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漢文法基礎

カテゴリー:社会

著者   二畳庵主人、加地 伸行 、 出版   講談社学術文庫
 この本はZ会(増進会)の機関誌に連載されていたものがもととなっているそうです。私も、昔々、Z会には大変お世話になったという思いがありましたので、ちょっくら読んでみようかなと思ったのです。昔に戻って漢詩や漢文の世界に少しばかり浸ってみるのもいいかなという気分もありました。読んでみると、知らないこと、忘れたことがこんなにも多いのかと驚くばかりです。
 高校時代、もう塾には行かなくなりましたが、Z会の通信添削だけはせっせと書いて送ったものです。返送されてくる答案の赤ペン添削が楽しみでしたし、毎号の成績優秀者欄をみて、私もぜひ載りたいと思っていました。
日本人が西洋話を学ぶとき、話すことより読むことを長じていく一つの理由は、訓読の伝統があるから。奈良朝以来、鍛えに鍛えて練り上げられた訓読の技術が知らず識らずのうちに伝承されている。奈良時代、漢文は音読していた。音博士(おんはかせ)という官職があり、この漢字はどう発音するか、ということを担当していた。
 日本語を使って、外国語をそのまま直接に読みとっていくという、世界でも珍しい「訓読」という傑作が完成した。
閑語休題は「さて」と読む。
 一任は「さもあらばあれ」と読む。
 聞説は「きくならく」と読む。
 就使は「たとひ」と読む。
 漢文では、主語は必ずしも置いておく必要はなく、格や動詞の変化がなく、単複の区別もほとんどない。だから、英語には似ていない。
 日本語では、第一にテ・ニ・ヲ・ハ・すなわち助詞が十分に使いこなせなければならない。その次に大切なのが助動詞である。日本語の微妙な表現は、この助動詞の用法にある。
 漢文には、この日本語における助詞・助動詞・活用の三点が欠けている。したがって、漢文を日本語として読むことの真相は、実はこの三者をつけながら読むということなのである。そして、三者をつけたものを送りがなという。
 なーるほど、そういうことなのですね・・・。
 自は、「みずから」と読んだり、「おのずから」と読んだりする。このとき、積極的とか消極的という区別はつける必要がない。
 日本語は、外国のことばをどんどん吸収できることばである。というよりも、外国のものを吸収する必要に迫られていたからこそ、そういうことのできる言語体系となってきた。
 朱唇皓歯(しゅしんこうし)とは、朱(あか)い唇、皓(しろ)い歯、すなわち美人のこと。
 処女とは、処家女、すなわち「まだ家にいる女」ということ。もちろん、女は「むすめ」と読む。まだ家に居る娘のことである。
庶幾(しょき)は「こひねがはくは」とも「ちかし」とも読む。
 「・・・するところの」調の文章は、明治以前にはそう多くなかった。関係代名詞の訳語として採用されてから百年、重要な文章語となった。
世の中には受験勉強をケナしたり、バカにするバカがいるが、彼らは近視眼的に批判しているにすぎない。受験勉強のなかで、日本語がどれだけ練り上げられてきたかを忘れている。
 ふむふむ、そういう見方もできるのですか・・・。なーるほど、ですね。この本を読むと、そうかもしれないと思えます。
 平成になってから漢文を古典の素養として勉強しようという雰囲気の受験生が激減した。なるほど、そうかもしれませんね。でも、漢文っていいですよね。いい調子で漢詩を朗じてみると、気分まで良くなりますよ。受験漢文を久しぶりに再読して漢詩の良さを再発見した気分です。
(2010年12月刊。1650円+税)

