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カテゴリー: アメリカ

政府は必ず嘘をつく

カテゴリー:アメリカ

著者   堤 未果 、 出版   角川SSC新書  
 アメリカって国は、とんでもない偏見にみちた国だと思います。なにしろ、国民皆保険を志向する人を「アカ」だなんていう、とんでもないレッテルを貼ってしまうのですから、始末が悪い。病気になったとき、大金持ちは救われても、そうでない人は野垂れ死にして当然だなんて、とんでもないことでしょう。ところが、それでいいのだと、大金持ちならぬ貧乏人が大きく手を叩いて支持するのです。なんという矛盾でしょうか・・・。
 アメリカで、がんは医療費が高すぎて、ほとんどの保険でカバーされていない。肺がんは手術代だけで1000万円をこえてしまう。
 うへーっ、1000万円だなんて・・・。医療費債務のために自己破産したというのは20年以上も前から聞いていましたが、ますます深刻になっているようです。
 2011年のイラク戦争は、アメリカ政府とマスコミが始めた戦争だ。2011年11月の終了宣言までに1兆ドルの税金をつぎこみ、のべ150万人が派兵された。4500人の戦死者と3万2200人の戦傷者を出した。帰還兵の2人に1人は脳障害や被曝に苦しみ、過半数を占める385万人が、今なお仕事に就けないでいる。
 イラク国内では100万人が死亡し、470万人が難民となった。
 国際機関IAEAは、原発推進、放射線利用の促進、核拡散分野での査察の3分野がある。その主目的は原発推進にある。
 日本の五大新聞はそろって、TPP推進という社説を書いた。人間の歴史をふり返ると、ファシズムをもっとも強力に生み育てるのは、いつだって大衆の無知と無関心だ。
答案用紙に正しい回答を書く能力は高くとも、批判的志向をせず、理不尽な権力に対して抗議せず、物事に対して好奇心や疑問を持たないロボットのような子どもたちが大量に生み出される社会。民主国家に不可欠の「市民」を育てる場所であるはずの教育現場が、市場原理を効率よくまわすための「従順な国民」をつくっていく。
テレビをみていると、人間の脳波は動きが鈍くなり、ある種の睡眠状態になる。冷静、客観的にものを考えることが難しくなる。その結果、人々は無意識に分断されていく。
 フェイスブックもツイッターも民間企業が運営している政策内容をぼかすという重要なステップは、ワンフレーズとセットでやってくる。
 アメリカでは、医療保険がないため4万人の患者が死に、保険がありながら100万人の被保険者が破産し、薬の副作用で30万人が生命を落としている。
 アメリカの危険な現実をつきつける本でした。
(2012年3月刊。780円+税)

リンチンチン物語

カテゴリー:アメリカ

著者   スーザン・オーリアン 、 出版    早川書房 
 テレビで「リンチンチン物語」をみたという記憶はありません。それより、「名犬ラッシー物語」のほうは、今でもはっきり覚えています。庭のある広い家の食堂で、少年が登場して新鮮なミルクを大きなグラスで腹一杯のんで立ち去る光景です。アメリカ人って、なんて豊かな生活をしているのだろう、そんな憧れを抱きました。
 このリンチンチンはジャーマン・シェパードです。ドイツで軍用犬として誕生して活躍していました。この本は、ジャーマン・シェパードの誕生から、戦場での活躍ぶりまで調べて詳細に教えてくれます。もちろんアメリカでの無声映画、トーキーそしてテレビのドラマに出演するまでも明らかにしています。犬派の私には、こたえられない一冊でした。
 第一次世界大戦には、1600万匹の動物が配置された。さまざまな種類の動物だ。イギリスのラクダ部隊は、何千頭もの気性の激しいラクダを誇っていた。騎兵隊は100万匹近い馬を使っていた。何千頭ものラバが荷馬車や梱包した荷物を引いていた。何十万羽もの伝書鳩が伝言を運んだ。
犬はいたるところにいた。ドイツでは1884年に世界初の軍用犬訓練学校が設立され、3万頭の犬が任務についた。アメリカ以外のすべての国が戦争で犬を利用していた。アメリカ軍が犬の価値を評価したときには、もはや手遅れだった。そこで、必要に応じて、アメリカはフランス軍やイギリス軍から犬を借りた。
 犬はメッセンジャーとして働いた。衛生犬とか救助犬として知られる赤十字の犬は、戦いの終わったあの戦場で活躍した。犬たちは、医療品を手に入れたサドルバッグをつけたまま死傷者のあいだを歩きまわった。死体犬もいた。犬は兵士が生きているか、死んでいるか、においで嗅ぎわけた。煙草犬もいた。煙草を詰めたサドルバックをつけたテリアは、隊員のあいだを回って煙草を配るように訓練されていた。
 世界中の人々がジャーマン・シェパードを初めて目にしたのは戦争で、だった。
 ドイツ軍は、犬を高く評価しており、犬は「重要な将軍」とみなされていた。
 リンチンチンは、1918年9月に第一次大戦の激戦地であったフランス東部の戦場で生まれた。
 1920年代、映画はほとんどすべてのアメリカ人の世界に根をおろしていた。アメリカ人2人のうち1人は、毎週、映画をみた。動物は映画で人気だった。人間に都合が良かった。すぐに手に入り、出演料を払う必要がなく、簡単に指示したり、自由に操ったりできた。
 リンチンチンは、たった一本の映画で有名になった。リンチンチンあてのファンレターが何千通も毎週、映画製作会社(ワーナー・ブラザーズ)に配達された。当時、テレビはなく、映画が新しいエンターテインメントの形だった。ヒット映画は、誰もが見たがるショーであり、全国的なイベントだった。リンチンチンが映画のスクリーンに登場するきっかけになったのは、その運動能力だ。しかし、スターにしたのは演技力だった。
 1920年代の半ば、映画ビジネスはアメリカの10大産業の一つに成長していた。人口1億1500万人なのに、毎週1億枚近いチケットが売れた。おもにリンチンチンのおかげで、ワーナー・ブラザーズは繁盛していた。
 オスカーは獲得できなくても、リンチンチンは始終ニュースにとりあげられていた。ペットの王、映画の有名な警察犬、奇跡の犬、スクリーンの奇跡の犬、世界一の奇跡の犬、傑出した知性をもつ犬、驚嘆すべき映画犬、アメリカでもっとも偉大な映画犬・・・・。
 初めてリンチンチンが有名になったころ、世界中の大半の犬はおすわりすらできなかった。犬は仕事をするものだった。羊を集めたり、見知らぬ人間に吠えたり。だが、行儀よく振るまうという考えは、まったく存在しなかった。犬は農場や牧場などの戸外で暮らしていたので、エチケットはほとんど要求されなかった。それもあって、リンチンチンの映画や舞台での行動は驚異的だとみなされた。
 1939年にナチス・ドイツの電撃戦が始まったとき、ドイツは20万匹の犬の軍隊を所持していた。ヒトラーは、ジャーマン・シェパードを溺愛し、同じベッドで眠らせていた。
 犬について、さらに認識を改めさせてくれる本でした。
(2012年5月刊。2500円+税)

