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カテゴリー: 生物

生命の大進化40億年史

カテゴリー:生物

(霧山昴)
著者 土屋 健 、 出版 講談社ブルーバックス新書
 地球の歴史は46億年。39億5000万年前に生命が誕生した。そして30億年以上かけて生命はゆっくりと進化していった。
 5億7500万年前に、多様な生物群が出現。
 5億3900万年前のカンブリア紀に、動物たちが本格的な生存競争を始める。その後、オルドビス紀、シルル紀、デボン紀、石炭紀、ペルム紀という6つの「紀」があり、2億8700万年間を古生代と呼ぶ。古生代が始まったときには、海域だけだったのが、次第に陸域へ進出した。
 カンブリア紀には爆発的な多様化が誕生した。まさしく奇妙奇天烈な格好の生物が無数にあらわれました。有名なアノマロカリスも、今ではたくさんありすぎて、さらに細かく分類されているようです。
 そして、動物が眼をもったことが進化を加速させたというのが通説になっています。なるほど、見えるのと見えないのとでは、進化の様相が違ってくるでしょうね。
 そして、ついにサカナが登場。すべての脊椎動物はサカナから始まった。初期のサカナたちには歯もアゴもなかった。海底にたまった有機物を吸い込むだけだった。
 カンブリア紀から現在に至るまでに5つの大量絶滅事件があった。ビッグ・ファイブともいう。シルル紀の海で、サカナたちの進化は進んだが、まだ弱者だった。カンブリア紀以来、1億年以上にわたって海のみを生活と進化の舞台としていたサカナたちの中に、陸に上陸することができるものが現れた。
 サカナから四足動物が誕生するにあたって、からだのつくりは、タテ型からヨコ型へと変わり、眼の位置も変わり、胸びれと尻ビれ以外のひれは消失し、胸ビレと尻ビれは骨と筋肉と関節をもつ足へと変化し、あわせて、肩や腰、首などをもつようになった。
 石炭紀の大森林の主力はシダ植物。このころのシダ植物は、日陰ではなく、日向の主役だった。
 150点をこえるカラー画像もあって、生物の進化を視覚的にたどることのできる楽しい新書でした。でも、目の前にある化石をこうやって、いつの時代のものと位置づけられるって、すごいことですよね。
(2022年6月刊。税込1760円)

したたかな植物たち

カテゴリー:生物

(霧山昴)
著者 多田 多恵子 、 出版 ちくま文庫
 もの静かで、じっと動かない植物。しかし、本当は「戦う」存在だというのです。ええっ、そ、そうなの・・・。そんな驚きを見事に納得させてくれる、写真たっぷりの文庫本です。
 植物たちは、したたかに、そしてけなげに生きている。
ヨーロッパ原産のセイヨウタンポポと日本原産のカントウタンポポの違い。セイヨウタンポポは、総苞(そうほう)片がそり返る。カントウタンポポは、総苞片がそり返らず、先端に角のような小突起がある。
セイヨウタンポポは、明治時代の初めに日本にやってきた。放牧している乳牛に食べさせるために北海道の牧場に導入したのが始まり。葉や茎を切ると、白い乳液が出ることから、西洋では牛に食べさせると乳の出が良くなると信じられていたという。
セイヨウタンポポが爆発的に増えたのは、昭和30~40年代の高度成長時代。
セイヨウタンポポは春だけでなく、夏から冬も開花結実し、多数のタネは、軽く、遠くまで飛ぶ。そして、無融合生殖で増えていく。つまり無性生殖。単独で子をつくってしまう。ドクダミ、ヒガンバナ、シャガそしてニホンスイセンも、みな無融合生殖。 花が咲いても実を結ばず球根や地下茎でクローンを増やしていく。
 在来タンポポは、虫が別の株の花粉を運んできてくれないと結実できない。
 パンジーやビオラは、スミレの仲間。ヨーロッパの野生種からつくられた。なるほど、パンジーとビオラって、ほとんど形の大小のほか違いがありませんよね。
スミレは、アリの好物である脂肪酸を「おまけ」としてアリを呼び集める。アリはせっせとタネを巣へと運ぶ。そうやって、スミレは広がっていく。
カタバミの実は、何かが見に触れると、その振動を感じて、ピュピュッと中からタネが飛び出してくる。そして、袋の中に充満していた透明な液体もタネとともに飛び出す。この液体はいわば「瞬間接着剤」で振動を与えた人の靴や足にタネを貼りつける。こうやって、人の稼動力を利用して生活圏を広げていく。
 植物は常に窒素(ちっそ)分に飢えている。窒素分は不足しやすい資源だ。空気中には窒素ガスが大量にあるが、分子の結合が固いので植物は利用できない。唯一の例外が根粒菌。マメ科植物は根粒菌と「共生」することで「飢え」から解放された。
ネジバナの1個の実には、数万個のものタネ(種子)が入っている。タネは、長さ0.4ミリ、重さはわずか0.0009ミリグラム。
ミズバショウ(白い花)とザゼンソウ(茶色の花)は、どちらもサトイモ科の多年草。ドクダミとは遠縁にあたる。ミズバショウの花はよい香りで、ザゼンソウの花は悪臭。
いま、庭にフジバカマを5本植えています。アサギマダラという「テフテフ」(ちょうちょ)が来るのを待ち構えているのです。いえ、昆虫採集の趣味はありません。単純にフジバカマの花を植えると、アサギマダラがやって来ると聞いたので、フジバカマを4株だけ植えてみたのです。さてさて、うまくいくでしょうか・・・。もちろん、うまくいってほしいのです。
(2019年3月刊。税込1012円)

