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カテゴリー: 社会

今日を生きる

カテゴリー:社会

著者 大平 光代、 出版 中央公論新社
 『だからあなたも生きぬいて』の著者による、久しぶりの本です。
 著者が大阪市助役に就任したことは知っていましたが、この本を読むと、助役として活動中に、部課長連の強い抵抗にあってかなり苦労されたようです。周りは敵だらけ、とまで書かれています。そして、めでたく先輩弁護士と結婚して出産。ところが、ダウン症の赤ちゃんでした。その子育ての苦心が紹介されていますが、なるほど、なるほどと感心しながら読みすすめました。その工夫がすごくて、参考になります。何事にも前向きな姿勢が共感を呼びます。
 人生には、いろんな選択肢、いろんな時期がある。
 子どもには見返りを求めない。
授乳するとき、赤ちゃんが飲んだミルクの量をノートにつけるのは、精神衛生上、よくない。親が何としても飲まさなアカンという心理状況になると、赤ちゃんはそれを敏感に感じていやがる。それに気づいて、記録をとるのはやめた。
子どもにはいろいろ経験させて、親は手を出さずに見守ることが大切。根気のいる仕事だし、時間もかかる。しかし、幼いころの経験が足りないと、引きこもりになってしまう。
 赤ちゃんは言葉が分からない。でも、どんなときでも赤ちゃんに話しかけ、言葉で説明する。そして、その言葉どおりに実行する。いやあ、これって、ホント、大切なことです。
 そして、たまには赤ちゃんを甘えさせることも大切なこと。大人が寄り添って喜怒哀楽をちゃんと表出させる。これは、子ども時代に欠かせない大切なこと。うんうん、思わず頭を上下に振ってしまいました。
 大平弁護士が赤ちゃんとともにお元気な様子に、安心しました。いい本です。元気が湧いてきます。
 
(2009年7月刊。1300円+税)

自民党幹事長室の30年

カテゴリー:社会

著者 奥島 貞雄、 出版 中央公論新社
 自民党本部の奥深いところで30年もの間働いていた人による本です。やや物足りない感もあります。つまり、もっと赤裸々にしてほしかったということです。それでも、それなりに有力政治家たちの実情が紹介されています。
 なかでも、いま再び政権党の幹事長として君臨している小沢一郎に対して、容赦ない酷評が加えられています。まずは、そこから紹介しましょう。
 ワーストワンの幹事長には、ためらうことなく小沢一郎の名前をあげる。ベストは、田中角栄である。小沢一郎が自民党の幹事長になったのは、47歳のとき。田中角栄と同じ年齢だった。
 小沢一郎はもともとしゃべるのが得意ではなかった。せいぜい、雑誌という媒体が似合っていた。ゲラの段階で手直しできるからだ。
 小沢一郎は、自民党幹事長でありながら、どうにも我慢ならない行動が目についた。昼時になると、決まって自派の若手代議士を5~6人ほどと一緒に幹事長室の奥の個室で食事をとりながら懇談していた。幹事長室に議員を引きずりこんで、自分のシンパ拡大工作に励んだ政治家はほかにいない。
 小沢は通産省の官僚を接待した二日酔いのため、年に一度の自民党全国幹事長会議をすっぽかしてしまった。それでも、夕方からの総理との会議には出席していた。このように小沢一郎のウラオモテの極端な落差の大きさは、許容限度を超えるものがあった。
 世の中を、なめるんじゃないぞ。
これは、そのときの著者の小沢一郎への怒りの言葉です。
 小沢一郎は、東京都知事選で自民党から候補を立てながらも、自身は告示のあと外遊に出かけていた。うむむ、なんということ……。
 小沢一郎は、苦労らしきものをしていない。
 田中を見限った小沢は、やがて金丸信や竹下も裏切る。
 小沢一郎は、自民党の幹事長としては不適任な人材だった。
 いやあ、ここまで悪口かかれるかと思うほどです。小沢一郎に、いかに人徳がないかを示しているのでしょうね。
 自民党内のお金の流れなど、もっともっと知りたいことはあり、もどかしくなってしまうのですが、自民党政治家の正体を知る手掛かりにはなる本だと思いました。
 島原半島の雲仙に行ってきました。帰りに少し足をのばして、原城跡へまわってみました。初めてです。国道からせまい道を入っていくのですが、くねくねと曲った道でした。だんだん高くなっていきますが、西側は畑になっています。奥まった高台が本丸跡ということです。海に面した絶壁です。海からの上陸は難しかったことでしょう。遠くに天草の島々が見えました。ここに3万人もの人々が立てこもり、80日ほどの籠城戦をもちこたえ、ついに全員虐殺されたかと思うと感無量でした。
 赤い可愛いコスモスの花が、本丸跡への道路脇に咲いていました。
 
