法律相談センター検索 弁護士検索
カテゴリー: 社会

ヘルプマン (16巻)

カテゴリー:社会

著者   くさか 里樹 、 出版   講談社 
 身につまされるマンガ本のシリーズです。とりわけ、この16巻は、いわゆる定年後をいかに過ごすかが共通の切実な話題となっている団塊世代である私の背筋をゾクゾクさせてしまう寒い話でした。もちろん、弁護士ですから私自身には定年がなく、しばらくは元気で働けるものと自負しています。それでも、もし弁護士でなかったら、どうなっているのだろうかと心配になったのです。
16巻の主人公は女性のデザイナーです。若いときには、言い寄る男どもを振り切って独身生活を謳歌していました。ところが、64歳になった今、住み慣れた賃貸マンションを出ていかざるをえなくなったとき、高齢者の一人暮らしでは、住むところを見つけるのも苦労するのです。
 そして、まだまだデザイナーとして十分に働く自信があるというのに、取引先からはIT化のすすむなかで、もう仕事はまかせないと冷たく宣告されてしまうのでした。
 同じ独身女性仲間を頼って転がりこもうとすると、その彼女が、なんと脳いっ血で倒れてしまったのです。それなりの資産のある彼女を身内が引きとり田舎へ連れていこうとします。彼女は元気なうちにエンディングノートを書いていて、自分のマンションで最後まで生活することを希望しているのに、そんなノートには法的効力はないと言われてしまいます。主人公は途方に暮れるばかり・・・。
 十分な介護を受けたくても受けられない現実。ゆっくり充実した世話を入所者にしたくても出来ない介護職員の悩み。ともかく待遇が劣悪なので、長く働くのはとても厳しいという現実があるのです。
 少し前の認知症編も、今回と同じように身につまされました。次第に、自分が自分でなくなっていくと言う不安感が全身を包みます。それは、そうなったでむしろ本人は幸せなのかもしれません。でも、周囲が大変ですよね。
いずれにしろ、21巻のうちようやく16巻まで読了しました。あと5巻、完全に読みきります。いま、誰かれかまわずおすすめしているマンガ本です。あなたもぜひお読みください。
(2011年2月刊。543円+税)

『清冽の炎』 第7巻

カテゴリー:社会

著者 神水 理一郎  、 出版  花伝社
東大闘争とセルツメント活動について、ついに完結編が刊行されました。まずは、7巻のあらすじを少し詳しく紹介します。
北町セルツメントで活動していた元セツラーたちの同窓会が20年ぶりに北町近くで開かれた。みなまだ現役の教師であり、会社員や大学教授としてがんばっている。学生セルツメントで何をしていたのか、何を話しあっていたのか、20年前を振りかえった。佐助はあこがれのヒナコと元気に再会することができた。振られたという思いから固まっていた佐助の心がゆっくり温められていった。
 さらに9年がたち、卒業して30年目の北町セルツメントの同窓会は、かつて4泊5日の夏合宿をした、奥那須にある山奥の三斗小屋温泉で開かれた。このときは、9年前とは違って、そろそろ定年を意識する年齢になっていた。
 青垣の事件は一郎弁護士が心血を注いで、取り組んだものの、一審では有罪となってしまった。弁護団を拡充して控訴したものの棄却され、最高裁に上告することになった。裁判所は大手メーカーを頭から信用して被告人の言い分に耳を傾けようともしない。
 佐助は経済学部を卒業して定石どおり製造会社に入った。労務課に配属されると、意義の分かりにくい人事管理と接待に明け暮れるようになった。ある日、競合メーカーに入った芳村が来社した。あとで、芳村は佐助のことを隠れ党員だと密告した。労務課の毎日の業務がストレスとなって佐助は危うく病気になりかけた佐助は、ついに転身を決意した。司法試験の勉強を始めたものの、なかなか合格できない。ようやく合格して、佐助は東京・下町で弁護士として働くようになった。
 父を知らない一郎は、何とか父親の素性を知りたいと周囲に真剣に問いかけるが、なぜか皆よそよそしく、取りあおうとしない。
 最高裁が上告を認めず、ついに有罪が確定して、青垣は刑務所に入ることになった。他方、芳村は海外での大型商談がまとまり、ついに取締役の座を射止めることになった。
 大手の法律事務所につとめていた一郎は、人間を扱いたいと考えて、都内に個人事務所を開業した。そして、一緒についてきてくれたパラリーガルの美香に結婚を申し込んだ。美香の母親は元セツラーのヒナコで、一郎の母である美由紀とは都立高校の同級生だった。
 夫を事故でなくしたヒナコは佐助に法律相談をもちかけ、二人だけで話すようになったが、子どもたちの将来を壊してはいけない、そんな思いから一歩先にすすめることができない。佐助も、そんなヒナコの思いを受けとめ、またもやすれ違いに・・・。それでも、上空に清冽の炎が燃えている。
(2012年11月刊。1800円+税)

