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カテゴリー: 社会

そのツイート、炎上します

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 唐澤 貴洋 、 出版  カンゼン
前に『炎上弁護士』(日本実業出版)を書いた弁護士による、SNS炎上を避けるための実践的な手引書です。
先日、私の前にあらわれた新規の相談客に、どうやって私の事務所を知ったのか尋ねたところ(毎回、欠かさない質問です)、スマホの格付が4つ星で、コメントも良いことが書かれていたこと、そして決め手は「相談料無料」とあったからという答えでした。これには驚きました。レストランが星で格付けされていること、利用した客のコメントがついていることは私も知っていましたが、法律事務所まで同じように評価され、コメントがついていることを初めて知りました。しかも、うちの支店については、係争中の相手方から悪口が書かれているのです。なお、「相談料無料」というのは正確ではありません。借金相談だけ無料にしているのです。頼んでもいないのに、いったい誰が、こんな表示をつけたのでしょうか。
悪口については、抹消請求できるほどのものとは思えないレベルでしたので、プラス・コメントを誰かに書いてもらって対抗するしかありません。本当に怖い世の中になったものです。
炎上しても気にしなければいいんだという人がいる。しかし、そういう人に限って、自分が炎上したときに、うろたえ、フツーの精神状態ではいられなくなることだろう。
なるほど、たしかにそうだろうとネット世界に生きていない私も同感です。
ツイッターのやり取りのなかでは、怒りが生まれやすい。というのは、ツイッターは切りとられた短文なので、過激で不快な印象をダイレクトに与えやすいから。
構造的な炎上は、いじめの構造と同じ。いちど悪意をもたれたら、ずっと目をつけられる。学校のいじめが、なかなか終わらないのと同じ。
いじめるほうが自発的にやめる理由は、あきる以外ない。学校でのいじめのターゲットが次々に移っていくのと同じで、対象は誰でもいいのだ。
炎上を加速させる大きな要因の一つに「まとめサイト」の存在がある。まとめサイトの広告収入で稼ごうという人が多く、まとめサイトは乱立している。
そして、一般人が炎上すると必ずあらわれるのが特定班。個人情報を暴き出す機動力のある特定班が存在し、炎上者の性格、居住地、学校、勤務先、家族構成などのプライバシーを暴き出す。
このような特定班の成果を待ち望む人々が存在する。これも人間の醜悪な一面だ。
炎上しても警察はまともに捜査しようとはしない。これは怖い。
炎上に加担する人は、孤独感のある人、寂しい人が多い。
炎上したときには、第一に次の炎上の燃料となるネタを与えない、第二に時間が経過するのを待ち、相手と同じ土俵に上らない、第三に明らかなプライバシー侵害のときには警察に相談する、第四に、インターネット上の人権侵害に明るい弁護士に相談する。
ちなみに、インターネットに詳しくない私は、この種の相談を受けたときには、すぐに専門的に対応できるインターネットに強い弁護士を紹介するようにしています。
(2019年5月刊。1400円+税)