(2002年12月刊。2200円+税)

武士猿

カテゴリー:社会

著者 今野 敏、 出版 集英社
 ブサーザールと読みます。この著者は警察小説の書き手だと思っていました。なんと、空手のこともかけるのですね。たいしたものですね。すごいな、すごいぞと感心しながら、夢中で読みふけり、時の経つのを忘れてしまいました。いやあ、身体の鍛錬というのは、毎日欠かさず、日常不断にやるものなんだと、つくづく思ったことでした。沖縄空手の偉大さを少しは味わうことができたと思います。
 カラテつまり空手は、その前には唐手と書いていたのですね。戦前のことではありますが、剣道とは違って、本土では江戸時代からあっていたわけではないようです。
大学生のころ、私の身近で流行していたのは少林寺拳法でした。その集団演武を入学式のときに見たような気がします。すごくカッコいいと思いましたが、運動神経に自信のない私は手を出しませんでした。
 明治維新の後、琉球王族の一員でもあった本部(もとぶ)家の三男坊だった朝基は、兄に勝つために琉球伝統の「手」(ティー)の修業を始めた。実戦で強くなるため、夜の路上に出て他流試合を重ねた。すごいですね、本当のことなのでしょうか……。
 沖縄武士(ウチナープサー)という言葉を初めて知りました。九州男児に匹敵する言葉なのでしょうかね。著者自身が空手の有段者とのことですから、空手のすごさが文字になってよく描かれています。読んでいる私まで、なんの技もないのに、肩に力が入ってしまいます。
 うへーっ、すごーい、こんな攻め方、かわし方があるのか、などと想像をたくましくしながら、もどかしい思いとともに頁をめくっていきました。正味90分で読み切りましたが、価値ある1時間半でした。ヤンヤヤンヤ。拍手を送ります。
 
(2009年5月刊。1600円+税)

10年後、あなたは病気になると、家を失う

カテゴリー:社会

著者 津田 光夫・馬場 淳 ほか、 出版 日本経済新聞出版社
 いま、日本は、病気にかかるリスクの高い人を、国民健康保険という一つの保険に集めている。当然、保険料は高くなり、払いたくても払えない人たちを増やすことにつながる。
 国保の保険料(保険税)の滞納が1年以上も続くと悪質滞納者とみなされ、保険証が取り上げられて、代わりに資格証明書が発行される。資格証明書では、窓口でいったん全額を支払わなければいけない。あとでその7割が返還されるはずだが、実際には滞納分に充当されるので、お金は戻ってこない。つまり、資格があるというだけで、事実上は無保険を意味している。このような無保険世帯が34万世帯もある。このように、国民皆保険は崩壊しつつある。
 民医連の調査によると、国保の保険証が取り上げられて、医者にかかれないうちに亡くなった人が、05~06年に29人、07年に31人、08年も31人いる。
 そして、医療機関に多額の未収金が発生している。3270病院の累積未収金は、1年間で219億円、3年間で426億円になっている。
 国保財政が赤字になったのは、国庫からの拠出金が減少しているため。
 そもそも、社会保障制度にはすべての国民に対して、負担の如何にかかわらず国が面倒をみるという基本概念がある。
 生活習慣病という呼び方には、自己責任と共通する意味がある。本人の生活習慣が悪いために慢性疾患になった、という意味が込められている。
 うへーっ、ちっとも知りませんでしたよ……。
 医療・介護・年金の分野で、国は自らの責任を後景に追いやり、代わって国民の自助と共助を強調している。それは、戦前への逆戻りである。そうなんですね……。
 アメリカの民間医療保険は、生命保険会社や損害保険会社が運営する営利目的の保険である。アメリカのように公的医療保険が不十分だと、企業負担が増大する。日本の医療・福祉制度は絶対にアメリカのマネをしてはいけない。著者は、このように強調しています。やはり、アメリカではなく、イギリスを含めたヨーロッパ型を日本は目ざすべきだと痛感させられました。
 日経新聞を私も毎日読んでいますが、そこから出ている本だとは思えない、とてもまともで、道理のある本です。
(2009年4月刊。1700円+税)