特殊部隊ジェドバラ

カテゴリー:ヨーロッパ

著者  ウィル・アーウィン    、 出版  並木書房 
 映画『史上最大の作戦』そして『プライベート・ライアン』で有名なノルマンディー上陸作戦の前に、連合軍はドイツ軍の後方撹乱のためにフランス各地に特殊部隊を送り込み、現地のレジスタンスを応援しつつ活動していたのでした。その部隊名をジェドバラと呼びます。
 アメリカ人のジェドバラ隊員は戦略事務局(OSS)に所属し、イギリス人隊員は特殊作戦執行部(SOE)の出身だった。そして、もう一人のフランス人はドゴール将軍の自由フランス軍に属していた。3人一組で、最大100組の混成チームがフランス各地に投下された。
 高高度で編隊飛行するために設計された鈍重な重爆撃機を勘と経験をたよりに低空飛行させる。目標を見つけると、対地高度180メートルで進入を開始し、失速ぎりぎりの時速約200キロにまで減速させる。そして、一人ずつ落下していく。
 ジェドバラ隊員は、ゲリラ戦では機動性が重要であると教えられ、1ヶ所に長くとどまらず、常に動きまわるように叩き込まれていた。地上では地元のレジスタンス勢力と接触し、彼らの協力を取りつけることになっていたが、レジスタンスについては、ごくわずかしか分かっていなかった。
 ジェドバラ隊員には、当然のことながら道徳心と身体をはった勇気が求められていた。そのほかにも、度胸や自信、健全な判断力、ある程度の抑制された勇猛さ、秘密情報の慎重な扱いなどを示す必要があった。任務を完了するために、隊員たちは機略縦横でなければならなかった。たとえ通信と補給が立たれた場合でも、刻々と変化する状況に順応する必要があった。
 状況をすばやく認識できる機敏な頭脳が必要だった。決断力があって、創意に富んだ頭脳と、精神的なスタミナが肉体的な持久力におとらず重要だった。また、分別と安定した感情と自制心は、ストレスの多い状況下や長期間の孤立状態のときに人ががんばり続けるために必要になる。外国人とすすんで協力する態度と適性は絶対に不可欠だった。洞察があって、説得力に富み、必要とあらば断固主張し、人あしらいに長けていなければならなかった。階級の違いをこえて他人と協力し合えることが求められていた。
 情報網を構築し、運営する方法、偽造文書の使いかた、監視のやり方、気づかれずに誰かをつける方法、つけられているときにそれを見分ける方法、そして、その対処法。すごいですね。こういうのを私も身につけてみたい気もします・・・・。
 レジスタンスのなかにはドイツ軍のスパイも潜入していた。そして、レジスタンス内部で抗争があっていた。パリではレジスタンスの大部分が共産党だった。ドゴール派は、共産党に戦後の政権をとられたくなかった。
 少し前にイギリスの看護師(ケイト・ブランジェット)がフランスに潜入してレジスタンスを支援するという映画(『シャーロット・グレイ』)を見ましたが、まさにそれと同じ活動を描いたノンフィクションでした。
(2011年4月刊。2200円+税)