二世兵士、激戦の記録

カテゴリー:アメリカ

著者   柳田 由紀子 、 出版    新潮新書 
 第二次世界大戦当時、アメリカにいた日系人がいかに行動したかを概観した新書です。
 明治18年(1885年)、日本政府は官約移民制度をはじめ、ハワイに日本人を送った。それ以降、9年間で3万人が3年契約でハワイに行った。出身地で多いのは広島、山口、熊本、福岡。私の父の出身地(大川市)からも移民が行き、成功して帰国すると、「アメリカ屋」と呼ばれました(今も、その子孫が八女にいます)。
 3万人の官約移民のうち1万4000人が日本に戻り、2000人がハワイで亡くなり、9000人近くがアメリカ本土に渡って、残る1万3000人がハワイにとどまった。残留率は4割。
 1941年12月の日米開戦のとき、ハワイには全人口42万人の4割15万8000人の日系人が生活していた。
 日米開戦により、アメリカ軍は2世兵によって第100歩兵大隊を編成した。「ワンプカプカ」と呼ばれた。「プカ」とは、ハワイ語でゼロのこと。アメリカは日系人を強制収容所に入れた。アメリカに忠誠を誓わない日系人が1万9000人近く、ツールレイク収容所に入れられた。
 戦争が始まると、日本では敵性語として英語が禁じられたが、アメリカは逆に必死になって兵士に日本語を教育した。この情報語学兵の中核になったのは日系2世兵である。
 アメリカの日本攻略の2本柱は、暗号解読と捕虜情報だった。
 アメリカ軍が獲得した5万人の日本人捕虜のうち、5000人の日本兵がアメリカ本土に送られた。
 ハワイ第100歩兵大隊は、ヨーロッパ戦線に送られた。イタリア戦線そしてフランスで目を見張る大活躍をして歴史に名を残した。上陸したとき1300人だった歩兵大隊が、激戦のあと、半分以下の521人までに激減してしまった・・・。
 モンテカッシーノの戦い、ビフォンテーヌの森の戦いが有名です。ナチス・ドイツ軍に包囲されたテキサス兵211名を救出するため、第100歩兵大隊は800名もの死傷者を出したのでした。
 決して忘れてはならない日系人の努力だと思いました。
(2012年7月刊。740円+税)

