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カテゴリー: 社会

メルカリ

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 奥平 和行 、 出版  日経BP社
私はネットショッピングはしませんし、する気もないのですが、私の依頼者にはネットショッピングを担当する人が3人います(正確には、うち2人は疲れてやめました)。ですから、ネットショッピングの苦労は話としては聞いているのです。
スマートフォンを使って個人が物品を売買するフリマアプリの市場を、わずか5年で築き、かつて「ベンチャー不毛の地」とさえ呼ばれた日本で、企業価値の評価額が10億ドル(1100億円)を上回るというユニコーン企業。それがメルカリだ。
この本は、メルカリがスタートするまでの苦難の歴史を紹介しています。初日は、わずか400しかダウンロードされなかったとのこと、信じられません。ところが、1年後には500万になったのです。これまた信じられない数字です。
そして、その背景には何億円もの大金を投資してテレビ・コマーシャルを展開していて、その成果だというのです。となると、ベンチャー企業に先行投資してくれるスポンサー探しがとても大切だということになりますよね・・・。
2015年6月に1700万のダウンロードだったのが、1年後に3300万、さらに翌年には5500万。そして2018年6月の新規上場の直前には7100万になった。日本国民の半分以上が使ったアプリだということ。
メルカリの月間利用者は2014年8月ころに80万人だったのが、2018年2月ころは1030万人となった。流通総額も80億円から930億円に増えた。
メルカリは、売り手から販売価額の10%を手数料として徴集している。2018年3月までの9ヶ月間の連結売上高は261億円だった。
メルカリは、買い手ではなく売り手をつかんだ。たとえば、気に入ったドレスを購入して結婚式やパーティーで着て、終わった直後に売却する。すると、購入したときとあまり違わない価格で処分できる。必要なのは、クリーニング代と送料だけ。レンタルするよりも安い。そこで、若い女性は、再販を前提として、きれいに使い、購入したときのタグを捨てずにとっておく。
これまでのアプリは、販売と購入の双方に焦点をあてていたが、メルカリは販売に焦点をしぼった。メルカリの本質は売るアプリなのだ。
なーるほど、世の中はそうなっているのか・・・、そう思いました。
(2018年11月刊。1600円+税)

独楽の科学

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 山崎 詩郎 、 出版  講談社ブルーバックス
世界コマ大戦なるものがあるそうですね。初めて知りました。
形もサイズも重さも、さまざまなコマが紹介されています。
そう言えば、地球だって大きなコマなんですよね・・・。
地球は半径6400キロメートル、重さは6×10の24乗キログラムという巨大なコマ。日本に美しい四季があるのは、回転軸が変わらないコマの性質による。我々は、まさに巨大なコマの上で一生を過ごしている。
通常、コマは1秒間に30回転ほどの高速回転をしている。
全日本製造業コマ大戦のルールは、直径は2センチ以下で、高さは6センチ以下。これだけ。サイズの制限があるだけで、材質や重さ、形状はすべて自由。
そして、コマは片手の指で回します。勝負は、コマが倒れたら負け、コマが土俵の外に出たら負け。ただし、相手が存在するけんかゴマ。倒れにくいコマ、土俵のなかで倒れずに回り続けるコマが勝つ。
高すぎるコマは、重心が高くて回転が遅く、すぐに倒れてしまう。
低すぎるコマは回転の勢いが得られず、相手のコマに止められて倒れてしまう。
高さ1センチ以下のコマが生き残りやすい。
人間の手の動きの早さには限界があるので、太すぎる軸は高速で回せない。少し太いと感じるほどの5~7ミリの軸が良い。
軽量型コマには、決定的な弱点がある。常に相手のコマの回転方向の逆をとらないと勝てない。
逆回転するコマは、同じ回転速度になる。
軽量型コマが勝つ理由は、低速回転時の安定性による最後の粘りにある。より軽量で、かつ、より低重心である必要がある。
生卵をまわしても、中身が動くので重心が不安定なため、うまく回転しない。ゆで卵は、思いっきり高速で回転させると、自ら縦に立ち上がる。
回転によるジャイロ効果を利用したジャイロコンパスの発明によって、方角を正しく知ることができるようになった。小型化されたジャイロセンサーが、ケータイやドローンに搭載されている。
大きな世界の銀河系から、小さな世界のスピンまで、世の中には回転しているものや、回転に関係するもので、みちあふれている。すなわち、世界はコマからできていると言っても過言ではない。
私も小学生のころは、よくケンカゴマをしていました。ひょいと放りなげて、相手のコマの上に乗せるのです。どちらが長く回転するのかを競うゲームです。
面白いコマの世界を少しだけのぞいてみた気分に浸りました。
(2018年11月刊。1000円+税)