世界が見た福島原発災害

カテゴリー:社会

著者   大沼 安史 、 出版   緑風出版
 福島第一原発の爆発事故については隠されていること、報道されていない事実があまりに多い気がします。知らされると国民がパニックを起こしてしまうからだと当局は強弁するわけですが、隠されるとかえってパニックも拡大して起きるのではないでしょうか・・・。
 今回の福島第一原発の事故をめぐる日本政府の「情報統制」はすさまじかったし、今なお、すさまじい。新聞だけでなく、電波メディアも翼賛報道を続けた。
 福島第一原発の事故による放射能雲の拡散を世界中の人々の意識に乗せたのはオーストラリア中央気象局の解析をスクープした「ニューサイエンティスト」誌の功績だ。しかし、実は、日本政府も同じような解析データを持っていた。ただ、その解析データを国民の目から隠していた。
 国連もIAEAも、飯舘村の測定値を見て、日本政府に避難を勧告した。しかし、日本政府は勧告を無視した。
 アメリカの原子力規制委員(NRC)は情報書において、核燃料の高熱化と溶解が続けば、溶解放射能物質のかたまりが長期間にわたってなくならず、放射能物質の放出を続けることもありうると指摘した。私が今心配しているのは、まさに、この事態です。いったん核燃料棒は溶けてしまって、どうなったのでしょうか・・・。その処罰は、誰が、どうするというのでしょうか。ここが明確にならない限り、事故対策の根幹は明らかになったとは言えませんよね。
NRC報告書は、「使用済み核燃料プール」から、核燃料の破片・粒子が1.6キロメートル先まで吹き込んだとしています。これが本当なら、大変なことです。その破片・粒子はきちんと回収されたのでしょうか。現在の保管状況は安心できるのでしょうか?
 「フクシマ」事故の深刻さは、かえってアメリカ連邦議会において明らかにされた。
 なんということでしょう。日本の国会は何をしていたのですか。まさか、ずっと内輪もめばかりではないでしょうね。
 日本政府が日本国民に対して隠していた情報は、実はアメリカの関係企業には筒抜けになっていた。
 フランスのアレヴァ社の女性社長(CEO)であるアトミック・アンヌと呼ばれる女性は、フクシマ後の事故処理・廃炉という途方もなく巨大なビジネスのパイを、フランスと英国、そしてアメリカとロシアとのあいだで山分けする考えだった。
世界的な理論物理学者である日系アメリカ人のカクミチオ教授は、フクシマの危険性を次のように語った。
 フクシマは安定しているように見えるが、ちょっとした余震あるいは配管のもれ、作業員の避難などで三機ともメルトダウンを起こしかねない状態だ。
 いやはや、とんだ「安全神話」でした。指先で崖にぶら下がっていて必死にこらえている状態が、今の安定的状態だ、ということです。
 福島の子どもたちは、いまドイツの原発の作業員並みの放射線量を浴びながら、日々、学び舎で勉学にいそしむことになった。つまり「フクシマ」では、なんと「校庭」に「原発」が来ていることになる。こんなたとえは恐ろしいばかりです。
 アメリカは80キロ以内の避難勧告を今もって解除していないとのこと。それだけ放射能の恐ろしさを重視しているわけです。日本政府の、このもたつき、東電をはじめとする日本の財界の開き直りには同じ日本人として底知れない恐ろしさを感じます。許せません。
 世界的な視点で今回の原発事故をみてみる必要があることを痛感した本でした。
(2011年6月刊。1700円+税)
 日曜日に庭仕事をしました。ツクツクボーシの鳴き声も聞かずにセミの季節は終わってしまいました。枯れたヒマワリやカンナなど刈り取ってすっきりさせました。これからチューリップを植えていくための下準備です。東北地方では放射能の除染作業をしている人がたくさんいるんだろうなと、その苦労をしのびながら精を出しました。6時半には薄暗くなり、7時にはすっかり暗くなりました。6月だとまだ明るかったのですが、秋の気配を実感します。
 8月初めにフランスに行ってきました。シャモニー(モンブラン)、アヌシー、グルノーブルをまわりました。私の個人ブログで写真を紹介しています。ご覧ください。太郎さん、ありがとうございます。チョコさんお元気ですか?

