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カテゴリー: 生物

アリ!なんであんたはそうなのか

カテゴリー:生物

著者 尾崎 まみこ 、 出版  化学同人
子どものころから、地上を歩むアリをじっと観察していて、今ではアリと会話までしている著者による面白いアリの本です。
迷子にならず自分の巣に帰るアリ。クロシジミの幼虫にせっせと餌を運ぶアリ。体臭の違いによって敵か味方かを識別しているアリ。働かないアリは、何が違うのか、、、。
アリがどれだけの重さを背負って運べるのか、実験してみた。アリの背中(胸部背面)は、ヒトコブラクダのように盛り上がっていて、平坦ではない。そのうえ、その大きさと形は一定ではなく、きわめて個性的。そこで、ハンダを溶かして、一頭一頭のアリの背中の起伏にあわせた形の荷物をつくった。10ミリグラム、20ミリグラム、40ミリグラムと過重を増やしていく。体重と同程度になってもアリは「平気で」歩いた。しかし、力自慢のアリであっても重たいものは重たいと感じ、歩き方を変えていることが分かった。
クロオオアリの結婚飛行。初夏の5月6月、少し湿度の高い、風のない穏やかな日に一斉に穴から空中へ飛び立つ。早すぎても遅すぎても台なしなのだが、どうやってその同期性を確保しているのか、、、、。何か通信手段をもっているのか、謎のままである。
一斉にオスとメス(女王)のアリが飛び立ち、空中で交尾する。そして、交尾した女王アリは天からおりてきて地面にもぐり、たったひとりで営巣をはじめる。オスのアリは、一人で生きていくことは出来ずに死んでいく。
アリの社会は巣が基本単位。働きアリどうしの仲間づきあいのルールは、巣が同じなら、みんなが共通にもっている体臭による。
働かない働きアリは、すべてにものぐさなので、わざと体表の炭化水素パターンの異なる敵を連れて行き出会わせても、攻撃しようともしない。働かない働きアリの脳の中では、働く働きアリに比べてオクトパミンという神経伝達物質が増えていることが最近判明した。脳内にオクトパミンが多いとやる気がなくなるということはザリガニを調べて実証できた。
アリの小さな脳から脳内物質を取り出して研究するなんて、本当に学者は大変ですよね。
(2017年5月刊。3000円+税)

にっぽんスズメ散歩

カテゴリー:生物

(霧山昴)
著者 ポンプラボ、 出版  カンゼン
 身近なスズメたちが写真に生き生きとうつっています。
 驚くのは、そのスズメを固体識別として、名前までつけて観察していることです。
 よほどじっくり、そして長期間見ていないと、とても出来ませんよね。
 毎日観察していると、スズメの個性も見えてくる。
 オデキちゃんは、くちばしの上にオデキがある。性格は穏やかでなぜか高いところが好き。ケンカは苦手で、仲間たちの周りをいつも走り回っている。
 ゲンちゃんは元気一杯に生きている。右足の先に障害があり、いつもべたんと座っている。
 シロマユ君。左目の上に眉毛のように白い筋がある。いつも仲間を一緒で絶えず動き回っていて、カメラを向けていると、割り込んでまで写ろうとする。
 ボサくん。ボサボサの毛をしていた。臆病で仲間に食べ物をとられることが多い。
スズメを写真にとるとき、人の気配があると近くに来てくれないので、窓ガラスにマジックミラーフィルムを貼って、ことらの気配をさとられないようにする。
 スズメは聖書にも登場している。身近な鳥の代表選手だった。
 大きな公園のスズメは人間が来てもあまり怖がらず、むしろ人間を見ると近寄ってくるのもいる。なので、スズメをよく観察したいのなら公園に行くのは一番の近道。
 スズメのドアップで鮮明な写真がたっぷりみられる、楽しい写真集です。
 
(2017年7刊。1400円+税)

目立ちたがり屋の鳥たち

カテゴリー:生物

(霧山昴)
著者  江口 和洋 、 出版  東海大学出版部
 タイトルから想像される内容とは異なり、鳥について、多角的なアプローチがなされている本です。
 これまで鳥類は嗅覚が鋭敏ではないとされてきたが、ミズナギドリ類などの海鳥などでは、においが信号として重要な役目を果たしていることが最近わかった。ミズナギドリ類は、個体ごとに独特のにおいをもち、このにおいをもとに、視覚のきかない夜間でも、つがい相手のいる自分の巣穴の位置をつきとめることができる。
 地中海沿岸にいるクロサバクヒタキはスズメより小さい鳥。オスは巣の近くに多くの小石を運ぶ。多くの小石を運んだオスとつがいになったメスは早く産卵を開始し、産卵数が多い傾向があり、小石を運ぶ量の少ないオスのつがいより多くのヒナが巣立つ。つまり、メスはオスが運ぶ小石の量でオスの質を評価し、早く繁殖を始めて、より多くの卵を産むことで、つがい形成後の繁殖投資を高めている。また、小石を多く運ぶオスは、ヒナの誕生したあと、ヒナへの給餌回数が多い、良い父親でもある。
 ホシムクドリでは、長い歌をさえずるオスほど早くメスを獲得し、また、より多くのメスを獲得する。
 オオガラは、長い歌をさえずるオスは、つがい外交尾(浮気のこと)に成功することが多く、自身のつがいメスが、つがい外交尾をすることが少ない傾向にある。
 カラスはダチョウの卵の殻を割ることができない。そこで、殻を割っているハゲワシにつきまとい、殻が割れた瞬間に集団で攻撃し強奪する。いやはや、すごい知能犯集団です。
 ヨーロッパのカササギは、日本と同じく小枝をつかって大きな巣をつくる。少し異なるのは、日本のカササギは例外なく立派な屋根つきのドーム状の巣をつくるけれど、ヨーロッパのカササギは、屋根のない巣をつくるものもいる。屋根があると、捕食者のカラスが入りにくく、卵やヒナが捕食される危険を小さくできる。
 カササギは巣をつくるのに費やす時間が短く、早く巣をつくるオスのつがい相手のメスは多くの卵を産んだ。カササギのメスは、巣や造巣行動を手がかりに、オスの造巣能力、ひいてはオスの資質を評価して、能力の高いオスとつがった場合は、産卵数がふえる。
 闘争能力の高い個体は、冬期の餌の確保や繁殖期のなわばり占有を通じて適応度を高めている。これに対して闘争能力に劣る個体は、頭をつかって別の道を探る方向に進んでいる。
 鳥にもいろんな鳥がいて、それぞれ適応・発達していることがよく分かる本です。
(2017年4月刊。2800円+税)