まなざしが出会う場所へ

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 渋谷 敦志 、 出版  新泉社
一瞬、目をそむけたくなる写真があります。でも、現実から逃げるわけにはいきません。この一瞬にも、世界中に戦争が絶え間なく、飢えで死んでいく子どもたち、病気にかかっても十分な治療をうけられずに亡くなる人々がいます。そして、なんと多いことか・・・。
いま、日本の首相は国会も含めて、あちこちで、ウソを高言して、はばかりません。あたかも世界と日本の平和を守るために安保法制法がすぐにも必要だと言っていましたが、安保法が成立しても悪いほうに事態が動いているだけではありませんか。トランプに押しつけられたアメリカの高額兵器の爆買いなんて、とんでもありません。そのうえトランプがノーベル平和賞をもらえるようアベ首相が推薦しただなんて、まさに白昼に悪夢を見ている思いです。
著者は高校2年生、17歳のとき写真家になると決意したとのこと。それから26年たっています。本当に写真家になってしまったのです。その苦難の歩みを撮った写真とともに紹介している本です。
著者は大学生のとき、ブラジルに留学し、サンパウロにある日系の法律事務所に研修生として入った。そして、30日間のブラジル縦断の旅に出た。日本に戻ったあと、今度はアメリカはサンフランシスコでソーシャルワークの仕事をはじめる。
日本に帰ってからは大阪の釜ヶ崎に入りこんだ。1泊600円の個室。3畳1間に布団一枚。掛け布団はじめっとして重く、かぶるのをためらうほど黄ばんでいる。
大学を出て、国境なき医師団の随行カメラマンとしてアフリカに渡る。
外は10分も歩くと息苦しくなる暑さで、水をいくら飲んでも小便が出ない。
アンゴラ難民。極度にタンパク質が不足すると、お腹が膨らみ、手足が腫れる。外から入る栄養がないので、体が自分の体を食べて破壊している。ここまで重症化すると、「はいどうぞ」と食事を与えたら、助かるというより、逆に命とりになる。長時間の飢餓状態によって体内の消化機能は壊され、食事を受けつけない身体になっているから。免疫システムも十分に働いていないため、簡単に感染症を引き起こし、途端に重症化するリスクもかかえている。そして、もし治療がうまくいったとしても、なんらかの障害が残って成長の妨げになる可能性が高い。
写真家として食べていけるというのは至難のことだと思います。居酒屋でのアルバイトで食いつないでいたこともあるといいます。
それでも写真の訴求力というのは大きいですよね。想像力を大いに刺激します。こんな大切な仕事をすでに26年間もしてこられたことに、私は著者に対して心から敬意を表します。
買って読むべき本だと思います。ぜひあなたも手にとってみてください。世界各地の重たい現実の一端に触れることができます。
(2019年1月刊。2000円+税)
 3月も半ばとなり、すっかり春めいてきました。わが家の庭に、例年どおり土筆が可愛い顔をのぞかせ、チューリップも咲きはじめて、300本のチューリップが咲きそろうのも間近となりました。2月に始まった花粉症はこのところ少し落ち着いていて、夜はぐっすり眠れます。ところが、なんと坐骨神経痛に悩まされています。右のお尻から膝下までピリピリ痛いのです。しばらくすると嘘のようにおさまるので助かりますが、脊柱管狭窄症ではないかと私を脅す人もいたり、要するに華麗なる加齢現象だと言う人がいて、年齢(とし)はとりたくないものです。