宇宙は本当にひとつなのか

カテゴリー:宇宙

著者   村山 斉 、 出版   講談社ブルーバックス新書
 衝撃的なタイトルの本です。ええーっ、宇宙って一つじゃないの・・・。宇宙が二つも三つもあったら、いったい世の中どうなっているのか、ますます雲をつかむような、わけの分からない話になってしまいますやんか・・・。急に慣れない関西弁になってしまいました。
 いま古川さんが現にいる国際宇宙ステーションまでは、ロシアのソユーズで24時間、アメリカのスペースシャトルで45時間かかる。地球から400キロメートルも離れている。ところが、地球を桃くらいの大きさだと仮定すると、国際宇宙ステーションは桃の皮一枚の暑さのところに位置している。つまり、宇宙から見ると、地球とほとんど変わらない程度の距離しか宇宙には進出していない。
 うひゃあ、そうなんですか・・・。宇宙ステーションというので、宇宙空間の遠い彼方に浮かんでいるとばかり思っていました。たった桃の皮一枚ほど離れているだけだなんて・・・。
 太陽系のなかで、太陽の次に近い恒星(光の速さで42年かかる)まで秒速10キロのスピードで飛んでいるボイジャーでは、10万年以上かかる。光速と秒速で動く物体の違いというのが、いかに桁違いなのかがよく分かります。
太陽系は銀河系のなかで秒速220キロメートルのスピードで動いている。私たちは、まったく体感しませんけどね・・・。
 宇宙でビックバンがあったのは、今から137億年前のこと。ビックバン直後の宇宙は物質が振動していて、音に満ちていた。
 宇宙ができたのは137億年前だというのに、300億光年先の銀河まで見えるのはなぜか。光源となる銀河はその場にとどまっているのではなく、離れているからである。350億光年より先は星も銀河もなく、暗黒時代といわれている。
暗黒物質は周りのものと反応しないので、何もなかったように星や銀河を通り抜けていく。暗黒物質の正体は、まだ分かっていない。暗黒物質は電気をもっていてはいけない。なぜなら、ほとんど反応しない、お化けのような粒子だから。
暗黒物質は、宇宙が誕生した直後から現在まで存在しているので、宇宙年齢の137億年かそれ以上の寿命をもっている。暗黒物質は普通の物質とめったに反応しない。1年に数回、10年で10回くらい反応が見られたら大発見。それほど忍耐力のいるもの。
ニュートリノは、実は宇宙のなかでは一番たくさんある物質素粒子である。この宇宙には、1立方メートルの空間に3億個のニュートリノがある。何もないような空っぽの宇宙空間であっても、角砂糖の大きさのなかに300個のニュートリノがある。このニュートリノには重さがある。
 全宇宙エネルギーの73%を占めると考えられている暗黒エネルギーも正体不明である。重力とは、空間を曲げるもの。重力は空間の性質として説明できる。
  宇宙は実はたった一つではなく、いくつもあるものではないか・・・。
 これまで電子などの素粒子は大きさをもたない点として考えられてきた。しかし、素粒子をただの点として考えるとつじつまの合わないことが出てくるようになってきた。そこで考えられたのが、素粒子は実はひもだったと考えられる理論。超ひも理論では、私たちが素粒子だったと思っていたものは、実は振動して広がっているひもなのだが、あまりに小さいので点だと思い込んでいたということ。この超ひも理論によると、宇宙の姿も大きく変わってくる。まず、宇宙は10億次元でなければいけないことになる・・・。最近のひも理論の考えによると、宇宙はいわば試行錯誤だということになる。
 うひゃあ、なんと私たちのいるこの宇宙は試行錯誤の存在だったとは・・・。そうであれば
個々の私たちが試行錯誤するのも当然のことですね。
 そんな気宇壮大な宇宙の話でした。
(2011年8月刊。820円+税)

砂の剣(つるぎ)

カテゴリー:日本史

著者  比嘉 慂    、 出版  青林工芸舎  
 太平洋戦争の末期、沖縄でくり広げられた悲惨な地上戦の様子が漫画で再現されています。沖縄出身の著者ならではのきめこまやかな描写で戦争の悲惨さとともに人々のなんということもない日常生活が描かれています。
軍隊は人々を守るためにはその他に住む人々を犠牲にして恥じることがないという実情も暴かれています。
 現実の戦争はもっともっと泥臭く、陰惨なものだったと思いますが、そんな実情の一端は伝えてくれる貴重なマンガだと思いました。
 いいマンガは人の心を打つものですね。たまにはマンガもいいものです。先日フランスに行ってきましたが、MANGAと表示された本屋にはマンガ本があふれていました。
(2010年9月刊。1200円+税)

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