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女性のからだの不思議

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著者:ナタリー・アンジェ、出版社:集英社
 東京都知事の石原慎太郎は生理のとまった女性は役に立たないババアだと口汚くののしりました。まるで自分には母親がいないかのような下品な口調で、顰蹙を買いました。ところが、金持ちマダムには石原慎太郎のファンが多いのです。あーら、そんなことは私のことではないざます。それは、きっとしもじものうらぶれたおばさんたちを悪く言っただけでございますわ・・・。とても信じられない発想です。きっと人種が違うのでしょう。
 閉経後の50代の女性には体調が大変よい人が多い。閉経後の女性たちは一番の働き者であることが多い。オランウータンに閉経はない。死ぬ前に生殖能力のプログラムが停止するのは、人間の女性だけ。
 年をとった女性は、頭がやわらかくて戦略的で、援助する相手を自分の子どもや孫に限定しない。一族のなかで助けが必要な子どもの誰にでも手を差しのべる。人間の女性をほかの霊長類と区別するものは閉経ではなく、丈夫で長持ちな閉経後の寿命だ。
 最初の役割分担は、男と女ではなく、子を産む女と閉経後の女にあった。母親が産み、祖母が世話をする。この盟約があれば、生殖力と移動性に限界はない。
 肉体の壮健さが最大に発揮されるのは女性。男性は女性ほど長生きせず、寿命の男女差はどこの国にもある。たぶん、男はそれほど長生きする必要がないし、長生きしたがらないのだろう。
 そうなんですか、男は長生きする必要がないので、長生きできないんですか・・・。いやあ、これは私にとってかなりのショックでした。社会にいきるストレスが男の方に強いから長生きできないのだとばかり思っていました。
 世界は女を中心にまわっている。大多数の霊長類は社会集団をつくって暮らし、集団の核は雌である。雌は生まれた集団に生涯とどまり、雄は思春期に集団を離れて近親交配を防ぐ。外部の雄が集団に入れてもらうときには、仲間にするかどうかは雌が決める。雌は余計な雄がいるのを好まない。だいたいにおいて雄はあまり役に立たず、子どもの世話もせず、すぐに退屈してケンカを始めてしまう。そのうえ、雄はしばしば雌に嫌がらせをする。
 チンパンジーは明らかに雄が雌を支配している。ボノボの雌はグループをつくることによって雄よりも優位に立つ。ボノボは祖先の特徴をより多く備えた種で、チンパンジーとヒトはそこから派生したサルなのかもしれない。
 アメリカでは、貧困層の大半は母子家庭である。子どものいる夫婦が離婚すると、ふつう女性は貧しくなり、男性は逆に豊かになる。男と男社会の投資や庇護を失うようなふるまいは、いまも代償が高く、うっかりしたことはできない。
 人間の赤ん坊は顔を母親の背側に向けて膣から姿を現しはじめる。ほかの霊長類では仰向けで出てくる。赤ん坊を上向きにしてやろうとすると、背骨と首を痛めてしまう危険がある。ヘソの緒がからんでいても、ほどいてやることもできない。母親には助けが必要だ。
 赤ん坊は無力で、痛々しいほどぎこちなくしか動けないが、母親のお腹の上にのせると、においの手がかりだけで胸にまでにじり寄っていく。乳房の片方だけ洗うと、赤ん坊は洗っていない乳首を探しあてる。
 胎児は自分のサイン入りのにおいを尿に分泌し、それが羊水に混じる。羊水は循環して母親の尿として排出される。こうして母親は出産前に赤ん坊のにおいがわかり、近くにいる父親も胎児のにおいになじむのだろう。
 夫婦のどちらかが相手のにおいを嫌いだと、その結婚は破綻する。触覚、味覚、嗅覚。愛を求めるときには、あらゆる感覚が総動員される。
 うーむ、人間のなかで女性はやっぱり半分以上の地位を占めているのですね・・・。弁護士の仕事を通じて、日々、実感しています。
 庭に朱色のアマリリスの双花が咲いています。ジャーマンアイリスは終わりかけ、すっくと背の高いカキツバタの青い花が誇らしげです。シャクヤクは固いツボミのままです。昨年はとうとう花開くことができないままでした。何かが足りないようです。
 今朝、庭先に黒い小さなヘビを見つけました。じっと動かないので変だなと思ってよく見ると、お腹がふくれています。きっとカエルを飲みこんで、消化中なのでしょう。きのう庭を手入れしていると、カエルがたくさんとびはねていました。