小沢一郎、虚飾の支配者

カテゴリー:社会

著者 松田 賢弥、 出版 講談社
 ついに政権交代が実現しました。政権が変わることによって、すべてがたちまちバラ色に変わるなんて、まったく思いません。でも、長く続いた自民党政治を、一刻も早く終わらせたいとは、大学生のころから、つまり40年間、ずっと思い続けてきました。それがようやく実現して、感無量です。
 アメリカでは一足早く、チェンジつまり変革を叫んだオバマ政権が誕生しました。どうせ同じアメリカ帝国主義じゃないか、そんな冷めた見方もあります。だけど、オバマ大統領は核廃絶を真剣に呼びかけているじゃないですか。環境問題についても、前のブッシュとは比べものにならないほどの真面目な取り組みをすすめています。イラクから撤退するという方針も評価できます。ただし、なぜ今もってアフガニスタンにこだわるのか、その点はさっぱり理解できません……。
 いいものはいいと、高く、きちんと評価する。それは、オバマ政権であれ、今度の民主党政権であれ、必要なことだと思います。無用なダム建設をやめる。後期高齢者医療制度を見直す。子ども手当を支給する。いろいろ、いいことを打ち出しています。私は、大歓迎です。教育予算を増やして、高校だけではなく、大学まで授業料も無料とし、学生には生活費も補助するというように、日本は人材(人間)育成にもっとお金をかけるべきです。ダム建設よりも、よっぽど有効なお金の使い方だと思います。
 それにしても、気になるのが、「ダーティ小沢」です。この本は、次のように叫んでいます。
政権交代の前にはすべてが許されるのか。政権交代という看板を掲げていれば、ゼネコンから巨額なカネをもらい、その金も化けた政治資金で10億円にのぼる不動産を買い集めたことに一片の釈明もしなくていいのか。
 小沢は、「やましいことは一点もない」という。果たして、本当なのか……。
 小沢にとって、権力とはカネだ。小沢にとって、政治とは自身のあくなき権力欲を満たすためのものではないのか……。
 民主党の幹事長という要職を占める小沢一郎は、今こそ国民の前で自らの疑惑について語る必要があると思います。秘書に責任をなすりつけてはいけませんよ。
 西松建設の裏金の総額は、20億円をこえる。うち、国内分が10億円、海外分が10億円。国内分は、全国の支店が下請業者から工事費を還流させたり、架空経費を計上したりする手口を使っていた。
 ところが、小沢は次のように開き直っている。
 「ゼネコンから選挙の応援を受けたり、資金提供を受けてなぜ悪いのか。応援してもらうのは、あたりまえでしょう」
 小沢一郎の政治団体は、政治資金パーティを開いて、4年間で4億円近くも集めた。ところが、そのパーティ券は、どこの誰が買ったか明らかにされていない。これではまったくのザル法ですよね。
 小沢は、陸山会の政治資金によって、1994年から都内にマンションを買い始めた。今や、10億円を超える。すべて小沢一郎名義である。
 虚飾に覆われた小沢の支配者の仮面は、いつか剥がれおちる日が来るだろう。小沢一郎の仮面が剥がれたとき、民主党も政権を手放すことになるのか、それは今のところ予測がつきません。脱ダム、脱公共工事をすすめていったら、脱小沢一郎になってしまいます。それを小沢一郎が許すのかどうか。そのせめぎあいが当分つづくのではないでしょうか。
 民主党の暗黒面、自民党と同じ利権体質の政治家が生き延びるのか、ぜひとも注目していきましょう。
 連休中に、青空の下、モズの甲高い鳴き声を聞きながら、庭にチューリップの球根をせっせと植えつけていきました。畳1枚半ほどのスペースに、200個の球根を植え付けました。スコップで一個一個掘るので、ついに親指の付け根のところに豆ができて、つぶれてしまいました。
 いま、庭には黄色いリコリス、そして同じく黄色のエンゼルストランペットが咲いています。地面の足もとにはピンクかかった白いゼフィランサスの可憐な花もあちこちで咲いています。
 空を見上げるとピンクの芙蓉もまだまだ咲いていて、そのそばを赤とんぼが悠々と飛んでいました。稲刈りも間近です。秋も深まりました。
 
(2009年7月刊。1500円+税)

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