つながりすぎた世界

カテゴリー:アメリカ

著者   ウィリアム・H・ダビドゥ 、 出版    ダイヤモンド社 
 インターネットは便利ですが、その反面とても怖いものですよね。
 2008年9月に起きたリーマンショックは、世界を震撼させた。その中心地となったがアイスランドである。アイスランド人は、長いこと漁業という当たり外れの大きい職業を生業としてきたこともあって、もともと過剰に走る国民性だった。これはあてにならない気候から産まれた国民性だ。今回も、事態がどれほど深刻であっても銀行家たちは、どうにかなるさと一向にリスクをかえりみなかった。
 大恐慌が発生した1929年当時は、アメリカの人口1億2000万人のうち株式をもっていたのは、わずか150万人の富裕層に限られていた。証券市場の暴落によって直接的に損害を受けたのは、比較的少数にとどまった。もし、当時、インターネットがあったら、中流層まで職を失い、銀行が倒産するなど、被害はもっと拡大していただろう。
 今日では、インターネットのおかげで、株式所有は、はるかに分散している。一般的なアメリカ人は401Kや引退年金制度を通じて株式を保有している。10年前には、7000万人が株式を保有していた。2008年以降の株価暴落では、多くの米国国民が損失をこうむり、経済をまわす資産をもはや持っていなかった。
 個人情報が詐欺に悪用されたという事件が次々に発生している。今日では、収入を得たいと思っている高齢者の個人情報なら330万人分、がんやアルツハイマーなどを患っている高齢者のデータなら470万人分、55歳以上のギャンブル好きのデータは50万人が売り買いされている。
 2006年に有罪判決を受けた男性は、データベースに違法に侵入して、137件の検索を実行して、16億件にのぼるデータを盗み出した。
インターネットは思考感染を促す。ネオナチの集団はフェイスブックで会員集めをしていた。
 ネット上では、匿名で自分たちの教義や主義を広めることができる。
 インターネットの有用性は私も否定しません。でも、本当に必要な情報を、よくよくかみくだきながら取り入れることができるのか、いささかの疑問も感じています。つまり付和雷同型の、自分の頭で考えない人間を増やすばかりなのではないかということです。そこに根本的な疑問があるからです。
(2012年4月刊。1800円+税)

それをお金で買いますか

カテゴリー:アメリカ

著者   マイケル・サンデル 、 出版    早川書房 
 価値あるものがすべて売買の対象になるとすれば、お金を持っていることが世界におけるあらゆる違いを生みだすことになる。これが、この数十年間が、貧困家族や中流家庭にとってとりわけ厳しい時代だった理由である。
 貧富の差が拡大しただけではない。あらゆるものが商品となってしまったせいで、お金の重要性が増し、不平等の刺すような痛みがいっそうひどくなった。市場には腐敗を招く傾向がある。
かつては非市場的規範にしたがっていた生活の領域へ、お金と市場がどんどん入り込んできている。たとえば、行列に入りこむ権利だって、お金で買える。ええーっ、行列に割り込む権利をお金で買うですって・・・。ほら、飛行機に乗るとき、ファーストクラスだと優先搭乗できるようなものですよね。
 罰金と料金の違いは何か?罰金は道徳的な非難を表しているのに対し、料金は道徳的な判断を一切ふくんでいない。スピード違反の罰金に収入に応じて上がるシステムをとっている国がある。フィンランドがそうだ。時速40キロの超過の罰金が21万ドル(2100万円)だった金持ちがいる。うひゃあ、すごいですね。
 イスラエルの保育所で実験があった。子どものむかえに遅刻した親から罰金をとることにしたら、遅刻する親は減るどころか、かえって増えてしまった。遅刻の発生率は2倍にもなった。親たちは、罰金をみずから支払う料金とみなしたのだ。お金を払うことで迎えの時間に遅れないという道徳的義務がいったんはずれると、かつての責任感を回復させるのは難しくなった。うむむ、難しいところですよね、これって・・・。
 従業員保険というものがある(これは日本にもあります)。会社が従業員の同意をとらずに(今では同意が必要だと思います)生命保険をかけていて、従業員が死亡すると、その遺族ではなく、会社に死亡保険金が入るというものです。そのとき、遺族には会社規定のわずかな見舞金が交付されます。会社は死亡保険金の一部を遺族に渡すのです。
 この従業員保険は、今ではアメリカの生命保険の全契約高の3割近くを占めている。アメリカの銀行だけで、1220億ドルもの生命保険となった(2008年)。このように、生命保険は、今や遺族のためのセーフティーネットから企業財務の戦略に変質している。つまり、従業員は生きているより、かえって死んだほうが会社にとって価値があることになる。そんな条件をつくり出すのは、従業員をモノとみなすことだ。会社にとって価値が、労働する人々としてではなく、商品先物取引の対象として扱っている。かつては家族にとっての安心の源だったものが、今や企業にとっての節税策になっている。うへーっ、これって許されることでしょうか・・・?
 お金をもらってタバコをすうのを止めようとした人の9割以上が、そのインセンティブがなくなった6ヵ月後にはタバコをすい始めた。金銭的インセンティブでは、一般に長期的な習慣や行動を変えることなく、特定のイベントに参加させることにのみ効果を発揮する。人々にお金を払って健全でいてもらおうとしても、裏目に出る可能性がある。健康を保つ価値観を養えないからだ。
なーるほど、なるほど、さすがは名高いハーバードの教授の話ではありました。
(2012年5月刊。2095円+税)

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