40代からのガン予防法

カテゴリー:社会

著者   神代 知明 、 出版   花伝社 
 還暦すぎた私が、今さら「40代からの・・・」ではありませんが、健康法も私の関心事の一つです。
 著者は、かつて「マック」に勤めていました。あんなものは、化学薬品を食べているようなものですよね。
かつて勤務していたハンバーガー店で、揚げ物用に1週間ほど使いつづけていた油は、ショートニングだった。ということは、その店のフライドポテトは、酸化油、トランス脂肪酸、過酸化脂質、アクリルアシドという、ガンリスクの四重奏(カルテット)ということ。
赤坂交差点のマックの店にいつも行列をつくっている人々をみるたびに、どうして、がんリスクを考えないのかと私は不思議に思います。
 ガンは予防が可能だ。予防に勝ものはない。
 ガンは遺伝するとよく言われるが、遺伝性のガンは多くてもせいぜい5%。ガンの家系というより、食事、内容や生活習慣、性格など、ガンを発症する原因を2代あるいは3代にわたって共有してしまった可能性の方が高い。
 ガンにも、治療の必要のないガンもある。むしろガン治療の副作用のほうが怖いことがある。日本でガンになる人の3.2%は、医療機関での検査被曝が原因で発ガンしたと推定されている。
 これを知って、人間ドッグのレントゲン検査は年に2回受けていたのをやめて、年に1回にしました。これでも多すぎるのかもしれません。
 沖縄が日本一の長寿県だったとき、その原因の一つが昆布の摂取量が日本一、全国平均の1.5倍というのがあった。ゴーヤーも島豆腐もオキナワモズクもいい。ところが、オキナワの県民が肉を食べ、ハンバーガーを大量に食べるようになると、オキナワの男性の平均寿命はトップから20位に転落してしまった。
 肉を食べたいのなら、食事全体の5%におさえる。そして、野菜を肉の倍ほど食べること。夜は12時までに寝ること。午前0時から2時までは、リンパ球が一番働く時間帯だ。リンパ球はがん細胞を攻撃してくれる。早い時間に眠っている人はそれだけ免疫力も機能して、ガンの予防につながる。
笑いはガンも抑制する。白血球の中のリンパ球にはがん細胞を攻撃する免疫細胞が存在する。その代表格。αNK細胞は、笑うことによって活性化する。そして、笑う以前に明るく楽しい気分を過ごすのが大切だ。
 無理なく、自然体で、明るく、笑いとともに生きること。肉類より野菜衷心の食生活、そして、夜はなるべく早く眠ること。
なんだか昔ながらの当たり前の健康法ですね。まあ、ガン予防と言っても別に目新しいものがあるのではないということなんでしょうね・・・。
(2012年3月刊。1500円+税)

ともにがんばりましょう

カテゴリー:社会

著者   塩田 武士 、 出版   講談社 
 戦後日本社会で、今ほど労働組合の影が薄いときはないのではないでしょうか・・・。
 戦後、総評は絶大な力をもっていました。労働者の生活と権利を守る砦として労働組合が確固として存在として存在していました。これに対して、同盟というのは、会社の労務担当がつくったものという認識が一般的であり、スト破りというイメージがつきまとっていたと思います。総評と同盟が一体化して連合となってから、労働組合と会社とは平和共存というイメージでとらえられるようになり、闘争というフンイキが消えてしまいました。フランスでは、今でもストライキもデモ行進もあたりまえの光景です。なにしろ警察官や裁判官にまで組合があり、デモ行進するのですから・・・
 ストライキがあり、集会やデモ行進が普通にあっていました。私が大学生のころ、40年前は順法闘争というのもあって、東京の国電(山手線など)は、時間遅延があたりまえでした。みんな困っていましたが、ストライキだから仕方がないというあきらめもありました。
 そして、1週間も続いたスト権ストが最後の仇花(あだばな)のように、ストライキはなくなり、今や死語と化してしまったようです。ところが、この本は、労働組合とは何をするものなのか、会社との団交はどうすすめられていくのかについて、教科書のような展開です。
 ええーっ、労働組合が今日では小説の題材(テーマ)となるほど珍しいものになってしまったんだなと思ったことです。
 でも、書かれている内容は、しごくあたりまえのことばかりです。黙っていたら経営の論理がまかり通ってしまい、労働者の権利なんて、まるで無視されてしまう。労働組合は今でも大いに役立つ存在なのだということを、しっかり実感させてくれます。
 多くの労働者の矛盾する要求をいかにまとめあげていくか。経営者側の論理を団交のなかで、いかにして論破するのか。見事なストーリー展開で思わずガンバレと拍手を送りたくなります。
 著者が神戸新聞社に勤めていたときの体験をもとにした小説だと思いました。
 労働組合をよみがえらせたいと考えている人に、とくに一読をおすすめします。
(2012年7月刊。1500円+税)

