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カテゴリー: 生物

アサギマダラはなぜ海を渡るのか?

カテゴリー:生物

著者  栗田 昌裕 、 出版  PHP研究所
チョウの楽しい話です。著者は生物学者ではない、東大医学部を出たお医者さんです。
 日本全国だけではありません。海外にまでチョウを追い求めて出かけていきます。
 でも、謎の蝶、アサギマダラの行動範囲と行動力は、そんな著者をはるかに上回るのです。これまた信じられません。
 なにしろ、春と秋に1000キロから2000キロもの旅をするというのです。それも、わずか0.5グラムほどの軽い蝶が、ですよ。海を渡ってはるばる南の島から日本にやって来たり、南の島へ飛んでいくのです・・・。
 著者は、そんなアサギマダラになんと13万頭もマーキングしたといいます。これまた驚嘆するほかありません。
 2000キロの旅をする蝶ということですが、2日間で740キロもの海上移動することがあるのです。信じられません。強いジェット気流にでも乗るのでしょうかね。それにしても、チョウの羽って、そんなに丈夫なのでしょうか・・・。
 アサギマダラの寿命は、通常は羽化(うか)してから、およそ数ヶ月。アサギマダラの食べる花には、ピロリジジンアルカロイドと呼ばれる物質(PA物質)が含まれている。これは、オスが成熟するのに必要。オスがメスを惹きつけるフェロモンは、このPA物質からつくられる。アサギマタギラは匂いに超敏感。
 アサギマタギラには24の飛翔パターンがある。すごいですよね。よくぞ、これほどパターンを細分化して認識できたものです。観察眼の鋭さが伝わってきます。
 アサギマダラは、1万年のうちに「海を渡る」ことに適応した。陸地から海に沈んで分断されたことから、必然的に海を渡るようになったということです。そうすると、すごい年月をかけて海を渡るようになったというわけです。
アサギマダラのオスは自分でフェロモンを作れないのでPA物質をふくむ植物を求めて旅を求め続けている。また、移動すると、寄生虫から逃れることができるし、移動することによって、各地の個体の遺伝子がミックスされるチャンスが生まれ、集団としての均一性が保てるという利点がある。
 アサギマダラ集団は、心をもった雲が移動しているようなもの。
 アサギマダラは、小さな「虫けら」ではなく、ヒトと同じく未来を模索して進化を続ける「心を持った生命体」に他ならない。
 アサギマダラの謎を足で解明した画期的な本です。
(2013年9月刊。1500円+税)

寄生蟲図鑑

カテゴリー:生物

著者  目黒寄生虫館 、 出版  飛鳥新社
自然豊かな丘陵地の古ぼけた「新興団地」に住んでいるせいでしょう、先日、ダニに手首をかまれてしまいました。
 歩いて5分ほどの小川には初夏にホタルが明滅し、庭の水たまりに土ガエルがいて、モグラが地中に住みついていますので、庭のどこかにヘビも暮らしています。そんな自然環境にいればダニもいるのは必然でしょう。
 それにしても、ダニにかまれた手首の痛み・痒みが1ヶ月ほども続いたのには驚きました。皮膚科でもらった軟こうを塗っても、なかなか根治しないのです。
 ダニから咬着されても無症状なので、ダニが大きくなって初めて咬まれていることに気がつくことが多い。吸血によってウイルスや細菌が媒介されるので厄介だ。
 わが家の愛犬・マックスが亡くなってもう10年以上になります。フィラリアにやられたのです。この本によると、それは買い主の責任だということです。誠に申し訳ありません。フィラリアは予防によって、ほぼ100%阻止できる寄生虫なのです。
 フィラリアの媒介者は蚊。イヌ系状虫という寄生虫がフィラリア症をひきおこす。イヌ系状虫は、成虫が犬の心臓や肺動脈に寄生し、20~30センチにもなる、細長いそうめん状の線虫である。
 この寄生虫図鑑をよんでいて、ゴキブリにも天敵がいるというのを初めて知りました。
 エメラルドゴキブリバチです。このハチのメスはゴキブリを2度刺す。まずは面積の広い胸部神経節を刺して、ゴキブリの動きを止める。動きが止まったら、頭部にある脳に対して2度目の精密な刺激をする。これで、ゴキブリは大人しくなる。そのあとは、ハチの巣穴までひきずりこまれ、そこにハチの卵を生みつけ、幼虫が大きくなるまでの食料と化す。
 筑後川には、かつて恐ろしい日本住血吸虫がいましたが、2000年に絶滅宣言が出ています。中間宿主のミヤイリガイの撲滅に成功したことによるものです。
 それにしても、このような寄生虫を研究している学者がいるのですね。本当にありがたいことです。
(2013年8月刊。2200円+税)