みんなが殺人者ではなかった

カテゴリー:未分類

著者:ミヒャエル・デーゲン、出版社:影書房
 ドイツで著名なユダヤ人俳優である著者が、11歳のころ、ユダヤ人の母と一緒にベルリンで奇跡的に生きのびた実話です。たんたんと情景が描かれています。信じられない話のオンパレードです。
 ユダヤ人の母と子を助けたのは、もちろん一人ではありませんが、その真先に来るのは、なんとナチ親衛隊の若者でした。キリスト教徒の家庭に育った彼は、ユダヤ人迫害の真相を知ってナチ党を脱退し、後に、危険な東部前線に追いやられて戦死してしまいます。
 次に、亡命ロシア貴族の女性、そして売春宿の老婆、もと共産党員、などなどです。ユダヤ人母子であることを知りながら、誰もナチスに密告しませんでした。それどころか、母子を助けるためにナチ団体に入り、あとに命を落とした女性もいました。ええっ、そういうこともあったの・・・。とても信じられませんでした。
 訳者あとがきによると、ナチス・ドイツになって地下に潜ったユダヤ人は1万人以上いたそうです。そのうち半数はベルリン市内とその周辺に住んでいました。生き残ったユダヤ人は1500人。ベルリンにはユダヤ人救援組織もあったそうです。さまざまな方法でユダヤ人を助けた人々は2500人以上いたことが確認されています。みんな、見つかったら確実に即処刑される危険を冒していたのです。すごい勇気です。ですから、ナチス支配下のドイツであってもナチス賛美一色に塗りつぶすわけにはいきません。
 人は何事にも慣れるものだと言われている。しかし、ぼくにはどうしても慣れることが出来なかったのが、高射砲の甲高い発射音であり、爆弾の命中音であり、大型爆弾のピューピュー鳴る音だった。それから突然はじまる静寂。その静けさのなかに「空飛ぶ要塞」の爆音が聞こえてくる。そしてあらたに始まる対空射撃、極度のヒステリー状態にまで昇じていく爆発音。そう、こうしたものにぼくはどうしてもなじめなかった。
 私もこの状態を想像することができます。身体で恐怖心を感じ、震えがとまらなかったのではないでしょうか。
 いま、イラクの人々は、自爆攻撃そしてアメリカ軍による無差別ピンポイント攻撃によって恐怖におののきながら生活していると思います。アメリカの無法なイラク侵略戦争、そしえ日本の自衛隊がそれに荷担していることを、私は絶対に許すことができません

ジプシー・ミュージックの真実

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著者:関口義人、出版社:青土社
 インドの音楽には楽譜から音楽を再生する習慣はない。音楽は耳と身体で体得するもの。楽譜らしきものはあるが、それは記憶の一助になるにすぎない。楽譜を完全に習得しても、音楽を再現することはできない。あくまで口頭伝承によって受け継がれている。
 ジプシーではなくロマと呼ぶべきだという意見があるが、必ずしも彼らの総意ではない。 ジプシーは現在、世界におよそ1000〜1200万人は存在する。
 ロマの住む集落には、いろいろなタイプやサイズがある。20〜30人という、ごく小規模なものから、最大で5万人ほどにふくれあがった集落まで、さまざま。ロマの居住地は1万5000前後もある。定住せず、今も馬車などで移動し続けているロマは、全体からみて2〜3%にすぎない。漂流するジプシーというのは既に過去のものとなりつつある。 ヨーロッパのロマ人口は800万人。なかでもブルガリアは世界で3番目のロマ集積国。人口比で9.4%。スリヴェンはバルカン最大のロマの集中居住地。スリヴェンの人口15万人のうち、ロマは6万人、40%を占める。
 現在までの長い歴史のなかで、どの時期をとっても、ロマがもっとも多く居留したのはルーマニア。ルーマニアの南部にはロマ御殿が立ち並んでいる。インド以来、移動に適した資産として、ロマは金銀そして宝飾品を携える文化があった。
 人口200万人のマケドニアに居住するロマは25万人ほど。人口比率は12%に及ぶ。
 現在、ヨーロッパだけでも、電気も水もない場所で暮らすロマは200万人を下らない。そこに数ヶ月、いや10年以上も住む。
 ロマの少女は、14〜16歳で結婚してしまう。18歳の母親が3人の子どもを育てるというのは日常茶飯事。7、8人が狭い一部屋に暮らすのは珍しいことではない。したがって、家族の前で性関係が結ばれる。夫婦による性交渉が幼い子どもたちの眼前で行われ、子どもたちもほどなく同じことをくり返す。ロマたちは、平均3〜5人の子どもをもつ。ロマ社会では内婚制が現在もかなり守られている。
 本来、ロマは大変穏やかで、平和を好む人々である。しかし、集落における暮らしがストレスを生んでいる。
 ロマは、本来、宗教をもたないので、不信仰の輩と排斥された。
 暮から暮らしをするジプシー、政治・言論などで活躍するジプシーも多数いる。
 ジプシーの豊かな芸術的才能と生活の一端を知ることができました。日本人が、ここまでジプシーの生活に入りこんで体験的に調べること自体にも感心してしまいました。

