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吉原花魁日記

カテゴリー:日本史(戦後)

著者:森 光子、出版社:朝日文庫
 オビに欠かれている著者略歴を紹介します。
 1905年、群馬県高崎市に生まれる。貧しい家庭に育ち、1924年、19歳のとき、吉原の「長金花楼」に売られる。2年後、雑誌で知った柳原白蓮を頼りに妓楼から脱出。1926年、本書、1927年『春駒日記』を出版。その後、自由廃業し、結婚した。晩年の消息は不明。
 売春街、吉原で春をひさいでいた女性は自由恋愛を楽しんでいたのではないかという声が今も一部にありますが、決してそんなものではなかったことが、当事者の日記によって明らかにされています。
 19歳で吉原に売られてから、嘆きというより復讐のために日記を書きはじめたというのですから、まれにみる芯の強い女性だったのでしょうね。
 ちなみに、女優の森光子とはまったく無関係です。同姓同名の異人です。
 うしろの解説にはつぎのように書かれています。
 「怖いことなんか、ちっともありませんよ。お客は何人も相手にするけれど、騒いで酒のお酌でもしていれば、それでよいのだから・・・」
 そんな周旋屋の甘言を真に受けて、どんな仕事をさせられるかも知らぬまま、借金と引き換えに吉原に赴き、遊女の「春駒」となった光子。彼女の身分こそ、まさに公娼制度の中にある娼妓であった。
 周旋屋に欺されたことを知ったとき、彼女は、日記にこう書いています。
 自分の仕事をなしうるのは、自分を殺すところより生まれる。わたしは再生した。
 花魁(おいらん)春駒として、楼主と、婆と、男に接しよう。何年後において、春駒が、どんな形によって、それらの人に復讐を企てるか。復讐の第一歩として、人知れず日記を書こう。それは、今の慰めの唯一であるとともに、また彼らへの復讐の宣言である。
 わたしの友の、師の、神の、日記よ、わたしは、あなたと清く高く生きよう。
 客よりの収入が10円あれば、7割5分が楼主の収入になり、2割5分が娼妓のものとなる。その2割5分のうち、1割5分が借金返済に充てられ、あとの1割が娼妓の日常の暮らし金になる。
 一晩で、客を10人とか12人も相手にする。
 客は8人。3円1人、2円2人、5円2人、6円1人、10円2人。
 客をとらないと罰金が取られる。花魁は、おばさん、下新(したしん)、書記などに借りて罰金を払う。指輪や着物を質に入れて払う花魁もいる。
 朝食は、朝、客を帰してから食べる。味噌汁に漬け物。昼食、午後4時に起きて食べる。おかずは、たいてい煮しめ。たまに煮魚とか海苔。夕食はないといってよいほど。夜11時ころ、おかずなしの飯、それも昼間の残りもの。蒸かしもしないで、出してある。味の悪いたくあんすらないときが多い。
 花魁なんて、出られないのは牢屋とちっとも変わりはない。鎖がついていないだけ。本も隠れて読む。親兄弟の命日でも休むことも出来ない。立派な着物を着たって、ちっともうれしくなんかない・・・。
 みな同じ人間に生まれながら、こんな生活を続けるよりは、死んだほうがどれくらい幸福だか。ほんとに世の中の敗残者。死ぬよりほかに道はないのか・・・。いったい私は、どうなっていくのか、どうすればよいのだ。
 花魁13人のうち、両親ある者4人、両親ない者7人、片親のみ2人。両親あっても、1人は大酒飲み、1人は盲目。
 原因は、家のため10人、男のため2人、前身は料理店奉公6人、女工3人、・・・。 吉原にいた女性の当事者の体験記が、こうやって活字になるというのも珍しいことだと思いました。貴重な本です。
(2010年3月刊。640円+税)