小さな生きものの不思議

カテゴリー:生物

著者  皆越 ようせい 、 出版  平凡社
土壌動物の様子を大きく拡大された写真で知ることができます。
 みんな私の身近にいるものばかりなんです。それでも、よくぞ、こんなに接近して、拡大写真をとれたものだと驚嘆してしまいます。
 たとえば、我が家の庭にもたくさんいるダンゴムシ。すぐに身体を丸めてしまう、ほら、あの可愛い小さな虫のことです。危険がすぎたと思うと、やおら起きあがります。そのときの様子が、くっきり写真にとられています。本当に可愛いものです。ダンゴムシの脱皮の写真があります。
脱皮途中は、まるで無防備のため、アリや自分の仲間から食べられてしまう危険もある。脱皮も命がけなのだ。
 ダンゴムシは黒いものだけでなく、クリーム色に黄色を混ぜたもの、黒色に透明感のある白色、薄い黒い地色に茶褐色を入れたもの、果ては輝くブルーのものまでいる。
 ダンゴムシは、こけ類だけでなく、なんとコンクリートまでかじる。
 森の中にたくさんいるダニも大きな写真にとられています。私は先日、庭で雑草を刈っていたときに右手首をダニにかまれてしまいました。はじめの2、3日、放置していたら、赤くはれて、かゆみが止まりませんので、慌てて皮膚科に駆け込みました。もらった塗り薬のおかげで赤いはれとかゆみは治りましたが、2週間して、再びかゆくなってきたのには驚きました。それにしても、そんなに小さなダニを写真でとらえるなんて、信じがたい話です。
 クモの拡大写真は、この世のものとは思えない不気味さです。ムカデやヤスデの大きな写真も登場します。
 梅雨のころには、我が家にもたまに登場して、悲鳴があがります。不殺生を一応のモットーとしている私ですが、ムカデは殺しています。だって、怖いんですもの・・・。
 それにしても、こんな嫌われもののムカデやヤスデを写真にとる人がいるんですよね・・・。
 ナメクジそしてミミズの写真もあります。少々グロテスクですが、慣れたら可愛いばかりなのかもしれません。
(2013年4月刊。2400円+税)

犬から聞いた素敵な店

カテゴリー:生物

著者  山口 花 、 出版  東邦出版
私は犬派です。猫には、なんとなく、なじめません。
 犬派というのは、幼いころから犬が身近にいたからです。小学1年生のころ、優しい大型犬を飼っていたのですが、引っ越しのとき車のうしろから尾いてきていたのが、いつのまにかはぐれて見失ってしまったのでした。私が大泣きしたのは言うまでもありません。親を大いにうらんだものです。
 犬は、昔から人間にとって良き伴侶として過ごしてきました。
 この本は、人間にとっての犬の効果的な働きかけなどが報告されていて、うんうん、そうだよねと大いにうなずきながら読みすすめていきました。
 犬にも、人間のうな多彩な感情がある。人間は、それを知って、愛犬を人生最良のパートナーとして大切にするようになった。
 愛犬は、たがいに思いやり、ともに喜び、悲しみを分かちあいながら、人間に多くの幸せを与えてくれる、唯一無二のかけがえのない存在だ。
 いまや、愛犬は 、番犬でも飼い犬でもなく、大切な家族の一員として、それぞれの家庭にあたたかく迎え入れられている。
 黒い瞳の、やさしい目。じっと見つめられると、それだけで幸せな気分になってきます。子どもたちが幼いころに柴犬を飼っていました。不注意からフィラリアで死なせてしまいました。それ以来、犬は飼っていません。飼えないのが本当に残念です。
 14話の犬を中心とした心あたたまる短編集です。
(2013年9月刊。1300円+税)

アリの巣をめぐる冒険

カテゴリー:生物

著者  丸山 宗利 、 出版  東海大学出版会
アリそのものというより、アリと共生している昆虫の話です。アリを食べたり、アリの死骸を食べたり、いろんな昆虫がアリとともに生きているのですね。でも、昆虫ですからとても小さいのです。解剖するといっても、手先が器用じゃないとやれないでしょうね。
 米粒より小さい虫から交尾器を抜き出すのが解剖の作業になる。米粒に字を書くよりもずっと細かい作業である。
 しかし、そのミクロな世界を拡大すると、この世の生きものとはとても思えない奇妙奇天烈な姿と顔をした昆虫のオンパレードなのです。
 マンマルコガネは、カブトムシに似た形をしています。ツノゼミは奇妙な形です。奇想天外としか言いようがありません。
 オサムシの変てこりんな姿は、さすが我らが手塚治虫先生を思い出させるに値します。アリと共生するというより、アリを食べるアリもいるのですね。ヒメサスライアリです。アリを専門に食べるアリなのです。毒針を使って、自分よりはるかに大きなアリを仕留めます。
 この本の最後にある次の言葉が私の心に残りました。ああ、本当に好きでやっているんだな、いいね・・・と思いました。
 私は、これからもアリの巣を求めてあちこちをめぐりめぐるだろう。そして、新しい発見をするたびに、その感動を人に伝えたいと思っている。ああ、なんて楽しみなことだろうか。
 著者が引き続き元気に研究を続けられること、そしてその成果を広く伝えていただくことを期待しています。
(2013年1月刊。2000円+税)

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