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カテゴリー: 生物

死なないやつら

カテゴリー:生物

著者  長沼 毅 、 出版  講談社ブルーバックス
 生物、そして生命の不思議さを紹介した本です。ええっ、ありえない。そう叫びたくなる話のオンパレードです。
 生命とは、エネルギーを食って構造と情報の秩序を保つシステムであると定義することが出来る。むむっ、これって難しすぎる定義ですね。
 この宇宙で炭素化合物が安定して存在するには、メタンか二酸化炭素になるしかなく、それ以外の炭素化合物は、どれも不安定な状態にある。
 クマムシは、151度の高温でも、絶対零度の低温にも耐える。放射線に対しても、57万レントゲン(5700シーベルト)が致死線量。人間なら500レントゲン(5シーベルト)だから、1000倍もの耐久力がある。ただし、これは、クマムシが体重の85%を占めている水分を0.05%にまで減らしたときのこと。
 ネムリユスリカは、乾燥状態で放置して17年後に吸水させたら、元に戻った。
 ふつうのバクテリアである大腸菌は、少しずつ高圧に馴らすようにしていくと、なんと、2万気圧でも生きることができた。
深海に生きるもののなかには、無機物の鉄を酸化させて、そのときに生じるエネルギーを利用して有機物をつくって、それを栄養としているものがいる。これを「暗黒の光合成」という。
 太陽光線による光合成のようなものが、暗黒の深海でやられているなんて、本当に驚いてしまいます。
 アフリカのフラミンゴはピンク色をしているが、本来の体色は白色。赤い藻を餌として食べているので、ピンク色になった。
バクテリアの仲間の「バチルス」は、2億5000万年前の岩塩のなかに見つかったものがあり、生きていた。
こうなると、生命とは何なのか、さっぱり分かりません。
重力は普通1G。ジェットコースターでかかる最高は5G。戦闘機のパイロットは、9Gにまで耐える訓練を受けている。ところが、大腸菌などは、40万Gの重力を受けても、平気だった。
南極大陸の氷の下に、ボストーク湖がある。ここには、これまで誰も見たことのないような遺伝子をもつ微生物がたくさん発見された。1500万年前の生物に、生きたまま会えたことになる。
人間の体内には、合計すると、1キログラムほどの腸内細菌が棲んでいる。種の数は1000以下。個体数にすると100兆個。それだけ多くの「別種の生物」が体内で人間と共生している。
本当に、生命体の不思議さは驚くばかりです。
(2013年12月刊。900円+税)
 KBCシネマでやっている映画「アクト・オブ・キリング」をみました。
1965年にインドネシアで起きた大虐殺事件「9.30事件」について、加害者が何をしたのか、自らの体験を喜々として再現していくというすさまじいドキュメンタリーです。どのように人を殺したのか実際にやってみせるのです。主人公は1000人もの人を殺したと高言するプレマンと呼ばれるギャングの親分です。
 今から45年以上も前のことですが、虐殺した側は、今もインドネシアの権力の側にいて、犯罪者どころか英雄視されてきました。ナチス・ドイツが戦争に勝って、その蛮行を自慢げに語っているようなものです。
 ところが、虐殺犯が自己の体験を再現してくなかで重大な転機を迎えるのです。次のような解説があります。
 「今も権力の座にあり、誰からも糾弾されたことがないため、今でも自分を正当化することができる。しかし、その正当化を本当は信じていないため、自慢話は大げさになり、より必死になる。人間性が欠けているからではなく、自分の行いが間違いだったと気づいているからのこと」
 前に紹介しました『民主化のパラドックス』(岩波新書)が参考になります。