クレジットカウンセリングの新潮流

カテゴリー:社会

著者:大森泰人・伊藤眞一・永尾廣久ほか、出版社:金融財政事情研究会
 本年6月、改正貸金業法が完全施行され、これまでのような野放図な貸し方が規制されました。それでも多重債務者はいます。しかも、たくさんの人が困っているはずです。
 そこで、クレジットカウンセリングの出番です。ところが、なぜか、総合的な体系書が見あたりません。1998年以降、10年以上も空白になっています。本書はその意味で待望の新刊です。うれしいことに、福岡から二人の著者が出ています。永尾廣久弁護士(福岡県弁護士会)と行岡みち子さん(グリーンコープ生協ふくおか顧問)です。9人の著者は、行政官、学者、弁護士、NPO法人理事長、生協幹部、金融界関係者、市長と多彩な顔ぶれです。それぞれに経験をふまえてクレジットカウンセリングを論じ、自分の実践と体験を紹介しています。
 たとえば、テレビで大々的に広告・宣伝してパラリーガルを活用した大規模でシステマティックな債務整理については、債務者の実情に即した親身な対応が行われにくいとして懐疑的です。
 最近の相談者の実情は、貧困の問題に端を発するケースが増え、福祉的な観点からの生活再生が重大なテーマとなっている。
 国や自治体による助成、法曹界など関係諸機関との連携の重要性も強調されています。金融機関が多重債務問題に主体的に関与する必要性にも言及されています。
 永尾弁護士のクレジットカウンセリング論の特徴は、全国各地にあるクレジット・サラ金被害者の会のすすめている相談および生活立て直し活動を具体的に紹介しているところにあります。
 裁判所は、破産手続について、教育的要素など期待してもらっても困るという態度です。迅速・公正な処理さえしていれば足りるのであって、そこに教育的見地をいれる必要はないというわけです。だったら、裁判所に欠けている面を誰かがカバーする必要があることは自明でしょう。それを被害者の会が補っているのです。
 グリーンコープ生協ふくおかは、なぜか多重債務問題に取り組んでいるユニークな生協です。組合員に家計破綻した人が少なくなく発生したことが契機になっているようです。組合員の相談に乗り、弁護士を紹介し、生活再生貸付事業を展開しています。
 宮城県に栗原市というところがあるそうです。残念ながら、行ったことはありません。いいところのようです。岩手県・秋田県との県境にある山のなかの市です。そこの市長さんが、自殺防止対策について寄稿しています。なんと自殺率が県下最悪だっというのです。
 クレジット・サラ金の被害を本当に根絶したいと考えている人には絶好の手引書です。日本って、まだまだカウンセリングが根付いていませんよね。でも、必要な手法です。あなたに一読を強くおすすめします。
(2010年6月刊。3600円+税)
 6月に受けたフランス語検定試験(一級)の結果を知らせるハガキが届きました。もちろん不合格なのですが、なんと自己採点では63点だったのに、現実には51点でした。この12点の差はフランス語の書きとりと作文について私の自己評価がいかに甘かったかを意味します。大いに反省させられました。自己に厳しくとはいかないものですね。
 ちなみに合格点は85点ですから、34点も不足していました(150点満点)。

先生、カエルが脱皮して、その皮を食べています

カテゴリー:生物

 著者 小林 朋道、 築地書館 出版 
 絶好調、先生シリーズの第4弾です。ますます生き物たち観察と文章力にみがきがかかっていて、一気に読ませます。まずは、タイトルになった話です。これって、本当の話なんですね。
 ヒキガエルは、脱皮した自分の皮を自分で食べていた。著者は、これを目撃したのでした。
 ヒキガエルは、分厚い皮膚をシャツを裏返しに脱ぐように脱皮しながら、その古くなって脱皮した皮を食べた。そして、皮を脱いであらわれた新しい皮膚には、パンパンに張りつめたイボと、それからしたたり落ちる毒液が見えたのだった・・・・。脱皮に長時間かかるため、そのあいだに身を守るため毒液の詰まったイボを備えていたというわけなのです。
 ヘビに出会ったヒキガエルは、体(とくに腹部)を、ぷくっとふくらまし、四股を伸ばし、相撲の立会い前のような姿勢を見せる。ところが、そのヘビは、単にヘビそっくりのオモチャであってはならない。あくまで、先がかぎづめのように曲がったタテ棒の格好をしていなければ、ヒキガエルは対ヘビ防衛姿勢はとらない。この「かぎづめのように曲がったタテ棒」とは、ヘビがかま首を持ち上げて捕食しようとする姿勢を示すものと考えられる。なーるほど、ですね・・・・。
 動けない植物は、草食動物がある程度の葉や枝や実を食べたら体調に異常をきたすような物質を体内(の細胞内)で生産している。だから、ミズナラのドングリばかり食べているネズミは死んでしまう。そこで、草食動物は、野生では、同じ種類の植物を食べ続けるのではなく、種類を変えながら採食している。
 うへーっ、そういうことなんですか・・・・。食べる方も、食べられるほうも、相互に自らの身体の防衛を工夫しているのですね。
 生命・生き物たちの神秘を身近に感じさせてくれる良書シリーズです。コバヤシ先生、引き続き、がんばってください。続刊を楽しみにしています。
 
