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死刑囚、最後の晩餐

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著者:タイ・トレッドウェル、出版社:筑摩書房
 アメリカには死刑執行の3時間前に何でも食べたいものをリクエストできる制度があるそうです。そこで、実際に死刑囚がいったい何を注文したかを明らかにした本です。悪い奴を死刑執行するのは当然だというトーンで貫かれていますから、読んでいて少々いやになりますが、アメリカの死刑制度の現実の一端を知ることはできます。
 ちなみに、日本にはそんな制度はありません。リクエストどころか、死刑はある日突然、何時間か前に知らされ、まもなく執行されるのです。正月の3ヶ日を除くことになっていますので、死刑囚の気の休まるのは正月3ヶ日しかありません。これが平均で死刑執行まで10年ほど続くのです。アメリカには、現在、死刑囚が3000人以上いて(女性は49人)、この27年間に500人以上が処刑されました。うちテキサス州がもっとも多く144人にのぼります。もっとも死刑執行を認めているのは38州で、全部の州ではありません。電気椅子のところも5州ありますが、大半は薬物注射による執行です。そこで、何をリクエストしたかですが、たとえばテキサス州では4分の1がハンバーガーを、次いで、ステーキを注文したといいます。やはり、日頃食べ慣れたものを食べたいということでしょう。ステーキのほか、目玉焼き6個、ベーコン16枚、ハッシュウブラウン、イチゴシャーベット、ドクターペッパーコーラ、セブンアップ、コーヒーそして胃薬を注文した死刑囚もいたということです。
 アメリカでは刑務所も危険なところです。ところが、死刑囚監房は24時間の監視体制があるため、アメリカで一番安全な場所だというのです。いろいろ考えされられる本ではありました。

植物のこころ

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著者:塚谷裕一、出版社:岩波書店
 この夏にわが家の庭にはランタナという可憐な花を咲かせる低木を買って植えました。花の色が薄いクリーム色から濃い紅色に変わっていく、アジサイの花を小さくしたような花です。なぜ花の色が変わっていくのか。それは虫をたくさん呼び集めたいので、古い花も看板として残しておくけれど、ぜひ虫に来てほしい花は虫が近づいたときに区別できるようにはしておくために、咲きすすむにつれて花の色を変えるというのです。なーるほど、すごいなと感心しました。植物には心も感情もありません。だから、音楽を聴かせたり、手で触っても分かるはずはない。しかし、植物は明らかに生きているし、進化している。それをこの本は解き明かしています。
 私も日曜日ごとに花を眺め、土いじりをしていますが、なんとなく「植物のこころ」が分かりかけてきました。

乱交の生物学

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著者:ティム・バークヘッド、出版社:新思索社
 本の題名にギョッとするヒトは多いかもしれませんが、中味はすごく真面目な本です。もちろん人間を含めた動物の性を扱っていますが、生殖について深く考えさせられる具体的な実例が豊富にあげられていて、認識をあらたにさせられます。
 鳥類は、社会的には一雄一雌ですが、性的にも一雄一雌というわけではないことが今では明らかになっています。有名なオシドリもそうです。ただハクチョウは貞節を貫くようです。カマキリのオスは交尾しながらメスに食べられるという有名な話について、オスは自分が食べられないように全力をあげていることが明らかにされています。
 平均的な男性は1日に1億2500万個の精子をつくり出し、一生涯で2兆個になるそうです。七面鳥は1回に16億個、ブタは1000億個だというのです。なぜ、こんなにも多くの精子が1個ないし数個の卵子を受精させるために必要なのでしょうか?
 精子には欠陥が多く生じるし、精子競争に勝ち残れるもののみが子孫を残せるようにしたということのようです。それにしても数が多すぎますよね・・・。

あしたの発想学

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著者:岡野雅行、出版社:リヨン社
 痛くない注射針をつくった著者の工夫話がのっています。針の長さは20ミリ、穴の直径80ミクロン、外径200ミクロンという髪の毛のように細い針はパイプではできません。板を丸めて針をつくるのです。板のうちに穴を開けておけば針の先端だけでなく周りにも穴ができるので、注射の時間も短くてすみます。まったく新しい発想で取りくみ、それを技術的に可能にしたのです。
 この本にはモノづくりにこだわる職人の心がまえが具体的に語られていて、勉強になります。こんな職人気質が生きている限り、まだまだ日本も捨てたもんじゃありませんね。

先生が壊れていく

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著者:中島一憲、出版社:弘文堂
 欠勤依存症という言葉をはじめて知りました。出勤困難症候群をくり返すことによって起きるものです。買い物依存症、ギャンブル依存症と同じく、プロセス依存と呼ばれる病理だそうです。学力優秀な学生が、社会性が未熟なまま教師になると挫折する場合があります。教科書指導はできても、生徒指導で壁につきあたるのです。
 指導力不足教員が少なくないのも現実のようです。でも、わがままな親は、それ以上に多いでしょう。親が商業主義に無批判に乗せられていたら、子どもが何の疑問も感じなくなるでしょう。まじめな教師は、そこで板バサミ状態になり、ノイローゼになってしまうのです。
 だから、うちは中高一貫の私立に入れるんだという親も多いわけです。でも、みんなが私立に入れるわけではありませんから、社会全体としての解決にはなりません。
 私はいま2校目の中学校の外部委員をつとめています。といっても年に2回ほど、中学校へ出かけていって校長先生と話しをして帰ってくるだけです。それでも、中学校の実情の一端に触れることができます。非行や不登校やいじめ、教師の体罰など、問題は山積していますが目をそらすわけにもいきません。弁護士会としては、もうひとつ、法化社会をめざしての法教育も実現させなければいけません。

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