面白くて眠れなくなる進化論

カテゴリー:生物

(霧山昴)
著者 長谷川 英祐 、 出版 PHP文庫
 お昼に食事しながらの雑談のとき、突然、私はこの本で得た知識をその場にいた人たちに披攊しました。言わずば腹ふくるる心地だったからです。
 コオロギのメスは、オスの価値をその鳴き声で判断している。オスは「リリリリ」と鳴く。そのとき、1秒間あたり、たくさん「リ」のパルスがある、つまり、テンポの速いオスの声を好む。
 そこで、まず、それを確認するため、メスを真ん中に置いて、両側に細長い通路をつくって、その奥にテンポの違うオスを置いて鳴かせ、メスがどちらのオスを選ぶかを実験する。その結果は、案の定、テンポの速い鳴き方をするオスをメスは選ぶ。
 そこで、次に、メスからのオスの位置を変えてみる。テンポの速いオスを遅いオスよりメスから遠くに置く。すると、その遠さが一定以上になると、メスは近くにいるテンポの遅い、つまり質の悪いオスを選ぶようになる。
 これは「時間割引」という現象。常に死の危険があるため、次の瞬間にも生きている確率は「1」ではない。遠くの質のいいオスを求めて行く途中で天敵に襲われてしまったら、元も子もない。いやはや、こんな実験を思いついて、実際にやってみるんですね…。学者ってホント偉いです。
 いったい、こんな実験が人間の生存に何か関係があるのか、これって人の役に立つ学問なのか…。そんな疑問は無用だと私は思います。疑問がわいたら、それを究明することこそ、人間の、人間たる所以(ゆえん)なのではないでしょうか。
 アリは、全体の3割くらいしか働いていなくて、あとの7割はぼおっとしているだけ…。そして、その働いている3割を強制的に取り除くと、残った「7割」のうちから、またもやその3割だけが働きはじめ、その比率は変わらない。
 なんで、そうなのか…。それは、アリも疲労するから…。たとえば、シロアリは卵を放置しておくとカビが生えて死滅してしまう。そうならないよう、抗生物質をふくむ唾液を卵に塗りつけてカビを防ぐ。これも疲れる作業ではあるので、全員が働いて疲れてしまったら、そのコロニーは全滅してしまうことになる。なので、そうならないように予備軍を確保しておく必要がある。働いていないアリは、まさしくこの予備軍だ。いざとなったら、みんなのために働き続ける。そのときまでエネルギーは無駄使いせず、残してためておく。なーるほど、とてもとても合理的な発想ですよね。
 生物の世界も奥がとても深いことが実感できる、200頁ほどの薄い文庫本です。眠れなくはなりませんでしたが、たしかに面白い本です。
(2022年4月刊。税込836円)