旭山動物園で出会った動物の子育て

カテゴリー:生物

著者  小菅 正夫 、 出版  静山社
 旭山動物園の元園長が動物たちの子育ての様子を話してくれる、楽しい本です。
 元園長は私と同世代です。動物たちが本当に好きなんですね。その息づかいが、そくそくと伝わってきます。
 ハツカネズミは、出産したあと、人間にのぞかれただけで不安になり、自分が生んだ子を食べてしまった。わが子を殺されるくらいなら、自分で食べて殺してしまったほうがまし、と本能的に考えた。うむむ、考えさせられますよね・・・。
 動物は、交尾や妊娠、出産といった生命の根源にかかわることに自らの身を置くとき、神経が鍼のように尖(とが)り、自分以外はすべて敵に見える心理状態になり、完全に野生状態に戻っている。
アムールヒョウの赤ちゃんは、声を立てることの危険性を本能的に知っている。どんな動物でもそうだが、動物園で世代を重ねてきたとしても、野生の心を決して失わない。アムールヒョウの母親は、子どもに何事かがあったときに、自分が助けることができなくなると判断した状況では、大きな声をあげながら子どもの首をくわえて引きずりおろし、かみついていた。事前に、危険の芽をつんでおくのだ。
 哺乳類の動物の感覚で、もっとも重要なものは嗅覚だ。人間の生まれたばかりの赤ちゃんも、においで母親のおっぱいを識別できる。
アザラシの子は何の準備もなく、大自然に放り出されてしまう。ところが、持ち前の好奇心が子に食べ物を教え、飢えから救う。こうして、好奇心の強い子だけが生き残るので、アザラシは「種」として、好奇心の強い動物になっている。なーるほど、ですね・・・。
 オオカミは、例外的に父親が子育てをする、まれな動物である。
 オオカミの遠吠えは、子どもたちが1ヵ月ほど、父親の真似をして身につけるもののようです。それは父親が1日に何度も、根気よく練習されていた努力のたまものだ。
旭山動物園には私も行ったことがあります。この本を読んで、また行きたいと思いました。
 とりわけ、日本では絶滅してしまったオオカミの生態について関心があります。
(2013年12月刊。1300円+税)

狼が語る

カテゴリー:生物

著者  ファーリー・モウェット 、 出版  築地書館
 カナダ人が、北極圏で狼の身近なところ、もちろん大自然のなかです、一人でテントを張って居をかまえ、じっとオオカミの生態を観察した記録です。
 信じられないような話のオンパレードなので、本当に体験記なのかを疑いたくなります。
 1921年生まれのカナダ人である著者は兵士として第二次大戦の戦場にも行っています。それだから、こんな北極圏でのオオカミ生態調査という恐ろしい仕事に従事できたのでしょうね。
 ホッキョクオオカミは、体重80キロほどもある。鼻先から尾の先まで260センチ。肩までの高さは100センチ。
著者がオオカミの観察を始めて何日かすると、何世紀にもわたって普遍的に受けいれられてきたオオカミの性格についての人間の観念は明々白々な嘘だということが分かった。オオカミたちは、「残忍な殺し屋」ではなく、慈悲深く、軽蔑をこめながらも自制した態度で、著者に接した。
北極圏でもっとも血に飢えた生き物は、オオカミなどではなく、飽くことを知らない蚊の大群だ。
 オオカミは、週に1度、一族で家族の土地を巡回し、境界の印を更新する。これは、一種の、オオカミ式抗打ち作戦だ。
 オオカミは、きわめて規則正しい生活を送る。しかし、なお、決まったスケジュールに、ただ闇雲に従っているだけでもない。夕方早く、オオカミのオスは猟に行く。それは4時ころのこともあれば、6時か7時ころのこともある。夜の猟に出かけるが、それは家族の縄張り内に限定されている。通常の猟では夜明けまでに50~60キロの距離をカバーする。日中は、眠って過ごす。
 メスの狼と子どもたちは、昼型の生活を送る。夕方、オスが出かけると、メスは巣穴に入り込み、そこにとどまる。ときに、大急ぎの軽い食事をとりに食糧貯蔵庫に出かける。
 食物を巣穴の近くに蓄えたり、食べ残しをそのままにしておくことはない。いつも、当座に消費するだけの量が運び込まれる。
 食糧貯蔵庫は、近くに巣穴をもつキツネも使っていた。オオカミはキツネと共存している。オオカミの使っている巣穴のほとんどは、キツネが放棄した巣穴であり、オオカミがそれを拡張したものだった。
 オオカミのメスは、ただ一頭のオスとしか関係を結ばないし、しかも、一生連れそう。オオカミは厳格な一夫多妻主義である。
 オオカミは、ネズミを丸ごと食べ、お腹につめて単に戻る。そして、子どもたちの前で、すでに半分消化されたものを吐き出して与える。
オオカミは自分たちの言語をもち、仲間同士で会話している。遠吠え、嘆き声、震え声、クンクンいう声、不満の声、怒りの声、キャンキャン声、吠え声。お互いの声に知的に反応する。
 オオカミは犬より長生きする。20歳のオオカミもいる。
 オオカミでは、実際の親が誰なのかは、たいして重要ではない。孤児という言葉もない。
 交尾するのは、通常3月の2、3週間だけ。
 メスの狼は2歳に達するまで出産しない。オスは3歳になるまで子どもを作らない。
 繁殖可能年齢に達するまで、若者オオカミたちは両親のもとにとどまる。
 年寄りオオカミ、とくに連れあいを亡くしたオオカミたちは独身のままでいることが多い。
 オオカミは、体内に組み込まれた産児制限メカニズムによって抑制されている。食料となる動物が豊富なとき、あるいはオオカミの数がわずかなときは、メスは8頭といったように多くの子どもを産む。しかし、オオカミの数が多すぎたり、食料が少ないときには、1回の出産数は1頭あるいは2頭まで減少する。
 健康なオスのカリブーは簡単にオオカミから走って逃げられるし、生後3週間の子どもカリブーでも、特別に足の速いオオカミ以外なら逃げきることができる。だから、カリブーはオオカミを恐れる必要がない。オオカミが追跡の標的に選ぶのは、もっとも弱い個体か、何らかの欠陥をもったカリブーだ。
 オオカミは、決して楽しみのためにカリブーを殺したりはしない。労力の節約こそ、オオカミの行動指針だ。捕獲に適した虚弱なカリブーに出会うまで試験(テスト)の過程は、しばしば何時間にも及ぶ。いったん、そうした個体が選び出されると、狩りは新たな展開を迎える。攻撃するオオカミは、長い探索のあいだ保持してきたエネルギーを思いきり発散し、見事なスピードとパワーの高まりのなかで餌食を追い、カリブーの背後に迫る。
オオカミをやみくもに危険視するのは間違っていることを実感させる本です。
(2014年2月刊。2000円+税)