近世の女旅日記事典

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著者:柴 桂子、出版社:東京堂出版
 江戸時代の女性が日本各地を旅行したときの日記が、こんなにたくさんあること自体に私は感動してしまいました。すごいものです。
 「入り鉄砲に出女」と呼ばれたように、江戸時代は、武器の江戸への流入と諸大名の妻女の江戸からの脱出を厳しく取調べたことは有名です。このイメージが強いものですから、女性が旅行するなんて考えられないことです。しかし、この本を読むと、とんでもない。江戸だけでなく、東北でも九州でも、たくさんの女性が日本各地を自由気ままに旅行していました。なかには一人旅を楽しむ女性すらいたのです。そうそう。そうなんです。日本の女性が昔から弱かったはずはありませんよ。長く弁護士をしていて、私はつくづくそう思います。
 たしかに、女手形があり、きびしい女改めはありました。しかし、同時に関所抜けも公然たるものでした。抜け道の案内賃として100文を払えばよかったのです。宿屋で案内人を斡旋してもらい、夜のうちに垣根や塀などの穴をくぐって関所抜けするのです。関所で手形をもたずに通れなかった女性は、茶屋の亭主に頼み、役人に50文の袖の下をつかって通過しています。
 昔は女人禁制の山が、あちこちにありました。富士山も通常は女人禁制。しかし、僧に導かれて頂上まで登った女性もいました。
 道中の食事はあまりおいしいものではなかったようです。でも、伊勢神宮のときには、桁はずれのご馳走でした。鯛も鮑もつき、酒と肴がふるまわれました。
 女性の一人旅も珍しいことではありませんでした。しかも、女盛りの41歳の女性一人旅です。各地の俳諧仲間を訪ねて歩いた山口県(長門)の女性(田上菊舎)がいます。
 旅の目的はさまざまです。人質、国替という公式のものから、吟行、湯治、観光、そして参詣、巡礼などの私的なものまで、いろいろあります。
 今も昔も、日本女性の旅行好きは変わらないことが、この本を読んで改めて実感することができます。うちのわがまま娘も、定職に就かないまま、気ままな世界旅行を夢見ています。これまでにも、さんざん海外旅行しているのに・・・。

考えるトヨタの現場

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著者:田中正和、出版社:ビジネス社
 名古屋大学の大学院を出て、600人の部下をもつ完成車組立工場の課長職を5年間つとめた経験をふまえ、ものつくり大学の教授である著者がトヨタ方式を実践的に考察した本です。
 私がトヨタの車に乗っているから、ニッサンがルノーに乗っ取られて悔しいから、トヨタ方式を賛美するというわけでは決してありません。でも、この本には紹介するだけの内容があると思いました。
 会社あっての従業員であり、従業員あっての会社である。従業員を解雇したくないという経営方針が生きている。
 トヨタ方式における人間性尊重とは、ありのままの個人の能力を受けいれて、その能力で手の届くちょっと上の目標に挑戦していくことで、持てる能力を存分に発揮してもらうこと。ありのままの個人の能力を受けいれる。うーん、いい言葉ですよね・・・。
 難しいことは自社でやる。やさしいものを外注に出す。楽をしたいと思うのが人の性。放置しておくと、簡単な仕事だけが自社内に残り、肝心な技術は外に出してしまう。これでは厳しい市場競争で戦えなくなる。
 バブル以降、多くの会社が金もうけだけを考えるようになってしまったのが残念。いつのまにか、MBAを取得したアメリカかぶれのビジネスマンや経営コンサルタントの口車に乗せされて、目の色を変えて金もうけに走るようになってしまった。ところが、血眼になって金もうけをすればするほど、目の前からお金が逃げていくのが、この世の理である。
 本当にそうなんですよね。弁護士を長くしていて、実感として、そう思います。お金は天下のまわりもの、というのが一番の真理のように思います。
 トヨタ方式のジャスト・イン・タイムはジャスト・オン・タイム(同期生産)とは異なる。単に在庫低減だけでなく、間に合うギリギリの設備能力と、ギリギリの作業要員数で生産するのを狙うやり方なのだ。このジャスト・イン・タイムは、アメリカの大資本自動車メーカーに、少ない資金で対抗するために考えだされた方法。少ない資金で動かすためには、リードタイムを短縮し、入った材料で出ていくまでの時間を短縮し、資金繰りをよくするしかない。
 ストレスのかかる職場に働いている人は活性化し、バリバリ仕事をこなす人に育っていく。ストレスがかかっていない職場では、人の能力は衰える一方である。いやあ、まったくそうなんですよね。私も忙しいときの方が本をたくさん読めますし、また、頭が生き生きとよく働きます。ヒマだと、ボーッとしているだけなんです。もっとも、あまりヒマなことはありませんが・・・。
 安住こそが一番よくない。いつも何かに挑戦していないといけない。人生とはこんなものだと諦めてしまったら、明日から生きる意味はなくなってしまう。まだまだやることがあると思うことで、人は生きている。
 改善とは、波瀾万丈に対応しながら生きることであり、真理を見きわめることであり、何かを求め続けることである。まったく同感です。私にとって、毎日の書評とフランス語そしてモノカキは、日々の挑戦です。安住したくありません。ずっとずっと挑戦していきます。さあ、あなたもご一緒にどうぞ。

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