珈琲の世界史

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 旦部 幸博 、 出版  講談社現代新書
私は喫茶店でホットのカフェラテを飲みながら原稿を書くのを習慣の一つにしています。適度な騒音に囲まれながらの執筆のほうが集中して作業がはかどります。もっとも、隣でおばさんたちの面白い世間話だと気が散ってしまいますけれど・・・。
 世の中にコーヒーって、こんなにたくさん種類があって、それぞれ歴史があったのですね・・・。
コーヒーは、コーヒーノキというアカネ科の植物の種子(コーヒー豆)からつくられる飲み物。コーヒーは全世界で1日に25億杯のまれている。水、お茶(1日に68億杯)に次ぐ世界3位の飲み物。1杯あたり、お茶は2グラムに対し、コーヒー豆は10グラム。フィンランドは1人1日3.3杯、アメリカは1.2杯。日本は1杯。
コーヒーノキは、アフリカ大陸原産の常緑樹木熱帯産なので寒さに弱い。
最大生産国のブラジルが世界の3分の1を占める。次いで、ベトナム、コロンビア、インドネシアと続く。アラビア種とロブスタ種、そしてリベリカ種の3種がコーヒーの3原種。アラビア種が世界の生産量の6~7割を占める。残る3~4割はロブスタ種。
17世紀後半のイギリスでは、人口50万人のロンドンに3000軒ものコーヒーハウスが立ち並んでいた。市民が政治談議をし、世間話をする交流の場だった。ところが、当時のコーヒーハウスは女子禁制だった。
 フランスはイギリスより少し遅れて17世紀後半にカフェが始まり、18世紀はじめには、人口50万人のパリに300軒のカフェがあった。フランス革命直前の1788年には人口60万人のパリに1800軒のカフェがあった。フランス革命はカフェに始まったと言える。
アメリカの南北戦争のころ、北軍では兵士に戦地でコーヒーが支給された。南軍のほうはコーヒー不足のため、タンポポの代用コーヒーを飲んでいた。
戦争のときは、戦地での眠気防止や疲労感の軽減に役立つということで、前線の兵士にコーヒーが支給されていた。コーヒーの覚醒と興奮作用を軍が利用したわけである。香りや温かいものを飲むという行為が兵士にとって貴重な安らぎとなり、ストレス軽減につながった。戦争とコーヒーが結びついていたというのは悲しいことですね。
江戸時代、大田南畝(蜀山人)がオランダ人の船でコーヒーを飲んだことを書いています。そこでは「焦(こ)げくさくて、味わうに堪(たえ)ず」という感想を残しています。たしかに私にとっても、子どものころのビールと同じで、苦いばかりで、まずいと思ったものでした。
私の大学生のころ(1967年に大学にはいりましたので、50年前のことです)は、喫茶店に入ると、コーヒー1杯で最長5時間ほども話し込んでいました。それでも幸いにして追い立てを喰うことはありませんでした。おおらかな時代だったのです。
今度、スタバが高級コーヒーを売り出すとのこと。いくらでしょうか。また、原稿書きできる環境ではあるでしょうか・・・。コーヒーは今や、なくてはならない存在です。
(2017年10月刊。800円+税)

自衛隊イラク日報

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 志葉 玲(監修) 、 出版  柏書房
イラクに派遣された自衛隊員が生活の様子そして任務遂行状況を書きつづった「バグダッド日誌」と「バスラ日誌」を収録した本です。伏せ字がたくさんあり、もどかしい思いにも駆られますが、現地での自衛隊員のホンネもうかがえて、それなりに興味深い内容の日誌です。
陸上自衛隊は2004年1月から2006年7月まで、現地の復興支援を口実としてイラクに派遣されていました。この期間に陸上自衛隊官がのべ5万5600人、航空自衛隊官がのべ3600人派遣されました。陸自は主に学校や道路の修復、空自は陸自隊員や多国籍軍兵士(中心は米兵)、物資を空輸する活動を担いました。
この「日報」は、いったんはなかったことにされたものの、ついに2018年4月、防衛省は435日分のイラク日報を一部黒塗りして公開したのです。
全体として膨大な日報ですから、解説なしでは読みにくいものです。幸い、親切な解説がついていて、背景状況などがよく分かります。
「バスラ日誌」には、基地がロケット弾などで攻撃されている状況が何度も登場してきます。自衛隊員の死傷者が出なかったのは奇跡みたいな話です。
「ロケット弾3発、攻撃10回目。23発目」(2006年4月5日)
イラクから平和な本国に帰還した米兵が再びイラクの戦地に戻って来る心理も紹介されています。
イラクの壮絶な日々と帰還後のアメリカでの平穏な生活にギャップを感じ、また、その感覚を周囲の人間からあまり理解されないことから、せっかく生きて帰還したにもかかわらず、再びイラクでの任務につく米兵も多かった。
「自分が存在する価値を自分自身で確認でき、かつ、それを認めてくれる仲間たちがいる場所」
ヘリコプターは、気温があまりに高いと(たとえば52度以上)飛べなくなる。
イラクでは毎日のようにテロが起こり、爆弾や銃撃によって何人もの人が日々殺されている。
石油産出国であるのに、国民が石油を手に入れることもままならず、電気も1日数時間の供給しかなくて、子どもたちは安全できれいな水を飲むことも難しい状況に置かれている。
サマワの陸自イラク派遣部隊がサドル派など一部の勢力からは敵視されていたものの、他の有志連合諸国の軍に比べて高感度が高かった理由は、復興支援活動に専念し、「イラク人を殺さなかった」ことに尽きる。サマワは、イラクの他の地域に比べて治安が良く、リスクがきわめて低かった。
解説者は、もっとも重要な時期のイラク日報がまだ公開されていないこと、航空自衛隊の日報が3日分しか公開されていないことを厳しく指摘しています。
2004年10月、イラクの自衛隊野営地への攻撃は甚大な被害を出しかねないものだった。また、航空自衛隊は、その6割以上が米兵などを戦地へ運び、また銃器を輸送していた。つまり、日本は、米軍のパシリ役でしかなかった実態が隠されたままなのです。
それでも、2008年4月の名古屋高裁の判決は、航空自衛隊のイラクでの活動は憲法違反だと認定したのでした。すごい勇気ある判決です。
650頁もある部厚さにひるむ心をおさえつつ、ざっと読みで完読しました。
(2018年9月刊。1700円+税)

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