限界のタワーマンション

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 榊 淳司 、 出版  集英社新書
分譲タワーマンションの建造は、日本人の犯している現在進行形の巨大な過ちだ。
タワーマンションとは、一般に20階以上の鉄筋コンクリート造の集合住宅のことをいう。
タワーマンションを購入し、住んでいる人には近い未来に恐ろしい不幸がやって来る。
タワーマンションは、その建築構造上の宿命として高額な保全費用がかかる。それは通常のマンションの2倍以上。大規模な修繕工事は、およそ15年に1度の割合で必要とされる。築30年でエレベーターや給排水管の交換が必要となる。
タワーマンションは、外壁の修繕工事を行わなければ雨漏りが発生しやすい建築構造になっているので、定期的な大規模修繕が欠かせない。
タワマンの寿命は30年で尽きる。築45年をこえると住宅としては機能しなくなり、廃墟となる可能性が高い。
タワーマンションは、人間の健康や成育に悪影響を及ぼしている可能性がある。タワーマンションの上層階に暮らす子どもは、成績が伸びにくい。外に出るのが面倒な子は世界が広がらない。実体験の乏しい子は、成績が伸びにくい。
武蔵小杉では、10年間に14棟のタワーマンションがたち7000戸の住人が増えた。1戸3人とすると2万1000人だ。
住宅業界の人は超高層物件を買わない。彼らは、「買う奴がいるのだから、今売れたらいい」という「売り逃げの論理」で突っ走っている。では、彼らの住居は・・・。賃貸マンションに住み、何年かに一度、ひっこして生活している。
うーん、そうなんですか・・・。やっぱり分かっているんですね。
賃料が高くても、結局、そのほうが人生設計上おトクだということなんですよね・・・。
タワマンが本格的に竣工しはじめたのは2000年ころから。建築基準法による規制緩和が背景にある。
タワマンの「施工不良」があまり表面化しないのは、騒いだら資産価値に悪影響が出る、それでもいいのかと売主や施工会社が脅すからだ。
うひゃあ、それはひどい。
タワーマンションは、すべてがオーダーメイドで、物件によって工法が違う。つまり、まだ施工法が確立していない完成途上の状態にある。上層階の外壁修繕をどうするのか・・・。もはや高すぎて外に足場は組めない。屋上のクレーンから作業用のゴンドラを吊るしたり、壁に線路のようなガードレールを敷設したりするとしても、風速10メートル以上の強風下では作業できない。すると、1層分の作業に1ヶ月かかることがある。
多くのタワーマンションは、2022年ころに、1回目の大規模修繕工事をする。15年後の2037年には2回目の工事が必要となる。
売主は、引き渡しから10年を過ぎると、すべての保証を免れる。
タワーマンションは、電力が供給されて、エレベーターが正常に稼働していることが、大前提の住形態だ。この前提が崩れることなんて滅多にないと住人は安易な想定で生活している。
武蔵小杉のタワーマンションで地下室が浸水してポンプが止まり、トイレが使えなくなりました。そんなマンションに長く住めるはずがありません。
火災が起きると、住人が何台かしかないエレベーターに殺到する。
タワーマンションの住人のなかには、上層階に住むことがスティタスであるかのような価値観に感化されている。
いま福岡の赤坂あたりには次々にタワーマンションがたっていますが、あんな高層階で日常生活を過ごせるというのが、高所恐怖症の私には不思議でなりません。
(2019年6月刊。800円+税)

欺す衆生

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 月村 了衛 、 出版  新潮社
本当は、こんな本は読みたくないし、すすめたくもありません。思わず目をそむけたくなる話のオンパレードなのです。
欺(だま)す側の心理と論理が実によく描写されています。私も商品先物取引の加害者(刑事被告人)の供述調書をもとに一冊の本をまとめたことがあります。
この本は加害者(だます側)の家族生活にまで踏み込んでいますから、まさしく身につまされるストーリー展開です。ある面では切ないというところも感じます。でもでも、主人公は、結局のところ、一線を踏み越えて、悪の道を突っ走っていきます。そして、その家族はそれを受け入れて裕福な生活にどっぷり浸るのでした。
出発は豊田商事のだましの商法になっています。同じようなことが商品先物取引の世界でもありました。国内の先物取引会社で素人騙しの手口(テクニック)を身につけた連中が当局の規制が及ばない香港やロンドンなどの海外取引所を舞台とした先物取引に素人を引きずり込んで大金をだましとっていったのです。
本書では、豊田商事の残党たちが、原野商法、和牛商法そして、証券投資、さらにはアフリカを舞台とするインチキ商法を展開していく様子が見事に活写されています。そのときは、舞台装置として、公務員や大使館員を抱き込むのです。
そして、暴力団が登場します。もちつもたれつで、企業舎弟たちとだまし稼業に狂奔し、ついには大物政治家まで登場します。それは、「桜を見る会」でジャパンライフが首相枠で姿をあらわし、実は、この豊田商事に匹敵する大がかりなインチキ商法が、実は安倍首相とはその父親の代から親密な関係にあったわけですが、それと同じ本質だったのでした・・・。
だますときには、相手の資産状況だけでなく、本人の性格や経歴、さらには家族構成まで調べあげる。
「人を欺すためなら、自分を欺すことなんて簡単にできる。そういうもんだろ、人ってさ・・・」
「人を欺す仕事は最低だと思う。でも、その一方で、人を欺す快感は捨てられない。強欲な輩を欺すのは痛快だ。その一方で、そんな輩を欺す自分はなんだ・・・と考える」
だます男がだまされ、またいいようにあしらわれる。そして、暴力団にしゃぶられる。けれども、暴力団内部でも利害が一枚岩ではない。
そんな実情が、これでもか、これでもかと畳みかけられると、こんな世界に足をつっこまなくてよかった・・・と思えてきます。いくら大金があっても、心の平穏はどこにもないのです。
主人公が迷い、悩んでいたのがウソのように悪に徹していくのに、膚寒い思いがしてしまいました。見たくないけれど、直視しなくてはいけない現実だと思って、500頁もの大作を週末の土曜日に一日で読み切りました。
(2019年11月刊。1900円+税)
 11月に受けたフランス語検定試験(準1級)の結果を知らせるハガキが届きました。71点(12点満点)で合格でした。自己採点で73点、合格基準点は67点ですので、いつものように低空飛行でスレスレ合格です(合格率24%)。 1月末に口述試験を受けます。これが大変なんです。今から仏作文の練習をはじめるつもりです。
 ちなみに、準1級の合格証書は7枚もらっています。レベルアップは望むべくもなく、低下せず維持するのが精一杯です。