山田洋次と寅さんの世界

カテゴリー:社会

著者   吉村 英夫 、 出版   大月書店 
 かつて、お盆と正月には家族そろって寅さん映画をみていました。年に2回の楽しみでした。よくも年に2回、マンネリズムとの批判をものともせず、つくれるものだと山田洋次監督に驚嘆していました。映画第一作の前のテレビ作品はみていませんが、第一作は大学の学園祭(五月祭)のときにみました。大教室に学生があふれ、みんなで大笑いしたことを覚えています。ゲバルトに明け暮れていた学園に平和が戻ったことを実感させてくれる貴重なひとときでした。
 生きづらい世の中である。住みにくいご時世である。だが、悲観論だけでは、何も生まれない。そうなんです。だからこそ、喜劇をみて笑い飛ばしたいのです。
 山田洋次は、テレビドラマの演出をしない。小さい画面に多人数を映すのは難しく、アップを多用しなければならない。そして、アップの人物の表情や気分しか観客は理解できない。だから、私はテレビを見ません。やっぱり映画館の大スクリーンでみたいのです。
 山田洋次は、怒る寅、なだめる博、悲しげなさくらを観客は自由に選択して見てほしいのだ。映画こそが生き甲斐の映画バカ。それが山田洋次である。
山田には、すべてが映画の題材にみえる。どうドラマにするかと考える。
山田は素材ゼロからオリジナルを創造するタイプではない。小説や新聞の三面記事から想像を広げていく型の作家である。
 物腰柔らかく謙虚な山田洋次は、同時にしたたかで一筋縄ではいかない。老獪とも言えそうなほどの老練さ、そういう幅と奥行きも持っている。
 寅さんシリーズが長大なものとなって内容的にも興行的にも成功したのは、松竹の大船撮影所のシステムが機能していたから。スタッフが専属で、毎回、同じ山田組で仕事ができて、出演者もほぼレギュラーだから、山田洋次は、キャメラの高羽哲夫をはじめ、息のあったチームをつくりあげることができた。このスタッフが山田洋次を支えた。社員スタッフが定年になってからも山田組に馳せ参じるシステムは、21世紀には大手の映画会社でも不可能になった。
 寅さん映画の観客動員総数は8000万人。第8作以降、常にトップ10位までに入っていた。観客の内在的要求にこたえ、マンネリズム批判までも普遍性に昇華させてシリーズのハイレベルを持ち続けた山田洋次・渥美清コンビの創造力と想像力、そして努力は測りしれない。
山田組はひとつの家族のようにして映画を作りあげていった。質の良さを直感した人たちが、テレビの前から家を出て、暗黙の劇場にまで足を運んだ。
 寅さん映画は正月映画として27年間連続続けた。
 齢80を迎えてなおも青年の魂と、ろうたけた知力を持つこの希有の映画作家は、さらに無縁社会の克服が国家百年の宿願であることを語り続けるだろう。酷薄な社会に立ち向かう力は、個の確立を前提とした家族ないし共同体的なものにならざるをえない。
 寅さん映画を、また映画館の大きなスクリーンでみてみたいと思いました。近く、「新東京物語」が上映されるようです。今から、楽しみにしています。
 寅さん映画ファンにはたまらない本です。
(2012年9月刊。1800円+税)
 月曜日、日比谷公園に行きました。ツワブキの黄色い花がたくさん咲いているなと思っていると、銀杏の木も見事な黄金色です。さらに、園内で菊花展が開かれていました。それはなんとも言えない姿形の素晴らしさに息を呑むばかりでした。丹精込めて育てている姿が目に浮かんできます。

福岡県弁護士会 〒810-0044 福岡市中央区六本松4丁目2番5号 TEL:092-741-6416

Copyright©2011-2025 FukuokakenBengoshikai. All rights reserved.