立てないキリンの赤ちゃんをすくえ

カテゴリー:生物

(霧山昴)
著者 佐藤 真澄 、 出版 静山社
 広島市にある安佐(あさ)動物公園に赤ちゃんが生まれました。ところが、この赤ちゃん、生まれてから一晩たつのに立った様子がない。よく見ると、うしろ足の格好が変だ…。足先が本来なら曲がらない方向に曲がっているから、立てないのだ。診断名は、重度の屈腱(くっけん)弛緩(しかん)。屈腱がダランと伸びきっている。
 キリンが立てないと、母・キリンのおっぱいを飲めない。母キリンのおっぱいは地面から高さ2メートル。立ったままで授乳する。赤ちゃんキリンは立たなければ、お母さんキリンのおっぱいに吸いつくことができない。
 キリンでは、先天的にしろ、後天的にしろ、立てない状態では、最終的には衰弱して死を迎える。人工ミルクを与えても、胃腸の働きが悪くなって、消化不良となって、衰弱してしまう。
 母キリンは赤ちゃんキリンを足で蹴ったりする。これは、いじめではなく、早く立ち上がりなさいという合図。でも赤ちゃんキリンは自力で立ち上がることができない。そこで、飼育員たちは後ろ足にギブスをはめることにした。
 ところが、赤ちゃんキリンがどんどん大きくなっていくので、ギブスの装着は頻繁に変える必要がある。そのため、大勢の飼育員がキリンを取り囲む。それに平気なキリンになってもらわないといけない。
 大きくなると、麻酔するしかない。でも、キリンは4つの胃をもっているので、横になったら胃が圧迫されたりして、誤嚥性肺炎になったりする。
 でもでも、麻酔注射も無理になってきた。しかたなく麻酔銃を使う。赤ちゃんキリンは、銃を見ると警戒するようになった。そして、銃を撃つ人はキリンに嫌われる。すると、その人だけ嫌われ者になってもらい、他の飼育員は「いい人」を演じる必要がある。なーるほど、微妙なんですね、キリン心も…。
 麻酔したときも、キリンの首はある程度は起こしておかないといけない。首の保定(ほてい)も大変。
 赤ちゃんキリンが大きくなって、ついにギブスでも限界がきた。さあ、どうする…。
 広島国際大学には、義肢装具学専攻を含むリハビリ学科があることをHPで発見し、そこにSOSを送り、受け入れてもらえた。大学で赤ちゃんキリンの義肢を何度もつくってもらうのです。なにしろキリンって、体重が1年で200キロも増える。赤ちゃんキリンは、生まれたとき体重57キロだったのが、3ヶ月で120キロ、倍以上になった。
義肢装具士は、厚労省が認定する国家資格。知りませんでした。
 装具バージョン4のあと、ついに、キリンは、装具をはずして歩けるようになった。す、すごーい。
キリンの食事は、1日に枝つき木の葉を10キロ(可食部は3~5キロ)。これに、乾燥させたマメ科の牧草5キロ、固形飼料(ペレット)5キロ。このほか、リンゴや小松菜などの青菜を0.5キロをおやつとして与える。
 2歳(2022年4月現在)のキリン「はぐみ」は、身長350センチ、体重350キロ。いやはや、なんと大きいことでしょうか…。育ち盛り、わんぱく盛り。生まれたときから人間に慣らされているため、飼育員の帽子をかじったり、メガネをとろうとしたり、ちょっかいを出してくる。これは大変ですね…。でも、なんだかホンワカ心が温まりますよね…。
 世界中のキリンは、キタキリン、ミナミキリン、アミメキリン、マサイキリンの4種。日本にはアミメキリンとマサイキリンがいる。広島の安佐動物公園のキリンは、全部、アミメキリン。
 アミメキリンは、東アフリカのサバンナに生息する。1頭のオスと2~3頭のメス、その子どもを加えた10頭ほどの群れで生活している。
 アミメキリンは、生息数が1万頭以下。過去30年間に15万頭以上が10万頭以下にまで減ってしまった。日本の動物園には、58園・館で190頭のアミメキリンが飼育されている。動物園の飼育員って、安月給にもかかわらず、好きで好きで仕方がないのでしょうね…。とても面白くて、一気読みしました。
(2022年7月刊。税込1540円)
 暗くなるのが早くなりました。薄暗くなると、台所の窓にヤモリがへばり着きます。2匹出てくることもあり、少し離れたところでじっと静止しています。夜12時前には姿を消します。
 自然が近いせいか、家の中はあちこちに大小のクモが徘徊しています。庭にはモグラがいて、たまに地上でモグラの死骸をみます。そして困るのがヘビです。突然出くわさないように心がけています。
 今はピンクのフヨウが咲いています。リコリス(ヒガンバナの一種)が庭のあちこちに咲きはじめました。燃えるような赤、やさしいクリーム色、そして純白の花が秋到来を告げます。
 朝はまだ朝顔がたくさん咲いて迎えてくれています。いかにも元気なので、おはようと声をかけます。

「ネコひねり問題」を超一流の科学者たちが全力で考えてみた

カテゴリー:生物

(霧山昴)
著者 グレゴリー・J・グバー 、 出版 ダイヤモンド社
 猫は高いところから落ちると、最初にどんな姿勢であっても、必ず、足から着地するという驚きの能力をもっている。
 この本は、超一流の物理学者たちが、この「ネコひねり問題」を理論的に解明し、説明しようとした苦闘の歴史を解説しています。
 なので、その理論のところは、とても難しくて、正直言って私にはよく分かりませんでした。
 それでも、長い尾がなくても、目隠しされていても、そして宇宙(無重力)空間でも無事に着地できるという猫の能力には、改めて驚くばかりです。
 しかも、猫は高層ビルから落下したときにも、意外や意外、ほとんどケガせずに着地するというのです。それも9階より高いほうが猫はケガしないという、私たちの常識に反する事実があるのです。
 信じられません。その理由の一つは、猫の体重が人間よりはるかに軽いからです。
 猫は高いところから落下するとき、完全に無重量状態にある。なので、「加速」を感じることはない。しかし、終端速度に達すると、通常の重さを感じて、衝突に備える。
 32階の高さからコンクリートの地面に落ちた猫は、軽度の気胸と歯が1本欠けただけですんだ。いやあ、まったく信じられません…。
 イスラムの世界では、猫が西洋よりも、はるかに敬意をもって扱われている。それは預言者モハメッド(ムハンマド)が猫を愛したことにもとづく。
 いずれにせよ、猫の身体が想像以上に柔軟であることに関連していることは確実です。
 世の中には、本当に不思議なことが山ほど、次から次に出てくるものなんですね…。だからこそ、この世は果てしなく面白いのですが…。
(2022年5月刊。税込1980円)

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