中に吸収されてしまった。古代ギリシャ人は、もともとは海を知らない地方に住んでいた民族だった。
パルテノン神殿は紀元前5世紀に建てられているが、つくられた当初は、百足(ヘカトンペドス)と呼ばれていた。神殿の内部にあり、100歩(30メートル)で歩けるから・・・。
 パルテノン神殿は、もしものときに備えて金を備蓄するための倉庫だった。だから、祭壇がない。そして、パルテノン神殿は聖母マリア教会となり、イスラム教のモスクとなり、オスマン帝国は要塞化して、弾薬貯蔵庫とした。そのため、17世紀に爆発炎上してしまった・・・。
 この本が面白いのは、ギリシャ神話をじっくり解説しているところです。なあんだ、そういうことだったのか、と驚嘆してしまいました。
 有名なテミストウレス将軍は、ギリシャで一番強いのは俺様ではなくて、カミさんだ。いや、そのカミさんだって息子のいいなりなんだから、息子が全ギリシャで最強なんだ。そう言ったそうです。本当の話なんでしょうか・・・。出来すぎています。
 古代ギリシャの神々がいかにも浮気者ぞろいということもよく分かりました。これって、日本も同じようなものですよね・・・。40年以上も日本で弁護士をしていて、日本人の女性が昔から弱いなんて、ご冗談でしょうと思いますし、江戸時代の「女大学」なんて、実態にあわないものを押しつけようとしたもの、つまりウソ八百だと実感しています。日本は古代ギリシャ人と同じで、昔から性の解放はすすんでいたのです。
 ギリシャという国に少しでも関心のある人には強く一読をおすすめします。
(2016年2月刊。1500円+税)

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