日本への警告

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 ジム・ロジャーズ 、 出版  講談社α新書
世界的投資家がアベノミクスは完全に失敗した、軍事予算こそ真っ先に削減しろと指摘しています。同感至極でした。小気味がよく、胸のすく思いのする新書です。
安部首相がしてきたことは、ほぼすべてが間違いだ。国際集会で語られるのは、聞こえのいい夢物語ばかりで、それが実現することはめったにない。
日本経済を破壊するアベノミクスが続き、人口減少の問題を解決しないかぎり、日本に投資はできない。
東京オリンピックのせいで日本の借金はさらに膨らむ。オリンピックがもたらした弊害が日本をむしばむ。
日本は女性を大切にし、育児をもっと応援すべきだ。
日本人は外国人に対する差別意識をなくせ。そして、日本人はもっと外国に出るべきだ。
移民の受け入れについて、まるで犯罪者に対して門を開くようなイメージをもつのは、まったくのお門違いだ。
日本政府として真っ先にすべきなのは防衛費の削減だ。
安部首相はたくさんの間違いをしているが、防衛費の増加は過ちの最たるものだ。今や、日本は450億ドルをこえる防衛費を支出しているが、防衛費をいくら増やしても、日本の将来のためには何の役に立たない。むしろ国民の生活が悪くなるばかりだ。
武器の予算をつければ、武器の製造やメンテナンスに直接かかれる人たちはもうけられるとしても、それ以上のことは何も起きない。やがて武器は老朽化し、ムダ金だったということになる。
ズバリズバリと日本のかかえる問題が指摘されています。一読する価値があります。ついでに、あなたもお金もうけが出来るかも・・・。
(2019年9月刊。900円+税)

光の田園物語

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 今森 光彦 、 出版  クレヴィス
いやあ、思わずほれぼれしてしまう見事な田園風景です。写真が輝いています。
滋賀の里山に生きる写真家が、荒れ果てた土地、竹の密生する林を切り拓いていきます。とても人間の手だけではかないません。ついにはユンボなどの重機も登場し、竹を根こそぎ抜いていくのです。そして、そこにはひっそり古木が隠れていました。また、小道には石仏がいくつも埋もれていたのです。
クヌギの古木が姿をあらわしましたが、思い切って伐採。すると、翌年には、早くも新芽が吹き出してきます。たくましい自然の生命力に圧倒されるばかりです。
土手のカヤにはカヤネズミがいて、巣をつくっています。
真夏の田圃は緑したたる田園風景がずっと先まで広がり、そのみずみずしさを胸一杯吸いとりたくなる気分にさせてくれます。この頁を眺めるだけで、この本買って手にとる価値があります。
著者のすばらしいところは昆虫教室を開いて子どもたちに昆虫の生態を一緒に教えていることです。もちろん、著者自身が昆虫博士のように詳しいのです。いろんなチョウやトンボ、そしてカエルの名前を見分けわれるなんて、それだけですごい、すばらしいではありませんか・・・。
昆虫は、子どもたちが手にすることのできる数少ない生命、神様がくれた玩具だ。
竹藪を切り拓いたあとを整地し、水たまり(湿地)をつくり出します。水辺の生き物のためです。さっそくトンボがやってきます。
田んぼも大切だけど、土手も大事に育てます。土手にすむ生き物もいるからです。
環境農家を目ざす写真家の著者は大忙し。でも、その笑顔は輝いています。自然とともに生きる喜びがあるからでしょう。
琵琶湖のほとり、大津市の仰木という地区に広い田園をかまえて自然と生活している著者による、実に楽しい写真集です。できたら一度、ぜひ現地に行って、実感してみたいものです。
全国の図書館に一冊は常備してほしいと思いました。それだけの価値があります。
(2019年8月刊。2500円+税)

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