足下の小宇宙

カテゴリー:生物

著者  埴 沙萠 、 出版  NHK出版
 NHKテレビで放映されて、大きな反響を呼んだそうです。私は残念ながらそのテレビ番組はみていません。
 でも、なるほど、ほんとうに見事な写真ばかりで、ついつい見とれてしまいます。
 著者は大分県出身ですが、今は群馬県みなかみ町の山里に住んでいます。82歳の植物生態写真家です。
 名前は、「はに しゃぼう」と読みます。シャボテンの研究からスタートしたことを反映した名前です。
ツチグリというキノコは、雨で濡れて、胞子袋も濡れて、膨らんで、雨つぶがあたると胞子が噴出する。
 著者は、なんと、その胞子が噴出する一瞬を写真に撮るのです。
カテンソウも同じ。花粉袋がオシベの柱からはずれると、「ピン!」と弾けて、その勢いで花粉が放り出される。
 花粉が飛び出る瞬間の撮影のときには、閃光時間が2万分の1秒という特別なストロボを使わなければいけない。
春先に我が家にも出てくるツクシの胞子を顕微鏡をつかって撮影する。
その胞子が散る様子を写した写真には躍動感があります。
二つに分かれた日本の手が、バネのように伸びたり、縮んだりする。息を吹きかけると、ダンスするように踊り出す。
シャボテンは、私も庭の一角で栽培しています。そのシャボテンが乾燥した地面にもぐり込んでいる写真があります。驚きのワザです。
ホームページもあるそうですので、私のお気に入りに登録して、ときどきのぞいています。
(2013年11月刊。1600円+税)

世界の美しい透明な生き物

カテゴリー:生物

著者  澤井 聖一 、 出版  エクスナレッジ
奇妙奇天烈というか、魔可不思議というか、こんな透明生物がこの世に存在するなんて、とても信じられません。
 山にも川にも、そして海底にも無数の透明生物がうごめいているのでした。そして、それを拡大カラー写真で、目の前に見せてくれるのです。よくも、こんな写真がとれたものです。ぜひ、一度、手にとって眺めてください。きっと世界観、生物間が一変すると思います。
ツマジロスカシマダラのメスは、アルカロイドという有毒物質をオスとの交尾を通じて受けとり、有毒のチョウになって自分の身を守る。そして、このチョウの翅(はね)は透明である。
アダラベニスカシジャノメには、透明な翅に、目玉模様までついている。
 透明なカエル、そして魚がいます。内蔵までくっきり見えます。
 天使のかたちで有名なクリオネは、巻き貝の仲間です。
イセエビの椎エビも完全に透明だということです。食品偽装でイセエビの値が高騰しているようですが、日本近海にしか生息していないイセエビが、その幼生は今なおどこにいるのか不明だそうです。謎は多いのですね。イカもタコも透明なものがいます。ですから、海中で、よくも写真が撮れたものです。
 もちろん、海中のクラゲは透明生物です、発光器を備えているクラゲもいて、まるで厳冬の世界を見るようです。透明な魚の一つ、オニアンコウのオスは哀れとしか言いようがありません。オスはメスの体にかじりつき、一体化していって、ついにはメスの身体のおできのようになってしまうというのです。ああ、無情です。
海底にすむサルパやホヤとなると、まるで人工アートの世界です。生き物だとは思えません。
ヤナギウミエラやオオグチボヤの写真を見ると、その滑稽さに思わず笑ってしまいます。
230頁ほどのカラー写真がしばし夢幻の境地に運んでくれる楽しい大判の写真集です。
(2013年8月刊。2800円+税)

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