(2010年4月刊。1600円+税)
 いよいよセミが鳴き出しましたね。10日に天神で、11日に自宅でまだ頼りなさげな鳴き声ではありましたが……。梅雨は明けませんが、本格的な夏到来ですね。
 庭のキュウリが何日かおきに見事に太くなってくれます。ミソと一緒に食べると美味しくいただけますが、ミソの代わりに五木村の山うに豆腐をのっけて食べています。ちょっと甘味がありますが、モロキュウの食感で、初夏を食べている幸せ感が味わえます。
 私のハゼマケは皮膚科で貰った軟膏をつけたらひどくなることもなくあっという間に直ってしまいました。ちょこさん、ご心配ありがとうございました。

主婦パート、最大の非正規雇用

カテゴリー:社会

著者 本田 一成、 集英社新書 出版 
 
  経済界がもうけ本位で安上がりにすべく主婦パートを安易に「活用」しているのが日本の将来を危うくしていると実感させられる本です。
企業が主婦パートにつけ込むことに血道をあげているうちに、旧来の忍従してきた主婦パートは様変わりし、企業経営にとって危険な存在になりうる。その結果、「生産性」は上がらず、多くのものを失う。安上がりだったはずなのに、かえって高くついてしまう。
 企業が無我夢中でパート化を進め、うまくいっていると誤解しているうちに、人材の育成がおざなりになってしまった。
 かつては正直で働き者だった主婦パートが、不満をためながら同じ職場、同じ仕事を続けているうちに、横暴な「ボス」になっていく。そして、新人や気に入らないパートをいじめたりするようになる。しかも、「ボス」が数人いると派閥ができて、目もあてられない。なぜ「ボス」パートが誕生するのか。それは、「人材開発」が有名無実になっているから。
 今や多くの企業が、この「ボス」パートの問題をかかえている。
 「かご抜け」をやっている主婦パートがいる。「かご抜け」とは、レジで代金を支払わずに、かごにいれた商品を店外に持ち出すこと。レジ担当者が、レジに並んだ知人や友人の買い物かごに入っている商品の一部を巧妙に精算せず通過させることもある。
この「かご抜け」のような露骨な反抗ではなく、実は、もっと厄介なのが「静かな抵抗」なのである。不満だらけで、いやいや働く主婦パートは、ビジネスチャンスの種を見つけても、わざと拾わず、黙ってやり過ごしてしまう。
 自分の労働が正当に評価されないと、深刻な病理現象がいろいろ発生するというわけですね。
いま、主婦パートの主流は、家計の足しにするために働くという家計補助型から、生活を維持するために働く生活維持型に変化している。主婦はこの大黒柱となっている。
主婦パートにかかる負担が強まった結果、2人目は産まないという方向性が強まっている。少子化防止のはずが、主婦パートは子どもを一人にしてしまう少子化の推進力になっている。
家庭で夫からのDVの脅威にさらされている主婦パートが実に多い。DVがおきている主婦パート世帯の子ども虐待への連鎖反応も心配である。
このように、主婦パートに光をあてて実情を分析している貴重な新書です。
 