日本犬の誕生

カテゴリー:生物

(霧山昴)
著者  志村 真幸 、 出版  勉誠出版
 私はイヌ派です。幼いころから我が家には犬がいました。忠犬ハチ公の話は泣けてきます。ネコは飼ったことがありませんし、ネコパンチなんて敬遠したいです。
 犬は形態はオオカミに近いが、生態的な側面からするとジャッカルが近い。オオカミは人家に近づかず馴致(じゅんち)しにくいが、ジャッカルは村落周辺に集まり、容易に人間に馴(な)れる。
 現在、日本に988万頭の犬が飼育されている(2016年度)。このうち秋田犬、甲斐犬、紀州犬、柴犬、四国犬、北海道犬という日本犬は100万頭。
昭和の初めころ、平岩米吉は自由ヶ丘に広大な庭をもつ家をもっていて、そこでオオカミを飼っていた。朝鮮半島産6頭、満州産1頭、モンゴル産2頭。
ニホンオオカミは明治38年に絶滅してしまった。
狆(チン)が江戸時代に渡来してきたという説は誤っていて、平安時代から日本で飼育されてきたという説が今では有力。
明治末に日本犬の危機が自覚され、大正に入って日本犬の保有運動が始まった。秋田犬は、東北のマタギ犬が祖先だとされている。ハチ公によって秋田犬は忠犬としてのイメージを得て人気を高めた。
私がフランスに行ってロアール河のシャトーホテルのレストランで夕食をとっていると、大きな犬がテーブルの下におとなしく寝そべっていました。マダムは私が日本人だと知ると、「この犬は秋田犬なのよ、すばらしいわ」と絶賛しました。私も、少しだけ鼻を高くしてしまいました。
この秋田犬は戦争中は軍用犬として献納されたりして、終戦時にはわずか十数頭しかいなかった。ところが、日本に駐留したアメリカ兵士がアメリカへ持ち帰ってアメリカで人気犬種となり、見直されて、日本でも急速に人気を回復し、昭和47年には4万頭をこえるまでになった。
昭和の初めまで、日本犬が蓄犬商で扱われることはなかった。その後、日本犬といえども、お金を払って購入するものという意識が生まれた。
日本犬は軍用犬に不向きだった。特定の主人には忠実だが、別の操継者には従わない。しかし、戦場では誰が指揮官になるか分からない。ひとりの主の命令しか聞かないようでは、戦闘現場では役に立たない。なーるほど、そういうこともあるんですね・・・。
柴犬をふくむ日本犬を見直してしまいました。ちなみに、私の家ではスピッツと柴犬を飼いました。
(2017年3月刊。2400円+税)

したたかな魚たち

カテゴリー:生物

(霧山昴)
著者  松浦 啓一 、 出版  角川新書
 脊椎動物のなかで体の軸が地球表面に対して垂直にあっているのは人間だけ。他のすべての脊椎動物の体軸は地球表面と平行になっている。
動物学では、「縦」とは、体軸にそった方向のことであり、「横」とは体軸に対して垂直となる方向のこと。
 脊椎動物の全種類は6万種。魚の種類は3万2000種。脊椎動物の半数以上を占めている。日本には4200種がいる。
砂地の海底にミステリーサークルをつくる魚が発見された。アマミホシゾラフグのオスである。
 私が唯一欠かさず見ているNHKテレビ番組「ダーウィンが来た」(録画で見ています)で紹介されました。
魚の新種が今も次々に見つかっていて、日本では年に10種ほど。60年間では491種。オーストラリア740種、中国202種。日本は多い。
リュウグウノツカイは体長が8メートルにもなる。
 左ヒラメに右カレイ。ヒラメは体の左側に両目があり、カレイでは体の右側に両目がある。先日の「ダーウィンが来た」で、この魚の両目が次第に一方に寄っていく仕組みを解説していました。エサのとり方も違うのですね・・・。
 多くの魚は陸から離れられない。浅海という8%の狭い海に全海水魚の8割がひしめいている。なぜか・・・。水深200メートルより深い海には光合成ができないためプランクトンがいないことによる。
 マグロの巡航速度は時速7キロ。ダッシュ速度は時速50キロ。マグロは太平洋を往復できる。ずっとずっと時速7キロで泳いでいられるのだ。マグロは海中で止まると沈んでしまう。マグロのウキブクロが小さいからだ。マグロは体の一部を温かく保つことができる。体温を外界よりも高く保つことができるため、高速で持続的に泳ぐことができる。
 マグロやカツオは血合筋が発達しているため赤身の魚。メバルやカサゴ、タイやヒラメは白身の魚。白身の魚は長時間にわたって泳ぐことができない。
 魚のあれこれを興味深く知ることができました。
(2017年3月刊。800円+税)

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