(2010年1月刊。700円+税)

官僚村、生活白書

カテゴリー:社会

著者:横田久美子、出版社:新潮社
 選挙のたびに官僚バッシングがあるのは、おかしなことだと思います。しかも、政権与党が官僚制(システム)を叩いて人気向上の材料にしようというのですから、信じられません。
 いかなる政権であろうとも、それなりの官僚システムなしに国を動かせるはずはありません。高級官僚の天下り、「渡り」で何億円もの退職金を、わずか数年間で次々に手にするなどの病理現象はたしかにあり、改善すべき点があることは間違いありません。しかし、官僚システム抜きの行政など、ありえないことは明々白々ではないでしょうか。その意味では、マスコミも官僚叩きにおもしろがって大々的に加担している点で同罪だと思います。
 この本は、官僚「村」の実情をそれなりに取材して報告しています。
 官僚批判すれば、確実に支持率と票が取れる。民主党の支持率が着実に落ちていくなか、官僚機構の改革に着手すれば、支持率の上昇が見込めると目論んでいる。
 これまでの日本では、政治家と官僚とのもたれあいは必然の出来事だった。官僚にとっては省益や局益に直結する法案を政治家に通してもらうことこそが命題であり、その家庭で癒着が生まれ、政治家は、政策的に官僚の掌で転がされてきた。
 敗戦直後の華族制度の廃止と財閥解体はあったものの、エスタブリッシュメント層は戦後も変容しながら存在し続けている。
 皇后・妃殿下の実家である正田家や川嶋家は「新華族」とも呼べる存在である。財界には、味の素の鈴木家、ブリヂストンの石橋家、ソニーの盛田家などが名門の家系として君臨する。金融界には、三井・三菱の宇佐美家がある。
 政界には、こうした財界や新華族とつながった名門一族がごろごろしている。鳩山家、福田家などがそうだ。
 官僚たちの世界でも、2世3世が幅をきかせているようです。
 OBと現役の外交官夫人で構成される「かすみがせき婦人会」は50年以上の歴史を誇り、会員数も500人をこえる。すごい世界ですが、こんなところにはすみたくありませんね。生まれがモノを言うなんて、今どき、とんでもない世界ですよ・・・。
 キャリア官僚の初任給は18万1,200円。45歳で課長になって、年収1200万円。局長になったら年収1800万円。次官級ポストの審議官になったら2300万円。次官(1年間)の退職金は7~8000万円。もちろん、最後は高額ですが、途中までは哀れなほど低いのです。あまり低いと、どこかで埋め合わせ行動(収賄)に走る危険があります。やはり、激務であれば、それなりの高給優遇は不可欠ではないでしょうか。
 それにしても、阿久根市(鹿児島県)はひどすぎます。「ブログ市長」として一時はもてはやしたマスコミ、そして、今も公務員たたきの尻馬に乗っている人の責任は重大です。そこにあるのは、民主政治ではなく、「独裁」そのものです。悲しくなります。
(2010年6月刊。1300円+税)
 今朝の新聞にドイツが軍事費を1兆円削減するという記事がのっていました。私も5兆円もある日本の軍事費をせめて1兆円減らして福祉予算にまわしたら、相当のことができるのではないかと思うのですが、自民党も民主党もそんなことはひと言も言いません。
 軍事費の使い方には、かなりのデタラメがあるのは、先日、天皇とまで呼ばれていた実力次官が汚職で摘発されたことからも明らかだと思います。だって、戦車も選管も競争相手のいないような商品ですから、「随意」契約みたいなものです。ともかく、巨額の商品です。しかも、軍需産業と防衛省のトップは天下りをふくめてツーカーの仲なのですから、歯止めのあろうはずがありません。これは戦前の軍部と軍需メーカーでも同じことでした。
 線ky歩の時こそ、こんなところにもマスコミはメスを入れてほしいと思うのですが……。
 マスコミのトップも例の内閣機密費のおこぼれをもらっていると週刊誌が描いていました。期待する方が無理なのでしょうが、でも私は期待したいです。

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